弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
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「兄弟で遺産分割することになるけれど、揉めそうで心配」
「兄弟で遺産分割する上での基礎的な知識を知りたい」
いざ相続が始まると、知らないことが多すぎて頭がこんがらがってしまう…という方も多いでしょう。
兄弟での遺産分割が起きると、普段仲が良かったはずの兄弟でも何かしらの対立が発生しがちです。それぞれの主張が対立する中で損しないためには、「法律ではどうなっているか」そして「実際どのようなトラブルが多いのか」を理解しておくことが大切です。
この記事では以下の4つのテーマを説明しています。
「他のサイトの解説を読んだけどイマイチ良くわからなかった」という方にこそ、この記事を読んでもらいたいと考えています。なぜならば、他では「親が死んだパターン」と「兄弟が死んだパターン」が混ぜこぜになって説明されていることが多いからです。
この記事では敢えて、「親が死亡し、その遺産を兄弟で分割するパターン」と「兄弟が死亡し、その遺産を残りの兄弟で分割するパターン」を明確に分けて解説しています。そのため、しっかり理解を深めることができるはずです。
相続について全く詳しくない方でも分かるように簡単な言葉で解説していくので、ぜひしっかりと理解し、兄弟での納得できる遺産分割を進めてみてください。
※この記事では、兄弟姉妹をひとくくりに「兄弟」と表記して説明しています。あらかじめご了承ください。 |
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相続する権利(相続権)がある人を法定相続人と言います。
法定相続人(相続権のある人)が誰になるのかは、民法という法律で順番が決まっています。自分より上の順位の相続人が、既に全員亡くなっていた場合や、全員が家庭裁判所で相続の放棄を行って相続人ではなくなったときに初めて、次の順位に相続権が移っていきます。
兄弟が法定相続人となるのは2つのケースがあります。親が死んだときと、そして、兄弟が死んで兄弟に子や親がいないときです。
兄弟が法定相続人として相続するときの相続割合(法定相続分)は、兄弟がどの順位で相続人になるかによって変わってきます。第一順位で相続人となる場合には、配偶者と兄弟で2分の1ずつの割合で相続し、第三順位で相続人となる場合には、配偶者が4分の3、兄弟が4分の1の割合で相続します。配偶者がいなければ兄弟で等分します。
第1順位 死亡した人の子 ※ その子が既に死亡しているときはその子の直系卑属(子や孫など)が相続人になる。 第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) ※ 第2順位の人は、第1順位の人がいないときに相続人になる。 第3順位 死亡した人の兄弟姉妹 ※ 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる。 配偶者:常に相続人となります。 |
法定相続分は、同順位の相続人が数人あるときに相続財産を相続する割合のことです。法定相続分は、まず、配偶者とその他の相続人との間で割合を決め、次に、配偶者以外の相続人の取り分を人数で案分していきます。
それでは、兄弟姉妹が相続できる割合(法定相続分)について詳細に解説していきます。
兄弟との間で遺産分割するケースには、
❶親が死亡し、その遺産を子である兄弟が分割するパターン(第1順位)
❷兄弟が死亡し、その遺産を残りの兄弟で分割するパターン(第3順位)
の2つがあります。
❶親が死亡➡その遺産を子である兄弟で分割 |
❷兄弟が死亡➡その遺産を残りの兄弟で分割 |
※亡くなった兄弟に、子どもも親もいない場合のみ、残りの兄弟に相続権がある |
どちらのパターンかによって、法定相続分(法律で定められた遺産分割割合)や確認すべきポイントも異なってきます。そこで、まず、あなたが知りたいパターンはどちらなのかまずしっかり確認してください。
どちらか確認できたら、早速以下から、詳しい内容を確認していきましょう。
この章では、親が死亡し、子である兄弟同士で遺産分割する場合のケースについて解説していきます。
親が亡くなった場合に、子である兄弟が受け取れる遺産の割合は、
❶もう一人の親が存命の場合は【2分の1】
❷親が既に両方いない(兄弟のみ)の場合は【全部】
となります。
親の配偶者(つまりあなたのもう一人の親)が健在の場合は、まずその配偶者が遺産の【2分の1】をもらい、残りの【2分の1】を兄弟全体で分割します。兄弟全体で2分の1なので、兄弟の数が多いほど、1人あたりの受け取れる遺産は少なくなるイメージです。なお、法定相続分は、相続人同士で話し合って異なる割合で合意することは自由です。
兄弟の人数が2人の場合(父親Aが亡くなり、母親B、兄C、弟Dで相続する場合) 母親B:2分の1を相続 兄C:4分の1を相続 弟D:4分の1を相続 |
