弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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同志社大学法科大学院客員教授
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「前妻の子には相続権はあるの?」
「前妻の子に遺産の相続はさせたくないのだけど」
夫に離婚歴があり、前妻との間に子供がいる場合、前妻の子にも後妻の子と同じ割合で遺産を受け取る権利があります。
複数の相続人が遺産を相続する場合は遺産分割協議を行うことになりますが、もちろん前妻の子を無視して遺産分割協議を行うことはできません。
前妻の子に遺産の相続をさせたくない場合、遺言書や生前贈与などで相続させる財産を少なくすることはできますが、前妻の子から相続の権利を全て奪うことは難しいと言っていいでしょう。
特に前妻の子との遺産相続では、遺産分割の割合で折り合いがつかず、トラブルになることもよくあるため、遺産分割協議は慎重に進める必要があります。
そこで今回は
・前妻の子の相続権の詳細
・前妻の子との遺産相続の進め方
・前妻の子との間で相続手続きを進める際の2つの注意点
・前妻の子との間で相続手続き|よくある4つのトラブル事例と対処法
について詳しく解説していきます。
この記事を読めばあなたも、前妻の子との遺産相続を円滑に進めることができます。
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冒頭でもお伝えした通り、前妻の子にも遺産を相続する権利はあり、前妻の子の存在を無視して遺産分割の協議を進めることはできません。
では前妻の子の相続権の範囲や割合はどれくらいなのでしょうか。まずは前妻の子の相続権について、以下の5つのポイントから解説します。
一つずつ解説します。
まず押さえておかなければいないのは、前妻の子であっても夫の子供であれば、現在の妻との間の子供と同等の相続権を有するということです。
夫が今の妻と結婚する前に結婚歴があり、その前妻との間に子供がいれば、その子供の親権を前妻が持ち、前妻の名字で育ったとしても、子供と父親の親子関係が喪失することはあり得えません。
もちろん、法律における親子の関係に序列は存在せず、前妻の子であっても、現在の妻の子であっても、夫の子であるかぎり相続権は同等に存在します。
この点を踏まえて、相続人の範囲や割合についても確認していきましょう。
法的に遺産を相続する権利をもつ人のことを法定相続人と言いますが、法定相続人になることができるのは以下の2つの条件のいずれかに該当する方のみです。
・配偶者
・血族相続人(子供・両親・兄弟・または子供や兄弟の代襲相続人)
配偶者については、被相続人(亡くなった方)が亡くなった時点での配偶者である必要があるため、前夫や前妻は法定相続人には含まれません。
また血族相続人には順位があり、上位に該当する人がいる場合、下位にあたる人には相続の権利がなくなります。
順位は以下の通りです。
1位 子供
2位 両親
3位 兄弟
つまり故人に子供がいる場合は、両親や兄弟には相続の権利は発生しません。子供がいない場合には両親が、両親もいない場合は兄弟が血族相続人になります。
例えばこの図の場合、被相続人には子供がいるため、両親や兄弟は相続人になることはありません。
財産を相続するのは故人の死亡時点での配偶者(現在の妻)と、子供(前妻の子を含む)のみということになります。
法定相続人の代襲相続 血族相続人の決定で留意すべき点として「代襲相続」があります。 代襲相続とは、相続するはずの故人の子供が既に他界している場合、その子供、つまり被相続人から見て孫にあたる人が相続人になることを言います。 血族相続人を決める場合、故人に子供がいなければ、血族相続人の第2位の順位にあたる故人の両親が遺産を相続する権利を持つことになります。 ただし故人の子供が他界していても孫がいれば、代襲相続により2位の両親ではなく孫が相続人になります。 もちろんこれは、前妻の子供が他界している場合でも同じで、他界している前妻の子に孫がいれば、孫が相続権を持つことになります。 |
