顧問弁護士とは、会社で発生するさまざまな法律問題について、継続的に事業主や法務担当者に対して法的な助言をし、法律トラブルを未然に防ぎ、また、発生したトラブルを交渉、訴訟などにより解決する弁護士のことです。

契約書チェックにおいて、顧問弁護士は以下の様な様々な役割を期待できます。
1. 法律のプロとしてのチェックとアドバイス
顧問弁護士は、契約書の各条項の法的有効性をチェックします。 個々の条項が法律やガイドラインに違反していないか、過去の裁判例等に照らして不利な解釈を受けないかなどをチェックします。また、 契約内容に潜むリスクや、将来トラブルになりそうな部分を特定し、経営者に分かりやすく説明することができます。
さらに、それらのリスクを前提に、リスクを回避または軽減するための条項の修正案や追加などを提案することができます。
2. ビジネス視点を取り入れたバランス感覚
ただ、リスクを伝えるだけでなく、法的リスクとビジネスチャンスのバランスを考えながら、法律的な観点だけでなく、ビジネスの目的や状況を考慮し、実務的なアドバイスを提供することができます。
3. トラブル発生時の対応
顧問弁護士は、契約書の解釈をめぐってトラブルが生じた場合、会社のために法的根拠に基づいた主張をすることができます。
また、そもそも契約書の解釈に意見の相違が生じないように、契約書作成段階で紛争リスクを予測し、予防策を講じることで、将来的なトラブルを回避することもできます。
このように、顧問弁護士は、単なる法律の専門家としてではなく、企業のビジネスパートナーとして、契約を通じて企業の権利を守り、事業の成長をサポートする役割を担います。

顧問弁護士の費用は、契約内容や企業の規模、依頼する業務の範囲、弁護士の経験や専門性などによって大きく異なります。一般的な相場としては、費用体系ごとに以下のとおりです。
①月額固定料金:
中小企業:月額 3万円から5万円
大企業:月額10万円以上
②時間制料金:
月に一定時間の法律相談や業務対応を含めて、超過分は別途時間制料金（1時間あたり1万円から3万円程度）が発生する契約
③案件ごとの追加費用:
顧問契約の範囲を超える特別な業務や訴訟対応が必要な場合、別途費用が発生する契約
④成功報酬:
特定の成果に応じて報酬を支払う契約形態
上記①ないし④の一部または全部が組み合わされて契約内容となることが多いです。
複数の弁護士や法律事務所から見積もりや提案を受け、企業のニーズに最も合致する弁護士を選ぶことをおすすめします。なお、企業の業種や法務ニーズに合わせて、オーダーメイドの契約内容や料金設定が可能な場合もあります。具体的な費用は各弁護士や法律事務所によって異なるため、直接問い合わせて詳細を確認することが最も確実です。

法律トラブルは、当然ながら、どの会社も起こそうと思って起きているものではありません。知らず知らずのうちに、法律トラブルに発展してしまうような契約を締結してしまったり、事業投資をしてしまったりすることで、いつの間にか大きな損害が起きていることがほとんどです。現在、弁護士に相談するようなことがないとしても、今後、事業の拡大を予定してたり、新規事業を開始しようとしているのであれば、現状において法的トラブルが発生していないとしても、顧問契約を締結するメリットは多くあります。
まずは、お守り替わりに、低額な顧問契約から始めてみることは有効でしょう。また、顧問契約という形式でなくとも、コストとニーズを慎重に考慮し、必要に応じてスポット相談・スポットで弁護士依頼を利用するなどの方法もあります。

顧問弁護士が経営者の個人的なトラブルに対応できるかは、契約内容や具体的な状況によりますが、普段から話しやすい関係性を築いている場合、身近な弁護士である顧問弁護士に相談に乗って欲しいという経営者の方は実際のところ、かなり多いです。顧問弁護士は、経営者の個人的トラブルに関しても、第一の相談先として気軽に相談に乗ることができます。ただし、経営者の個人的な法律トラブルに顧問弁護士が相談に乗ることが、会社の利益と相反する場合は、相談にできない場合があります。

