弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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同志社大学法科大学院客員教授
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「換価分割で相続して遺産を現金で受け取りたい」
「換価分割は公平でトラブルが少ないと聞いたけどデメリットはないの?」
換価分割とは、遺産として残された不動産や株式を、相続人が売却し現金に換えた上で分割して相続することを言います。
換価分割は、遺産を現金で受け取るために、相続人の間で公平に遺産分割が出来、相続で親族間のトラブルが起こりにくいというメリットがありますが、売却時に手数料や譲渡所得税がかかるなどのデメリットもあります。
さらに換価分割を実際に行う場合、
・相続税が割高になるケースがある
・手続きを間違えると贈与税が発生する場合もある
などの点にも注意する必要があり、換価分割による相続を安全に滞りなく進めるためには、専門家である弁護士にサポートを依頼するのが適切な方法であると言えるでしょう。
そこで今回は、
・換価分割とは?3つのポイントで解説
・換価分割のメリット・デメリット
・換価分割を行う場合に知っておくべき3つの注意点
・換価分割の流れ
・換価分割がおすすめな3つのケース
・換価分割で弁護士への依頼がおすすめな3つの理由
について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、あなたも換価分割による相続が自分に適しているか、正しく見極めることができます。
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まずは換価分割の基礎的な情報を、以下の3つのポイントで詳しく解説してきます。
では一つずつ解説します。
冒頭でもお伝えした通り、換価分割とは、被相続人から相続した土地や建物、株など現金ではない資産を、現金に換えた上で、分割して相続する方法を言います。
相続人が複数いる場合、遺産を分割して相続する必要がありますが、現金でない不動産や株を分割して相続する場合、一般的に、換価分割・現物分割・代償分割・共有分割の4つの方法のいずれかを行うことになります。
遺産を分割する4つの方法 |
|
換価分割 |
不動産や株を現金に換金してから分割相続する |
代償分割 |
不動産や株を相続人の1人が相続し、そのほかの相続人に対して相続財産に相当する現金を支払う |
現物分割 |
不動産や株をそのまま売却せずに分割する |
共有分割 |
複数の相続人で共有とする |
いずれの分割方法にもメリット・デメリットがありますが、換価分割の場合は財産を現金で分割するため公平でトラブルが起こりにくいという利点がある一方で、売却する際の手間や手数料がかかるというデメリットも存在します。
また現金が手元に残るため、相続税の支払いなどに苦慮することはありませんが、必ずしも財産を希望の金額で売却できるわけではありません。
相続税は相続が開始された時点での評価額に対して課税されます。
このため換価分割によって財産がいくらで売却されても、その金額によって相続税が変化することはありません。
不動産や株の評価額は、それぞれ以下の方法によって算出されます。
評価額算出方法 | およその目安 | |
土地 | 路線価または倍率方式による算出 | 時価の7〜8割程度 |
建物 | 固定資産税の評価額 | 時価の4〜6割 |
上場株式 | 以下の4つのうち低い金額を選択 相続開始日(被相続人が死亡した日)の終値 相続開始の日が属する月の終値の月平均額 相続開始の日が属する前月の終値の月平均額 相続開始の日が属する前々月の終値の月平均額 | 価格の変動による |
このため、換価分割による相続において、不動産や株式などを現金化した場合も、相続税算出においては実際の売却価格が参照されることはありません。
また相続税は、評価額によって算出された金額を、相続人が相続財産の分配割合に応じて支払うことになります。
換価分割で資産を売却する場合、相続税とは別に譲渡所得税を支払う必要があります。
