相続不動産の評価額はいくら?計算方法や減額ポイントをわかりやすく解説

弁護士法人サリュ代表弁護士 西村 学
この記事の監修者
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「相続税の申告をするために不動産の評価額を知りたい」

「遺産分割に用いる不動産の評価額はどのように計算すればいいのだろうか」

不動産は簡単に換金できるようなものではないため、相続税申告や遺産分割のときにどのようにしてその価値を測ればいいか悩みますよね。

不動産の評価額算定にはいくつか評価方法が存在します。

その中で相続税申告・遺産分割に使用される方法は下図の通りです。

これらの評価方式に従って評価額を算定していきましょう。

相続税申告の場合だと、不動産の評価額は様々な減額制度を活用すると相続税を抑えることができます

しかし、利用できる減額制度は税務署から教えてもらえるわけではなく、自分で制度利用の申請をしないと減額は受けられません。

減額できるポイントを知らなければ評価額のまま相続税申告を進めてしまい、相続税を多く払って損してしまうことになります。

相続税を払い過ぎてしまわないようにするためには、どのような節税方法があるのか正しく理解する必要があります。

そこで本記事では相続不動産の評価額について、相続税・遺産分割のシーン別に次のように内容をまとめました。

本記事の内容
《相続税の不動産評価額》
相続した不動産の評価額計算方法
必見!評価額を減額できるケース

《遺産分割のための不動産評価額》
遺産分割で不動産の評価方法に決まりはない
4つの不動産の評価方法
不動産の評価方法の決め方
自分に有利な評価額にするためのポイント3つ

上記の《相続税の不動産評価額》か《遺産分割のための不動産評価額》いずれかをクリックすればリンクで移動できるので、知りたい項目を選んで読み進めていくようにしてください。

本記事を読めば相続する不動産の評価方法とその計算式を知って評価額を算定できるようになります。

さらに相続税申告の場合は評価額を減額できるポイントを、遺産分割の場合は自分に有利な評価額に近づけるポイントを理解して実践できるようになります

是非最後まで読んでみてください。

目次

《相続税評価額》相続した不動産の評価額計算方法

不動産の相続税評価額は不動産の種類や所在する地区によって算定方法が異なります。

特殊なケースでない限り自分で計算することができるので、本記事を参考に評価額を算出していきましょう。

土地か家屋どちらの不動産かを選び、下記リンクから移動して進めていくようにしてください。

【不動産の評価方法】

土地の評価額を調べる路線価方式
倍率方式
家屋の評価額を調べる固定資産税評価額

土地の評価額を調べる|路線価方式・倍率方式

土地の場合は路線価方式と倍率方式という二つの計算方法があります。

まずは路線価方式で調べてみて、路線価が載っていない土地の場合は倍率方式で計算するようにしましょう。

路線価方式

路線価方式とは国税庁が定めた路線価図という地図を使って評価額を算定していく方法です。次の流れで進めていきます。

【路線価方式の算定方法】

①準備物を用意する
②路線価図を見る
③計算する

準備物を用意する

まずは次の2点を用意しましょう。

【準備物】

固定資産税通知書・毎年4月~5月に送付されてくる納税通知書
・手元にない場合…再発行不可。別の書類(固定資産税評価証明書または名寄帳)を取得する。
取得方法→家屋の評価額を調べる|固定資産税評価額
登記簿謄本・土地の名義が共有である場合に必要
・法務局にて申請・取得
取得方法→登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です :法務局

路線価図を見る

次に路線価図で土地の路線価を調べていきます。

《1》国税庁の路線価図のページを開く→路線価|国税庁

出典:財産評価基準書路線価図・評価倍率表|国税庁

《2》都道府県を選ぶ

《3》次ページで「路線価図」をクリック

《4》次ページ以降で地域を選択していく

出典:財産評価基準書路線価図・評価倍率表|国税庁

《5》地図が表示されたら、土地が面している道路に書いてある数字を確認する

出典:財産評価基準書路線価図・評価倍率表|国税庁

この場合、赤い線の土地が面している数字は130Eだということが分かります。

これは1㎡あたりの単価を表しており、単位は千円です。つまり130Eの道路に面する土地は路線価が130,000円/㎡であることを意味します。

後ろのアルファベットは借地権割合であるため、土地を借りて家や事務所を立てていた人以外は関係ありません。借地権のケースについては後述します。

計算する

1㎡あたりの路線価が分かったところで、土地全体の評価額を算定していきましょう。計算式は次の通りです。

路線価方式の計算式
路線価 × 土地の面積 × 持分

◇「土地の面積」は固定資産税通知書の現況地積の欄に記載

◇「持分」は登記簿謄本の権利者その他の事項欄に記載(土地が被相続人単独名義ならば書かれていません)

