相続の話し合いのベストな時期は?死後は四十九日頃・生前は今すぐ

この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

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「相続の話し合いはいつすべきなのだろうか。亡くなった直後にお金の話をするのはよくないのだろうか。」

「親が亡くなってしばらくたつが、相続の話し合いに期限はあるのだろうか。」

「親が生きているうちに相続について話し合いたい。どのタイミングで切り出したらいいのか。」

相続の話し合いとは故人の財産ついて話し合うことなので、適切な時期を見計らうのは難しいですよね。

本記事では死亡直後・四十九日後・生前それぞれのケースでのベストタイミングを紹介していきます。

死後の場合、話し合いをいつまでも先延ばしにしていると、各相続手続きの期限に間に合わなかったり、余分な費用が発生したりするリスクが高まります。

例えば相続放棄は3ヶ月の期限を過ぎてしまうと原則受理されなくなり、借金などの負債も相続しなければならなくなってしまいます。相続税申告は10ヶ月が期限ですが、それを過ぎると延滞税が発生するだけでなく、各種減免制度も利用することができません。

これらのことから、相続の話し合いは法要が一区切りついた四十九日頃がベストで、四十九日がすでに過ぎてしまっている場合はなるべく早く話し合いの場を設ける必要があります。

しかし、相続の話し合いを行うためには事前に遺言書の有無確認・相続財産調査・相続人調査を済ませておかなければならず、これらの準備が不足しているといざ集まっても話し合いが進みません。

事前準備は人によっては1~2ヶ月と時間を要するため、初七日が過ぎたら準備を始めるのが理想でしょう。

そこで本記事では相続の話し合い時期について、段階別に次のように内容をまとめました。

本記事の内容

《死亡直後》

1.《死亡直後》相続の話し合い時期は四十九日頃がベスト

2.《死亡直後》四十九日に向けて初七日から準備すべき3つのこと

3.《死亡直後|話し合いを待てない場合》話し合い前でも預貯金の一部は引き出せる|上限150万円

《四十九日後》

4.《四十九日後》話し合いはなるべく早くするべき|先延ばしにする3つのリスク

《生前》

5.《生前》相続話し合いの時期は「今」

6.《生前》相続話し合いのスムーズな切り出し方

上記の死亡直後・四十九日後・生前いずれかをクリックすればリンクで移動できるので、自分の段階に応じた項目を選んで読み進めていくようにしてください。

本記事を読めば相続のスケジュールと各手続きの期限からベストな話し合いの時期を理解でき、その時期の実施に向けて準備を進めていけるようになります。

是非最後まで読んでいってくださいね。

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目次

《死亡直後》相続の話し合い時期は四十九日頃がベスト

相続について話し合うのは四十九日頃が最適です。

遺産をどのように分けるか相談して決めることを遺産分割協議と呼びますが、遺産分割協議はいつから始めないといけないのか、いつまでに終わらせるべきなのかということは法律で定められていません

死後数日で始めるケースもあれば、数年たってもまだ始めていないケースもあります。

しかし、スムーズな相続のためには、故人の四十九日を機に話し合いをするのがベストでしょう。なぜ四十九日が良いかと言うと、理由は主に3つ挙げられます。

【相続の話し合いは四十九日頃がいい理由】

◎相続人全員が集まるから
◎四十九日より前は故人を偲ぶ期間と考えられるから
◎四十九日より後は各手続きに間に合わない可能性があるから

ひとつずつ見ていきましょう。

相続人全員が集まるから

故人の四十九日の法要はほとんどの場合相続人が全員揃うので、この貴重な機会を利用するのが賢明です。

なぜなら、相続の話し合いつまり遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないからです。

遺産分割協議が成立すると、全員が合意したことを証明するため遺産分割協議書という書類に相続人全員が署名・押印をします。遺産分割協議書は預貯金引き出しや不動産の名義変更に必要な書類です。

この署名・押印が一人でも欠けていると、遺産分割協議書として成り立たず、銀行や各機関も受け取ってくれません。

「全員で行う」というのは、必ずしも全員がひとつの場に集まらないといけないわけではなく、電話や郵送のやりとりでも問題ありません。しかし対面で資料を見ながら全員で話し合うのが一番効率よく進められることは確実です。

この機に話をしないと、またわざわざ別日に話し合いの場を設けなければいけません。全員近くに住んでいればそれでも問題ないでしょうが、遠方住まいの相続人がいる場合は厳しいでしょう。

