顧問弁護士とは、会社で発生するさまざまな法律問題について、継続的に事業主や法務担当者に対して法的な助言をし、法律トラブルを未然に防ぎ、また、発生したトラブルを交渉、訴訟などにより解決する弁護士のことです。

事業承継とは、簡単に言うと「会社の経営を次の世代に引き継ぐこと」です。
もう少し詳しく説明すると、経営者が高齢や病気などを理由に経営から引退する場合に、後継者に事業の経営権や株式などを引き継ぐことを指します。
事業承継には、大きく分けて以下の３つの種類があります。
親族内承継: 子供や親族など、血縁関係のある人に事業を継承する方法です。
従業員承継: 長年会社に貢献してきた従業員に事業を継承する方法です。
M&Aによる事業承継: 他の会社に事業を売却したり、合併したりすることで事業を継承する方法です。
どの方法が適切かは、会社の規模や業種、後継者の有無、経営者の意向などによって異なります。
事業承継は、会社の存続や発展、従業員の雇用を守るためにも非常に重要な経営課題です。早め早めの準備と、専門家である弁護士や税理士などのサポートを受けることが大切です。

①親族内承継
メリット
経営の継続性が高い: 後継者が幼少期から事業に携わっていたり、経営者の考え方をよく理解している場合が多く、スムーズな事業の引継ぎや経営方針の維持が期待できます。
企業文化の継承: 長年培ってきた企業文化や理念を引き継ぎやすく、従業員の安心感や帰属意識にもつながります。また、親族間で事業を継承することで、経営者一族の想いや歴史を繋いでいくことができます。
デメリット
後継者問題: 適切な後継者がいない場合、事業承継が困難になる可能性があります。
親族間のトラブルリスク: 承継方法や経営方針などを巡って、親族間で意見が対立する可能性があります。
経営能力不足のリスク: 後継者の経営能力が不足している場合、事業が衰退する可能性があります。
②従業員承継
メリット
社内事情に精通している: 後継者が長年会社に貢献してきた従業員であるため、社内事情や業務内容を深く理解しており、スムーズな事業承継が期待できます。
従業員のモチベーション向上: 従業員にとって、自分たちが会社を支えているという意識や、将来の経営幹部への昇進の可能性を感じることができ、モチベーション向上に繋がります。
後継者育成の時間が確保できる: 比較的早い段階から後継者候補を育成することで、計画的な事業承継を進めることができます。
デメリット
経営能力不足のリスク: 従業員経験が豊富でも、経営者としての能力は未知数な部分があり、経営能力不足に陥るリスクがあります。
資金調達の課題: 従業員が事業承継する場合、多額の資金が必要となる場合があり、資金調達が課題となることがあります。
従業員間の不公平感: 後継者選びが不透明な場合、他の従業員から不公平感を抱かれる可能性があります。
③M&Aによる事業承継
メリット
後継者問題の解決: 後継者不足を解消できるだけでなく、経営ノウハウや人材を獲得できる可能性もあります。
事業の拡大・発展: 事業を売却することで、得られた資金を元に新たな事業展開を行うことができます。また、合併することで、シナジー効果による事業拡大や競争力強化が期待できます。
早期の事業承継: 他の方法に比べて、スピーディーに事業承継を進めることができます。
デメリット
企業文化の違い: 異なる企業文化を持つ会社と統合されることで、従業員の反発や組織文化の衝突が起こる可能性があります。
雇用維持の課題: M&A後、事業の効率化などを目的として、人員削減が行われる可能性があります。
情報漏洩のリスク: M&Aの交渉過程で、企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。
④まとめ
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、自社の状況や経営者の意向などを総合的に判断し、最適な事業承継方法を選択する必要があります。 また、事業承継は、専門性の高い分野ですので、弁護士や税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