例えば先ほどの土地で見てみると、面積が100㎡、持分が1(被相続人の単独名義)であった場合、路線価は130,000円/㎡なので評価額は次のように算定できます。

評価額 = 130,000円/㎡ × 100㎡ × 1 = 13,000,000円

もちろん、全ての土地がこのように単純に計算できるわけではありません。土地の条件によっては複雑な計算が必要になるケースもあります。

算定方法の詳細については同じく路線価図のサイトで解説があるので、そちらでご確認ください。

路線価図の説明|国税庁

奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正) |国税庁

【借地の場合】
人から土地を借りて家や事務所を立てていた場合、借地権に対しても相続税が発生します。
その場合の計算方法は下記のとおり。
借地権の相続税評価額 = 土地評価額 × 借地権割合

借地権割合は、路線価図で路線価の横に書いてあるアルファベットで示されています。
A 90%:B 80%:C 70%:D 60%:E 50%:F 40%:G 30%
例えば先ほどの図で赤枠の土地が借地だった場合、その評価額算定方式がこちらです。
評価額=13,000,000円 × E 50% = 6,500,000円

倍率方式

路線価方式で地図が出てこなかった場合や地図に路線価が記載されていなかった場合は倍率方式で計算していきます。

倍率方式も路線価方式と同じく国税庁のサイトを利用して進めていきます。

【倍率方式の算定方法】

①準備物を用意する(※路線価方式と同じであるため説明は省略)
②評価倍率表を見る
③計算する

評価倍率表を見る

路線価方式と同様、国税庁のサイトを開いて地域を選択していってください。→路線価|国税庁

町名を選ぶ段階で画面上部に「この市区町村の評価倍率表を見る」という案内が表示されるので、ここをクリックします。

そうすると倍率表が表示されるので、土地の区分を選んで書いてある数字を確認してください。これが評価倍率です。

例えば相淵町の宅地用の土地であれば1.1という数字が評価倍率となります。

計算する

評価倍率が分かったところで、土地全体の評価額を算定していきましょう。計算式は次の通りです。

倍率方式の計算式
固定資産税評価額 × 評価倍率 × 持分

◇固定資産税評価額は固定資産税通知書の価格欄に記載

◇持分は登記簿謄本の権利者その他の事項欄に記載(土地が被相続人単独名義ならば書かれていません)

例えば先ほどの相淵町の宅地用の土地にあてはめてみると、固定資産税評価額が1000万円、持分が1(被相続人の単独名義)であった場合、評価倍率は1.1なので評価額は次のように算定できます。

評価額 = 10,000,000円 × 1.1 × 1 = 11,000,000円

家屋の評価額を調べる|固定資産税評価額

家屋の場合は非常にシンプルで、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

家屋の相続税評価額
家屋の相続税評価額 = 固定資産税評価額

固定資産税評価額は固定資産税通知書で確認することができますが、固定資産税通知書が手元にない場合再発行してもらうことはできません

その場合、次の書類で評価額を確認することができます。

固定資産税評価証明書を取得

名寄帳(固定資産課税台帳)を取得

ちなみにどちらも相続税申告の提出書類となっているので、この機に両方取得しておくといいでしょう。

相続人が取得する場合の方法は下記の通りですが、詳細は役所のホームページをご確認ください。

【固定資産税評価証明書の取得方法】

固定資産税評価証明書とは固定資産税の課税対象となる資産の評価額を証明する書類
申請先不動産がある住所の管轄の役所
必要書類・申請用紙(役所のホームページまたは窓口から入手)
・被相続人の死亡の事実が分かる戸籍または除籍謄本
・申請者が相続人であることが確認できる戸籍謄本
・申請者の本人確認書類
・切手貼付済の返信用封筒(郵送の場合)
・手数料分の定額小為替(郵送の場合)
費用の目安300円~