配偶者と子供で相続を行う場合の相続の割合は配偶者が2分の1、子供が2分の1と定められています。
この割合は子供が何人いても変わりません。
例えば妻(配偶者)と子供一人の場合は妻と子供が半分ずつ遺産を分け合うことになりますが、子供が三人いる場合は、子供の取り分の2分の1を3人で等分(一人6分の1)で分け合うことになります。
前妻との間に子供がいれば、子供の相続分はその子供の人数を含めた数で等分する必要があることになります。
当然、相続する子供の数が多ければ多いほど、相続できる財産も相対的に少なくなっていくというわけです。
もちろん遺言書などによって、誰に遺産を相続させるかを指定することはできますが、相続人は遺言書に相続が明記されていなかったとしても、遺産の一定の割合(遺留分)を相続する権利を持っています。
「遺留分」とは、相続人に認められる最低限の遺産の取り分のことで、この権利は遺言書であっても侵害することはできません。
このため、前妻の子に財産を渡さないことを遺言書に明記したとしても、実際には全ての相続権が消失するわけではなく、前妻の子は「遺留分」の相続を主張することができます。
遺留分の割合は、法定相続によって定められた割合の2分の1と定められており、この金額に達するまでは遺言書の記述にかかわらず、遺産を相続する権利があるということになります。
例えば相続財産が総額で3000万円、前妻の子を含む被相続人の子が3名いる場合を例に考えてみましょう。
相続財産のうち半分の1500万円は配偶者の相続となるため、子供3人のそれぞれの相続分は
(3000万円 – 1500万円)÷ 3 (子供の数)= 500万円
となり、遺言書がない場合の相続額は、子供一人あたり500万円です。
遺言書があり、前妻の子の相続分が記載されていない場合、前妻の子が主張できる「遺留分」はこの金額500万円の2分の1、つまりこの場合250万円が遺留分として認められる金額ということになります。
では前妻の子との遺産相続の手続きを具体的に確認していきましょう。
遺産相続の進め方は、遺言書がある場合とない場合で異なってくるため2つのケースに分けて解説します。
では一つずつ解説します。
遺言書がない場合は、前妻の子を含めた法定相続人による遺産分割協議を実施する必要があります。
遺産分割協議とは相続が生じた場合、相続人全員が遺産の分割について話し合い、合意するための協議です。遺言書がない場合、この遺産分割協議を実施し、協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議は以下の手順で行います。
順を追って確認します。
遺産分割協議開催のためには、まず相続する遺産が生じたことを法定相続人に伝える必要があります。
もちろん前妻の子の場合も、法定相続人であれば必ず連絡をしなければいけません。
遺産分割協議書には、前妻の子を含めた相続人全員のサインが必要になるため、連絡をしないで相続を済ませることは不可能です。
前妻の子の連絡先がわからない場合は、住民票や戸籍を辿ることで現在の住所を確認しましょう。
遺産の発生の報告と合わせて、遺産分割協議の日程も相談しましょう。
遺産分割協議は全員参加で行う必要があるため、法定相続人全員が集まることができる日程や場所を定めましょう。直接会って協議することが難しい場合は、電話や手紙などを利用して遺産分割の内容について理解を求め、合意が取れたら遺産分割協議書を送付して署名押印をもらうという方法もあります。
遺産分割協議は開催の期限などはありませんが、相続財産が発生してから10ヶ月以内に協議が成立しない場合、相続税の軽減措置が受けられないなどのデメリットがあるため注意が必要です。
遺産分割協議では、遺産の分割の内訳について全員から同意を取る必要があります。
同意が得られれば、遺産分割の内訳と全員のサインを記した遺産分割協議書を作成します。
遺産分割の割合で折り合いがつかず同意が取れない場合、家庭裁判所での遺産分割調停を行うことになります。
遺産分割調停では調停委員が法定相続人の間に入って話し合いを進めます。
遺産分割調停でも話がまとまらず不成立となった場合、今度は家庭裁判所による「審判」が行われ、裁判所が遺産の分割の方法を決定することになります。