兄弟の人数が3人の場合(父親Aが亡くなり、母親B、兄C、弟D、妹Eで相続する場合) 母親B:2分の1を相続 兄C:6分の1を相続 弟D:6分の1を相続 妹E:6分の1を相続 |
亡くなった人の財産は、配偶者がいる場合は必ず配偶者が相続することになります。しかし、配偶者がいない場合は、子どもだけ(兄弟たちだけ)で遺産の全部の割合(100%)を相続できることになります。
つまり、全額を、兄弟の人数で分割して相続します。
兄弟の人数が2人の場合(父親Aが亡くなり、母親Bは既に他界しており、兄C、弟Dで相続する場合) 兄C:2分の1を相続 弟D:2分の1を相続 |
兄弟の人数が3人の場合(父親Aが亡くなり、母親Bは既に他界しており、兄C、弟D、妹Eで相続する場合) 兄C:3分の1を相続 弟D:3分の1を相続 妹E:3分の1を相続 |
続いて、遺産分割するときのポイントを解説していきます。
親が死亡➡子である兄弟で遺産分割する場合のポイント(こちらをクリック)
ここからは、兄弟が死亡し、残りの兄弟で遺産分割するパターンでの相続について解説していきます。
亡くなった兄弟に、第一順位の子や孫、第二順位の直系尊属(親など)がいない場合、他の兄弟が第三順位として法定相続人になります。兄弟が亡くなり、その遺産を他の兄弟が相続する割合は、故人に配偶者がいる場合は、他の兄弟が遺産の4分の1を相続します。故人に配偶者がいない場合は、すべての遺産を他の兄弟で等分します。
❶亡くなった兄弟に配偶者がいる場合は【4分の1】 ❷亡くなった兄弟に配偶者がいない場合は【全額】 |
亡くなった兄弟に配偶者がいる場合、配偶者が遺産の【4分の3】の割合を受け取るので、兄弟の相続する割合は遺産の【4分の1】の割合です。兄弟一人当たりの相続割合は残りの兄弟が1人なら【4分の1】、2人なら【8分の1】、3人なら【12分の1】です。兄弟が複数いる場合は、兄弟全員の相続割合の4分の1が、さらに人数で分割されます。そのため、兄弟の数が多いほど、1人あたりが受け取る遺産が少なくなります。なお、法定相続分は、相続人同士で話し合って異なる割合で合意することは自由です。
相続人である兄弟が1人の場合(兄Aが亡くなり、Aの配偶者B、弟Cで相続する場合) Aの配偶者B:4分の3を相続 弟C:4分の1を相続 |
相続人である兄弟が2人の場合(兄Aが亡くなり、Aの配偶者B、弟C、妹Dで相続する場合) ➡兄弟の相続分4分の1を、さらに2分割して受け取る Aの配偶者B:4分の3を相続 弟C:8分の1を相続 妹D:8分の1を相続 |
相続人である兄弟が3人の場合(兄Aが亡くなり、Aの配偶者B、弟C、妹D、妹Eで相続する場合) ➡兄弟の相続分4分の1を、さらに3分割して受け取る Aの配偶者B:4分の3を相続 弟C:12分の1を相続 妹D:12分の1を相続 妹E:12分の1を相続 |
亡くなった兄弟に、配偶者も子どもも親もいない場合は、法定相続人は兄弟のみとなります。そのため、兄弟が相続する割合は遺産の全部の割合(100%)になります。兄弟一人当たりの相続割合は、残りの兄弟が1人なら【1分の1】、2人なら【2分の1】、3人なら【3分の1】です。生涯独身の兄弟が亡くなったときの相続が典型例で、独身の兄弟に配偶者も子どもも親もいなければ、残りの兄弟だけで遺産の相続を行います。
相続人である兄弟が複数人いる場合は、その人数で分割して相続します。
残された兄弟の人数が1人の場合(兄Aが亡くなり、弟Bだけが相続する場合) 弟B:遺産の全額を相続できる |
残された兄弟の人数が2人の場合(兄Aが亡くなり、弟B、妹Cで相続する場合) 弟B:2分の1を相続 妹C:2分の1を相続 |
残された兄弟の人数が3人の場合(兄Aが亡くなり、弟B、妹C、妹Dで相続する場合) 弟B:3分の1を相続 妹C:3分の1を相続 妹D:3分の1を相続 |
いかがでしたか。
兄弟の相続のときには、親の相続のときに比べて、故人に配偶者がいるかどうかで大きく相続分が変わることが分かりました。
続いて、遺産分割をする場合のポイントについて解説していきます。
兄弟が死亡➡残りの兄弟で遺産分割する場合のポイント(こちらをクリック)
ここらかは、親の遺産を兄弟で相続する場合について、知っておきたいポイントをまとめて紹介していきます。
※ 兄弟が亡くなり、他の兄弟で相続する場合のポイントについては、次の章で解説しておりますので、こちら↓をご確認ください。
兄弟が死亡➡残りの兄弟で遺産分割する場合のポイント(こちらをクリック)
親の遺産を兄弟で相続する場合に知っておきたいポイント ・亡くなっている兄弟がいる場合は子・孫がいれば代襲相続が起こる ・全ての兄弟(養子・異母兄弟・異父兄弟)は平等に遺産を分割する ・親の財産の増加に貢献・寄与した兄弟は遺産を多くもらえるケースがある ・兄弟の一人だけ「特別受益」を受けていた場合は考慮する |
親が亡くなり兄弟で相続する場合に、兄弟の誰かが既に亡くなっているケースがあります。この場合、その兄弟に子どもや孫がいる場合は「代襲相続」が起こります。