【名寄帳の取得方法】

名寄帳とは個人が所有している不動産を一覧にした書類
申請先不動産がある住所の管轄の役所
必要書類・申請用紙(役所のホームページまたは窓口から入手)
・被相続人の死亡の事実が分かる戸籍または除籍謄本
・申請者が相続人であることが確認できる戸籍謄本
・申請者の本人確認書類
・切手貼付済の返信用封筒(郵送の場合)
・手数料分の定額小為替(郵送の場合)
費用の目安200円~300円
【マンションの場合】
相続した不動産がマンションの一室である場合、価格欄には一棟ごとの固定資産税評価額が記載されていることがあります。
その場合は課税標準額欄に記載してある金額が一室ごとの固定資産税評価額になります。

《相続税評価額》必見!評価額を減額できるケース

前章で不動産の相続税評価額の算定方法を紹介してきましたが、評価額はいくつか減額できるポイントがあります。

【相続税評価額を減額できるケース】

◎小規模宅地等の特例の活用
◎貸宅地
◎貸家建付地
◎賃貸物件
◎その他

しかし、この減額要素というのは自己申告制で、税務署は「この不動産なら〇〇なので評価額を減額できますよ」ということは教えてくれません

税務署は払い過ぎた税金については何も言及してこないので、「どのような減額ポイントが適用できるか」というのは自分で調べて計算する必要があります。

そこで本章では評価額を抑えるポイントを紹介していくので、相続した不動産にあてはまる項目がないかチェックしてみてくださいね。

小規模宅地等の特例の活用

まずは評価額を大幅に下げられる制度「小規模宅地等の特例」について紹介していきます。

小規模宅地等の特例に該当すれば下表の減額を受けることができます。

【小規模宅地等の特例】

利用区分減額率面積上限
居住用80%330㎡
貸付用50%200㎡
事業用80%400㎡

50~80%の減額を受けられるのは非常に大きいですよね。例えば評価額1,000万円の土地の場合、減額率が80%なら評価額を200万円まで下げることができます。

ではどのような要件を満たせば特例を適用できるのか、利用区分別に見ていきましょう。

【注意!特例利用は必ず相続税申告が必要】
特例を利用した結果、相続税が0円となるケースがあります。
この場合でも相続税の申告は必須です。
もし行わなかった場合は追徴課税が発生するので、必ず税務署に申告するようにしましょう。
制度詳細:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

居住用|減額率80%・面積上限330㎡

被相続人が自宅として使用していた土地の場合、次の要件を満たせば評価額は80%減額されます。

【居住用:小規模宅地等の特例利用の要件】

土地の要件被相続人が自宅として居住していた土地であること
相続人の要件次の①~③いずれかに該当する親族であること
①配偶者
②被相続人と同居していた親族(死亡後も10ヶ月間居住)
③被相続人と別居していた親族で、①と②の該当者無しで、3年以上借家に住んでいること

土地の面積は330㎡までと上限が決まっていますが、330㎡以上の土地は対象外というわけではなく、330㎡までが適用され、300㎡を超える部分が通常の評価額になります。

貸付用|減額率50%・面積上限200㎡

被相続人が土地を第三者に貸していた場合、次の要件を満たせば評価額は50%減額されます。

【貸付用:小規模宅地等の特例利用の要件】

土地の要件・賃貸アパート、マンション、駐車場、駐輪場が対象
・相続開始前から不動産貸付業を営んでいる
相続人の要件・死亡後10ヶ月まで不動産貸付業を継続していること

事業用|減額率80%・面積上限400㎡

被相続人がその土地にお店などを建てて事業を営んでいた場合、次の要件を満たせば評価額は80%減額されます。

【事業用:小規模宅地等の特例利用の要件】

土地の要件・事業で使われていた土地であること
・相続開始3年前から事業を営んでいる
相続人の要件・死亡後10ヶ月まで事業を継続していること

貸宅地

土地を第三者に貸して、その第三者が家や事務所を建てていた場合は通常の評価額より低くなります。

土地を貸していると自由に売ったりすることができないため、その分評価額が下がる仕組みです。

計算方法は下記の通りです。

貸宅地の相続税評価額
土地評価額 × (1-借地権割合)

