【あなたに合う】兄弟での土地の相続方法が分かる!手順と方法

この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「親が亡くなり、土地が残された。兄と二人で相続することになったが、兄弟で土地の相続はどのように進めていけばいいのか。」

不動産は分割方法や評価の仕方が難しく、加えて、相続人が公平に分け合うべき兄弟である場合、どのように遺産分割すれば円満に相続できるか不安に思う方も多いでしょう。

土地を相続する場合、換価分割・代償分割・現物分割(分筆含む)・共有分割の4つの遺産分割方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、向いているケースが異なります。土地の状態や相続人の希望などを考慮し、自分たちの相続の状況に合った分割方法を選ぶようにしましょう。相続人が兄弟同士であっても、選び方は変わりません。

しかし、兄弟と意見が合わず、遺産分割がなかなか進まないことも考えられるでしょう。その場合でも、面倒だからと放置せずに、話し合いを重ねて早めに相続手続きを進めるようにしてください

なぜなら、土地の所有者が亡くなると、土地はいったん相続人全員の共有状態になりますが、共有状態のままだと様々なトラブルが起こりやすくなるからです。

たとえば、遺産分割する前に兄弟が亡くなってしまうと、その兄弟の相続人となる配偶者と子どもたちが新たに土地の所有者に加わります。土地の所有者が増えると、さらに遺産分割が難航してしまいます。

このような事態を避けるためにも、早めに遺産分割方法を決め、土地の共有状態を解消しましょう。

本記事では兄弟での土地相続について下記ポイントをお伝えしていきます。

本記事で分かること
・自分たちに合った土地の分割方法の選び方&手続きの進め方
・兄弟で意見が分かれた場合の解決策
・遺産分割を放置してはいけない理由

本記事を読めば、自分たち兄弟に合った土地の分割方法を決めることができ、さらに手続きを始められるようになります。

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

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目次

【診断表】あなたに合った兄弟で土地を分ける方法

ひとつの土地に対して複数相続人がいる場合、遺産分割(遺産の分け方)の方法は下記3通りあります。

【土地の遺産分割方法】

分割方法

内容

換価分割

土地を売却して、売却益を相続人たちで分配する方法

土地を売却し、売却益2000万円を長男と次男で分ける

代償分割

相続人の一人が土地を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法

長男が2000万円の土地を相続し、次男に代償金を1000万円支払う

現物分割・分筆

現物をそのまま配分する分割方法

土地の場合は分筆(一つの土地を二つ以上に分けて登記する方法)することも現物分割の一つ。

土地Aは長男に、土地Bは次男に、預貯金は三男に、それぞれ配分して分割するなど。

分筆の場合は、200㎡の土地を、長男と次男で100㎡ずつ分けるなど

共有分割

一つの土地を複数人が共同して所有する方法

土地を長男と次男が持分1/2ずつに分けて所有する

この換価分割・代償分割・現物分割(分筆含む)・共有分割の中でどの方法を選ぶべきかは、土地の状態や相続人の希望など、相続の状況によって異なります

そこで、ケース別のおすすめの分割方法を下表にまとめました。自分たちにあてはまるケースの遺産分割方法を選べば、相続人全員が納得できる相続を実現しやすいでしょう。

【遺産分割方法の診断表:ケース別のおすすめ方法】

分割方法

向いているケース

換価分割

・土地を売却してもいいケース

・公平に遺産分割したいケース

・相続税の資金が足りないケース

代償分割

・土地を欲しい人がいるケース

・手間や費用をかけたくないケース

・土地を相続する人が、代償金を支払える資力があるケース

現物分割
分筆(※)

現物分割なら、

・土地や建物が複数あるケースで、それぞれ欲しい不動産が異なっているケース

・土地や建物を欲しい人と、預貯金が欲しい人がいて、欲しい相続財産が被っていないケース

分筆なら、

・土地を欲しい人が複数人いるケース

・分筆しても土地の価値が下がりにくいケース

共有分割

・上記3つの土地分割方法を選べないケース

分筆は可能な土地の条件が限られている

とはいえ、上表を見ても分割方法を選べない人も多いと思います。たとえば「土地は売却したくないけど、相続税の資金がない」など、あてはまる項目が複数にまたがる場合は、どの方法を選ぶべきか悩んでしまいますよね。

次章以降では、換価分割・代償分割・現物分割(特に分筆)・共有分割について、さらに詳しく解説していきます。各分割方法について向いているケース・メリット・デメリットを理解できれば、どの方法が自分たちに合っているか選ぶことができるしょう。

なお、すでにどの方法で遺産分割するか決まった場合は、手続きを始められるよう「進め方」を読み進めていってください。

下記のリンクから各遺産分割方法の「進め方」へ移動できます。

換価分割の進め方
代償分割の進め方
現物分割(分筆)の進め方
共有分割の進め方

表を見ても4つの分割方法を選べず、相続のプロからアドバイスがほしい方は、当事務所にお気軽にお問合せください。相続に強い弁護士が、家族にとって最適な遺産分割方法をご提案いたします。
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兄弟で土地を分ける方法①換価分割

換価分割とは、土地を売却して、その売却益を相続人たちで分配する方法です。

土地という等分しづらいものを、お金に換算して分けることができるため、分割方法の中で最も公平に分けやすい方法です。もめ事に発展しづらく、円満に手続きを進められます。

