弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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「遺留分について分からないことがあるのですが、弁護士に依頼すべきでしょうか?」 「遺留分を弁護士に依頼した場合、弁護士費用はいくらになるのでしょう?」
不公平な遺言がある場合などで、最低限保障されている遺留分を取り戻したいと考えている方の中には、自分で解決すべきか、それともすぐにでも遺留分に強い弁護士に依頼すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、以下のような状況があるならば、遺留分について弁護士に依頼した方がメリットが大きいと言えます。
遺留分を弁護士に依頼すべきケース ❶相手方が支払いを拒否しており、問題が長期化しそうな場合 ❷相続財産や生前贈与などの全体像が掴めない場合 ❸忙しくて遺留分の請求や調停などの準備ができない場合 ❹遺留分の割合や計算方法が分からない場合 ❺相手方との関係が悪く、交渉が面倒な場合 ❻遺留分の時効の完成が心配な場合 ❼相手方が取得した遺産を処分して無資力になってしまう可能性がある場合 |
遺留分の問題は深刻化・長期化しやすいため、できれば早期から遺産相続に詳しい弁護士に相談し、調停や訴訟に発展する前の解決を目指したいところです。また、遺留分侵害額請求ができる権利の消滅時効(1年)や、請求した後の金銭債権の消滅時効(5年)に気を付けながら、遺留分を確実に取り戻す必要があります。
遺留分問題を依頼した場合の弁護士費用の相場、シミュレーションについても、この記事の後半で解説していきます。
また、後半では、遺留分を請求された場合に弁護士を入れるメリットや、弁護士費用についても解説しています。
「侵害されている遺留分を確実に回収したい」「どんな弁護士に依頼すべきか知りたい」という方は、ぜひ最後までお読みいただき、無料相談も行っている当事務所に相談いただければと思います。
なお、遺留分侵害額請求を弁護士に相談すべきメリットについて、当法人の弁護士が動画でも解説しています。こちらもご覧ください。
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結論から言うと、遺留分の計算や時効は判断が難しいため、できれば専門家である弁護士に相談することをおすすめします。その理由を説明していきます。
遺留分とは、一定の法定相続人に与えられた「相続で最低限保障される遺産の取り分」のことです。
例えば、法定相続人が妻と子どもの場合、遺言書で「愛人に全額渡す」と書いてあったとしても、遺留分に相当する金額は、民法上受け取る権利があります。
遺留分が侵害されている(遺留分に相当する財産を受け取れていない)場合には、相手方に「遺留分侵害額請求」を行い、侵害額に相当する金銭を受け取ることができます。
しかし、実際に「遺留分がいくらか」を計算するためには、遺留分の基礎となる財産を明らかにしなければなりません。そのためには、不動産の評価額や生前贈与の有無、特別受益の有無などを正確に調べる必要があります。
※特別受益とは、特定の相続人だけが被相続人から受け取った利益をいいます。具体的には、婚姻のための贈与、養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与、多額の生命保険金が該当します。特別な利益を計算に入れることにより、不公平を解消することができます。 特別受益については以下の記事をご覧ください。 特別受益も遺留分の請求対象になる!具体的なケースと請求方法も解説 特別受益とは?該当するケース10例と主張する流れ、計算方法を解説 |
弁護士なしで自分で進めたものの、遺留分の基礎となる財産の調査が甘いため、本来もらえるべき遺留分がもらえないケースもありえるのです。
また、相手方が支払いを拒否した場合、調停や訴訟に発展し、問題が泥沼化・長期化する危険性もあります。遺留分侵害額請求には時効があり、さらに遺留分侵害額請求を行った後にも金銭債権を回収するための時効があるため、時効が成立しないよう気を付ける必要もあります。
時効を回避しつつ、相手方との交渉を円滑に行いながら、できるだけ遺留分額を最大化するためには、早い段階から弁護士に相談に乗ってもらうのがベストと言えるのです。