借地権割合は、路線価図で路線価の横に書いてあるアルファベットで示されています。

A 90%:B 80%:C 70%:D 60%:E 50%:F 40%:G 30%

例えば上図の赤枠土地(評価額:13,000,000円)が貸宅地だった場合、借地権割合はE 50%なので、評価額は次のように求められます。

評価額 = 13,000,000円 × (1 - 50%) = 6,500,000円

貸家建付地

貸家建付地とは、アパートなどの貸家の敷地となっている土地のことです。

貸宅地との違いは、貸宅地は土地を貸して第三者が家を建てているのに対し、貸家建付地は土地も建物も自分が所有するもので、建物だけを貸していることを指します。

これも貸宅地と同じように、第三者に貸しているので売却や取り壊しが自由に行えない点が評価額が下がる理由となっています。

貸家建付地の計算方法は次の通りです。

貸家建付地の相続税評価額
土地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

借地権割合については前節をご参照ください。

借家権割合は国税庁のサイトからご確認いただけますが(路線価|国税庁→都道府県を選択→借家権割合を選択)、令和3年度分は一律30%となっています。

賃貸割合とは、全床面積の内貸し出されている部屋の床面積の割合を指します。例えば500㎡の内400㎡分が貸し出されていれば賃貸割合は80%となります。

例)次の物件の計算式
土地評価額:1千万円
借地権割合:60%
借家権割合:30%
賃貸割合:80%
 貸家建付地の相続税評価額 = 10,000,000円 × (1- 0.6 × 0.3 × 0.8) = 8,560,000円

賃貸物件

相続した建物が貸家・賃貸アパートである場合も、先の2例と同じように住んでいる人がいるため売却や取り壊しが自由にできないという理由で評価額は下がります。

賃貸物件の計算方法は次の通りです。

賃貸物件の建物の相続税評価額
建物の評価額 × (1 - 借地権割合 × 賃貸割合)

借地権割合については前々節を、賃貸割合については前節をご参照ください。

例)次の物件の計算式
建物評価額:3千万円
借地権割合:70%
賃貸割合:90% 
貸家建付地の相続税評価額 = 30,000,000円 × ( 1- 0.7 × 0.9 ) = 11,100,000円

その他

上記4つ以外にも、下記のような不動産は評価額が減額される場合があります。

500㎡以上の広大な土地

不整形地

土地の一部に私道がある場合

駐車場に使用している場合

利用価値が著しく低下している宅地(墓地の側、騒音・日照被害など)

相続した不動産にどのような減額要素があるかは素人では判断が難しい部分があるので、一般的な家屋や宅地ではない場合は一度税理士に相談してみましょう。

《遺産分割評価額》遺産分割で不動産の評価方法に決まりはない

ここからは遺産分割で用いる不動産の評価額について解説していきます。

遺産分割をするために不動産の評価額を知りたい場合、どの評価方法を使うべきかという法律やルールはありません

評価方法は主に下記4つがあり、この中のいずれかを相続人たちで選ぶのが一般的です。

4つの不動産評価方法

実勢価格(取引価格)地価公示価格
路線価固定資産税評価額

この4つの評価方法の内、遺産分割調停や審判になると実勢価格を用いるよう提案または審判が言い渡されるので、実勢価格を使うのが主流です。

しかし、相続人全員が合意しているのであれば他の評価方法を使用しても全く問題ありません。逆に言えば、一人でも評価方法に異議を唱えるならば、遺産分割協議は成立しないことになります。

そこが遺産分割における不動産評価の難しい点です。

例えば次の状況だったとします。

【遺産分割の不動産評価で揉める典型例】
被相続人:父
相続人:兄と弟
遺産:不動産のみ
遺産分割方法:兄が不動産を相続。その代わり弟の法定相続分を現金で弟に渡すことに決定(代償分割方法)
兄は相続税計算で使用した路線価方式で不動産の評価額を5,000万円と算定しました。そこで半分の2,500万円を弟に代償金として渡したいと考えていました。ところが、弟は不動産業者に査定を依頼して6,000万円と見積もってもらった(実勢価格)ので、半分の3,000万円を渡すよう兄に要求してきました。 どちらの評価方法を用いるかで兄と弟で揉めてしまい、遺産分割協議が決裂してしまいました。