換価分割について、下記内容を見ていきましょう。換価分割を選ぶべきかどうか、選んだ場合の手続きの進め方を理解できるようになります。

【換価分割について】

・換価分割が向いているケース
・換価分割のメリット
・換価分割のデメリット
・換価分割の進め方

換価分割が向いているケース

下記のケースにあてはまる場合は、換価分割が向いています。

【換価分割が向いているケース】

・土地を売却できるケース
・公平に遺産分割したいケース
・相続税の資金が足りないケース

■土地を売却できるケース

今後誰もその土地に住む予定がない場合や、土地活用できる見込みがない場合など、土地を持て余すため売却してもいいと考えるケースは、換価分割が向いています。

■公平に遺産分割したいケース

兄弟で遺産を公平に遺産分割したい場合は、換価分割が最適です。

親の遺産に対し、兄弟姉妹は全員が同等の相続の権利を持っています。しかし、土地は現物ひとつしかないので、平等に分割するのは簡単ではありません。

そこで、土地を売却して現金に換金することにより公平に分けることが可能になります。

■相続税の資金が必要なケース

相続税として納める資金が足りず、現金を調達しないといけないケースも、換価分割を検討するようにしましょう。

遺産分割が解決できる上に、納税資金も準備できます。相続税は遺産の総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」を超えると課税されます。

たとえば、相続人が兄と弟の2人なら、遺産額が4200万円(3,000万円+600万円×2人)以上なら相続税を納めなければいけません。税率は10%〜55%で、遺産額が上がるにつれ税率も高くなります。

換価分割のメリット

換価分割には次のようなメリットが挙げられます。

【換価分割のメリット】

・公平に遺産分割できる
・現金を得られる

■公平に遺産分割できる

換価分割は公平に遺産分割できる点が大きなメリットです。土地を売却して得た売却金を、兄弟全員で等分できるので、分け方に悩む必要はありません。

兄弟間で不満が生まれにくく、もめ事に発展しづらいため、最も円満に相続できる方法です。

■現金を得られる

土地を売却できれば相続人たちは現金を得ることができます。相続税もそのお金から納められるので、相続人たちは自ら納税資金を用意する必要がなく、負担が軽減されます
(※売却金で相続税を支払おうと考えている場合は注意が必要です。相続税の申告期限は10ヶ月と決まっているため、売却手続きは急いで進める必要があります。)

換価分割のデメリット

換価分割は大きなメリットがある一方で、次のようなデメリットも挙げられます。

【換価分割のデメリット】

・売却に手数料や譲渡所得税がかかる
・現金が入手できるまでに時間がかかる

■売却に手数料や譲渡所得税がかかる

土地を売却するには、様々な費用や税金が発生します。一般的には土地の売却価格の4~6%(金額で示すと100万円~数百万円)ほどかかるでしょう。

そのため換価分割は、土地そのままを相続するよりも、売却にかかる費用の分、資産の価値が目減りすることになります。たとえば土地のままなら4000万円の資産価値があっても、売却に200万円ほどかかると、受け取れる価値は3800万円に下がってしまうのです。

土地売却にかかる主な費用を下表にまとめました。下記以外にも、土地の種類や条件によっては追加の費用が必要になってくるでしょう。

【土地を売却するのにかかる主な費用】

費用項目

内容

費用目安

(一般的な土地の場合)

譲渡所得税

土地売却による利益に課される税金(※1

数十万円~数百万円

不動産仲介手数料

仲介業者に支払う手数料

土地の売買価格×3%+6万円

印紙税

売買契約書を作成したときに課される税金

数千円~数万円

測量費用

土地を売却する場合に必要

10〜20万円

※1譲渡所得税は、売却価格から取得費用・売却費用を引いた額が、控除額を超える場合に課税される(詳しい計算方法:No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁)。

■現金が入手できるまでに時間がかかる

土地を売却して現金を入手できるまでには時間もかかります。

売却までには様々な手続きを経なければならず、買い手がすぐに見つかるとも限りません。スムーズに進んだとしても、半年近くかかるでしょう。

換価分割の進め方

換価分割を選んだ場合、どのように相続手続きを進めていけばいいのかを見ていきましょう。

換価分割は次の流れで進めていきます。

【換価分割の進め方】

STEP1.遺産分割協議にて換価分割で相続することを決定する
STEP2.遺産分割協議書を作成する
STEP3.相続登記をする
STEP4.売却手続きをする
STEP5.売却金を受け取る
STEP6.相続人間で売却金を分配する(単独登記の場合)

STEP1.遺産分割協議にて換価分割で相続することを決定する

遺産を整理したら、最初にすべきことは遺産分割協議を開くことです。

遺産分割協議とは、「遺産をどのように分けるか」について話し合い、合意することで、相続人全員が参加する必要があります。必ずしも対面で行う必要はなく、オンラインや書面のやりとりで進めても問題ありません。

その遺産分割協議で、土地の分割方法は換価分割にすることを選び、全員の合意を得ます。なお、一人でも合意しない人がいれば、遺産分割協議は成立しません

意見が分かれた際の対処法については、「分割方法で兄弟の意見があわない場合の解決策」の章で解説していきます。

STEP2.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議がまとまったら、取り決めた内容を文書に記します。その文書を遺産分割協議書と呼び、今後の相続手続き(登記や相続税申告など)で必要になってきます。