遺留分の問題を抱えている場合、ほとんどのケースでは弁護士に依頼すべきといえます。なぜならば、遺留分についての時効や解釈は難しいものであり、専門家ではない方が正確に判断するのは容易ではないからです。
※ただし、相続財産の金額が明確に分かっており、侵害されている遺留分侵害額も明確で、相手方が話し合いに応じてくれるケースであれば、弁護士に依頼せずに自分で「遺留分侵害額請求」を行うことはできるでしょう。 |
特に、以下のようなケースでは、相手方との交渉が複雑化・長期化する可能性が高いため、弁護士に依頼するのがおすすめです。
遺留分を弁護士に依頼すべきなケース ❶相手方が支払いを拒否しており、問題が長期化しそうな場合 ❷相続財産や生前贈与などの全体像が掴めない場合 ❸忙しくて遺留分の請求や調停などの準備ができない場合 ❹遺留分の割合や計算方法が分からない場合 ❺相手方との関係が悪く、交渉が面倒な場合 ❻遺留分の時効の完成が心配な場合 ❼相手方が取得した遺産を処分して無資力になってしまう可能性がある場合 |
この7つのケースについて、以下でさらに詳しく解説していきます。
相手方が遺留分侵害額の支払いを拒否している場合は、必ず弁護士に相談することをおすすめします。
なぜならばこのような場合、相手は「どうしたら遺留分を支払わなくていいか」と考えており、将来的に調停や訴訟にまで発展する可能性が高いからです。相手方も弁護士に相談しているかもしれません。
このようなケースではできるだけ早い段階から弁護士に相談し、法的手続きの準備を整えておくことが大切です。
遺留分の基礎となる財産がどのくらいか分からない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜならば、遺留分を計算するための基となる相続財産がいくらか分からなければ、遺留分が侵害されているのか、遺留分侵害額請求ができるのかどうかを判断できないからです。
遺留分の基礎となる財産 ❶不動産・金融資産・動産などのプラスの遺産 ❷生前贈与(相続開始前1年以内) ❸相続人に対する特別受益にあたる生前贈与(相続開始前10年以内) ❹遺留分を侵害すると知って行われた贈与(期間制限なし) ❺遺留分権利者に損害を与えることを知って行われた不相当な対価による有償行為(期間制限なし) これらの財産を合計し、そこから負債(借金など)を差し引きます。 |
※遺留分権利者に損害を与えることを知って行われた不相当な対価による有償行為とは、例えば、1億円の価値がある土地を1,000万円で売ってもらったような行為が該当します。この場合、差額の9,000万円の贈与を受けたものとみなして遺留分侵害額請求ができる可能性があります。 |
例えば、故人Aの相続人が妻Bと子どもCで、遺言書によって、所有する不動産と株式を全て妻Bに、子どもCは1,000万円だけ受け取っているケースがあったとします。遺留分割合はそれぞれ4分の1ずつとなり、子どもCは侵害されている遺留分があればBに請求できます。
しかし、Bが相続財産の開示をしてくれない場合、そもそも遺留分が侵害されているのかが分からないケースがあります。このケースの場合、遺留分の基礎となる財産が4,000万円を超えている(妻が3,000万円を超える資産を受け取っている)場合、遺留分が侵害されているため、遺留分侵害額請求ができます。
遺留分が侵害されているか確認するためには、相続財産の調査を行い、相続財産がいくらか明らかにしなければなりません。この場合、Bが財産隠しをしている可能性も考えられるため、弁護士に正確な相続財産調査を頼むことをおすすめします。
また、遺留分を計算する際には、相続開始前に存在していた相続財産だけでなく生前贈与(相続開始前1年以内)や、相続人への特別受益(相続開始前10年以内)の金額も加算して計算を行います。生前贈与や特別受益の金額が分からない場合も、弁護士にアドバイスを求めた方が良いでしょう。
遺留分の計算方法や時効に対する考え方はとても複雑で、専門的な対応が求められます。そのため、十分な準備を進める時間が取れない方は、弁護士に相談すると良いでしょう。
侵害されている遺留分を請求できる権利には時効があり、遺留分が侵害されていることを知ってから1年で権利が消滅してしまいます。忙しくて後回しにしているうちに時効を迎えてしまえば、遺留分侵害の請求ができなくなることもあります。