このように、不動産を受け継ぐ相続人は評価額が低い方が支払う代償金は少なく済み、不動産を受け継がない相続人は評価額が高い方が貰う代償金は多くなるので、利益が相反します。

それゆえに遺産分割ではどの評価方法を用いるか、相続人同士で揉めやすくなってしまうのです。

評価方法によって評価額は大きく変動し、不動産によっては数百万円、中には一千万円以上変わってくることもあるので、どの評価方法を用いるかは非常に重要な問題なのです。

ではどのように評価方法を決めていけばいいのか、次章以降で解説していきましょう。

《遺産分割評価額》4つの不動産の評価方法

まず4つの評価方法にはそれぞれどのような特徴があり、どのように評価額に差が出るのかを見ていきましょう。

実勢価格(取引価格)

地価公示価格

路線価

固定資産税評価額

※路線価と固定資産税評価額については「《相続税評価額》相続した不動産の評価額計算方法」をご確認ください。

 路線価→路線価方式

 固定資産税評価額→家屋の場合|固定資産税評価額

一般的に、評価額は高い順から実勢価格>公示価格>路線価>固定資産税評価額となります。

ただし、不動産の条件によっては評価額の順位に変動が生じます。例えば田舎で活用性の低い不動産なら、実勢価格よりも地価公示価格の方が高くなることもあるでしょう。

実勢価格(取引価格)

実勢価格とは実際に市場で取引される価格で、4つの方法のうち最も高い価格になる傾向があります。

【実勢価格とは】

実勢価格とは◎実際に市場で売買取引が成立する価格。いわゆる時価
◎4つの方法のうち最も高い価格になる傾向がある
遺産分割調停や審判で採用される方法(不動産鑑定評価書)
算定方法①国土交通省「土地総合情報システム不動産取引価格情報検索」を利用する
②地価公示価格・路線価・固定資産税評価額から算出する
③不動産仲介業者に査定してもらう
④不動産鑑定士に鑑定してもらう

実勢価格はすなわち時価であるため、売ってみないと実際の価格は分からないところがあります。実勢価格の算定方法はいくつかあり、その方法や依頼する人によって評価額が大きく変わってくることもあります。

それぞれの算定方法を見ていきましょう。

①国土交通省「土地総合情報システム不動産取引価格情報検索」を利用する

土地総合情報システム不動産取引価格情報検索とは、実際に過去に取引された不動産の売買価格を集計したデータベースです。

相続の不動産と同じ条件で検索することで、似たような物件の価格を知ることができます。あくまで他の不動産の売買実績であるため正確性には欠けますが、素早く相場を知りたいときに便利です。

《1》専用サイトを開く→土地総合情報システム

出典:国土交通省「土地総合情報システム」

《2》画像赤枠のボタンをクリック

《3》地域を選択していく

《4》条件が近い物件の価格を参考にする

②地価公示価格・路線価・固定資産税評価額から算出する

章冒頭の図の通り、実勢価格と他の評価方法は次のように表すことができます。

実勢価格=地価公示価格の約1.1倍

路線価=地価公示価格の約0.8倍

固定資産税評価額=地価公示価格の約0.7倍

これらの割合を用いると、実勢価格の目安は次のような計算式でも導き出すことができます。

実勢価格の計算式
実勢価格 = 地価公示価格 × 1.1
実勢価格 = 路線価 ÷ 0.8 × 1.1
実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1

地価公示価格の求め方→地価公示価格

路線価の求め方→路線価方式

固定資産税評価額の求め方→家屋の場合|固定資産税評価額

この方法も①同様、あくまでも目安価格に過ぎないので注意してください。既に地価公示価格・路線価・固定資産税評価額のいずれかが分かっている場合に参考にする程度に留めましょう。

③不動産仲介業者に査定してもらう

①②の方法と違い、実際に相続する不動産そのものの価格を調べてもらうことができます。査定は無料でしてもらえるところが大半なので、より詳しく知りたいときに活用しましょう。