代襲相続とは、本来であれば相続人である人物が特定の理由で遺産を受け取れない場合に、その子・孫が代わりに相続できることをいいます。
例えば、両親がともに亡くなり、子である兄弟のみで相続するケースを考えてみましょう。元々3兄弟だったのですが、その中の1人(姉A)が10年前に既に亡くなっていたとします。この場合、残された2人の兄弟で相続すると考えがちです。
しかし実際には、亡くなっている姉Aに子どもがいる場合、その子どもが姉Aが相続するはずだった遺産を取得することになります。つまり、遺産を3分割し、存命の兄弟2人と姉Aの子どもがそれぞれ受け取ることになります。
代襲相続については、以下 で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
親の財産を子である兄弟で分割する場合、兄弟が2人なら2分割、3人なら3分割と、平等に遺産を分割します。「長男なんだから遺産を多くもらえる」ということはないので注意しましょう。
また、兄弟の中に「養子」がいる場合も同様です。「実子」でも「養子」でも法定相続分は全く同じとなります。異父兄弟・異母兄弟であっても同じ親の相続人は、遺産を平等に分割します。
全ての子どもは平等に遺産を分割する、と説明しましたが、兄弟の一人が親の財産の増加に寄与したケースでは、「寄与分」が認められる場合があります。
寄与分とは、被相続人の財産維持・増加に貢献した相続人が、通常もらえる相続分に加えて受け取れる遺産のことをいいます。
例えば、3人兄弟で相続する場合、遺産が3000万円あったとして、通常は、3等分して1000万円ずつ分割するのが原則ですが、長男が親の借金を代わりに600万円返済してあげていたという特別事情があれば、以下の計算によって長男だけ600万多く遺産を受け取れることができます。
長男の相続分 :(3000万-600万)÷3人+600万=1400万
次男の相続分 :(3000万-600万)÷3人 = 800万
三男の相続分 :(3000万-600万)÷3人 = 800万
実際に寄与分が認められるかどうかは、兄弟間での話し合いや調停で決着させることとなります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
相続人である兄弟のうち、一人だけが「特別受益」を受けていた場合は、その人の取り分から特別受益分を控除して遺産を分割することができます。
特別受益とは、遺産の前渡しと評価できる程度に一部の相続人が故人から特別に得ていた利益のことをいいます。
こうした特別受益を一部の兄弟だけが受けていた場合、そのまま遺産分割すると「不公平」となります。そのため、特別受益分を差し引いて遺産を分割することができます。
例えば、3人兄弟で相続する場合、遺産が3000万円あったとして、通常は、3等分して1000万円ずつ分割するのが原則ですが、親が生前に長男の借金600万円を代わりに返済してあげていたという特別事情があれば、以下の計算によって長男だけ600万少なく遺産を受け取ることになります。
長男の相続分 :(3000万+600万)÷3人-600万= 600万
次男の相続分 :(3000万+600万)÷3人 =1200万
三男の相続分 :(3000万+600万)÷3人 =1200万
実際に特別受益が認められるかどうかは、兄弟間での話し合いや調停で決着させることとなります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
兄弟の遺産を残された兄弟で相続する場合のポイントについて、知っておきたいポイントをまとめて紹介します。
兄弟の遺産を兄弟で相続する場合に知っておきたいポイント ・先に亡くなっている兄弟がいる場合は子(甥・姪)がいれば代襲相続が起こる ・半血兄弟の場合は「全血兄弟の相続分の半分」になる ・相続税がかかる場合は2割加算となるので注意しよう ・兄弟の財産の増加に貢献・寄与した兄弟は遺産を多くもらえるケースがある ・兄弟の一人だけ「特別受益」を受けていた場合は考慮する ・子どもが相続の放棄をした結果、兄弟が相続人となる場合には借金の可能性も |
兄弟の遺産を相続する場合で、遺産を受け取るはずの兄弟の誰かが既に亡くなっているケースがあります。この場合、その兄弟に子どもがいる場合は「代襲相続」が起こります。
代襲相続とは、本来であれば相続人である人物が特定の理由で遺産を受け取れない場合に、その子が代わりに相続できることをいいます。
例えば、元々3人兄弟だった家族がいて、そのうちの長男Aが亡くなったとします。長男Aに配偶者も子どもおらず、両親や祖父母も亡くなっている場合、残りの兄弟(次男B・長女C)で長男Aの遺産を受け取ることができます。 ところが、長男Aが亡くなる2年前に既に長女Cが亡くなっていた場合はどうなるでしょうか。この場合、長女Cに子どもDがいれば、長女Cの子どもD(長男Aから見ると甥D)が、長女Cがもらうはずだった遺産を代襲相続することになります。Dは、長女がうけとることができた権利を代わりに相続するだけなので、長女Cの相続分が増えたり減ったりはせず、そのままDが相続します。 つまり、このケースでは、長男Aの遺産は、「次男B」と「長女Cの子どもD」で2分の1ずつ2分割して受け取ることになります。 |