侵害されている遺留分を取り戻したいなら、忘れずに早めに動くことが大切です。
遺留分の割合や計算方法が分からない場合や、実際に侵害されている遺留分がいくらか計算方法が分からない場合にも、弁護士に依頼すると確実です。
簡単に説明すると、遺留分は以下のような手順で計算します。
遺留分額が分かったら、遺留分額から相続した金額を引くと、遺留分がいくら侵害されているかを計算できます。自分で計算が難しい場合は、弁護士に相談した方が良いでしょう。
相手方が好意的に接してくれるなら良いですが、コミュニケーションが取りづらい場合は、弁護士に依頼することで交渉を代行してくれるメリットがあります。
相手と疎遠であまり話したことがない、不仲だから話をしたくないケースもあるでしょう。また、そもそも相手が話し合いに応じないというなケースもあります。その場合、弁護士を代理人に立てて交渉できるため、ストレスを軽減できます。
遺留分を確実に取り戻すためには、気を付けなければならない時効が3つあります。
遺留分侵害額請求権の 消滅時効(1年) | ❶相続が開始したこと ❷遺留分が侵害されていること ❶❷の両方を知ってから1年が経つと、遺留分侵害額の請求ができなくなる |
遺留分侵害額請求権の除斥期間(10年) | 相続が開始してから(被相続人が亡くなってから)10年が経つと、遺留分侵害額の請求ができなくなる |
遺留分侵害額請求した後にも気を付けるべき時効がある
金銭債権の消滅時効(5年) | 遺留分侵害額請求を行使してから5年間 |
さらに詳しく知りたい方は、「遺留分侵害額請求の時効は最短1年!時効の詳細と確実に止める方法」の記事もご覧ください。
時効が近い場合や、時効の起算点(どの時点から時効がスタートしているか)が分からない場合など、時効が心配な場合は、なるべく早めに弁護士に相談すると良いでしょう。
遺言書に、特定の遺産について特定の相続人に相続させる旨明記されている場合、その遺産を取得することとなる相続人は、他の相続人による遺留分侵害額請求の有無に関わらず、遺言を執行して名義変更などの手続きを進めることができます。
例えば、被相続人Aの遺産は不動産のみであったところ、被相続人Aが「全ての遺産を子Yに相続させる」旨の遺言書を作成しており、それが他の相続人Bの遺留分を侵害している場合でも、YはBを無視して遺言を執行し、Y名義に不動産の名義を変更することができます。
この場合、もし、Yが不動産の名義を変更して、すぐに当該不動産を売却し、散逸しやすい現預金に変え、さらにそれを消費するなどして散逸させてしまった場合、後日、BがYに対して遺留分侵害額請求をしても、Yが無資力であれば、Bは遺留分侵害額を回収できない場合があります。
この場合、もし、Yの資力がBの遺留分侵害額に不足する場合、「ないところからは取れない」のであり、BはYの財産を強制執行しても空振りになってしまう可能性があるのです。
もし、遺言書で指定された遺産の取得者が、このように遺産を取得した後に無資力となるなど、遺留分侵害額の回収ができなくなるおそれがあり、実際、遺産の取得者がそのような怪しい動きをしている場合には、あらかじめ相手方の財産を差し押さえる(仮差押)などの対応が必要です。
これは、弁護士でないと難しい手続きになりますので、ご不安な方は一度弁護士に相談することをおすすめします。
前章では遺留分の請求を弁護士に相談した方が良い6つのケースをお伝えしましたが、ここからは具体的に弁護士に相談することでどんなメリットがあるのかを解説します。
遺留分の請求を弁護士に依頼する5つのメリット ❶遺留分侵害額を取り戻す上での確実性が高まる ❷交渉を任せられるため、精神的ストレスを軽減できる ❸遺留分侵害額をより正確に計算できる ❹調停や訴訟に発展しても安心 ❺時効成立を避け、迅速に進められる |
以下では5つのメリットをそれぞれ詳しく解説していきます。
遺留分は、一定の法定相続人が最低限もらえることが保障された遺産の取り分です。
しかし相手方が「できるだけ渡したくない」と考えている場合、請求金額を減らしたり、「すでに時効が成立している」と主張したり、あの手この手で対抗してくる可能性が考えられます。
早い段階から弁護士を通して遺留分侵害額請求を行うことで、相手に本気度が伝わり、早期にトラブルを解決できる可能性が高まります。