このように四十九日の法要は話し合いの絶好のチャンスです。葬儀代の話や形見分けの話から相続についても切り出しやすいというメリットもあります。

四十九日より前は故人を偲ぶ期間と考えられるから

四十九日より前に遺産の話をするのは不謹慎だという考え方が日本にはあります。

故人の死後四十九日までは忌中にあたり、故人はこの間この世とあの世の中間をさまよいながら裁きを受けるのを待っています。残された身内にとっては故人が良い裁きを受けられるよう祈り続ける期間とされています。

そのため、この期間中に親族が遺産の話をするのは故人に申し訳ない、みっともないと考える人が少なくありません。

四十九日の法要を終えると故人の魂もあの世に渡り切ったと考えられるので、そのタイミングで相続の話を持ち出すのが良いでしょう。

法要が一区切りついたことで相続人たちも気持ちの整理がつきやすく、相続について前向きに考えやすくなります。

四十九日より後は各手続きに間に合わない可能性があるから

図のように相続の各手続きには期限があります。

この中で「話し合い」に関係があるのは相続放棄と相続税申告です。

手続き期限対象ケース
相続放棄3ヶ月・相続放棄を検討している
相続税申告10ヶ月・遺産が最低額3600万円以上(詳細は1-3-2

これらは期限を過ぎると申述が認められなかったり、ペナルティを課せられたりする恐れがあります。

話し合いが遅くなると各手続きに間に合わない恐れがあるので、やはり四十九日頃には話し合いを開始するのがベストでしょう。

それぞれの手続きについて詳細を説明していきます。

相続放棄|3ヶ月

相続放棄とは相続できる権利を放棄し、故人の財産を一切引き継がないことを指します。

遺産には預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金やローンなどの負債も含まれます。そのため、負債の方がプラスの財産より多い場合は相続放棄を選ぶことが一般的です。

相続放棄は期限が相続が開始されたことを知ったときから3ヶ月と定められており、それを過ぎてしまうと申請は原則認められません。

一見、十分期間があるように思えますが、実際は財産調査、書類集め、税務署への申請手続きなどすべきことがたくさんあり、スケジュールに余裕は全くありません

【相続放棄のスケジュール】

①遺言書有無の確認・財産調査(約1~2ヶ月)
②相続放棄の判断
③相続放棄のための書類集め(約1ヶ月)
④申請

四十九日を過ぎた後に初めて集まり、その結果相続人の一人が「自分は相続放棄したい」と思っても間に合わない可能性が高いので、やはり四十九日頃には一度集まっておくべきでしょう。

注意【限定承認は更にスケジュールタイト!】
故人に負債があった場合、プラスの財産の範囲内で負債を受け継ぐという限定承認の制度も利用できます(期限3ヶ月)。しかし、相続放棄が単独で申請できるのに対し、限定承認は相続人全員の合意が必要です。相続放棄は話し合い以前に手続きできますが、限定承認は話し合いをしてかつ全員の意見を取りまとめないと申請できないので、かなり厳しいスケジュールになります。

相続税申告|10ヶ月

相続税申告は故人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告しなければいけません。それを過ぎてしまうと延滞税が発生します。

また、相続税には配偶者控除や小規模宅地等の特例など様々な減免制度が設けられていますが、それも10ヶ月の期限を過ぎてしまうと利用が難しくなってきます。

10ヶ月というと随分長く感じますが、決してスケジュールに余裕があるわけではありません。

なぜなら、話し合いつまり遺産分割協議がどのぐらいかかるか分からないからです。遺産内容が現金のみなど単純なケースであれば即日に終わることもありますが、遺産争いが起こって数年以上かかるケースも少なくありません。

そのため期限に確実に間に合わせるには、早めに話し合いに取り掛かるべきでしょう。

【相続税申告のスケジュール】

①遺言書有無の確認・財産調査・相続人調査(約1~2ヶ月)
②遺産分割協議(即日~数年
③相続税申告のための書類集め(約1ヶ月)
④申請

尚、相続税は全ての相続にかかるわけではなく、財産額が一定以上の場合のみに発生します。その額は相続人の人数によって変わるので、相続人別の基準額を下表にまとめました。

相続人の人数相続税が発生する遺産額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円
6人6,600万円

