弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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「兄だけが多額の生前贈与を受けていたけど、それは遺留分の対象にならないの?」
「遺産だけではなく生前贈与も入れたら、遺留分を増やせる?」
不公平な遺言や多額の生前贈与があった場合に、生前贈与も遺留分の計算に入れられるかどうか知りたい方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、遺留分を計算する時には、亡くなった人の遺産だけでなく生前贈与も対象となります。つまり、生前贈与があった場合は、請求できる遺留分の金額を増額できる可能性が高いといえます。
例えば、遺言だけで遺留分侵害額を計算したら500万円だったのが、他の相続人に多額の生前贈与があったために750万円に増額した…というケースなどもありえるのです。
以下のように「遺留分の基礎となる財産」に生前贈与がプラスされれば、その分、遺留分侵害額として請求できる金額も増えるからです。
この記事では、どのような生前贈与を遺留分計算に含められるのかをメインに、遺留分の計算方法や、侵害されている遺留分を取り戻す方法、時効についても解説していきます。
「生前贈与を含めた正当な遺留分を計算して、財産の取り分を増やしたい」という方は、ぜひこの記事を最後まで読んで参考にしてみてください。
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冒頭でも述べた通り、生前贈与は遺留分の計算対象となり、「遺留分の基礎となる財産」に入れることができます。
遺留分の基礎となる財産= 【遺産】+【相続人以外への生前贈与(1年以内)】+【相続人への特別受益にあたる生前贈与(10年以内)】-【債務】 |
上記の計算式を見ると分かる通り、相続人以外への生前贈与(1年以内)と、相続人への特別受益にあたる生前贈与(10年以内)は、遺留分の基礎となる財産に入れることが可能です。
また、この他に、贈与された時期に関係なく「遺留分を侵害していると双方が知りながら行われた生前贈与」は全て、遺留分の計算に入れることができます。
さらに詳しく、2章でケース別に解説していきます。
遺留分の計算に入れられる生前贈与には、以下の3つがあります。
遺留分の計算に入れられる生前贈与 |
❶相続開始前「1年以内」の相続人以外への生前贈与 ❷相続開始前「10年以内」の相続人への特別受益にあたる生前贈与 ❸遺留分権利者に損害を与えることを知りながら行われた生前贈与 |
一つずつ補足して解説していきます。
相続開始前(被相続人が亡くなる前)の1年間にされた「相続人以外」への生前贈与は、遺留分を算定するための財産に含めることができます。
相続人以外とは、他人や団体、相続人ではない親族(従兄弟や孫など)も含まれます。
【例1】従兄弟に贈られた生前贈与(現金1,000万円) ➡相続開始前1年以内のものであれば、遺留分を算定するための財産に含まれます |
【例2】孫に贈られた生前贈与(現金1,000万円) ➡孫が法定相続人ではない場合、相続開始前1年以内のものであれば、遺留分を算定するための財産に含まれます ➡孫が代襲相続する相続人である場合(亡くなっている子の子の場合)には、次の項の内容が適用されます。 |
生前贈与の相手が相続人である場合には、相続開始前(被相続人が亡くなる前)の10年間にされた「特別受益にあたる」生前贈与を、遺留分を算定するための財産に含めることができます。
特別受益にあたる生前贈与とは、一部の相続人だけが特別に得た生前贈与の中で、婚姻・養子縁組・生計の資本として贈られたものをいいます。具体的には以下のような例が該当します。
特別受益に該当する生前贈与の具体例 |
❶婚姻に伴う金銭などの生前贈与を行った ❷養子縁組に伴う金銭などの生前贈与を行った ❸事業を始めるための開業資金を生前贈与した ❹住宅を購入するための住宅資金を贈与した ❺土地・建物などの居住用不動産を買い与えた ❻高いレベルの教育費や海外留学の費用を援助した ❼借金を肩代わりして支払った ❽家業を継ぐ子への事業用資産を贈与した ❾扶養の範囲を超える生活費を援助した ❿生前に借地権を承継・設定した |
例えば、相続開始前10年以内に「長男だけが住宅資金を贈与されていた」「妹だけが結婚費用を負担してもらっていた」場合などは、遺留分の計算に含めて計算することができるでしょう。
一方、以下のような生前贈与は特別受益にあたらないと考えられるため、遺留分の計算にも入れることはできません。
特別受益に該当しない生前贈与の例 |
❶相続人以外への贈与・遺贈(例えば孫など) ❷扶養の範囲内と考えられる生活費 ❸生命保険金や死亡退職金 |
ただし、難しいことに、特別受益にあたるかあたらないかは、財産の金額や被相続人の収入、生活状況、教育水準などによって判断が分かれます。特別受益に該当するかどうかは最終的に個別判断になるため注意が必要です。