親族間でお金の話をするのは精神的に苦痛と感じる方も多いでしょう。「昔は仲良かったのに、なぜすんなり応じてくれないのか」と悲しさや憤りを覚える依頼人も少なくありません。
弁護士に依頼すれば窓口は全て弁護士となるため、遺留分に関して相手方と直接やりとりする必要がなくなります。そのため、精神的ストレスを軽減することができます。
遺留分侵害額は、相続時点での財産にプラスして、相続前1年以内の生前贈与や10年以内の特別受益も対象に計算します。
遺留分の基礎となる財産 | ❶不動産・金融資産・動産などのプラスの遺産 ❷生前贈与(相続開始前1年以内) ❸相続人に対する特別受益にあたる生前贈与(相続開始前10年以内) ❹遺留分を侵害すると知って行われた贈与(期間制限なし) ❺遺留分権利者に損害を与えることを知って行われた不相当な対価による有償行為(期間制限なし) これらを合計し、そこから負債(借金など)を差し引く |
多額の生前贈与の存在が明らかになった場合などは、遺留分侵害額が増えるケースもあります。
例えば、相続財産が3,000万円で遺留分割合が4分の1のケースでは遺留分は750万円ですが、自分以外の相続人に対する特別受益にあたる生前贈与(相続開始前10年以内)が1,000万円あった場合には遺留分は1,000万円となります。
弁護士に依頼すれば、相続財産調査や民法の正しい適用により、正確な遺留分侵害額を計算でき、正当な遺留分侵害額を取り戻せる可能性が高まります。
遺留分侵害額請求には決められたフォーマットはないため、シンプルなケースでは弁護士に依頼せずとも請求を行うことは可能です。しかし、遺留分侵害額の支払いを相手方が拒否した場合、調停や訴訟に発展することもあります。
調停や訴訟に場を移して争う場合には、準備や対応に多くの労力がかかるため、弁護士無しでご自身で対応するのは難しいでしょう。
早期から弁護士に依頼していれば、相手方に本気度が伝わるため交渉がスムーズに進みやすく、万が一調停や訴訟に発展しても安心です。
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する場合の、費用の内訳と相場は以下のようになります。
内訳 | 費用の相場 |
初回の相談料 | 5,000円~1万円程度(30分~1時間程度) ※相談無料の弁護士事務所もあり |
着手金(初期費用) | 10万円~30万円程度の弁護士事務所が多い ※請求額に応じて価格を細かく設定している場合もあり |
成功報酬(回収できた場合) | 回収額や弁護士事務所により変動 日弁連の旧報酬基準に従った目安は以下 ・回収額が300万円以下:回収額の17.6% ・回収額が300万円超3,000万円以下:回収額の11%+19万8,000円 ・回収額が3,000万円超3億円以下:回収額の6.6%+151万8,000円 ・回収額が3億円超:回収額の3.3%+811万8,000円 ※回収額にかかわらず、固定で利益の〇%としている事務所もあり |
調停に発展した場合 | 追加の着手金(10万円~30万円程度) が必要になる場合が多いが、発生しない事務所もある |
裁判に発展した場合 | 追加の着手金(10万円~30万円程度) が必要になるケースが多いが、発生しない事務所もある |
その他 | 出張費や日当、事務手数料、実費(印紙代や切手代など) |
成功報酬は、遺留分侵害額請求をした後に、遺留分が返還された場合のみ支払うものです。成功報酬は弁護士事務所により価格設定がさまざまで、回収額にかかわらず「利益の15%」などと固定にしている事務所もあれば、表にあるように回収額によって細かく価格設定しているところもあります。
遺留分侵害額請求をしても、支払いを拒否され、調停や訴訟に移行した場合は、調停費用や裁判費用が別途かかります。いずれも、新たに着手金と成功報酬が発生するのが一般的です。
遺留分侵害額請求した後に相手が応じるかどうかによって費用が変わることを覚えておきましょう。
4章の費用相場でも書いた通り、侵害された遺留分を取り戻すための弁護士費用は、弁護士の価格設定の違いはもちろん、実際に回収できた額がいくらかによってもかなり幅があります。
ここでは、日弁連の旧報酬基準に従った着手金・成功報酬を基準に、着手金と成功報酬の費用シミュレーションを行ってみました。