《死亡直後》初七日から四十九日に向け、準備すべき3つのこと

話し合い自体は四十九日頃で問題ありませんが、話し合いを行うには事前に下記の準備が必要です。

準備にかかる日数を考慮すると、初七日が過ぎたらなるべく早い内に取り掛かるべきでしょう。

【話し合いのためにすべきこと】

すべきこと必要期間
遺言書の有無即日~数日
相続財産調査1~2ヶ月
相続人調査1~2ヶ月

これらの準備を全くしないで四十九日に集まった場合、ほとんどのケースで話し合える内容は何もありません

「遺産はどこに何があるのか?」ということが分かっていないと分けようもなく、相続人のメンバーが確定していないと話し合っても全て無駄になることもあり得ます。

そうなるとせっかく集まってもまた準備を整えて後日やり直しとなってしまうので、相続人全員の負担が増えてしまいます。

準備には時間を要するものもあるため、四十九日後に準備から取り掛かるとなると前章で紹介した相続放棄や相続税申告に間に合わないリスクも出てきます。

四十九日に実りある話し合いができるようにするためには、ゆとりを持って初七日が過ぎたら準備を始めるようにしてください。

ではそれぞれのすべきことについて詳しく見ていきましょう。

遺言書の有無|即日~数日

相続の第一歩は遺言書を探すところから始めます。

遺言は法定相続より優先されるため、遺産分割は遺言の内容に沿って行われます。もし話し合いで遺産分割方法を決定した後に遺言書が見つかった場合、遺言書に従って分配したい相続人がいる場合には、それまでの話し合いは全て無駄になり遺言通りに相続することになります。

遺言書の有無でその後の手続きが大きく変わるため、まずは故人が遺言書を残していないか徹底的に探しましょう。

遺言書はその種類によって保管場所が異なるため、次の手順で調べていきます。

【遺言書の探し方】

①故人の自宅を探す
②公正役場に問い合わせする
③法務局に問い合わせする

故人の自宅を探す

まずは自宅に保管していないかめぼしい所を隈なく探しましょう。鞄・引き出し・戸棚・タンス・金庫・仏壇などに保管されているケースが多いようです。

公証役場に問い合わせる

故人が作成した遺言書が公正証書遺言の場合、遺言書は公証役場に保管されています。

公証役場に遺言書有無の調査を依頼するためには必要書類を揃えて近くの役場を訪ねましょう。検索システムで照会をかけるのでどこの役場でも大丈夫です。

近くの公証役場を検索→公証役場一覧 | 日本公証人連合会

必要書類・請求方法→2 遺言(7-Q1) | 日本公証人連合会

法務局に問い合わせる

故人が自筆証書遺言保管制度を利用して作成した場合、遺言書は法務局の遺言書保管所に保管されています。

保管所に遺言書有無の調査を依頼するためには必要書類を揃えて近くの保管所に請求しましょう。遺言書の有無だけなら全国どの保管所でも調べてもらえます。

近くの遺言書保管所を検索→07 管轄/遺言書保管所一覧

必要書類・請求方法→05 証明書について | 自筆証書遺言書保管制度

相続財産調査|1~2ヶ月

遺言書が見つからなかった場合、次に行うのは財産調査です。

どの遺産がどれだけあるかが分かっていないと話し合いようがないようので、必ず話し合い前に調べておきましょう。

財産調査は意外に時間がかかるケースが多いです。個人差が大きく、「財産が預貯金のみで通帳の保管場所も知っている」という場合はすぐに終わりますが、不動産もある場合や調査対象物が多い場合、保管場所が分からないという場合は2ヶ月近くかかることもあります(不動産は評価額まで調べる必要があるため)。

弁護士など専門家に調査を依頼することもできるので、間に合いそうにない場合は外部の力を頼ることも検討しましょう。

財産調査の方法は地道に調べていくしかないのですが、特に重要なのが借金などマイナスの財産の有無を確認することです。

これは「相続放棄-3ヶ月」で解説した相続放棄するかどうかを判断するために必要だからです。もしマイナスの財産が見つかった場合は四十九日を待たず各相続人に連絡してあげた方が良いでしょう。

相続財産の調査方法はこちらの記事で紹介しています。調査段階になったらしっかりと読み込んでくださいね。

相続人調査|1~2ヶ月

相続人調査も話し合い前に必ず済ませておかなければいけません。

相続人調査とは相続人が誰であるかを確定させるために戸籍を集めることです。実はこの調査も思ったよりも時間を要します

「相続人が誰か認識できているから大丈夫」と思っていても、まれに予期せぬ相続人(養子縁組や認知した子、異母兄弟など)の存在が発覚するケースがあります。

そのような存在を知らずに話し合いを進めてしまった場合、遺産分割協議は相続人全員で行わないと無効なので、話し合いをやり直さなければいけません

「相続人は把握している人物以外絶対いない」と確信を持っていても、それを第三者に客観的に証明できないと以後の預貯金引き出しなどの相続手続きはできません。

これらの理由から故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集める必要があるのですが、これが人によっては何通も別々の市町村役場に請求しなければいけないため非常に煩雑で大変なのです。