遺言書がある場合、基本的に遺産分割協議を行う必要はありません。ただし前妻の子に相続財産の発生を伝えなくていいというわけではありません。
遺言書のある場合の手続きは、遺言書の種類によって対応が異なってきます。
遺言書がある場合 2つのケース |
遺言書が自筆証書遺言書(被相続人による自筆の遺言書)である場合 遺言書が公正証書である場合 |
それぞれの場合で確認しましょう。
家庭裁判所による「検認」の手続きが必要になる 「検認」が行われた時点で、相続が生じたことが前妻の子に通知される |
遺言書が自筆証書遺言書である場合、遺言書を開封するための「検認」という手続きを家庭裁判所で行う必要があります。
遺言書の検認では、家庭裁判所への検認の申し立てを行ったのち、1ヶ月程度で家庭裁判所から検認をする期日の通知が各相続人に行きます。この時点で、法定相続人全員に対して相続開始の事実と、遺言書の存在が知らされることになります。この時点で前妻の子にも、相続が生じたことが通知されます。
検認の参加は任意ですが、欠席した場合でも、後に家庭裁判所に遺言書検認調書の謄写申請をすることで遺言書の内容を確認することは可能です。
家庭裁判所による「検認」や遺産分割協議を開催する必要はない 後のリスクを考えると前妻の子に相続が生じたことを知らせるべき |
遺言書が公正証書である場合、家庭裁判所による「検認」も、遺産分割協議の開催も必要ありません。
このため、遺言書に前妻の子に割り当てられた相続財産がない場合は、前妻の子に相続の発生を知らせることなく遺産の相続を進めることも可能です。
しかし後々怒るトラブルを考えると、連絡をする法的義務がないからといって、連絡しないまま手続きを進めることはおすすめできません。
なぜなら法定相続人となる前妻の子には必ず「遺留分」を相続する権利があるからです。
遺留分の請求の期限は相続の開始及び遺留分が侵害されていることを知ってから1年とされているため、相続の事実や遺言書の内容が知らされなければ期限が来ることはありません。
また遺留分侵害額請求の除斥期間は10年とされているため、前妻の子に相続の発生を知らせなかった場合、相続後、10年間は遺留分を請求されるリスクが継続することになります。
10年以内に前妻の子が相続や遺留分侵害の事実を知れば、その時点で遺留分を請求され、後々、大きなトラブルになる可能性も否定できません。
こういった状況を避けるためにも、相続が発生した場合は、前妻の子へ適切に連絡を行うことをおすすめします。
前妻の子との相続の協議では、遺産分割などでトラブルに陥ることも多いため、慎重に話を進めることが何より重要です。
この点で注意すべき点としてあげられるのが以下の2つのポイントです。
一つずつ解説していきます。
前妻の子との相続を進める上で最も注意すべき点は、前妻の子が法定相続人であるという事実を受け止め、誠実に協議を進めることです。
特に前妻の子への相続の場合、後妻の子との間に全く交流がないことも珍しくないため「どうして知らない人に遺産を分けなければいけないのか」と考えてしまいがちです。
このように考えてしまうと、頭では前妻の子にも相続の権利があると理解していても、理不尽な態度を取ってしまったり、相手の立場をないがしろにするような言動をしてしまうことも起りがちになります。
しかしこういった態度は協議を進める上では障害にしかなりません。
前妻の子はあくまでも法定相続人の一人であり、協議を円滑にすすめるためにも相続の権利を侵害するような行為や態度は絶対に慎むべきです。
もちろん前妻の子に相続財産を隠蔽したり、虚偽の内容を報告するといったことも避けるべきです。
隠蔽や虚偽報告があったことが知られれば、相手に対して不信感を抱かせる原因にもなります。
相続放棄に応じてくれる可能性のある方であっても、感情的なもつれが生じてしまえば、話し合いに応じてはくれなくなってしまうかもしれません。
前妻の子との相続では、前妻の子が自分と同じ立場の法定相続人であるという事実を重く受け止め、全ての情報を共有し、お互いに協議を進めるという姿勢を保つことが大切です。
遺言書がある場合も「遺留分」が認められるでもお伝えしている通り、「遺留分」が存在する限り、前妻の子に財産を全く相続させないことは法的に難しいのが現実です。