譲渡所得税とは土地や建物などの不動産を売却した際に発生する利益にかかる所得税や住民税などのことを言います。
換価分割で土地や建物を売却する場合、不動産の名義を相続人の共有名義にしたうえで、相続人が共同して売却することが一般的です。この時、売却によって生じる売却益は相続人の所得となり、譲渡所得税はこの相続人が受け取る売却益に対して発生することになります。
つまり換価分割によって資産売却を行う場合、相続税と譲渡所得税の両方を支払う必要があるというわけです。
それでは譲渡所得税の税率や支払い期限などについても詳しく見ていきましょう。
譲渡所得税の税率は売却した不動産の保有年数によって異なり、以下のように定められています。
所有年数は被相続人が購入した日に遡って計算します。
不動産の所有年数 | 税率 |
所有年数5年以内の場合 | 所得税30% 住民税9% 復興特別所得税0.63% |
所有年数5年を超える場合 | 所得税15% 住民税5% 復興特別所得税0.315% |
たとえば時価総額2000万円の土地を相続し、これを換価分割によって売却した場合で考えてみましょう。
相続税はあくまでも土地の評価額に対して発生します。
土地の場合、評価額は路線価が参照されますが、路線価は実際の売値の7〜8割ほどになりますので、相続税の課税対象は1400万円〜1600万円程度になります。
2000万円を現金で相続する場合は、2000万円全額が相続税の課税対象となります。
相続税は様々な控除がありますので一概に比較はできませんが、課税対象額の金額を単純に比較した場合は、土地で相続する方が相続税をおさえられることになります。
ただし不動産を売却する場合はこれに加えて譲渡所得税や売却時の手数料がかかるため、総合的に見てどちらがお得かは一概には言えません。
譲渡所得税は売却益に対してかかるため、売却価格から購入価格と売却時の手数料を引いて算出します。
購入価格は被相続人が購入した際の金額が参照されるため、たとえばこの土地が、被相続人が1500万円で購入したものであり、売却時に100万円の手数料が発生した場合、譲渡所得税の課税対象は
2000万円(売却価格)− 1500万円(購入価格)− 100万円(手数料)= 400万円
となり、この400万円に対して譲渡所得税が課されることになります。
そしてこの土地が5年を超えて所有していた不動産の場合、生じる譲渡所得税を上記の税率から算出すると
所得税 60万円
住民税 20万円
復興特別所得税 12,600円
と算出できます。
ただし実際には、「各種特例を利用すれば譲渡所得税を下げることができる」で紹介しているような、さまざまな特例があり、これらの特例をうまく利用すれば、実際に支払う譲渡所得税を大きく引きさげることも可能です。
譲渡所得税は所得税部分と住民税部分はわけてそれぞれ以下の方法で支払うことになります。
・所得税部分については売買契約が成立した年の翌年の確定申告時までに納税
・住民税部分については売買契約が成立した年の翌年の住民税に加算するかたちで納税
これに対して相続税は被相続人が死亡したことを知ったの翌日から10か月以内に納税することが定められています。
状況によっては譲渡所得税の方を相続税よりも先に支払わなければいけないケースもありえるため注意が必要です。
換価分割による相続では、特に以下の2つの点で大きなメリットがあります。
一つずつ確認します。
換価分割の最も大きなメリットとして上げられるのが、残された遺産を相続人が公平に分けることができるためトラブルになりにくいという点です。
たとえば実家などの不動産を相続する場合、1人が実家を相続し、それに見合う現金を他の相続人に支払う「代償分割」を行う場合も多くありますが、この場合問題になるのが不動産の価格です。
不動産を相続しない相続人に支払う現金は、その不動産の評価額によって算定されますが、評価額は何をどのように算出するかによって幅があるため、相続人の間でトラブルの原因となります。
株式などの相続でも同様の問題が起こります。「代償分割」によって誰か1人が相続し、その後に価格が急騰するなどの状況があると、相続の手続きに問題がなかった場合であっても、相続人の間に不公平感を産む原因となります。