大企業と中小企業では、顧問弁護士に求められる役割や業務内容が異なります。大企業では国際取引、M&A（合併・買収）、株式公開、知的財産権の管理、競争法、金融取引など、複雑で専門性の高い法的問題に対応することが求められます。一方、中小企業では契約書の作成・レビュー、労務管理、取引先とのトラブル解決など、日常的な法務業務を幅広くサポートします。経営者との密接な関係を構築し、幅広い法務ニーズに対応する総合的なサポートが求められます。
企業の規模や業種、経営方針に応じて、適切な顧問弁護士を選定し、効果的な法務体制を構築することが重要です。

顧問弁護士を依頼する場合、毎月一定の顧問料が発生します。これは小規模な企業や、法律問題があまり発生しない企業にとっては負担になることがあります。このようなデメリットに対しては、発生する法律問題の数、内容により低額な顧問料金プランから顧問契約を開始してみると良いでしょう。
また、法律問題の対応をすべて顧問弁護士に任せることで、企業内の法務担当者が育たず、法務の内製化を図ることができないというデメリットも考えられます。このようなデメリットに対しては、顧問弁護士から受けた助言などを社内マニュアルに落とし込むなどの工夫をしていくと良いでしょう。

もちろん、初回の相談は無料で対応しています。現状で会社が抱えている問題や将来予想される問題点を弁護士に相談してみて、具体的なアドバイスを得られるか、信頼関係を構築できそうかなど、確認してみるといいでしょう。また、会社の将来的なビジョン、理想とする未来に共感してくれるかという点も、顧問弁護士との相性を考えるうえでは重要ですので、初回相談時に確認してみましょう。

契約書チェックの顧問弁護士選びは、単に法律に詳しいだけでなく、会社のビジネスや状況を理解し、共に成長を目指せるパートナーであるという点を理解しているかどうかが重要です。
具体的には、以下の点を検討しましょう。
1. 専門分野と経験
扱う契約書の種類や業界によって、専門分野に強い弁護士を選ぶことが重要です。 例えば、IT関連の契約書であれば、IT法務に精通した弁護士を選ぶべきでしょう。
また、豊富な経験を持つ弁護士は、様々な契約書を見てきた実績から、潜在的なリスクや問題点を見抜く力に優れています。 特に、過去に会社と同じような業種や規模の企業を担当した経験があれば、より的確なアドバイスを期待できます。
2. コミュニケーション能力
専門用語を分かりやすく説明してくれるか、質問に対して丁寧に答えてくれるかなど、コミュニケーションが円滑に取れる弁護士を選びましょう。
また、気軽に相談できる雰囲気を持ち、会社の立場に立って親身になってくれる弁護士だと、安心して相談できます。連絡ツールについても、チャットなど気軽に連絡をとれる方法を採用している弁護士だとなお良いでしょう。
３. 費用をわかりやすく説明してくれる
弁護士費用は事務所や弁護士によって異なります。 料金体系や費用について事前に確認し、不明点があれば質問しましょう。

これらのポイントを踏まえ、複数の弁護士に実際に会って相談し、信頼できる顧問弁護士を見つけることをおすすめします。

契約書チェックを顧問弁護士に依頼するタイミングは、大きく分けて以下の3つのタイミングが考えられます。
1. 契約交渉の前
契約交渉前に顧問弁護士に相談することで、契約内容が固まる前に弁護士の意見を聞けるため、より有利な条件で交渉を進めやすくなります。
トラブルになりそうな条項を事前に精査し、修正することで、後々の紛争リスクを大幅に減らすことができます。
2. 契約書のドラフト作成後
契約書のドラフトができあがったタイミングでも、顧問弁護士に相談すべきでしょう。この段階では、ある程度契約書の内容が具体化されているため、弁護士も的確なアドバイスをしやすくなります。修正箇所が少なく済む場合があり、費用を抑えられる可能性もあります。
3. 契約締結直前
契約締結の直前段階で顧問弁護士に相談することも有効です。契約内容がある程度固まった段階であっても、条項の少しの表現の変更により、トラブルを最小化することも可能になりますので、確認の意味でも、顧問弁護士への相談を検討しましょう。

いずれのタイミングであっても、可能な限り早い段階で顧問弁護士に相談することをおすすめします。 早めに相談することで、余裕を持って契約内容を検討でき、より安全かつ有利に契約を進めることができます。
また、「こんな些細な内容でも相談して良いのだろうか…」と迷う必要はありません。 顧問弁護士は、企業の法務担当として、どんな些細な疑問にも答えてくれる心強い味方です。
積極的に相談し、疑問点を解消した上で契約を進めるようにしましょう。