しかし様々な事情から、できれば前妻の子に相続をさせたくないという状況になることもありえます。このような場合に前妻の子に相続財産をできるだけ残さない(相続財産を減らす)ための対処法として、以下の6つの方法が考えられます。
一つずつ解説していきます。
前妻の子に財産を出来るだけ残さないための方法として、まず有効なのが遺言書の作成です。
遺言書に前妻の子に財産を残さないことを明記すれば、前妻の子が「遺留分」を主張したとしても、結果的に相続する財産を大きく減らす効果があります。
遺言書がある場合も「遺留分」が認められるでもお伝えした通り、前妻の子が「遺留分」として相続を主張できる遺産の規模は、法定相続によって定められた遺産の2分の1までと定められています。
つまり遺言書を残すことによって前妻の子への相続を半分に減らす効果があるということになります。
生きているうちに後妻の子へ生前贈与を行う方法も、前妻の子への相続を減らす方法として有効です。
生前贈与によって贈与された財産は、死後の相続では故人の財産ではないため、前妻の子がこれを相続することはできません。
ただし生前贈与によって受け取った財産は、遺産分割協議の際に、特別受益(すでに受け取っている遺産)として考慮される場合があります。また、後に前妻の子から生前贈与を踏まえた「遺留分」の請求を受ける可能性もあります。
前妻の子への遺産を減らす方法としては死因贈与も遺言書と同様の効果があります。
死因贈与とは、死亡時に財産を贈与することを、財産を受け取る受贈者との間で交わす契約のことです。
死因贈与は財産を受け取る人との合意がなければ成立しないという特徴はありますが、相続における効果は遺言書と同等と考えていいでしょう。
このため受贈者を後妻の子に設定して死因贈与の約束を交わせば、前妻の子への相続を減らすことが可能です。
ただしこれも遺言書と同様ですが、死因贈与によっても「遺留分」の請求を退けることはできません。
このため前妻の子から遺留分が請求された場合は、請求に応じる必要があります。
特殊なケースにはなりますが、前妻の子を法定相続人から除外する相続人廃除という方法もあります。
相続人廃除は、被相続人に対しての虐待があった場合や、重大な侮辱があった場合、著しい非行があった場合などに適用され、これが認められれば、前妻の子から相続人としての権利を剥奪することも可能です。
相続人廃除の申し立ては、以下の2つの方法で行います。
・生前に被相続人となる予定の者が家庭裁判所で申し立てを行う
・遺言書に相続人廃除を記述する(遺言執行人が家庭裁判所へ申し立てを行う)
これを受けて、家庭裁判所が相続人の資格を剥奪するに値するかどうかを審議・決定することになります。
相続人廃除が認められた場合、遺留分を請求する権利も剥奪されることになりますが、実際に相続人廃除が認められるケースはたいへん少ないのが現実です。
生命保険の受取人を財産を譲りたい人に指定することで、遺産を移譲することも可能です。
生命保険に加入し、後妻の子を生命保険の受取人に設定すれば、毎月の保険料によって相続させる財産を減らすことができ、支払った分は死後に保険料として後妻の子にだけ支払われることになります。
生命保険金は原則として受取人の固有財産となるため、相続の際に遺産分割の対象にはなりません。
もちろん全ての財産を保険料として支払うことは難しく、前妻の子が財産を全く相続できない状況を作ることは困難ですが、生命保険によって後妻の子の相続財産を増やすことができるのは確かです。
前妻の子から了承を得ることができれば、相続を放棄してもらうことも可能です。
ただし相続放棄は被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に行う必要があります。
また少しややこしいですが、相続放棄自体は被相続人の死後にしか手続きができませんが、相続放棄とは別の手続きである遺留分の放棄については生前に行うことも可能です。
このため生前に前妻の子に相続を放棄してもらうためには、まず遺言書で前妻の子に相続をさせないことを明記した上で、前妻の子自身が遺留分の放棄を家庭裁判所に申請する必要があります。この手続きは、前妻の子との関係性が良好であることを前提にするため、あまり現実的な手段とはいえないでしょう。