これに対して換価分割の場合、全ての財産を一旦、現金に換え、現金を分割することになるため、価格は誰の目にも一目瞭然です。
このため換価分割は相続人が不公平感を抱く状況は起こりにくく、効果的に相続によるトラブルを防ぐことができるというわけです。
換価分割の場合は遺産を現金で受け取るため、相続税の支払いを心配する必要はありません。
不動産や株式を売らないで相続する場合でも、相続税は現金で支払います。このため資産を売却したくない場合は、相続税に相当する現金を別途用意しなければいけません。
このため相続人に手持ちの資金がない場合は、相続税を支払うために資金を借り入れるなどの対応が必要になることもあります。
もちろん遺産を現金で受け取る換価分割の場合、こういった問題を心配する必要はありません。
相続税の納税という点から考えれば、換価分割は最もシンプルでリスクの少ない遺産の分割方法であると言えるでしょう。
では次に、換価分割を行う場合に考慮すべきデメリットについても確認しましょう。換価分割は特にいかの4つの点で配慮するべきデメリットがあります。
こちらも一つずつ確認しましょう。
換価分割のデメリットとしてまず上げておかなければいけないのが、資産を売却する必要があるという点です。
換価分割を行えば、結果的に先祖から受け継ぐ資産を失うことになります。
またそのまま資産を持っていれば、
・不動産賃貸などによって利益をあげることができる
・株や土地などは将来的に値上がりを期待できる
などのメリットが生じる可能性がありますが、換価分割によって資産を売却すれば、こういった可能性も失うことになります。
資産の売却にかかる手数料も無視できません。
たとえば不動産を売却する場合、主なものをあげるだけでも以下のように様々な手数料がかかります。
手数料 | 内訳 | 価格概算 |
不動産仲介手数料 | 不動産を売却する際に仲介業者に支払う手数料 | 不動産の売買価格×3%+6万円 |
相続登記 | 不動産を売却前に行う名義変更手数料(司法書士に依頼) | 20万円程度 |
測量費用 | 土地を売却する場合に必要 | 一般的な住宅の場合10〜20万円 |
解体費用 | 建物を解体する場合に発生する費用 | 広さや構造によって異なる 一般的な木造住宅の場合100〜150万円 |
家財処理費用 | 建物内部に残る家具・不用品の処理費用 | 量によって異なる 一般的な住宅で30〜50万円程度 |
これらの負担は全て相続人の負担となり、相続できる遺産は、売却額からこれら手数料を引いた金額になります。
不動産や株式は売却する時期によって価格が異なるため、期待通りの価格で売却できるわけではありません。
相続税の申告期限は相続が発生してから10ヶ月以内と定められており、換価分割を行う場合、相続税の資金を確保するなどの理由から、多くの人ができるだけ早く売却したいと考えます。
しかし特定の期間に不動産や株式の価格が想定通りに動いてくれることは期待できません。
公開株式の場合は市場価格が決まっていますが、不動産の場合は買い手がつかなければ値段を切り下げる必要もあるため、売却を急げば急ぐほど安値で売却する可能性は高まるという状況もあります。
この点は換価分割における大きなリスクであると言えるでしょう。
換価分割で譲渡所得税が必要になることについては譲渡所得税がかかるでも詳しくお伝えしましたが、特に換価分割で生じる譲渡所得税は高額になる傾向があるため注意が必要です。
譲渡所得税が高額になる原因としてあげられるのが、以下の2つです。
換価分割で譲渡所得税が高額になりやすい2つの原因 |
・地価の高騰 ・取得価格がわからない |
換価分割で売約する不動産は長期間所有されていた物件が多く、所有期間の地価の高騰により譲渡所得税が思いがけず高くなることがあります。
譲渡所得税は譲渡益にかかる税金であるため、買値と売値の価格差が大きければ大きいほど譲渡益は大きくなり、これに比例して譲渡所得税も大きくなります。
このため、たとえば被相続人が数十年前に買った物件の場合、買った当時に比べて地価は大きく高騰しており、売値と買値の間に極端に大きな価格差が生じることになります。
特に換価分割では先代や先先代から受けついた土地などを売却するケースも多くあり、このような場合には必然的に譲渡所得税も高額になっていきます。