遺産分割協議書に決まった形式はありませんが、文書を有効にするためには下記ポイントを守って作成するようにしましょう。

【遺産分割協議書作成のポイント】

相続人全員の住所・署名を入れ、実印で押印する(重要)
・財産名は正確に記載する(土地なら登記事項証明書通りに書く)
・亡くなった人の氏名・生年月日・死亡日・本籍地・最後の住所地を正確に記載する
・協議が成立した年月日を記載する

STEP3.相続登記をする

遺産分割協議書が作成できたら、法務局で相続登記を行います。

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合、名義を相続人に変更する手続きのことです。

「土地を売却するのなら相続登記は不要では?」と思うかもしれませんが、亡くなった人の名義では土地を売却することはできません一度相続人に名義を変更してからでないと売却は進められないのです。

売却のための相続登記は、共同登記か単独登記の2つの方法があります。それぞれどのような特徴があるのか、下表で比べてみましょう。

【共同登記】

共同登記とは名義を複数の相続人に変更する
メリット負担やリスクが平等
デメリット手続きが煩雑化(全ての手続きに全員の合意と押印が必要になるため)

【単独登記】

単独登記とは名義を相続人の代表者1人に変更する
メリット手続きがスムーズ
デメリット・代表者に負担がかかる
・代表者が他の人の意見を聞かず勝手に手続きを進めたり、売却金を使い込んだりするリスクがある

どちらの方法で登記するか決まったら、必要書類を集めて法務局で手続きを行いましょう。手続きは下表を参考にしながら進めていくようにしてください。

【相続登記の手続き】

申請先

土地の所在地を管轄する法務局(管轄のご案内:法務局

必要書類

・遺産分割協議書

・亡くなった人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)

・亡くなった人の住民票の除票

・相続人全員の戸籍謄本

・相続する人の住民票

・相続人全員の印鑑証明書

・固定資産評価証明書

費用

・登録免許税(固定資産評価額の0.4%

・必要書類の取得費用(数千円)

詳細

相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック):法務局

相続登記は専門家に依頼することも可能です。その場合、報酬として5~15万円ほど追加費用がかかります。

STEP4.売却手続きをする

土地の名義を相続人に変更できたら、売却手続きに移りましょう。

まずは不動産会社に土地の査定を依頼します。土地を適正な価格で売却するためには、複数の不動産会社に依頼して比較検討しましょう。インターネット上で一括査定サービスのサイトから申し込むと、手間も時間も省けて便利です。

不動産会社が決まったら、土地の売却を依頼する契約(媒介契約)を結んで、売却のための活動を進めてもらいます。

買い手が見つかると、売買契約を結びます。その後無事引き渡しが終われば、売却は完了です。

STEP5.売却金を受け取る

売却金は、売買契約の時と、土地引き渡しの時の2回に分けて受け取るのが一般的です。

最初に売買契約の時に、手付金として5~10%ほど支払われ、引き渡しの時に残りの金額が支払われます。

なお、仲介手数料も同じタイミングで2回に分けて支払います。

STEP6.相続人間で売却金を分配する(単独登記の場合)

売却金を受け取ったら、相続人間で分配しましょう。

ただし、譲渡所得税がかかる場合、支払うタイミングは売却の翌年です。売却金を分配した後で納付することになるので、あらかじめ譲渡所得税の分を差し引いた額で分配するようにしましょう。

相続手続きに不安がある場合や、自分たちで行う時間がない場合は、専門家に相続手続きを任せることも可能です。当事務所では、相続人調査・相続財産調査・遺産分割協議書作成など、各種手続きを代行しております。まずはお気軽にお問合せください。
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兄弟で土地を分ける方法②代償分割

代償分割とは、相続人の一人が土地を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です。

たとえば相続人Aが3000万円の土地を相続し、相続人Bと相続人Cにそれぞれ1000万円の現金を渡します。

代償分割は土地をそのまま残すことができる一方で、評価額や代償金の支払いをめぐってトラブルが起こるリスクがあります。

代償分割について、下記内容を見ていきましょう。代償分割を選ぶべきかどうか、選んだ場合の手続きの進め方を理解できるようになります。

【代償分割について】

・代償分割が向いているケース
・代償分割のメリット
・代償分割のデメリット
・代償分割の進め方

代償分割が向いているケース

下記のケースにあてはまる場合は、代償分割が向いています。

【代償分割が向いているケース】

・土地を相続する人が、代償金を支払える資力があるケース(必須条件)
・土地を欲しい人がいるケース
・手間や費用をかけたくないケース

■土地を相続する人が、代償金を支払える資力があるケース(必須条件)

土地を相続する人に、代償金を支払えるだけの十分な資力があることは必須条件です。資力がないなら、代償分割を選ぶべきではありません。

代償金を用意できないのに無理やり進めると、後で支払いが滞ってトラブルの原因になります。

必ず「代償金を支払える資力がある」時のみこの方法を選択するようにしましょう。

なお、一人あたりに渡す代償金の金額は、土地の価額を人数で割った額が目安ですが、兄弟全員が納得するのであれば自由に決めて問題ありません。

■土地を欲しい人がいるケース

土地を欲しい人がいる場合は、代償分割が向いています。

土地を欲しい人は土地を取得でき、土地をいらない人は代わりに代償金を得られるので、双方が納得しやすい分割方法でしょう。

兄弟の一人が親の家で同居していたケースなどは、他の兄弟に代償金を支払うことで、引き続き家に住み続けることができます。

■手間や費用をかけたくないケース

手間や費用をかけたくないケースも、代償分割に向いています。

代償分割は、土地の評価方法などでもめなければ、特段手間や時間・費用がかかる工程はありませんスムーズに進めば土地を得る人・代償金を受け取る人双方とも、数日~数週間で完了するでしょう。代償分割のために発生する費用もほとんどありません