顧問弁護士の費用は、契約内容や企業の規模、依頼する業務の範囲、弁護士の経験や専門性などによって大きく異なります。一般的な相場としては、費用体系ごとに以下のとおりです。
①月額固定料金:
中小企業:月額 3万円から5万円
大企業:月額10万円以上
②時間制料金:
月に一定時間の法律相談や業務対応を含めて、超過分は別途時間制料金（1時間あたり1万円から3万円程度）が発生する契約
③案件ごとの追加費用:
顧問契約の範囲を超える特別な業務や訴訟対応が必要な場合、別途費用が発生する契約
④成功報酬:
特定の成果に応じて報酬を支払う契約形態
上記①ないし④の一部または全部が組み合わされて契約内容となることが多いです。
複数の弁護士や法律事務所から見積もりや提案を受け、企業のニーズに最も合致する弁護士を選ぶことをおすすめします。なお、企業の業種や法務ニーズに合わせて、オーダーメイドの契約内容や料金設定が可能な場合もあります。具体的な費用は各弁護士や法律事務所によって異なるため、直接問い合わせて詳細を確認することが最も確実です。

法律トラブルは、当然ながら、どの会社も起こそうと思って起きているものではありません。知らず知らずのうちに、法律トラブルに発展してしまうような契約を締結してしまったり、事業投資をしてしまったりすることで、いつの間にか大きな損害が起きていることがほとんどです。現在、弁護士に相談するようなことがないとしても、今後、事業の拡大を予定してたり、新規事業を開始しようとしているのであれば、現状において法的トラブルが発生していないとしても、顧問契約を締結するメリットは多くあります。
まずは、お守り替わりに、低額な顧問契約から始めてみることは有効でしょう。また、顧問契約という形式でなくとも、コストとニーズを慎重に考慮し、必要に応じてスポット相談・スポットで弁護士依頼を利用するなどの方法もあります。

顧問弁護士が経営者の個人的なトラブルに対応できるかは、契約内容や具体的な状況によりますが、普段から話しやすい関係性を築いている場合、身近な弁護士である顧問弁護士に相談に乗って欲しいという経営者の方は多いでしょう。顧問弁護士は、経営者の個人的トラブルに関しても、第一の相談先として気軽に相談に乗ってくれることも多いです。ただし、経営者の個人的な法律トラブルに顧問弁護士が相談に乗ることが、会社の利益と相反する場合は、相談に乗れない場合があります。まずは現在の顧問弁護士に相談し、個人の問題について対応可能か、確認してみましょう。必要に応じて、個人として別の弁護士に依頼することも検討してください。

大企業と中小企業では、顧問弁護士に求められる役割や業務内容が異なります。大企業では国際取引、M&A（合併・買収）、株式公開、知的財産権の管理、競争法、金融取引など、複雑で専門性の高い法的問題に対応することが求められます。一方、中小企業では契約書の作成・レビュー、労務管理、取引先とのトラブル解決など、日常的な法務業務を幅広くサポートします。経営者との密接な関係を構築し、幅広い法務ニーズに対応する総合的なサポートが求められます。
企業の規模や業種、経営方針に応じて、適切な顧問弁護士を選定し、効果的な法務体制を構築することが重要です。

顧問弁護士を依頼する場合、毎月一定の顧問料が発生します。これは小規模な企業や、法律問題があまり発生しない企業にとっては負担になることがあります。このようなデメリットに対しては、発生する法律問題の数、内容により低額な顧問料金プランから顧問契約を開始してみると良いでしょう。
また、法律問題の対応をすべて顧問弁護士に任せることで、企業内の法務担当者が育たず、法務の内製化を図ることができないというデメリットも考えられます。このようなデメリットに対しては、顧問弁護士から受けた助言などを社内マニュアルに落とし込むなどの工夫をしていくと良いでしょう。

もちろん、初回の相談は無料で対応しています。現状で会社が抱えている問題や将来予想される問題点を弁護士に相談してみて、具体的なアドバイスを得られるか、信頼関係を構築できそうかなど、確認してみるといいでしょう。また、会社の将来的なビジョン、理想とする未来に共感してくれるかという点も、顧問弁護士との相性を考えるうえでは重要ですので、初回相談時に確認してみましょう。