どれぐらい時間がかかるかは始めてみないと分からない部分があるので、相続財産調査と並行して行うようにしましょう。

具体的な相続人調査の方法はこちらの記事で紹介しています。しっかり目を通して漏れのないよう調査するようにしましょう。

《死亡直後|話し合いを待てない場合》話し合い前でも預貯金の一部は引き出せる|上限150万円

話し合いを四十九日にするとなると、結局相続財産はいつ引き継ぐことができるのでしょうか。

仮に話し合いが当日中にまとまったとしても、そこから書類を集めたり作成したりして、相続財産を引き継ぐまでに死亡後約2ヶ月近くかかるでしょう。

そうなると故人の医療・介護費用や葬儀代などの支払いに遺産を充てようと思っていた場合は困りますよね。残された相続人の生活が困窮してしまうケースも考えられます。

そのような状況の救済措置として「払戻し制度」という制度があります。

原則、故人の預貯金は死亡後凍結され、遺産分割協議が完了するまで引き出すことができません。しかしこの制度を利用すれば、遺産分割協議前でも一定額まで引き出すことができます

引き出せる金額は下記計算式で算出します。

       引き出せる額 = 相続開始時の預金額 × 3分の1 × 法定相続分
                   (上限150万円)  

例)口座の預金額:300万円、法定相続人:2名(長男と次男で2分の1ずつ)の場合
各相続人が引き出せる額 = 1000万円 × 1/3 × 1/2 = 50万円

ただし、制度利用には多くの書類が必要です。

【金融機関による払戻し制度の必要書類】

①亡くなった人の出生から死亡までの戸籍または除籍謄本
②相続人全員の戸籍謄本
③申請人の印鑑証明書

一見少ないように見えますが、①と②の戸籍を全て揃えるのは意外に大変で手間がかかります。取得の際は以下の記事を参考にしながら集めていくようにしてください。

注意【預貯金引き出しは他の相続人に伝えるべき】                    故人の口座から引き出しがあれば他の相続人から遺産の使い込みを疑われる恐れがあります。トラブルを防ぐためにも、払い戻し制度を利用して引き出したことと、引き出したお金の使用用途は他の相続人にも伝えるようにしましょう。医療・介護費用や葬儀代の支払いに充てたのならその領収書は必ず取っておいてください。

《四十九日後》話し合いはなるべく早くするべき|先延ばしにする3つのリスク

すでに四十九日が過ぎてしまっている場合はなるべく早く話し合い(遺産分割協議)を始めるようにしましょう。

話し合い自体はいつまでに終わらせないといけないという法律はありませんが、四十九日より後は各手続きに間に合わない可能性があるからで述べた通り、相続放棄や相続税申告の期限に間に合わなくなってしまいます。

相続放棄や相続税申告が不要な場合でも、相続を放っておくと次のようなリスクが発生する恐れがあります。

【相続話し合いを先延ばしするリスク】

◎いつまでも遺産を受け取れない
◎不動産は維持費が発生する
◎相続人の一人が亡くなると厄介な事態になる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

いつまでも遺産を受け取れない

話し合いで遺産分割方法を決めないと、いつまでたっても故人の口座を凍結解除して現金を引き出したり、不動産の名義変更をしたりすることができません。

現金の場合、仮にまとまったお金が必要になったとしても故人の預貯金には手を付けられません。せっかく口座に預貯金があるのに活用できないのは惜しいですよね。

不動産の場合、話し合いが終わらなければ売却や賃貸に出すことが困難になります。建物の場合、時間の経過とともに資産価値も下がる一方なので、利益の損失につながるでしょう。

有価証券の場合、5年放置すると会社が株式を買い取ったり競売にかけたりすることができるようになります。

不動産は維持費が発生する

遺産に不動産が含まれる場合、遺産分割協議をして名義変更が終わるまでは相続人全員の共有となるため、その間ずっと固定資産税や都市計画税、管理費などがかかってきます

故人の死後すぐに売却したり、他の相続人が相続したりすれば本来支払わずに済むはずの費用なのに、活用できていない不動産に支払い続けるのはもったいないですよね。

相続人の一人が亡くなると厄介な事態になる

遺産分割協議が終わらない内に相続人の誰かが亡くなってしまうと、代襲相続でその子どもが新たな相続人として加わるため、遺産分割協議は一からやり直しになってしまいます。