兄弟の遺産を甥・姪が代襲相続する場合は、代襲相続は1代限り、甥・姪までとなります。甥・姪が亡くなっていてその子がさらに再代襲することはないので注意しましょう。一方で、親が死んだときの子ども同士での代襲相続は、孫やひ孫まで代襲相続が発生します。兄弟の代襲相続は、子の代襲相続に比べて範囲が狭いのです。
先ほどの例で、長女Cが先に死んでいた場合には、長女の子Dが代襲相続することを説明しました。それでは、長女Cが、死んでいたのではなく、長男Aの相続を放棄していた場合は、甥や姪の権利はどうなるのでしょうか。
相続の放棄をすると、長女Cの代で既に相続人ではなかったことになるので、代襲相続する対象がなく、長女の子Dは相続人にはなりません。そのため、長女に加えて甥や姪が重ねて相続の放棄をする必要はないので注意しましょう。
代襲相続については、このほかに、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
代襲相続とは、長男Aが亡くなるより前に長女Cが先に亡くなっている場合に、その子ども(甥や姪)が代わりに相続人となる制度でした。代襲相続では長女Cの配偶者に権利はありません。それでは、長男Aの遺産分割の話し合い中(厳密にいえば長男Aが亡くなった後)に、長女Cが亡くなった場合には、相続人の範囲は異なるでしょうか。
この例のように、長男Aが亡くなった後に、その相続人である長女Cが続けて亡くなった場合の相続は、「数次相続」と言われ、長男Aが亡くなるより前に長女Cが先に亡くなっている場合の「代襲相続」より、相続人の範囲は広くなります。
具体的には、甥や姪だけではなく、長女Cの相続人全員が、長男Aの相続人にもなるので、長女Cの配偶者も相続人になりすし、難しいケース、例えば、長女Cの相続でも代襲相続が起きている場合には、長女Cの孫まで法定相続人になってきます。
代襲相続であれば、1代までという限定があるものの、数次相続の順番で亡くなっている場合には、1代までというルールはなくなるため、相続人がどんどん増えていってしまうことがあります。だからこそ、遺産分割は、長期化して人数が増えるのを避けるためにも速やかに解決する必要があるのです。
数次相続については、このほかに、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
半血兄弟とは、父母どちらか一方のみを同じくする兄弟(異母兄弟・異父兄弟)のことをいいます。半血兄弟と全血兄弟が同時に遺産を受け取る場合、半血兄弟が受け取れる相続分は「全血兄弟の半分」となります。親の相続のときは異母兄弟や異父兄弟でも相続分は同じですが、兄弟の相続のときは、ここの計算が異なってきます。
例えば、3人兄弟(長男A・長女B・次男C)の例でお話します。今回亡くなったのは長男Aです。 長男Aは、父Xと母Yの間に生まれた子です。長女Bも、父Xと母Yの間に生まれた子です。次男Cは、父Xが再婚した母Zの間に生まれたとします。この場合、長女Bは長女Aと全血兄弟ですが、次男Cは長女と半血兄弟ということになります。 このケースで、長男Aが亡くなり、長女Bと次男Cの2人だけで遺産の全額を相続することになったとします。この場合、次男C(半血兄弟)は長女B(全血兄弟)の半分しか遺産を受け取れないので、それぞれの相続分は以下のようになります。 長女Bの相続分:3分の2 次男Cの相続分:3分の1 |
計算のポイントは、半血兄弟1人あたり1点、全血兄弟1人あたり2点とカウントして、まずはその合計を分母として計算していくと分かりやすいです。上記の例だと、Cが1点、Bが2点の合計3点です。だから、Cは3分の1で、Bは3分の2となります。
仮に半血兄弟2人、全血兄弟2人なら、1点、1点、2点、2点の合計6点が分母となり、半血兄弟1人あたりの相続分は6分の1となり、全血兄弟1人あたりの相続分は6分の2となります。
半分異母兄弟の場合は計算が少し難しくなるため、迷う場合は弁護士などプロに相談してみると良いでしょう。
兄弟の遺産を相続する場合で、相続税がかかる場合は「2割加算」の対象となるので注意しましょう。
相続税の2割加算:なし | 被相続人の配偶者・子ども(実子)・父母 |
相続税の2割加算:あり | 上記以外 |
相続税は必ず支払わなければならないものではなく、遺産の相続税評価額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合のみ申告して納める必要があります。
兄弟の遺産を残りの兄弟が相続する場合は、親の財産を子が相続する場合に比べると、2割相続税が加算されます。どの程度異なるかを比較するために概算額を比較した図をご紹介します。相続税の申告の際には税務署又は税理士にご相談ください。