事業承継・M&Aは、会社の未来を左右する重要な決断です。そのため、サポートしてくれる顧問弁護士選びは慎重に行う必要があります。
以下のポイントを参考に、御社にとって最適なパートナーを見つけましょう。
1. 事業承継・M&Aの専門知識・経験
事業承継・M&Aに特化した専門チームがあるか？
豊富な実績（案件数、業種、規模など）を持っているか？
最新の法律や判例に関する知識を有しているか？
実績豊富な弁護士は、多くの経験から得たノウハウや知識を活かし、より実践的なアドバイスを提供してくれます。 弁護士のウェブサイトや相談時に、実績を確認しましょう。
2. 業種・業務への理解
御社の属する業界の知識・経験はあるか？
事業内容や経営状況を理解しようとする姿勢があるか？
業界特有の慣習や法規制を理解している弁護士は、より的確なサポートを提供できます。 過去に担当した案件で、自社と同じような業種や規模の企業があれば、心強いでしょう。
3. コミュニケーション能力
丁寧な説明を心がけ、疑問点には分かりやすく回答してくれるか？
企業側の立場に立って、親身になって相談に乗ってくれるか？
報告や連絡はこまめに、かつ迅速に行ってくれるか？
弁護士と腹を割って話せる関係性を築けるかは、事業承継・M&Aを成功させる上で非常に重要です。 初回相談の際に、コミュニケーションの取りやすさを確認しましょう。
4. チーム力・ネットワーク
税理士、公認会計士、司法書士など、他士業と連携したサポート体制はあるか？
必要に応じて、外部の専門家（金融機関、コンサルタントなど）を紹介してくれるか？
事業承継・M&Aは、弁護士だけで解決できる問題は多くありません。 他士業や専門家と連携したワンストップサービスを提供してくれる弁護士であれば、安心して手続きを進めることができます。
5. 費用体系の透明性
費用体系（着手金、報酬金、実費など）は明確で、分かりやすい説明があるか？
見積書は事前に提示され、納得のいく内容になっているか？
追加費用が発生する場合、事前に説明があるか？
費用に関するトラブルを防ぐため、事前に費用体系についてしっかりと確認しておきましょう。
6. その他
事務所の立地や規模、弁護士の人柄なども考慮しましょう。
これらのポイントを踏まえ、複数の弁護士に相談し、比較検討することをおすすめします。 多くの弁護士は、初回相談を無料で行っているため、積極的に活用しましょう。
適切な顧問弁護士を選ぶことで、事業承継・M&Aをスムーズに進め、企業の成長・発展につなげることができます。

事業承継・M&Aについて、顧問弁護士に依頼するタイミングは、「早ければ早いほど良い」と言えます。
なぜなら、事業承継・M&Aは準備に時間のかかるプロセスが多く、後になればなるほど選択肢が狭まる可能性があるからです。
具体的には、以下のようなタイミングで相談することをおすすめします。
1. 事業承継・M&Aを検討し始めた段階
まだ具体的な計画がなくても、事業承継・M&Aの選択肢が頭をよぎったら、早めに相談してみましょう。
法律的な観点から、事業承継・M&Aの基本的な知識、メリット・デメリット、大まかな流れなどを教えてもらうことができます。
早期に相談することで、余裕を持った準備期間を確保し、より有利な条件で事業承継・M&Aを進めることができる可能性があります。
2. 後継者問題が顕在化した段階
親族に後継者がいない、従業員に承継する意思がないなど、後継者問題が明らかになったら、すぐにでも相談しましょう。
顧問弁護士は、会社の状況や経営者の希望を踏まえ、最適な事業承継方法を提案してくれます。
特に、M&Aによる事業承継を検討する場合、相手探しや交渉に時間がかかるため、早めの行動開始が重要です。
3. 事業の売却・合併を検討し始めた段階
業績悪化や経営者の高齢化などを理由に、事業の売却や合併を検討し始めたら、専門家のサポートが必要です。
顧問弁護士は、M&Aのプロセス全体を通して、法的アドバイスや交渉サポート、契約書の作成・レビューなどを行います。
早期に相談することで、リスクを最小限に抑え、希望条件に近い形でM&Aを実現できる可能性が高まります。
4. 経営環境が大きく変化した段階
法改正や競争激化、社会情勢の変化などにより、事業環境が大きく変化した場合も、事業承継・M&Aを検討するタイミングと言えます。
顧問弁護士は、変化する状況に合わせて、最適な対応策をアドバイスしてくれます。
事業承継・M&Aは、一度動き出したら、後戻りするのが難しいプロセスです。 少しでも迷ったら、早めに顧問弁護士に相談し、専門家の意見を聞くことが重要です。