前妻の子との相続では、以下のようなトラブルがよく起こるため注意を払う必要があります。
これらのトラブルと対処法について一つずつ解説します。
前妻の子との相続で特に問題になるのが、連絡が取れず協議の日程調整ができないというトラブルです。
故人が長い間、前妻の子と連絡を取っていなかったなどの理由で、前妻の子の住所がわからないためです。
遺産分割協議は法定相続人全員の出席と同意が必要となるため、前妻の子への連絡ができなければ遺産分割協議を成立させることができません。
対処法 住民票か戸籍の附票を入手し現住所を調べる 家庭裁判所へ「不在者財産管理人の選任」を申し立てる |
前妻の子の連絡先がわからない場合、住民票または戸籍の附票を取得して、現在の住所を調べます。
具体的には
①故人の戸籍を取得し前妻の子の現在の本籍地を確認する
②前妻の子の本籍地にある役所で前妻の子の戸籍の附票を取得する
という手順を踏みます。
住所が確認できたら、手紙を送るなどの方法で相続が発生したことを伝えましょう。
前妻の子の連絡先がどうしてもわからない場合は、家庭裁判所へ「不在者財産管理人の選任」を申し立てることになります。
不在者財産管理人とは、所在がわからない法定相続人の代わりに遺産分割協議に参加し、相続財産を管理する代理人のことを言います。
一般的に不在者財産管理人は、弁護士や司法書士などから選任され、これにかかる費用は不在者の相続財産から支払われることになります。
前妻の子との相続では、故人が亡くなるまで疎遠であったなどの理由から感情的な対立が起こりやすいケースも多く、遺産の分割に全員の同意を得られないというトラブルもよく起こります。
遺産分割協議はあくまでも法定相続人全員の出席が必要であり、協議書の内容には全員から同意を示すサインも必要です。
しかし一度感情的な対立が起こってしまうと協議を進めることは難しく、全員の同意を得ることも厳しい状況になってしまいます。
◎【対処法】遺産分割調停を申し立てる どうしても遺産分割協議を進められない状況に陥った場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。 遺産分割調停の申し立てを行うと、家庭裁判所は折り合いのつかない相続人の間に入って事情聴取を行い、相続人に対して解決案を提示します。 この遺産分割調停でも話し合いがまとまらなかった場合、調停は「遺産分割審判」に移行します。遺産分割審判では裁判官が事情を考慮して客観的に審判を行うことになりますが、この結果に納得いかない場合はさらに高裁での審理が可能です。 |
前妻の子と相続でトラブルになる原因の一つに、遺言書に前妻の子への相続分が記載されていないことが挙げられます。
もちろん法定相続人である前妻の子には、遺言書に記載がない場合でも「遺留分」を主張する権利があります。
しかし後妻の子は会ったこともない前妻の子に財産を渡したくないと考えてしまうケースも少なくなく、前妻の子が「遺留分」の請求を行うことで感情的な対立に発展してしまいます。
◎【対処法】前妻の子の遺留分も必ず記載 このようなトラブルはあらかじめ遺留分を考慮して遺言書を作成することで回避することができます。 前妻の子が遺留分を主張することが想定される場合は、遺言書に遺留分と同等額を相続させることを記しておけば、後にトラブルになることはありません。 住宅など現金化したくない資産が遺産として残る場合は、 あらかじめ遺留分相当額を前妻の子に生前贈与したうえで遺留分の放棄をしてもらう等の方法もあります。 また、これは事実上の対処法であり、法的な効果はありませんが、遺言書の付言事項に故人の思いとして、「A(前妻の子)が遺留分を請求しないこと願う」等と記載する場合もあります。 |
法定相続人となる前妻の子が未成年の場合、本人が遺産分割協議に参加することができません。このようなケースでは子供の法定代理人となる前妻本人が協議に参加することになります。
この場合、故人の死後、前妻と後妻が直接話し合う状況となるため感情的な対立が起こりやすく、遺産分割協議もなかなかまとまりません。
◎【対処法】弁護士を介して話し合う 感情的な対立を避けたい、また直接会いたくないなどの場合、代理人となる弁護士を立てる方法が最適と言えます。 弁護士費用が必要となる点はデメリットですが、遺産相続の手間を省き、遺産分割協議を円滑に進めることができることを考えれば、弁護士への依頼がおすすめです。 |