遺産が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内に相続税の申告と納税をしなければなりません。相続税の申告期限については、親の相続と兄弟の相続も同じです。兄弟が遺産を調べるのは、親の遺産を調べるよりは時間がかかることが多いので、できるだけ早めに財産の調査を始めましょう。
なお、10か月以内に遺産分割協議が終わっていなかったとしても、遺産が均等に分配されたと仮定して、10か月以内に相続税を納付する義務があるので、要注意です。
さらに相続税の計算方法を知りたい方は、以下記事をご覧ください。
亡くなった兄弟の財産の増加に貢献・寄与した兄弟は、寄与分という権利を主張することができます。
寄与分とは、被相続人の財産維持・増加に貢献した相続人が、通常もらえる相続分に加えて受け取れる遺産のことをいいます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
相続人である兄弟のうち、一人だけが「特別受益」を受けていた場合は、その人の取り分から特別受益分を控除して遺産を分割することができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
兄弟が相続人となるのは、子や親がいない場合が原則ですが、場合によっては、子どもはいるのに、子が相続の放棄をした結果、親もおらず、第三順位の兄弟が相続人となるケースもあります。
子どもが放棄している場合、子どもが相続の放棄をした理由が重要です。たとえば、子どもが放棄をしたのが、借金の可能性を考えたことが理由である場合、兄弟も同じように借金の可能性を考えなければいけません。
兄弟同士の仲が良ければ、きっと借金はないだろうと推測はできますが、それでも念のために調査をしたいというケースはあります。
一般的には、借金調査をする場合、信用情報機関に調査することが多いです。信用情報機関には、クレジット会社系のCIC(株式会社シー・アイ・シー)、銀行系のJBA(全国銀行個人信用情報センター)、消費者金融会社系のJICC(日本信用情報機構)の3社あります。いわゆるブラックリストなどもこの信用情報の一種です。つまり、亡くなった故人が、信用情報に記載されていないか、借金がないかを、広く調査することができます。もちろん、100パーセントの借金の有無を調査することはできませんが、大きな指標になります。
これらの借金の調査までする場合には、相続の放棄の期限3か月以内で終わらないことが多いので、家庭裁判所に期間の伸長の申し立てを行いましょう。家庭裁判所のサイトはこちらです。
これまで、兄弟で遺産分割する場合の2パターン(親が亡くなった場合・兄弟が亡くなった場合)についてそれぞれ相続分やポイントを紹介しました。兄弟の相続のときは、親の相続のときに比べて、故人に配偶者がいるかどうかで残りの兄弟の相続分が大きく変わること、代襲相続の範囲も親の相続の場合と違って狭いこと、半血か全血かで相続分が変わること、相続税の計算方法も若干高くなること、特別受益や寄与分で相続分が変わること、場合によっては信用情報の調査をする必要があることが分かりました。
ここからは、「兄弟で遺産を分ける時には結構もめやすい」ということについて解説していこうと思います。
兄弟同士の相続は思っている以上に揉めやすいと思った方が良いです。今まで仲が良かった兄弟でも、相続をきっかけに揉めて仲が悪くなってしまうケースも多いのです。
兄弟の遺産分割で揉めやすいケース ❶財産が開示されないと揉めやすい ❷兄弟が疎遠になっている場合は特に揉めやすい ❸兄弟の配偶者が介入してくると揉めやすい ❹遺産に実家などの不動産や中小企業の株式がある場合は揉めやすい |
ここでは、特に揉めやすいパターンについて解説します。
通帳などを一人で預かって、その内容を他の相続人に開示しないまま話を進めようとする兄弟がいると、揉めやすいといえます。遺産相続は、遺産を公平に分割するのが原則ですので、どのような遺産があるのか分からないと公平になっているのか判断ができません。
お金が絡むと人間誰しも、「できれば自分が一番得をするようにしたい」と思ってしまうものです。特に、兄弟の仲が疎遠になってしまうと、自分の利益ばかりを主張する兄弟が現れてもおかしくありません。
兄弟がそれぞれに独立して仕事が忙しくなったり、家族を築いてなかなか顔を会わせなくなったり、遠方に住んだりすることをきっかけに疎遠になることは多いものです。
普段から顔を合わせて「今後実家はどうするのか」などを話していたならば良いのですが、疎遠になっていると双方が全く違う考えを持っていることもあるでしょう。
兄弟が疎遠になっている場合は、まずはお互いがどのように考えているのか共有しあうことから始めましょう。
また、疎遠ではなく、完全に絶縁となっている場合には、手紙を送っても無視されることもあります。そのような場合には家庭裁判所に調停調書や審判を作成してもらい、名義変更を進めていきましょう。