ただし業者によって大きく価格差が出るので、複数の業者に依頼するようにしてください。

《おすすめ:不動産仲介業者に査定してもらう方法》

1.一括査定サイトなどを利用して複数に依頼する

2.返信のあった業者の中からいくつか選び、実際に現地にきて調査してもらう

④不動産鑑定士に鑑定してもらう

不動産鑑定士とは国家資格を持つ不動産の専門家で、現地調査や様々な資料、法的基準をもとにより正確な鑑定評価額を出します。

そのため裁判でも公的な資料として用いられることがあり、遺産分割が揉めた場合も最終的には不動産鑑定評価額で調停成立または審判に至るのがセオリーです。

ただ不動産鑑定士の依頼料は高額です。事務所や対象の不動産によっても異なりますが、約20万円~60万円ぐらいかかると想定しておきましょう。

地価公示価格

地価公示価格とは土地の取引の際に参考にする価格で、国土交通省が毎年発表しています。公示価格、公示地価とも呼ばれます。

【地価公示価格とは】

地価公示価格とは◎国土交通省が毎年3月頃に発表
◎実際の売買取引や公共用地取得の価格の目安となる
◎一般的に実勢価格よりやや低くなる傾向があるが、土地の状況によっては地価公示価格の方が高くなることもある
算定方法国土交通省「土地総合情報システム」を利用する

この算定方法では、評価したい不動産そのものではなく、同地区の近い条件の物件を基準にして評価額を見積もることになります。

それでは実際にシステムの画面を見ながら算定方法を確認していきましょう。

《1》専用サイトを開く→土地総合情報システム

出典:国土交通省「土地総合情報システム」

《2》画像赤枠のボタンをクリック

《3》地域を選択していく

出典:国土交通省「土地総合情報システム」

《4》検索条件指定画面になったら、必要な項目にチェックして検索ボタンを押す

・対象…そのままでOK

・調査年…そのままでOK

・用途区分…不動産の種類を選択

・地価…そのまま空欄でOK

出典:国土交通省「土地総合情報システム」

《5》条件が近い物件の価格を参考にする

《遺産分割評価額》不動産の評価方法の決め方

4つの評価方法が分かったところで、本章ではどの評価方法を用いるのかの決め方を紹介していきます。評価方法の決め方は次の流れで進めていきます。

STEP1.遺産分割協議

STEP2.遺産分割調停・審判

遺産分割協議

遺産分割協議とは相続人同士で遺産の分け方を話し合うことを指します。難しい呼び方をしていますが話し合いの進め方や場所に決まった形式はなく、相続人全員が参加していれば方法は自由です。

繰り返しますが全員が納得するのであればどの評価方法を用いても問題ありません。各評価額の平均値をとるという手もあります。

遺産分割協議がまとまると遺産分割協議書を作成します。

遺産分割調停・審判

遺産分割協議がまとまらなかった場合は遺産分割調停を起こして評価額を決めていきます。

遺産分割調停とは…
調停委員を交えた話し合いで遺産分割方法を決める。中立な立場である調停委員が間に入り、双方の意見を聞き入れながらアドバイスや解決案を伝え、妥協点を見出していく。

遺産分割調停でも話がまとまらなかった場合は、自動的に遺産分割審判に進みます。

審判は調停と違って裁判官が解決方法を決め、相続人たちはそれに従って遺産分割しなければいけません。前述した通り最終的には不動産鑑定士に鑑定を依頼して、その評価額を採用するよう言い渡されるのが一般的です。

遺産分割調停についてはこちらの記事で詳しく解説しています。申立て方法や必要書類、進行の流れなどが分かるので是非参考にしてください。

《遺産分割評価額》自分に有利な評価額にするためのポイント3つ

遺産分割で揉めた場合、少しでも自分が希望する評価額に近づけるには次の方法を試みましょう。

【自分に有利な評価額にするためのポイント】

◎弁護士に相談する
お互いが主張する評価額の平均値をとる(評価額を下げたい場合)
◎不動産鑑定を依頼する(評価額を下げたくない場合)

弁護士に相談する

他の相続人と自分が希望する評価額の差が大きい場合(数百万円以上)は弁護士の力を借りることをおすすめします。

弁護士は法律と交渉のプロとして依頼者の利益を最大化するために動いてくれるので、弁護士を立てることで下記のようなことが期待できるでしょう。

【弁護士に期待できること】

◎的確なアドバイスをもらえる
◎相続人同士では感情的になりやすいが、弁護士が間に入ると冷静になれる
◎他の相続人と直接顔を合わせずに済む
◎様々な交渉材料で相手を説得してくれる
◎調停・審判よりも早期解決しやすい
◎調停・審判に進んでも引き続き対応を任せられる