一方で、換価分割は土地を売却するのに手間も費用もかかります。売却して現金を得るまで最低でも半年以上、費用は100万円以上かかるでしょう。

分筆も、測量・境界線設置・図面作成など、すべきことがたくさんあります。分筆登記完了まで1ヶ月以上、費用も約40万円以上かかる見込みです。

代償分割のメリット

代償分割には次のようなメリットが挙げられます。

【代償分割のメリット】

・土地を売却しなくてよい
・特例が利用できれば節税になる

■土地を売却しなくてよい

土地を売却しなくてすむのが代償分割の最大のメリットです。親の家で親と同居していた子どもにとっては、代償分割で相続できればそのまま住み続けることができます。

■特例が利用できれば節税になる

「小規模宅地等の特例」が利用できれば、相続税の節税につながります。

相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」を超えると課税されます。しかし、「小規模宅地等の特例」が利用できるなら、土地の相続税評価額を最大80%減額することができるのです。

特例は下記要件を全て満たしていれば利用できます。

【小規模宅地の特例を利用できる要件(相続人が子どもの場合)】

①亡くなった人が自宅として使っていた土地であること
②相続する子どもが相続発生前から相続税申告期限まで自宅に居住していること

※同居の相続人がいない場合は、別居している子どもでも持ち家がなければ利用可能

詳細が知りたい場合は、国税庁のホームページでご確認ください(No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁)。

代償分割のデメリット

代償分割は大きなメリットがある一方で、次のようなデメリットも挙げられます。

【代償分割のデメリット】

・土地の評価額でもめやすい
・代償金の支払いでもめやすい

■土地の評価額でもめやすい

代償分割は、土地の評価額でもめやすい傾向があります。

土地の評価額を決めるには複数の方法があります。そのため、どの方法で算出するかを巡って、相続人同士で対立してしまうことが非常に多いのです。

たとえば父親が亡くなり、父親の家を長男が相続し、次男・三男に代償金を支払うことで話がまとまったとします。その場合、代償金の支払い額を決めるために、まずは土地に価額をつけなければいけません。

しかし、代償金を支払う長男にとっては、評価額が低くなる評価方法の方が、支払う代償金が少なくてすみます。逆に、代償金を受け取る次男・三男にとっては、評価額が高くなる評価方法の方が、代償金を多く受け取ることができます

このように、代償金を支払う側と受け取る側では利害が相反するので、トラブルに発展しやすくなるのです。

土地の評価額の決め方については、STEP2.土地の評価額を出し、代償金額を決めるで見ていきましょう。

■代償金の支払いでもめやすい

代償金の支払いを巡っても、もめ事になるケースが少なくありません。

「代償金にあてる現金がないことを隠していた」「分割払いにしていたが途中から支払いが滞ってきた」など、様々な理由で代償金が支払われないことがあります。

繰り返しますが、代償分割にする場合は、土地を相続する人に代償金を支払うだけの資力があるかどうかを確認することが大切です。分割払いはなるべく避けましょう。

支払われない対策については、STEP3.遺産分割協議書を作成するで詳しく紹介していきます。

代償分割の進め方

代償分割を選んだ場合、どのように相続手続きを進めていけばいいのかを見ていきましょう。

代償分割は次の流れで進めていきます。

【代償分割の進め方】

STEP1.遺産分割協議にて代償分割で相続することを決定する
STEP2.土地の評価額を出し、代償金額を決める
STEP3.遺産分割協議書を作成する
STEP4.相続登記を行い、代償金を支払う

STEP1.遺産分割協議にて代償分割で相続することを決定する

換価分割のSTEP1.遺産分割協議にて換価分割で相続することを決定すると同じように進めてください。

STEP2.土地の評価額を出し、代償金額を決める

代償分割にすることが決まったら、代償金額を決めるために、土地の評価額を出しましょう。

遺産分割における土地の評価方法に決まりはなく、相続人たちで自由に決めて問題ありません。土地の評価方法は下記4つの方法が主流であり、この中から選ぶのが一般的です。

・実勢価格(取引価格)

・地価公示価格

・路線価

・固定資産税評価額

それぞれの特徴をまとめると下表の通りです。

【土地の評価方法】

評価方法

特徴

実勢価格(取引価格)

・実際に市場で売買取引が成立する価格

遺産分割調停や審判で採用されやすい

・不動産仲介業者や不動産鑑定士に査定・鑑定してもらう

地価公示価格

・国土交通省が毎年3月頃に発表

・同地区の近い条件の物件を基準にしている

路線価

・国税庁が定めた路線価図によって算出

固定資産税評価額

・固定資産税通知書に記載されている

一般的に、評価額は高い順から実勢価格>公示価格>路線価>固定資産税評価額となります。

この4つの中では、実勢価格が裁判所で採用されることが多いため、話し合いでも実勢価格で決めるのが主流です。

しかし、一人でも反対する相続人がいる場合は、全員が合意できるまで話し合わなければいけません。

スムーズに話し合いを進めるためには、お互いが主張する方法の評価額の平均値をとるなど、譲り合う姿勢が大切でしょう。

それでも話し合いがまとまらなければ、遺産分割調停を申し立てて決着をつけることになります。遺産分割調停については、5章で紹介していきます。

なお、土地の評価方法に関する詳細は下記の記事で紹介しています。各評価方法におけるおおよその評価額を算出できるので、土地がいくらか気になる場合は参考にしてみてくださいね。