兄弟の遺産分割が揉めるきっかけとして、兄弟の配偶者が介入してくるケースもあります。中には遺産分割協議に参加して意見を通そうとする配偶者もいるかもしれません。
兄弟の配偶者にはもちろん相続権はないので(特別寄与分や遺言で指定していない限り)、第三者の口出しはきっぱり断りましょう。それでも関与してくる場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てて、配偶者を締め出した状態で話し合うことをおすすめします。
兄弟で遺産分割する場合に、相続財産が預貯金のみであれば、法定相続分をベースに分割すれば良いだけなのでスムーズに行えます。しかし、遺産の中に実家などの不動産がある場合は、兄弟間で意見が分かれやすいため遺産分割が揉めるケースがあります。
例えば、母親が亡くなり兄弟で相続する場合で、遺産に現金がほとんどなく実家の土地と家屋だけというケースを考えてみましょう。長年母親と住んでいた姉は「実家にまだ住み続けたい」と思っていても、遠方で暮らしている妹は「実家を売却して現金化し、それを分割して相続したい」と思うかもしれません。
また、相続財産に不動産がある場合、「その不動産の価値(いくらか)」について兄弟によって意見が対立することも考えられます。揉めそうなケースでは、早めに弁護士に相談して、双方が納得できる妥協点を見つけることが大切です。
遺産に親が経営していた中小企業の株式がある場合も揉めやすい事例と言えます。中小企業の株式の評価は、中小企業が所有している自社ビルや預貯金・借入の金額などによって、変動します。
しかし、中小企業の株式は上場企業のように証券会社で売り買いがされていないため、お金に変えて平等に分けるということが難しいのです。
株式の価値が不明確なまま遺産分割を行うと、兄弟間で不公平な分割となることもありますので注意しましょう。
最後に、兄弟の遺産分割の進め方を解説します。
ここまで解説した通り、兄弟での遺産分割は揉めることもあります。トラブルをできるだけ避けられるよう、必要なポイントをしっかりと押さえておきましょう。
兄弟の遺産分割を進めるための7つのポイント ❶話し合い➡調停➡審判という流れを知る ❷不動産がある場合の分割方法を知っておく ❸寄与分や特別受益がある場合は配慮しよう ❹遺産分割方法の案を作っておくとスムーズに分割しやすい ❺死亡前後の入出金は領収書をきちんととっておく ❻遺産を受け取りたくない人は相続の放棄や相続分の譲渡をする ❼トラブルになりそうな場合は早めに弁護士に相談しよう |
兄弟姉妹間で遺産分割の話し合いを進めるために、まずは、しっかりと遺産の内容を開示して、相手の言い分と聞くところから始めましょう。相手が遺産の放棄をしてくれるのが当然と考えて話し合いを始めると相手に必要以上に不信感を与えかねません。
次に、話し合いが長期化してしまっている場合には、早めに家庭裁判所の調停に切り替えることも重要です。調停とは、家庭裁判所で非公開の部屋で話し合いを続ける手続きです。調停委員という司会を間に入れて、親族間での話し合いを継続します。調停で合意ができれば、裁判所が遺産分割協議書の代わりの調停調書という文書を作成してくれます。その文章で遺産の解約手続きを行うことができますので相手の実印がなくても手続きが進みます。
調停に相手に出席しなかったり、何度も調停を継続しても話し合いがつく見通しがない場合には、家庭裁判所の審判を求めましょう。審判とは、話し合いの手続きでなく、裁判所に分割方法を決めてもらう手続きです。この審判が確定すれば、その審判書が遺産分割協議書の代わりとなり、この文章で遺産の解約手続きを行うことができます。
このように、調停や審判という手続きは、相手の実印をいらなくする手続きです。兄弟姉妹のうち印鑑を押さない人がいるという場合には、速やかに家庭裁判所の調停から手続きを進めることが有効です。
先ほど「遺産に実家などの不動産がある場合は揉めやすい」で、兄弟の遺産分割で揉めやすいポイントとして、不動産があるケースについてお伝えしました。特に、遺産が不動産しか無い場合、兄弟でどのように分割すればいいのか頭を抱えてしまうケースがあるでしょう。
不動産を複数の相続人で分割する方法には、以下の4つがあります。
1. 不動産をそのまま相続する「現物分割」 2. 他の相続人に代償金を支払う「代償分割」 3. 不動産を売却して相続する「換価分割」 4. 複数の相続人で不動産を所有する「共有分割」 |
現物分割は、不動産を現物のまま相続する方法です。例えば同等の価値がある不動産が2つある場合に、2人の相続人でそれぞれ相続するような場合が考えられます。
代償分割は、相続人の1人が不動産を相続し、他の相続人に「代償金」を支払う方法です。例えば1億円の価値がある不動産を姉が相続し、その代わりに妹に5,000万円の代償金を支払うケースなどがあります。
換価分割は、不動産を売却して現金化し、そのお金を相続人で分割する方法です。
共有分割は、相続分に応じた割合で不動産を共有財産にする方法です。例えば姉と妹で実家を相続し、その家の持分比率を2分の1ずつにして共有名義にします。ただし、共有名義にすると、不動産を売却するにも有効利用するにも共有名義者全員の同意が必要となり、後々トラブルになる可能性があるので注意が必要です。