着手金が30万円固定、報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿って算定する事務所に、500万円の遺留分侵害額請求を依頼した場合の費用シミュレーション結果は以下です。
ケース | 弁護士費用 |
全額回収した場合 | 着手金30万円+成功報酬74.8万円(※)=104.8万円 ※手元に戻るお金は、500万ー104.8万=395.2万円 |
和解で300万円回収した場合 | 着手金30万円+成功報酬52.8万円(※)=82.8万円 ※手元に戻るお金は、300万ー82.8万=217.2万円 |
調停に発展した場合 | 上記+30万円 |
裁判に発展した場合 | 上記+30万円 |
その他 | 別途、出張費や日当、事務手数料、実費がかかります。 |
※成功報酬の内訳は、回収額が300万円超3,000万円以下の場合、回収額の11%+19万8,000円
①全額(500万円)回収できた場合 成功報酬 =500万円×11%+19万8,000円 =74万8,000円 |
②500万円のうち、和解で300万円を回収した場合 成功報酬 =300万円×11%+19万8,000円 =52万8,000円 |
着手金が30万円固定、報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿って算定する事務所に、1,000万円の遺留分侵害額請求を依頼した場合の費用シミュレーション結果は以下です。
ケース | 弁護士費用 |
全額回収した場合 | 着手金30万円+成功報酬129.8万円(※)=159.8万円 ※手元に戻るお金は、1,000万ー159.8万=840.2万円 |
800万円回収した場合 | 着手金30万円+成功報酬107.8万円(※)=137.8万円 ※手元に戻るお金は、800万ー137.8万=662.2万円 |
調停に発展した場合 | 上記+30万円 |
裁判に発展した場合 | 上記+30万円 |
その他 | 別途、出張費や日当、事務手数料、実費がかかります。 |
※成功報酬の内訳は、回収額が300万円超3,000万円以下の場合、回収額の11%+19万8,000円
①全額(1,000万円)回収できた場合 成功報酬 =1,000万円×11%+19万8,000円 =1,298,000円 |
②1,000万円のうち、和解で800万円を回収した場合 成功報酬 =800万円×11%+19万8,000円 =1,078,000円 |
着手金が30万円固定、報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿って算定する事務所に、5,000万円の遺留分侵害額請求を依頼した場合の費用シミュレーション結果は以下です。
弁護士費用 | |
全額回収した場合 | 着手金30万円+成功報酬481.8万円(※)=511.8万円 ※手元に戻るお金は、5,000万ー511.8万=4,488万2千円 |
3,500万円回収した場合 | 着手金30万円+成功報酬382.8万円(※)=412.8万円 ※手元に戻るお金は、3,500万ー412.8万=3,087万2千円 |
調停に発展した場合 | 上記+30万円 |
裁判に発展した場合 | 上記+30万円 |
その他 | 別途、出張費や日当、事務手数料、実費がかかります。 |
※成功報酬の内訳は、回収額が3,000万円超3億円以下の場合、回収額の6.6%+151万8,000円
①全額(5,000万円)回収できた場合 成功報酬 =5,000万円×6.6%+151万8,000円 =4,818,000円 |
②5,000万円のうち、和解で3,500万円を回収した場合 成功報酬 =3,500万円×6.6%+151万8,000円 =3,828,000円 |
同じような状況で同じような額の遺留分侵害額請求をした場合、どの弁護士に頼んでも結果は同じと思っている方もいるかもしれません。しかし、実はそうではなく、依頼する弁護士によって最終的に得られる金額が変わる場合があります。
遺留分侵害額請求を行った請求額も回収額も同じというケースでも、最終的に受け取れる金額は依頼先によって変わります。弁護士費用が高ければ、それを差し引いて手元に残る金額が少なくなってしまうからです。
4章や5章では、相場に近い形の弁護士費用についてお伝えしてきました。しかし、弁護士の費用は自由化されているため、実際には依頼する弁護士事務所によって価格にはかなり幅があります。