STEP3.遺産分割協議書を作成する

土地の評価額と代償金額が決まったら、遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書の基本的な書き方については、換価分割のSTEP2.遺産分割協議書を作成するを参考にしてください。

代償分割の場合、代償金の支払いに関する取り決めも遺産分割協議書に盛り込むことが重要です。そうすることで、代償金に関するトラブルの防止につながります。

代償分割における遺産分割協議書作成のポイントを下記にまとめました。

【代償分割における遺産分割協議書作成のポイント】

①代償金の支払い方法と期日を取り決めて記載する
②支払いが滞った場合の対処法も記載する
③公正証書として作成する

①と②は必ず実行してほしい内容ですが、③については、支払いに不安がある場合に取り組みましょう。

公正証書として遺産分割協議書を作成すると、「代償金が支払われない場合は、強制執行に服する」という文言を入れることが可能です。この一文があれば、支払いが行われない場合、ただちに強制執行を行うことができます。

公正証書で作成する場合は、下記日本公証人連合会のホームページを参考にしながら進めてください。

3 遺産分割協議 | 日本公証人連合会

STEP4.相続登記を行い、代償金を支払う

遺産分割協議書が作成できたら、その内容通りに手続きを進めていきましょう。相続登記については換価分割のSTEP3.相続登記をするの単独登記を参考にしてください。

兄弟で土地を分ける方法③現物分割(特に分筆)

分筆とは、一つの土地を二つ以上に分けて登記することで、現物分割の一種です。

たとえば200㎡の土地を、長男と次男で100㎡ずつ分ける分割方法です。

※現物分割とは…資産をそのままの状態で分けること。資産が複数ある場合に選択できる方法(例:長男が実家を、次男が株を、三男は現金を相続する)

分筆はそもそも可能な土地が限られています相続した土地が条件にあてはまる場合のみ、検討するようにしましょう。

分筆について下記内容を紹介していきます。

【分筆について】

・分筆が向いているケース
・分筆のメリット
・分筆のデメリット
・分筆の進め方

分筆が向いているケース

まずは相続する土地が分筆できるかどうかを確認しなければいけません。

下記にあてはまる土地は、そもそも分筆ができないからです。

【分筆できない土地】

・条例で分筆が禁止されている
・分筆すると条例で定められた1筆の土地の最低面積を下回る
・土地の面積が0.01㎡未満になる
・隣の土地の所有者と境界トラブルがある
・分筆すると道路に面しない
・または面する長さが2m未満である土地がある

上記にはあてはまらず、一方で下記にあてはまるケースであるなら、分筆を検討してみるとよいでしょう。

【分筆が向いているケース】

・複数の相続人が当該土地を相続したいケース
・分筆しても土地の価値が下がりにくいケース

複数の相続人がその土地の所有を望み、なおかつ分筆しても土地の価値が下がりにくいなら、分筆は良い解決策です。

土地の価値が下がりにくいとは具体的に、分筆しても十分な広さがあること、使い勝手が悪くならないことなどが挙げられます。

分筆のメリット

分筆には次のようなメリットが挙げられます。

【分筆のメリット】

・一つの土地を取り合わなくてすむ
・税金が安くなることがある

■一つの土地を取り合わなくてすむ

相続する土地を取り合わなくてすむという点が分筆の最大のメリットです。

「亡くなった人の土地を自分が相続したい」という相続人が複数いても、それぞれが土地を取得することができるので、土地を巡る争いを避けることができます。

土地の活用方法でもめることもありません。たとえば相続人Aは土地を売却したいと考え、相続人Bは自分の家を建てたいと考えていた場合、分筆すれば各自が自分の望み通りに土地活用することが可能です。

■税金が安くなることがある

分け方によっては、土地にかかる税金が安くなることがあります。

たとえば大通りに面している土地の場合、大通りに面している土地と面していない土地に分ければ、大通りに面していない土地の評価額は下がります。その結果、固定資産税や相続税が安く抑えられるのです。

分筆のデメリット

一方、分筆には次のようなデメリットも挙げられます。

【分筆のデメリット】

・完全に公平に分けるのは難しい
・分筆のために費用がかかる

■完全に公平に分けるのは難しい

一見公平に見える分け方ですが、土地を完全に公平に分けるのは難しい場合が多いです。

一つの通りに面した完全四角の土地なら別ですが、そう単純に分けられる土地ばかりではないでしょう。不整形、面する道路の数、日当たり、隣地の地目など、分筆すれば価値に差が生じる土地が大半です。