不動産がある場合にはこのような4つの分割方法をあらかじめ知っておき、どの方法で分割するか兄弟でよく話し合うことをおすすめします。
遺産分割協議を行う場合には、基本的に法定相続分をベースにした遺産分割を行います。例えば、親の財産を、子どもである兄弟3人だけで分割する場合は、3分の1ずつを分割して相続することになります。
ただし、「寄与分」(被相続人の財産維持・増加に貢献した相続人が、通常もらえる相続分に加えて受け取れる遺産)や「特別受益」(一部の相続人だけが特別に得ていた利益のこと)がある場合は、それらを考慮した遺産分割を行いましょう。
例えば、長年に渡って親を介護しつづけた兄弟がいるなら少し多めに遺産を受け取ってもらう、逆に1人だけ生前贈与を受けていた兄弟がいるなら受け取る遺産を少し減らす、など話し合って決めましょう。お互いを尊重しあい、納得し、「公平感」のある相続を実現させるようにしましょう。
遺産分割協議の話し合いの前に分割方法の案を作っておくと、話し合いを進めやすくなります。何通りかの案を用意していけば、「じゃあこの案で進めよう」とスムーズに分割方法が決まりやすいでしょう。
逆に、何も用意せずに話し合いをスタートしてしまうと、それぞれの主張だけを言い合い、話がまとまりにくくなります。兄弟同士で揉めたくない方は、ぜひ事前に案を作って遺産分割協議に臨みましょう。
遺産分割方法の案を考える上では、本記事で解説した兄弟姉妹の法定相続分の割合を意識して考えましょう。もちろん、相続人同士で法定相続分と異なる割合で合意することは自由ですが、もめてしまっているときは法定相続分で分けるのが現実的です。
兄弟同士の遺産分割で揉めるきっかけとなるのは、死亡前後の入出金です。
亡くなる方の通帳を兄弟の誰かが管理していて、そこからお金を引き出して、電気料金などの水道光熱費や治療費を支払っていることが多くあります。
善意で行っていることが多いのですが、きちんと明細や領収書をとっていないと、遺産を独り占めしようとしているのではという疑いを持たれることがあります。
そういうことがないよう、きちんと、明細を作っておきましょう。もめるのを避けたい場合には、遺産の預金からではなく、自分の財産から立て替えていた方がよいケースもあります。遺産から引き出すのであれば、できるだけ他の相続人に事前に説明をしておきましょう。
遺産に関心がなく遺産を受け取りたくない人は、相続の放棄か相続分の譲渡をしましょう。
相続の放棄とは、自分が相続人になったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し込むことで、相続人ではなかったことになる制度です。たとえば、兄弟3人が相続人である事案で、1人が相続の放棄をすると、兄弟2人で遺産を2分の1ずつ分けることになります。
相続分の譲渡という制度もあります。相続分の譲渡とは、自らが相続しなくなるという点では相続の放棄と同じですが、自分の相続分を誰に渡すかを選べる制度です。たとえば、兄弟3人(長男次男三男)が相続人である事案で、三男が次男に相続分の譲渡をすると、長男と次男の2人が相続人となりますが、長男が3分の1、次男が3分の2の割合で分けることになります。相続分の譲渡は、相続の放棄と違って期限はありません。
相続人の人数が多い場合などは、相続の放棄や相続分の譲渡を利用して、当事者を限定していくのも有効です。
遺産分割協議が話し合いでまとまらない場合には、遺産分割調停を申立て、裁判所で解決させる必要があります。兄弟での遺産分割トラブルを複雑化・長期化させたくない方は、できるだけ早めに弁護士に相談し、間に入ってもらうことをおすすめします。
相続に詳しい弁護士が話し合いに同席することで、感情論ではなく法的な根拠を基に議論を進めることができます。そうすることで、双方の希望の落としどころを見つけやすくなります。
不動産をどう分けたら良いのかなど、全員が納得する分割方法についても相談に乗ってもらうことができるでしょう。兄弟間で揉めたくない方は、ぜひ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
相続の放棄とは、自分が相続人となったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述することによって、最初から相続人ではなかったことにする手続きです。
相続の放棄をすれば、遺産分割協議書にサインを求められる当事者ではなくなるので、親族のもめごとから離脱することができます。また、万が一、故人に借金があったとしても相続の放棄をしておけば、責任を負いません。
相続の放棄は、口頭や私文書での合意ではなく、家庭裁判所に申述するという法的手続きが必要です。戸籍謄本を集める必要がありますが、戸籍さえ集まれば、手続き自体は非常に簡単なものですので、放棄をしたいときは、速やかに行いましょう。