例えば、「5,000万円の遺留分侵害額請求を弁護士に依頼した場合」で解説したのは、着手金が30万円固定の事務所に依頼したケースです。しかし、もし着手金も請求額に応じて変動する事務所に依頼した場合、着手金だけで240.9万円かかるケースがあるのです。
▼日弁連の旧報酬基準に準拠した着手金を設定している場合 着手金 =5,000万円×3.3%+75万9,000円 =2,409,000円 |
請求額5,000万円、回収額も5,000万円の場合で、比較した表が以下です。
弁護士事務所A | 弁護士事務所B |
着手金30万円固定 成功報酬は日弁連の旧報酬基準に準拠 | 着手金・成功報酬ともに 日弁連の旧報酬基準に準拠 |
着手金30万円+成功報酬129.8万円= 159.8万円 | 着手金240.9万円+成功報酬129.8万円= 370.7万円 |
弁護士費用を差し引いた回収額 5000万円-159.8万円= 4,840万円 | 弁護士費用を差し引いた回収額 5000万円-370.7万円= 4,629万円 |
このように、頼む事務所によって手にする金額に200万円もの差が生まれてしまう場合もあります。もちろん、着手金が固定の方が必ず安くなるというわけではなく、請求額が少額の場合は結果が逆転するケースもあります。
しかし、弁護士事務所の価格体系によって最終的な取り分に差が生まれることは知っておくと良いでしょう。
弁護士費用の負担を少しでも軽減したい方は、当事務所の月額プラン(サブスクリプション)をご検討ください。
それでは、全く同じ料金体系の弁護士に同じ請求額の遺留分侵害請求を依頼した場合、結果が同じになるかというと、これも実はそうではありません。弁護士の手腕によって、回収できる遺留分の金額が変わることがあります。
例えば、遺留分侵害額請求を弁護士に依頼し、相続財産調査で相手方の生前贈与の存在が明らかになった場合、当初想定していた遺留分よりも増えるケースもありえます。
被相続人Aが亡くなり、相続人Bは遺言によって相続遺産の全額3,000万円を相続。 相談者=相続人Cの遺留分割合が4分の1のケースでは、請求できる遺留分侵害額は750万円 |
遺留分侵害額請求を行った後、相続遺産調査を実施した結果、相続人Bに対する1,000万円の生前贈与があったことが分かる。 遺留分の基礎となる財産の評価額は3,000万円+1,000万円=4,000万円となり、請求できる遺留分侵害額は4,000万円×4分の1=1,000万円に増えた |
交渉を進めた結果、侵害されている遺留分1,000万円全額を回収できた。 その結果、相談者は、当初請求した750万円よりも多い1,000万円を手にすることができた。 |
このケースの場合、生前贈与の存在を明らかにできるかによって、遺留分侵害額に差が生まれたのです。また、弁護士がどのような主張・立証を尽くすかによって、裁判所が提示する和解案が異なる可能性もあります。
優秀な弁護士に依頼することで、遺留分侵害額が最大になる解決策を提案してくれることを期待できます。
6章では、依頼する弁護士によって手にできる金額に差が生まれることを具体的に解説しました。それでは、どのような弁護士に依頼すれば、満足の行く結果を手にすることができるのでしょうか。
ここでは、遺留分に強い弁護士を依頼するための3つのポイントを解説していきます。
弁護士は法律全般の専門家なので、どの弁護士も遺留分侵害額請求に対応することは可能です。しかし、6章でも書いた通り、弁護士によって結果が異なることもあるため、遺留分など相続の分野に強い弁護士に依頼するのがおすすめです。
医者に専門分野があるように、弁護士にも得意分野があります。弁護士の公式サイトを見て、相続問題に精通している弁護士がいるかを確認すると良いでしょう。また、相続問題の解決事例が豊富に載っている弁護士事務所を選ぶのもおすすめです 。
弁護士に依頼した場合の費用は自由化されているため、事務所によってさまざまです。
着手金が固定料金の事務所もあれば、請求額によってパーセンテージが変動する仕組みの事務所もあり、タイムチャージ制(処理した時間によって費用が決まる)を導入している事務所もあります。
相談者の状況によってどの料金体系が良いかはまちまちなので、一概にどれが良いとは言えません。