先ほどメリットで「一つの土地を取り合わなくてすむ」と挙げましたが、境界を巡ってもめる可能性は十分にあるでしょう。

できる限り公平に分筆するには、土地家屋調査士に相談しながら境界を決めることが大切です。

■分筆のために費用がかかる

分筆で遺産分割するなら、別途分筆のために費用がかかってきます。土地の内容にもよりますが、平均して約40万~80万円ほどかかるでしょう。

主な費用項目は下記の通りです。

【分筆のためにかかる主な費用】

費用項目内容費用目安 (一般的な土地の場合)
測量費土地の長さ・面積を測定10万円~
筆界確認書作成費測量後、土地家屋調査士が作成する合意書10万円~
官民境界確定図作成費測量後、土地家屋調査士が作成する図面10万円~
境界標設置費測量後、土地家屋調査士が設置10万円~

分筆の進め方

分筆を選んだ場合、どのように相続手続きを進めていけばいいのかを見ていきましょう。

分筆は次の流れで進めていきます。

【分筆の進め方】

STEP1.遺産分割協議にて分筆で相続することを決定する
STEP2.土地家屋調査士に依頼し、測量・分筆登記などを行う
STEP3.遺産分割協議書を作成する
STEP4.相続登記を行う

境界が決まっている場合は、完了まで約1ヶ月が目安ですが、境界が決まっていない場合は、数ヶ月以上かかることがあります。

STEP1.遺産分割協議にて分筆で相続することを決定する

換価分割のSTEP1.遺産分割協議にて換価分割で相続することを決定すると同じように進めてください。

STEP2.土地家屋調査士に依頼し、測量・分筆登記などを行う

分筆することが決まったら、分筆の一連の作業を任せられる土地家屋調査士を探しましょう。

土地家屋調査士とは、主に土地の調査と測量・登記申請の代行・境界特定の手続きなどを請け負います。

土地家屋調査士は日本土地家屋調査士会連合会のホームページから検索可能です。

土地家屋調査士に相談する

STEP3.遺産分割協議書を作成する

分筆登記が完了すると、それぞれの土地に地番が割り振られます。

このタイミングで相続人全員がもう一度集まり、それぞれの地番を記載した遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の作成方法については、換価分割のSTEP2.遺産分割協議書を作成するを参考にしてください。

STEP4.相続登記を行う

遺産分割協議書と官民境界確定図をもって、相続登記を行えば、手続きは完了です。

相続登記については換価分割のSTEP3.相続登記をするの単独登記を参考にしてください。

兄弟で土地を分ける方法④共有分割

共有分割とは、一つの土地を複数人が共同して所有する分割方法です。

共有分割にすれば、相続争い自体は避けられるものの、土地の活用や費用負担などを巡ってトラブルが起こりやすくなります。

そのため共有分割は、他の分割方法で進められないときの一時的な相続方法としてとらえ、将来的には共有分割の状態は解消するようにすべきです。

共有分割について、下記内容を見ていきましょう。

共有分割を選ぶべきかどうか、選んだ場合の手続きの進め方を理解できるようになります。

【共有分割について】

・共有分割が向いているケース
・共有分割のメリット
・共有分割のデメリット
・共有分割の進め方

共有分割が向いているケース

共有分割が向いているのは、先に紹介した3つの土地分割方法を選べないケースです。

他の分割方法を選べず、遺産分割協議がまとまらない場合の手段として、ひとまず共有分割で相続するという選択肢があります。

一般的に、共有分割はリスクが大きいので選ばれません(詳細は後述)。遺産分割調停や審判の場でも、土地の相続は換価分割・代償分割・現物分割(分筆含む)で調整されます。

これら3つの分割方法いずれも選べない場合に、「とりあえず」の対処法として、共有分割を採用して遺産分割協議を終わらせることができるのです。

共有分割は遺産分割の最終着地点とはならないので、引き続き相続人同士で話し合いを続ける必要があります。

共有分割のメリット

共有分割には次のようなメリットが挙げられます。

【共有分割のメリット】

・土地を売却しなくてよい
・公平に遺産分割できる
・費用や手間がかからない

■土地を売却しなくてよい

共有分割なら土地を売却しなくてすみます。

親の家で親と同居していた子どもにとっては、共有分割で相続できれば、そのまま住み続けることができるでしょう。

■公平に遺産分割できる

完全に公平に遺産分割できる点も共有分割のメリットです。

共有分割なら、各相続人の相続分通りに、土地の持分を分割することができます

たとえば、相続人が長男・次男・三男の3人である場合、長男1/3・次男1/3・三男1/3と、持分を完全に等分できます。

■費用や手間がかからない

共有分割は、他の土地分割方法よりも費用や手間がかかりません。

相続人の代表者が登記を行えばそれで手続きは完了です。

費用面でも、発生するのは登録免許税(固定資産評価額の0.4%)のみで、これはどの分割方法を選んでもかかる項目です。

共有分割のデメリット

共有分割には、他の分割方法にはないデメリットがいくつか挙げられます。

【共有分割のデメリット】

・土地を活用しづらい
・税金や維持費の負担方法でもめる
・相続人が増えて収拾がつかなくなる

■土地を活用しづらい

土地を複数人で所有していると、一人が「土地を活用したい」と思っても、活用を実現するのは難しくなります。

土地を活用するには共有者全員の同意が必要になります。たとえば誰かが「実家を人に貸したい」と提案しても、一人でも反対する人がいればそれは実現できません。

所有者が複数人いれば、土地の活用方法を巡って意見が分かれやすくなります。その結果、土地を有効に活用する機会を逃してしまうリスクが高まるでしょう。

■税金や維持費の負担方法でもめる

土地を複数人で共有している場合、税金や維持費の負担を巡ってもめやすくなります。

共有分割で相続するなら、相続税や固定資産税、維持費なども持分に併せて全員で負担すべきです。とはいえ、ほとんどの実務では代表者が全額を支払い、他の相続人がその代表者に各自の負担分を支払うことになるでしょう。