なぜ評価額の差が大きい場合に限るかというと、弁護士費用が高額になりやすいためです。弁護士費用は事務所や遺産の額によって異なりますが、一般的に下記の金額ぐらいかかってきます。

弁護士費用相場(遺産使い込みの場合)
着手金(約22万~55万円) + 報酬金(取得した財産の4%~16%)

着手金…前払い金。着手金0円の事務所もある。

報酬金…解決できたときに支払う後払い金。取得できた遺産額に応じて変動する。

例え評価額が自分の希望額通りになったとしても、弁護士費用がそれ以上になってしまっては意味がありませんよね。相手との希望の評価額差と比較して弁護士の利用を検討するようにしましょう。

【遺産分割で揉めているなら当事務所にご相談ください】
当事務所では初めての人でも安心してご利用いただけるよう、お客様に寄り添った手厚いサポートを提供しています。相続人同士のトラブルでお悩みならどうぞお気軽にご相談ください。
専属の弁護士とリーガルスタッフの連携体制をとっているため、親身にお客様の相談にのり、迅速に対応することが実現できます。
当事務所では相続問題解決の実績が数多くあり、その一事例を掲載しています。
《解決事例》◎月額料金プランで、初期費用を抑えて弁護士に依頼。ご依頼から1年以内の解決を実現した事例(詳細は解決事例でご覧いただけます。)
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お互いが主張する評価額の平均値をとる(評価額を下げたい場合)

土地の状態によってまちまちではありますが、評価額を下げたい場合は、相手が妥協して双方の評価額の平均値で合意するところを目標としましょう。

遺産分割調停・審判で不動産鑑定を申請することになると、よほどのことがない限りその鑑定額(評価方法の中で高くなりやすい)が採用されてしまいます。

そのため、なるべく遺産分割協議での成立を目指して粘り強く話し合いをすることが大切です。調停や審判に進んだ場合でも、不動産鑑定費用の負担を持ち出すなどして不動産鑑定に進むことは避けるようにしましょう。

不動産鑑定を依頼する(評価額を下げたくない場合)

評価額を下げたくない場合は、土地の所在地などによりケースバイケースではありますが、不動産鑑定評価額での合意を目指しましょう。

遺産分割協議は早めに切り上げて、遺産分割調停・審判へと進みます。そして裁判所を通して速やかに不動産鑑定を申請するよう調停委員に主張していくべきです。

不動産鑑定の費用約20万円~60万円は相続人負担となりますが、必要経費として費用を出し惜しみしないようにしましょう。

まとめ

以上、相続した不動産の評価額について解説してきました。

あらためて内容を振り返りましょう。

まずは相続税申告のために評価額を知りたい人のケースです。その場合、不動産の種類によって評価額は次のように算定できます。

評価額を算定できたら、節税のために評価額を下げられる制度を利用できないかチェックしましょう。大幅に減税できるケースもあります。

相続税評価額を減額できるケース
小規模宅地等の特例に該当
貸宅地
貸家建付地
賃貸物件その他

次に遺産分割で不動産の評価額を出すことが必要になった人のケースについて紹介しました。

まず、遺産分割において不動産評価額の決め方は特にルールがなく、相続人たちでどの評価方法を選ぶか決めることができます。

それゆえに相続の取り分を巡って争いが起きてしまいやすい傾向があります。

遺産分割の場合、不動産評価額は次の手順で決めていきます。

不動産の評価方法の決め方
STEP1.遺産分割協議
STEP2.遺産分割調停・審判

自分が希望する不動産評価額に近づけたい場合は、次のポイントを意識して進めるようにしましょう。

自分に有利な評価額にするためのポイント3つ
弁護士に相談する
お互いが主張する評価額の平均値をとる(評価額を下げたい場合)
不動産鑑定を依頼する(評価額を下げたくない場合)
※ケースバイケースです。

本記事をもとに相続した不動産の評価額を算定できるようになり、損のない相続を実現できるよう願っております。

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