しかしながら、公式サイト上で弁護士費用の料金体系がしっかりと明示されている事務所や、いくつかの料金体系を選択できる事務所に頼むと安心と言えるでしょう。
遺留分について相談する弁護士を選ぶために重視するポイントとして最後にお伝えするのは、初回相談時の対応が良いかどうかです。
具体的に、以下のような対応をしてくれる弁護士なら、安心して依頼できる弁護士と判断して問題ないでしょう。
良い弁護士の対応例 ❶相談者(あなた)の話にしっかりと耳を傾けてくれる ❷相談者(あなた)が望む結果を得られる解決策を提示してくれる ❸具体的にどの程度の遺留分の額を取り返せそうかを教えてくれる ❹もし調停や裁判になった場合に勝てそうかどうか教えてくれる ❺実際にかかる費用がいくらぐらいになるか明確に教えてくれる |
逆に、あなたの話を適当に聞くような弁護士や、費用について詳細に説明してくれないような場合は、その弁護士に依頼するのは辞めておいた方が良いでしょう。
これまで、遺留分を請求する方に向けて、弁護士に依頼するメリットなどをお話ししてきましたが、逆に、遺留分を請求された場合に弁護士に依頼するメリットはあるのでしょうか。
結論からいいますと、以下のようなケースでは、遺留分を請求された側も、弁護士に依頼するメリットがあります。
以下で細かく説明していきます。
もし、遺留分を支払う側に特別受益にあたる生前贈与があれば、請求者側のもらえる金額が増えるため、請求者側は積極的に特別受益にあたる生前贈与の存在を主張するでしょう。
しかし、特別受益は、それを主張する側が客観的な証拠により立証する必要があります。また、単に生前贈与を受けていただけでなく、それが「特別受益」と評価される程度のものである必要がありますし、期限があるものもあります。
それにもかかわらず、単に「生前贈与がある」とだけ主張され、請求額を増やされてしまうのは、請求される側にとっては困ります。
そんな時、弁護士であれば、上記のような主張立証の構造や、「特別受益」に該当する程度の生前贈与なのかどうかについて、法的観点から説明できますので、請求する側も納得しやすいでしょう。
遺留分を請求された側は、遺留分侵害額請求に対しては、原則としてお金を支払うことで解決をしていくことになります。
そうすると、できるだけ遺留分の基礎となる財産の「評価額」は下げた方が、支払うお金を少なくすることができます。
特に問題となるのが、不動産の評価額です。不動産の評価額には、固定資産評価額、路線価、実勢価格など、いくつかあります。どの評価方法を用いるかによって、不動産の評価額は大きく変わります。
遺留分の請求者側が、不当に高額な不動産評価額を主張しているような場合には、請求された側も弁護士を入れることで妥当な評価額とする方向で交渉することが可能です。
遺留分の請求者側が弁護士をつけて遺留分を請求してきた場合、「相手の主張している請求額が妥当なのか?」と不安になるのではないでしょうか。相手は法律のプロであり、交渉のプロですから、素人が太刀打ちするのは困難でしょう。
また、弁護士だからといって、妥当な遺留分額を算出するとは限りません。この場合の弁護士は、あくまで、遺留分請求者の代理人として動いているため、相場以上の金額を請求してくることも十分に考えられます。
「相手の主張する請求額が妥当なのか?」と不安になった場合は、こちらも弁護士をたて、請求額の妥当性を検証し、支払額を減額する方向の交渉をしてもらうことが有益でしょう。
遺留分を請求する側のメリットと同様、遺留分を請求された側にとっても、交渉窓口を弁護士にすることで、精神的な負担を免れることができます。
特に、請求する側が感情的な主張に終始する場合は、交渉窓口を弁護士にすることで法的観点から交渉をすることが可能になり、請求する側も納得する可能性が高まります。
もし、遺留分侵害額請求の調停や訴訟に発展している場合、不利益な結果となることを防ぐため、裁判所への出廷、主張書面の作成、証拠の収集などが必要になります。
闇雲に言いたいことを言うだけでは、有効な主張にはなりません。
遺留分侵害額を下げる方向での法的な主張立証をしなければ意味がありませんので、この段階になれば、弁護士に入れた方が法的に有効な主張立証ができます。
遺留分を請求された場合の弁護士費用の相場はいくらでしょうか。
法律事務所によりますが、遺留分を請求された側の弁護士費用は、主に以下のような費用パターンが多いでしょう。