特別受益について疑問がある場合には、ぜひ当事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。
※遺留分と「特別受益の持ち戻し免除」との関係 遺留分を計算する場合には、「持ち戻し免除」された特別受益も含んで計算が可能です。少しややこしい内容になるので、理解できない場合は弁護士に相談してみてください。 生前贈与などの特別受益があっても、被相続人が「その特別受益は遺産分割時に考慮せずに計算してほしい」と意思表示すれば、遺産分割時に考慮せず計算することになります。これを「特別受益の持ち戻し免除」といいます。ただし、持ち戻さないのは遺産分割時のみとなります。 遺留分を計算する際には持ち戻し免除が適用されず、持ち戻し免除された特別受益も計算に含めるのです。 |
また、特別受益については別の記事「特別受益とは?該当するケース10例と主張する流れ、計算方法を解説」でさらに詳しく解説しています。
ここまで解説した通り、遺留分の計算に含められる生前贈与は、「相続人以外への生前贈与は1年以内」「相続人への生前贈与は10年以内」という期間が設定されています。
しかしながら、遺留分権利者に損害を与えることを双方が知りながら行われた生前贈与は、期間を問わず全て遺留分計算の対象となります。
ここで争点となるのは、「遺留分権利者に損害を与えることを双方が知っていたか」かどうかという点です。
これについては、東京地判昭和51年10月22日判時852号80頁において、「贈与財産の全財産に対する割合だけではなく、贈与の時期、贈与者の年齢、健康状態、職業などから将来財産が増加する可能性が少ないことを認識してなされた贈与であるか否かによるものと解すべき」とされています。
例えば、年金生活をしている被相続人(今後資産が増える見込みはない)が、3,000万円の資産の3分の2にあたる2,000万円分を長男に生前贈与した場合、長男も被相続人が今後資産が増加する見込みがないことを予見していたと考えられるため、贈与した時期が10年よりも前であろうと、「遺留分権利者に損害を与えることを双方が知っていた」と考えられるでしょう。
ただし、こうしたケースで受贈者が反論してくる場合には、立証できるかどうかが難しくなってきます。相続人間での解決が難しい場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
ここからは、生前贈与を含めた遺留分をどう計算すればいいか解説していきます。
自分の遺留分がいくらか知りたい場合には、以下の計算式で求めることができます。
遺留分=【遺留分の基礎となる財産の金額】×【個別の遺留分の割合】 |
具体的には、以下の3つのステップで求めていきましょう。
なお、遺留分の計算についてさらに詳しく知りたい方は、「遺留分の計算方法|3ステップで誰でも遺留分を求められる【計算例付き】」の記事もぜひご確認ください。
まずは「遺留分の基礎となる財産の金額」を求めていきます。具体的には、遺産に生前贈与を加えて債務(借金など)を引いた額が、遺留分の基礎となる財産です。
遺留分の基礎となる財産= 【遺産】+【相続人以外への生前贈与(1年以内)】+【相続人への特別受益にあたる生前贈与(10年以内)】-【債務】 |
※また、遺留分権利者に損害を与えることを知りながら行われた生前贈与があった場合は、上記に加えます。
遺産や生前贈与に不動産(土地や建物)や動産(自動車や骨董品など)が含まれる場合には、相続開始時点の評価額に換算して合計します。
例:相続時の財産が土地(6,000万円の評価額)と現金5,000万円、相続前1年以内に相続人ではない兄弟に行われた生前贈与が500万円、相続前10年以内に行われた相続人(自分以外)への特別受益に当たる生前贈与が500万円、債務なしの場合 遺留分の基礎となる財産=【6,000万円+5,000万円】+【500万円】+【500万円】-【0円】=1億2,000万円 |
次に、個別の遺留分の割合を確認します。遺留分の割合は原則として2分の1で、直系尊属(父母や祖父母)のみが相続人である場合には3分の1となります。
相続人の内訳によっても割合は異なりますので、以下の画像を確認してみてください。
例:相続人が配偶者Aと子ども3人(B・C・D)の場合 ・配偶者と子どもの遺留分は相続財産の4分の1ずつ ・子どもは3人で4分の1を等分する 個別の遺留分は、配偶者:4分の1、子A:12分の1、子B:12分の1、子C:12分の1 |
ステップ1の「遺留分の基礎となる財産」が分かり、ステップ2の「個別の遺留分割合」が確認できたら、あとはその2つを掛け算すれば、遺留分の金額を算出できます。
遺留分=【遺留分の基礎となる財産の金額】×【個別の遺留分の割合】 |
例えば、遺留分の基礎となる財産が1億2,000万円、個別の遺留分割合が12分の1の場合、遺留分の金額は1,000万円となります。この遺留分額が、法律上、最低限もらえるはずの金額ということです。