相続の放棄には期限があるので注意が必要です。相続人になったことを知ってから3か月以内です。
兄弟が第1順位で親の相続を放棄するときは、親の死亡を知ってから3か月以内となります。
一方で、兄弟が第3順位で他の兄弟の相続人となるケースで相続の放棄をする場合には、前の順位の相続人(第1順位の子や第2順位の親)が相続の放棄をして自分に相続の順番が回ってきたことを知ってから3か月以内となります。もちろん、最初から第1順位や第2順位の相続人がいないことを知っていた場合には、故人が死んだことを知ってから3か月以内となります。
遺言書がある場合の兄弟の遺産相続はどうなるでしょうか。
遺言書がある場合、兄弟が相続できるものは、原則として遺言書の記載どおりとなります。遺言書に名前のない相続人には、原則、相続権はありません。法定相続人の法定相続分は、遺言書によって修正されてしまうのです。
逆に言えば、本来は法定相続人ではないケース、たとえば、故人に実の子がいるため実子が第1順位として法定相続人となるようなケースでも、兄弟姉妹が遺言書の遺贈の対象者となっていれば、第3順位の兄弟姉妹でも遺産を受け取ることが可能です。
したがって、自分の兄弟に相続させたい場合には遺言書を書くべきです。
このように遺言書には相続人を変更させるという強い力があるのですが、例外として、遺留分という権利によって、遺言書の内容が修正できる場合があります。
本ページで兄弟が遺産分割するケースは2つあると最初に解説しました。
❶親が死亡➡子である兄弟で遺産分割する場合
❷兄弟が死亡➡残りの兄弟で遺産分割する場合
上記のうち、遺留分という権利によって遺言書の内容が修正できるのは、①親が死亡⇒子である兄弟で遺産分割をする場合だけです。②兄弟が死亡⇒残りの兄弟で遺産分割する場合には、遺留分は認められておらず遺言書を修正することはできません。
親の相続について、たとえば、親が、「長男にすべての遺産を相続させる」という遺言書を作成していたとしても、次男や三男、長女ら法定相続人は、長男に対して金銭の支払いを求めることができます。このように、親が死亡して子である兄弟姉妹同士で話し合う場合には、遺留分という権利が残っておりますので、遺言書に納得ができない場合でも、あきらめずに、権利を主張することが重要です。
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この記事では、兄弟で遺産分割する場合の相続について、詳しく解説してきました。簡単にこの記事の内容を振り返ってみましょう。
1章から4章では、2パターンある「兄弟での遺産分割」についてそれぞれ解説し、相続の基本を理解してもらいました。
❶親が死亡➡その遺産を子である兄弟で分割 |
❷兄弟が死亡➡その遺産を残りの兄弟で分割 |
※亡くなった兄弟に、親も子どももいない場合のみ、残りの兄弟に相続権がある |
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法定相続分は、 ❶もう一人の親が存命の場合は【2分の1】 ❷親が既に両方いない場合は【全部】
➡これを兄弟で分割する |
法定相続分は、 ❶死亡した兄弟に配偶者がいる場合は【4分の1】 ❷配偶者がいない場合は【全額】 ➡これを兄弟で分割する |
親の遺産を兄弟で相続する場合のポイント ・代襲相続が起こる可能性がある ・全ての兄弟は平等に遺産を分割する ・寄与分が認められるケースがある ・特別受益は考慮する必要がある |
兄弟の遺産を相続する場合のポイント ・代襲相続が起こる可能性がある ・半血兄弟の場合は「全血兄弟の相続分の半分」になる ・相続税がかかる場合は2割加算となる ・寄与分が認められるケースがある ・特別受益は考慮する必要がある ・子が相続の放棄をしている場合は借金の調査も重要 |
5章では、兄弟の遺産分割は想像以上に揉めやすいことを解説しました。特に、財産が開示されない場合、兄弟が疎遠になっている場合や、兄弟の配偶者が介入してくるケース、遺産が不動産・株式のみの場合などに揉めやすくトラブルが長期化しやすいと言えます。
6章では、兄弟での遺産分割の進め方を解説しました。
❶話し合い➡調停➡審判という流れを知る ➋不動産がある場合の分割方法を知っておく ❸寄与分や特別受益がある場合は配慮しよう ➍遺産分割方法の案を作っておくとスムーズに分割しやすい ❺死亡前後の入出金は領収書をきちんととっておく ❻遺産を受け取りたくない人は相続の放棄や相続分の譲渡をする ❼トラブルになりそうな場合は早めに弁護士に相談しよう |
7章では、相続の放棄の手続き・期限を解説しました。
8章では、遺言書がある場合でも権利を主張することができる場合があることを解説しました。
争いを長期化・複雑化させないためにも、揉めそうだなと思ったら早めに弁護士に相談するのが大切です。相続トラブルに強い当事務所では、気軽な無料相談を受け付けています。少しでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。