遺留分を請求される側にとっては、ただでさえ遺留分権利者にお金を払う可能性があるのに、弁護士費用まで支払うとなると、手出しが大きくなってしまい損すると考える方もいるでしょう。
そのため、ご自身の状況、希望、相手の請求額、遺留分の基礎となる財産の額などによって、もっともメリットがありそうな費用体系を選ぶようにしましょう。遺留分を請求される側の弁護士費用は、個別の事案によって幅がありますので、いくつかの法律事務所と相見積もりをとってみることをおすすめします。
弁護士に状況を詳細に説明すれば、どれくらい減額できそうか、弁護士を入れるメリットがあるのかどうかを説明してくれるはずですので、まずはいくつかの弁護士に相談をしてみることが有益です。
遺留分侵害額請求・請求された場合のご依頼は当事務所へ
遺留分についてのお悩みがあれば、ぜひ弁護士法人サリュの無料相談をぜひご利用ください。当事務所は、創業当時に一般的だった「法律相談は30分5,000円」という常識を打ち破り、いち早く無料法律相談を実施してきました。
実りある時間にしていただくため、事前にしっかりとお電話でヒアリングさせていただき、事前準備をした後に無料相談を行うようにしています。そのため、今後の見通しや取るべき方策までしっかりご説明できるのが強みです。
弁護士法人サリュの解決事例 |
Vさんは、兄弟のWさんとの間で、お父様の遺産をめぐり相続トラブルになっていました。 Vさんは、お父様の遺産が聞いていた金額と比べ物にならないほど減っていたことに気づき、大変驚かれていました。 しかも、お父様が作られた遺言書は、遺産をすべてWさんに相続させる内容になっていました。 そこで、Vさんは遺産がもらえないかもしれないと不安になり、サリュへ相談して、Wさんとの交渉をお任せいただきました。 サリュは、Wさんに対して、遺留分侵害額請求を行いました。また、並行して、お父様の生前の預金の流れを調査しました。 すると、Wさんが、お父様の生前に、お父様から多額の贈与を受けていたことが明らかになったのです。 そこで、サリュは、Wさんへの生前の贈与の額を遺産に加えて遺留分侵害額を計算し、Wさんと交渉し、無事、返還を受けることができました。 弁護士法人サリュの解決事例 |
遺留分でお悩みの方は、どんなことでもどうぞお気軽にご相談いただければ幸いです。
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この記事では、遺留分侵害額請求や、遺留分に関するトラブルについて、弁護士に相談すべきかどうか、依頼した場合の費用などについて詳しく解説してきました。
以下のような場合は、当人同士での解決が難しいケースが多いため、お気軽にまずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
遺留分を弁護士に依頼すべきなケース ❶相手方が支払いを拒否しており、問題が長期化しそうな場合 ❷相続財産や生前贈与などの全体像が掴めない場合 ❸忙しくて遺留分の請求や調停などの準備ができない場合 ❹遺留分の割合や計算方法が分からない場合 ❺相手方との関係が悪く、交渉が面倒な場合 ❻遺留分の時効の完成が心配な場合 ❼相手方が取得した遺産を処分して無資力になってしまう可能性がある場合 |
「侵害されている遺留分を取り返したい」と思っている場合、ほとんどのケースで既に相手方との交渉が難しい局面を迎えていると想定されます。話し合いで解決できる問題ならば、とっくに解決できているはずだからです。相手方が遺留分の支払いを拒否しているなら、なるべく早い段階から弁護士に依頼し、スピーディーに問題を解決する流れを作ることが大切です。
他方で、遺留分を請求された場合に弁護士を入れるべきケースについても解説しました。
遺留分を請求された場合に弁護士に依頼するべきケース ❶特別受益がないにもかかわらず「特別受益がある」と言いがかりをつけられている ❷遺留分の基礎となる財産の評価額を下げたい ❸遺留分の請求者が弁護士をつけてきた ❹遺留分の請求者とやりとりしたくない ❺遺留分侵害額請求の調停・訴訟に発展している |
感情的な争いになり、深刻化する前に、まずは弁護士に相談してみましょう。
ぜひ今回の記事を参考にしていただき、あなたの遺留分問題が納得の行く結果に収まることをお祈りしております。