相続によって遺留分額に相当する財産を受け取れていない場合には、「遺留分が侵害されている」という状態です。例えば、遺留分額が1,000万円ならば、ちゃんと1,000万円相当のものを受け取れているか確認してください。
もし遺留分が侵害されている場合には、侵害している相手に「遺留分侵害額請求」をすることで、侵害されている遺留分を取り戻すことができます。
ここからは、遺留分が侵害されている場合に行う「遺留分侵害額請求」のやり方4ステップを簡単に解説します。
遺留分は一定の相続人に保障されている最低限の遺産の取り分です。しかし、残念ながら、何もせずに待っていれば自動的に返してもらえるものではありません。侵害されている本人が、侵害している相手に「請求」しなければならないのです。
具体的には、以下の方法で「遺留分侵害額請求」を行いましょう。
相手方がすんなり遺留分侵害額請求を受け入れてくれる場合には、話し合いベースで解決することができるでしょう。しかしながら、話し合いで解決できない場合には、裁判所で決着を付ける必要があります。
遺留分侵害額請求のさらに詳しいやり方については、別記事「遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)とは?請求方法と注意点を解説」も参考にしてください。
なお、遺留分侵害額を請求できる権利は、最短1年で時効により消滅します。この時効が過ぎてしまうと遺留分侵害額請求できる権利がなくなってしまい、侵害されている遺留分を取り戻すのが難しくなるため注意してください。詳しくは次の章で解説します。
遺留分侵害額請求できる権利(遺留分侵害額請求権)には、【1年の消滅時効】と【10年の除斥期間】があります。
遺留分侵害額請求権の 消滅時効(1年) |
・相続が開始したこと ・遺留分が侵害されていること の両方を知ってから1年 |
遺留分侵害額請求権の 除斥期間(10年) |
相続が開始してから(被相続人が亡くなってから)10年 |
これらの期限を過ぎると「遺留分侵害額請求をする権利」が無くなってしまうため、遺留分を受け取ることが難しくなります。
「遺留分が侵害されているかもしれない」ことを知ったら、早めに証拠が残る形で遺留分侵害額請求してください。口頭での遺留分侵害額請求も法的には有効ですが、証拠が残らないため、裁判になった時に不利になる可能性があります。
確実に「時効前に遺留分侵害額請求をした」という証拠を残すためには、「配達証明付き内容証明」での意思表示が有効です。この方法だと、「相手が書面を受け取った日時」や「書面の内容」を証明できるため、確実に証拠を残すことが可能です。
ここまで解説した通り、遺留分侵害額請求を行う場合には、生前贈与も計算対象に含めることが可能です。他の相続人等に対する生前贈与を計算に入れることができれば、自分が受け取れる遺留分額が増額し、より多くの金額を受け取れる可能性も高いでしょう。
なお、遺留分侵害額請求権を行使する相続人自身が被相続人から受けた生前贈与(特別受益に限る)は、相続開始10年前にされたものに限らず遺留分侵害額から控除されることに注意しましょう(民法1046条2項1号、903条1項)。 |
しかしながら、一般の方が「生前贈与があったかどうか」「どの時期にいくらの生前贈与があったか」を具体的に明らかにするのは難しい作業です。また、財産が多くて複雑な場合には、正確な遺留分侵害額を計算するのも困難なケースがあります。
そのため、生前贈与を含めた遺留分侵害額請求をスムーズに行うためには、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、生前贈与の内容を含めた相続財産調査を依頼できる他、遺留分を請求する相手との交渉や、裁判に発展した場合の主張・立証も任せることができます。
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すべきケース ❶相手方が支払いを拒否しており、問題が長期化しそうな場合 ❷相続財産や生前贈与などの全体像が掴めない場合 ❸忙しくて遺留分の請求や調停などの準備ができない場合 ❹遺留分の割合や計算方法が分からない場合 ❺相手方との関係が悪く、交渉が面倒な場合 ❻遺留分の時効の完成が心配な場合 |
ただし、弁護士なら誰でも良いというわけではありません。弁護士といってもさまざまで遺留分に関する知識や経験が異なるため、依頼先によって交渉力には差が現れます。依頼先は「遺留分に強い弁護士」が最適です。
依頼先に迷ったら、ぜひ遺産相続トラブルに強い弁護士にご相談ください。
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最後に、生前贈与の遺留分について、多くの方が疑問に思うポイントをQ&Aにまとめました。
[【答え】遺留分の計算対象となる生前贈与がある場合には、請求できます。