遺産相続には煩雑な手続きが多く、困難な事態に陥ることも少なからずあります。そしてこれらの困難を解決する最も効果的な方法は、弁護士へ対応を依頼することです。
弁護士に対応を依頼すれば、特に相続で問題となる以下の4つの問題に、適切に対処してくれます。
一つずつ解説します。
前妻の子と連絡が取れないでもお伝えした通り、前妻の子の住所がわからない場合は、故人の戸籍から前妻の戸籍を辿り、前妻の子の本籍地のある役所で前妻の子の戸籍の附票を取得することになります。
そしてこの時、前妻の子の本籍地が変わっている場合はさらに複雑な手続きが必要になります。
相続税の申告は故人の死後10ヶ月以内に行う必要があるため、連絡先の調査に長い時間を割くわけにもいきません。
弁護士に依頼することでこれらの調査や手続きを代行してもらうことが可能です。
遺言書がある場合でもお伝えした通り、遺言書には
・自筆証書遺言書(被相続人による自筆の遺言書)
・公正証書遺言
の2種類の遺言書があります。
遺言書の法的な効力については変わりませんが、公正証書遺言は死後に家庭裁判所による「検認」の手続きが必要なく、遺産相続の手続きを円滑に進めることが可能になります。
公正証書遺言を作成するためには、公証役場に出向き、2人以上の公証人を用意するなど、様々な法的対応が必要となりますが、弁護士に依頼すれば、これらの手続きのうち、遺言書の内容の打ち合わせや、日程調整、証人となってもらうことなどの対応をしてもらうことが可能です。
弁護士に対応を依頼する上で、最も大きなメリットの一つが相続人の間に怒るトラブルを避けることができるという点にあります。
特に、前妻の子との相続では感情的な対立も起こりやすく、相続の協議がまとまらないということもしばしばあります。
弁護士は適切なアドバイスを行うことで感情的な対立を避け、最適な解決案を提案することで、早期に相続の手続きを終わらせることが可能です。
遺言書に前妻の子の遺留分への配慮がなければ、高い確率で前妻の子から、遺留分を主張するための「遺留分侵害請求」が行われます。
しかし相続財産が住居などの場合は評価額が定まらず、またすぐに現金化して支払えないというケースも起こります。
このような場合に弁護士に依頼することで、
・遺産の適切な評価
・遺留分の支払い方法についての協議
などを適切に行い、遺留分の支払いによるトラブルを回避することが可能です。
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今回は前妻の子がいる場合の相続について詳しく解説しました。
前妻の子にも後妻の子と同じ割合で遺産を受け取る権利があり、もちろん前妻の子を無視して遺産分割協議を行うことはできません。
遺言書などによって、誰に遺産を相続させるかを指定することはできますが、一定の相続人には遺言書に相続分が明記されていなかったとしても、「遺留分」(遺産の一部を取得する権利)を持っています。
遺留分の割合は、法定相続によって定められた割合の2分の1と定められており、この金額に達するまでは遺言書の記述にかかわらず、遺産を取得する権利があるということになります。
本文では遺言書がある場合と遺言書がない場合のそれぞれの対応手順について、詳しく解説しました。
前妻の子との相続では、特に以下の2つのポイントに注意指定対応することをおすすめします。
前妻の子と相続 2つの注意点 |
誠意をもって対応する 相続財産の内容や範囲を虚偽なく伝える |
また前妻の子の相続の権利を全て奪うことは法律上できませんが、前妻の子の相続分を減らすための方法として以下の6つの方法について解説しました。
前妻の子に相続させない6つの対処法 |
遺言書に前妻の子に相続させないことを明記する 生前贈与 死因贈与 相続人廃除 生命保険の活用 相続放棄を依頼する |
前妻の子との相続では、
・連絡が取れない
・遺産分割で折り合いがつかない
・遺言書に前妻の子への相続分が書かれていない
・前妻の子が未成年
などの理由から期せずしてトラブルに発展するケースも少なくありません。
前妻の子との相続では、早めに弁護士に相談することをおすすめします。