その場合、他の相続人が代表者に支払ってくれないというトラブルが起きやすくなります。その結果、一人に負担がかたよってしまったり、相続人間の関係性が悪くなったりするおそれがあるでしょう。

■相続人が増えて収拾がつかなくなる

土地を複数人で共有している場合、その中の一人が亡くなると、その者の相続人が新たに土地の所有者に加わることになります。

相続人が増えると、ますます「土地活用」や「税金と維持費の負担方法」などでもめやすくなります。その結果さらに土地共有に関する問題は先送りされ、また一人所有者が亡くなり相続人が増える、という悪循環に陥ってしまいます。

共有分割の進め方

共有分割を選んだ場合、次の流れで進めていきます。

【共有分割の進め方】

STEP1.遺産分割協議にて共有分割で相続することを決定する
STEP2.遺産分割協議書を作成する
STEP3.相続登記をする

共有分割特有の手続きはないので、換価分割の進め方のSTEP1~3(共同登記)を参考に進めてください。

分割方法で兄弟の意見があわない場合の解決策

これまで4つの土地分割方法を紹介しました。

とはいえ、相続人全員の意見が一致するとは限りませんよね。また、代償分割の場合は土地の評価方法がいつまでも決まらないこともあります。

そこで本章では、兄弟で意見が合わない場合の解決策を紹介していきます。

【分割方法で兄弟の意見があわない場合の解決策】

①話し合いのコツを知り再度話し合う
②費用を抑えたい場合は遺産分割調停を申し立てる
③急いでいる場合は弁護士に相談する

まずは①の話し合いを実践してみて、それでもダメなら②か③に進むようにしてください。

①話し合いのコツを知り再度話し合う

まずは話し合いのコツを知り、もう一度話し合ってみましょう。

ただ感情のままにお互い主張をぶつけているだけでは話は平行線のままです。いったん冷静になって話し合い方を見直し、次に紹介する5つのコツを意識しながら話し合いに臨んでみてください。

【話し合い5つのコツ】

・正しい相続の知識を身に付け、共有する
・しっかりコミュニケーションをとる
・介護や生前贈与を考慮しながら、譲歩し合う
・話し合いが遅れる
・まとまらないことのリスクを伝える
・兄弟の配偶者には口を出させない

正しい相続の知識を身に付け、共有する

相続に関する正しい知識を身に付け、兄弟と共有することは話し合いの上で大切なことです。

相続に関する法律や税制度の知識が、解決の助けになることもあります

たとえば、不動産を売却すれば譲渡所得税がかかることがありますが、相続した居住用の家なら、利益の3000万円まで非課税です。このような制度を知っているかいないかで、兄弟たちの意見も変わってくるでしょう。

専門家に聞いたり、自分たちで調べたりして、相続の情報を積極的に収集するようにしましょう。

しっかりコミュニケーションをとる

兄弟でじっくりと話し合いをし、しっかりとコミュニケーションをとることも重要です。

お互いの事情や気持ちを話すことで、解決の糸口が見つかることもあります。

たとえば、弟が換価分割にしたいと主張しているものの、よくよく話を聞いたら弟の長女が私立大学に進学することになって学費が足りない状況であることが判明しました。それならば、「奨学金を借りたらどうか?」など、別の提案をすることができます。

このように、相手の状況や心情を知り、できるだけ寄り添うことで、話し合いがいい方向に進むことが期待できます。

介護や生前贈与を考慮しながら、譲歩し合う

介護や生前贈与も考慮しながら、お互い譲歩し合うことも大切です。

兄弟は相続において公平であるべきですが、生前、親との関わり方は異なる点があったはずです。「姉さんは母さんを介護してくれていたな」「私は車を買ってもらった」など、親にしてあげたこと・してもらったことを整理してみましょう。

一緒に紙に書き出してみると兄弟の差が明らかになり、「姉さんは高齢の両親と同居して大変だっただろう」などと、譲歩の気持ちが芽生えやすくなります。

話し合いが遅れる・まとまらないことのリスクを伝える

話し合いが遅れる・まとまらないことのリスクを伝え、解決に向けて協力してもらいましょう。

話し合いが遅れると、いつまでも土地を活用できないし、次章で紹介するようなトラブルが起きやすくなります

そして、遺産分割協議でまとまらなければ、次節で紹介する調停か弁護士関与に進まざるをえません。調停に進むと、お互い時間や労力を費やすことになります。弁護士を依頼するとなると、素人である相手は交渉で不利になりやすいでしょう。

遺産分割は話し合いの段階で合意できるのがベストです。そのことを伝えれば、相手も前向きな姿勢になってくれるはずです。

兄弟の配偶者には口を出させない

兄弟の配偶者など、相続人ではない人は話し合いに口を出させないようにしましょう。

親の遺産は実子だけのものであり、夫婦の共有財産ではありません本人は遺産分割協議に協力的であるのに、気の強い配偶者があれこれと意見するために、話がこじれてしまうことはよくあります。