例えば、相続人が子どもA・子どもBの2人だけのケース(配偶者は先に死亡)を考えてみましょう。被相続人(亡くなった方)が亡くなる半年前に子どもAに特別受益に当たる1,000万円を贈与し、亡くなった時点の遺産がゼロだったとします。
この場合、遺留分の基礎となる財産=遺産0円+生前贈与1,000万円-債務0円=1,000万円であり、何も受け取っていない子どもBの遺留分は、法定相続分(2分の1)の半分にあたる4分の1なので、1,000万円×4分の1=250万円となります。
このケースでは、子どもBは子どもAに250万円の遺留分侵害額請求をすることができます。
【答え】自分が生前贈与を受けていた場合には、その金額を差し引いて計算します。差し引いても侵害されている遺留分がある場合には請求できます。
例えば、相続人が子どもA・子どもBの2人だけのケース(配偶者は先に死亡)で、遺産が5,000万円、子どもAへの生前贈与が1,000万円、子どもBへの生前贈与が2,000万円あったとします(いずれも特別受益にあたるもので相続開始前10年以内にされたもの)。
このケースで、遺言により「子どもAに遺産を全額相続させる」とあった場合を考えてみましょう。
この場合、遺留分の基礎となる財産=遺産5,000万円+生前贈与1,000万円+2,000万円-債務0円=8,000万円であり、遺留分額は8,000万円×4分の1=2,000万円となります。
一見すると、遺産の5,000万円が全額子どもAに渡っているため、子どもBは遺留分を請求できそうに見えます。しかし、この遺留分額から子どもBが生前贈与されている2,000万円を差し引くとゼロになるため、このケースでは子どもBの遺留分は侵害されておらず、遺留分侵害額請求はできません。
【答え】正当な遺留分侵害額請求ならば、支払う義務があります。
遺留分侵害額請求の内容が正当であれば、請求された側は支払う必要があります。なぜならば、遺留分は一定の相続人に保障された権利だからです。
正当かどうかを判断するポイントは、❶相手に請求権があること、❷時効が成立していないこと、❸請求額が正しいこと、の3点です。
遺留分侵害額請求が正当な内容であるにも関わらず無視してしまうと、裁判を起こされ、強制執行が認められれば財産が差し押さえられてしまいますので注意しましょう。
さらに詳しく知りたい場合は、「遺留分を請求されたら取るべき対応3STEP!正しい対処法が分かる」の記事も参考にしてください。
【答え】原則取り戻せますが、相手が使い込んでしまった場合は回収が難しくなることがあります。
遺留分は法律で定められた権利なので、正当な遺留分侵害額請求に対して、請求された相手は支払う義務があります。
ただし、相手が相続した財産を使い込んで資産が無くなってしまった場合は、請求されたお金を払えない状況となり、回収が難しくなるケースがあります。
このような状況を避けるためには、時効前に遺留分侵害額請求を行うことはもちろん、相手が資産を使い込む前に保全措置(仮差押え)を行うなどの対策を行っておくと安心です。
詳しくは、「減額に注意!遺留分侵害額(減殺)請求に応じない時の対処法3つ」の記事をご覧ください。
本記事では、生前贈与と遺留分の関係や計算方法、請求方法などについて解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
遺留分の計算に入れられる生前贈与には、以下の3つがあります。
❶相続開始前「1年以内」の相続人以外への生前贈与 ❷相続開始前「10年以内」の相続人への特別受益にあたる生前贈与 ❸遺留分権利者に損害を与えることを知りながら行われた生前贈与 |
なお、3番目の生前贈与については「双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた」ことを立証する必要があります。受贈者が反論してくる場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
生前贈与を含めた遺留分の計算式は以下です。
遺留分=【遺留分の基礎となる財産の金額】×【個別の遺留分の割合】 |
次の3ステップの順番に計算してみてください。
STEP1:「遺留分の基礎となる財産」を計算する STEP2:個別の遺留分の割合を確認する STEP3:乗算して遺留分を計算する |
生前贈与を含む遺留分を取り戻すには、以下の4ステップで「遺留分侵害額請求」を行いましょう。
STEP1:まずは相手方と話し合いで解決を試みる STEP2:配達証明付き内容証明郵便を送る(時効に注意) STEP3:遺留分侵害額請求調停を申し立てる STEP4:遺留分侵害額請求訴訟で決着させる |
なお、遺留分侵害額請求を行える権利は【最短1年】で時効となるので、時効にかからないよう早めに行動しましょう。
「遺留分の計算に生前贈与を含めたいけど、生前贈与の実態が分からない」「相手が請求に応じてくれない」などトラブルがある場合には、スムーズに解決するため、ぜひ弁護士にご相談ください。