例えば妻と故人の兄が相続人である場合、兄が亡くなるとその子ども(故人の甥・姪)全員が代襲相続として相続権を得ます。子どもが3人いれば3人全員に妻は連絡を取り話し合いをまとめなければいけません。

このように代襲相続が起これば一般的に相続人は増えていく傾向にあるため、権利関係が複雑になって余計に話し合いがしづらくなっていってしまいます

また、相続人の中で認知症を発症してしまう人が出てきたら、代理人(成年後見人)を立てないと遺産分割協議は行えません。その代理人を立てる手続きもまた非常に煩雑で時間がかかるのです。

このように相続人が元気なうちに話を進めていかないと、収集がつかない事態になる恐れがあります。

《生前》相続の話し合いの時期は「今」なるべく早くに

親やパートナーの生前、相続について話し合うならそれは「今」です。

生前の話し合いは「元気なうちに・なるべく早く」が鉄則なので、いつ起こるか分からない不測の事態に備えて早めに話し合うようにしましょう。

確かに死後の話は切り出しにくいものなのでつい先延ばしにしてしまいがちですが、いつ入院や介護の必要に迫られるか分かりません。

入院してしまうとより「死」を意識してしまい、相続の話は余計切り出しにくくなります。認知症の症状が出てきてしまったら正常な判断はできないため、もはや相続の話し合いは不可能となってしまいます。

そのような事態になる前に話し合いの機会を設けるべきですが、話し合いにおすすめの時期があります。それがお盆です。

お盆は先祖の霊を供養する期間であるため、不謹慎な空気にならずに死後の話も切り出しやすくなります。

また、お盆は遠方に住む身内も一同に集まる機会でもあります。相続の話はなるべく相続人全員が揃っているときにする方が、後々遺産隠しなどのトラブルに発展しにくいのでおすすめです。是非この機会を活かすようにしましょう。

《生前》相続の話し合いのスムーズな切り出し方

相続の話を持ち出すということは死後について話をすることになるので、なかなか話を切り出しにくいですよね。

そこで、話の切り口としては次のフレーズを使うと自然な流れで話を始めることができます。

◆相続の話し合い:切り出し方の例
「〇〇さん、お母さんが認知症になってしまったそうで…」
「◎◎さんのところ遺産で揉めて裁判になっているらしい。」
「テレビで相続の特集を見たんだけど…」

このように時事ネタや他の家庭の例、特に身近な失敗例を引き合いに出すと意識を向けてもらいやすくなるでしょう。

しかし、人のよっては「子どもにお金のことを知られたくない」などの理由で話し合いに応じてくれない場合もあります。

無理に聞き出そうとすると関係の悪化にもつながるので、話し合いを強要することは避けましょう。その場合、遺言書やエンディングノートを書いておいてもらうことを提案してみるのも手です。

まとめ

ここまで生前・死後における相続のベストな話し合いの時期について紹介してきました。

最後に本文のポイントをまとめていきます。

まず死亡直後の場合、相続の話し合いは四十九日頃までに行うようにしましょう。

相続の話し合いは四十九日頃がいい理由
◎相続人全員が集まるから
◎四十九日より前は故人を偲ぶ期間と考えられるから
◎四十九日より後は各手続きに間に合わない可能性があるから

四十九日に話し合いを行うためには、初七日を過ぎた頃から準備を進めていく必要があります。

四十九日に向けて準備すべきこと
◎遺言書の有無確認|即日~数日
◎相続財産調査|1~2ヶ月
◎相続人調査|1~2ヶ月

もし相続手続きを急いでいる場合は、払戻し制度を利用すれば話し合いを待たずに一部預金を引き出すことができるので、制度の利用もご検討ください。

逆に四十九日が過ぎても話し合いが行われない場合、話し合いを放置していると次のようなリスクが発生するので、早めに話し合いを行うようにしましょう。

相続話し合いを先延ばしするリスク
◎いつまでも遺産を受け取れない
◎不動産は維持費が発生する
◎相続人の一人が亡くなると厄介な事態になる

次に生前の場合、相続の話し合いをするのは「元気なうちに・なるべく早く」が鉄則です。お盆ならば先祖の話題から話を切り出しやすいので、お盆が近い場合はこのチャンスを逃さないようにしましょう。

以上、本記事をもとに相続の話し合いをベストな時期にすることができ、スムーズに相続を進められれば幸いです。

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