相続人の配偶者は無関係なので、兄弟だけで話を進めるようにしてください。

②費用を抑えたい場合は遺産分割調停を申し立てる

①が上手くいかなかった場合、費用を抑えたいなら遺産分割調停を申し立てることを検討しましょう。

調停とは、調停委員に間を取りもってもらい、話し合いによる合意を目指す紛争の解決手続です。遺産分割調停は相続に関する相続人同士の紛争を取り扱います。調停委員は中立的な立場を保ち、双方の意見を聞き入れてアドバイスや解決案を提案してくれます。

遺産分割調停にかかる費用は1〜2万円程度ですみます。弁護士に依頼すれば、遺産の額にもよりますが、何十万円あるいはそれ以上かかるので、調停の方が弁護士に依頼するよりも金銭的な負担がかかりません。

なお、調停でも解決できなければ、遺産分割審判に自動的に移行します。審判では最終的に裁判官が遺産分割方法を決めるので、これにより土地を巡る争いに決着がつきます。

調停の申し立て方法は下記裁判所のホームページに掲載されているので、内容通りに手続きするようにしましょう。

遺産分割調停 | 裁判所

③急いでいる場合は弁護士に相談する

①が上手くいかなかった場合、相続手続きを急いでいるなら弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に依頼すれば、話し合いに介入し、他の相続人と交渉してくれます。相続に詳しい弁護士なら、その経験と知識から、個別のケースに応じた解決法をアドバイスしてくれるでしょう。

また、兄弟同士だと感情的になってしまいますが、弁護士という第三者が介入することで、冷静さを取り戻し、建設的な話し合いをしやすくなります

このような理由から、当事者間での話し合いでは平行線だったものの、弁護士に依頼すればスピーディに話し合いがまとまることが期待できます。

遺産分割調停だと、申し立て準備から解決までスムーズに進んで3~6ヶ月かかります。長いと数年以上かかるケースも珍しくありません。

そうなると相続税申告や土地活用などで困る場面が出てくるので、早く解決したいなら弁護士に相談するようにしましょう。

【土地の分割方法でもめている場合は当事務所にご相談ください】
当事務所では初めての人でも安心してご利用いただけるよう、お客様に寄り添った手厚いサポートを提供しています。相続でお悩みの場合はどうぞ気軽にご相談ください。  
専属の弁護士とリーガルスタッフの連携体制をとっているため、親身にお客様の相談にのり、迅速に対応することが実現できます。  
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【遺産分割は放置してはいけない!遺産分割をしないことで生じるリスク】
ここまで読んで、「土地の相続手続きはすることが多くて大変そう」と思った人も多いと思います。

それでも、遺産分割は放置してはいけません。早いうちに手続きを進めるようにしましょう。

亡くなった人の遺産は、遺産分割されるまでは相続人全員の共有状態になります(民法第898条)。共有状態のままにしておく、下記のようなトラブルが起こるリスクがあるのです。

【土地の遺産分割がされていないことで生じるリスク】
・土地を活用しづらい
・税金や維持費の負担方法でもめる
・相続人が増えて収拾がつかなくなる

上記のような事態を避けるためにも、早めに遺産分割に取り組みましょう。

まとめ

ここまで兄弟での土地相続について解説してきました。

最後に本文のポイントをおさらいしましょう。

兄弟で親の土地を相続する場合、換価分割・代償分割・現物分割(分筆含む)・共有分割の4つの分け方があります。

どの方法で分割すべきかは、下表の「向いているケース」を参考にしながら選ぶようにしてください。

【遺産分割方法の診断表:ケース別のおすすめ方法】

分割方法

内容

向いているケース

換価分割

土地を売却して、売却金を相続人たちで分配する方法

・土地を売却できる

・公平に遺産分割したい

・相続税の資金が足りない

代償分割

相続人の一人が土地を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法

・土地を欲しい人がいる

・手間と費用をかけたくない

・土地を相続する人が代償金を支払える資力がある

現物分割
分筆(※)

相続財産を現物のまま分配する方法

そのうち、分筆とは、一つの土地を二つ以上に分けて登記する方法

現物分割なら、
・土地や建物が複数あるケースで、それぞれ欲しい不動産が異なっているケース
・土地や建物を欲しい人と、預貯金が欲しい人がいて、欲しい相続財産が被っていないケース

分筆なら、
・土地を欲しい人が複数人いるケース
・分筆しても土地の価値が下がりにくいケース

共有分割

一つの土地を複数人が共同して所有する方法

・上記3つの土地分割方法を選べないケース

分筆は可能な土地の条件が限られている

もし兄弟間で意見が分かれてしまった場合は、下記方法を実践してみましょう。

【分割方法で兄弟の意見があわない場合の解決策】

①話し合いのコツを知り再度話し合う
②費用を抑えたい場合は遺産分割調停を申し立てる
③急いでいる場合は弁護士に相談する

「意見が合わないから」「面倒だから」といって遺産分割を放置してはいけません。遺産分割しないままでいると、次のようなトラブルが起きるリスクがあります。

【土地の遺産分割がされていないことで生じる3つのリスク】

・土地を活用しづらい
・税金や維持費の負担方法でもめる
・相続人が増えて収拾がつかなくなる

以上、本記事を元に自分たちに合った土地の遺産分割方法を選べることができ、兄弟でスムーズかつ円満な相続を実現できることを願っております。

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