古い不動産などの場合、取得時の価格がわかる書類が残されていないというケースも多くありますが、このような取得価格がわからないケースでも譲渡所得税が高額になる傾向があります。
このような場合は、法律で売却額の5%を取得費にできることが定められています。このため取得価格が不明な場合、売却益は売値から5%を差し引いた金額で強制的に決定されます。
つまり売値の95%が売却益となってしまうため、売却益は高額になる傾向があり、これに応じる形で譲渡所得税も高くなってしまうというわけです。
換価分割を行う場合に以下の3つの注意点をあらかじめ知っておけば、換価分割の手続きを円滑に進めることができ、さらに不用意な損失の発生を防ぐこともできます。
一つずつ確認しましょう。
換価分割で不動産を売却する場合、売却する前に相続登記を行う必要があります。
相続登記とは、被相続人が亡くなったのち、不動産の名義を被相続人から相続人に変更することを指します。
不動産は法律上、すでに亡くなっている被相続人名義のままでは売却することができません。このため換価分割を行う場合でも、一旦、不動産の名義を相続人に変更する必要があるわけです。
相続登記には共同登記と単独登記の2つの方法がありますが、それぞれに長所短所があるため、どちらが自分達の相続で適切かを見極めることも必要です。換価分割をする場合は、通常は共有名義とするため、単独登記はしません。
|
相続登記の方法 |
特徴・注意点 |
共同登記 |
不動産を相続人全員の名義に変更する |
名義人が増えることによって手続きが煩雑化する(手続きの全てに相続人全員の確認と押印が必要になる)。 |
単独登記 |
不動産を相続人の中の代表者1名に変更し その後、現金を分割する |
名義人が1人のため売却手続きを円滑に進めることができる。 代表者が現金を受け取った後に使い込んでしまうといったリスクもある。 |
またこれは株式の売却の場合も同様です。
不動産の名義変更ではないため「相続登記」という言葉は使いませんが、売却を行うために株式の名義を被相続人から相続人へ変更する必要がある状況は不動産の場合と変わりません。
換価分割を単独登記で行う場合、資産売却が遅れると贈与税が発生してしまうこともあるため注意が必要です。
単独登記で換価分割を行う場合、名義変更が単独登記における代表者への贈与にあたらないことを示すため遺産分割協議書に「換価分割のために便宜上名義変更する」と明記します。
この記載があれば、単独登記の代表者に贈与税が発生することはありません。
ただし代表者が売却を行わないまま何年も不動産を放置し売却が著しく遅れた場合、換価分割と見做されずに代表者への贈与税が発生する可能性があります。
焦って売却する必要はありませんが、換価分割の資産売却は、決定後できるだけ速やかに行うことが求められます。
換価分割による相続では下に示す特例があり、これらを利用すれば節税の効果も期待できます。
内容 | 特徴 | |
取得費加算の特例 | 相続した資産を申告期限から3年以内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる。 | 取得費を増額できるため譲渡所得が減ることから、譲渡所得税を軽減する効果がある |
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | 空き家となった不動産を相続し、3年以内に売却した場合、要件を満たせば不動産売却時の譲渡所得のうち3000万円を控除することができる。 | 相続人1人あたり3000万円の控除となるため、建物を共同名義にした上で売却(共同登記)した場合は節税効果が大きい |
マイホーム売却特例 | 居住用の財産を売却して利益を得た場合、譲渡所得(利益)のうち3000万円まで控除できる | 被相続人の死後、相続人がそのまま住み続けている建物を売却する際に利用できる |
※「取得費加算の特例」「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は併用ができません。
換価分割を行う場合は、以下の手順に従って相続の手続きを進めることになります。
まずは法定相続人全員が参加して行われる遺産分割協議で換価分割による相続を行うことを決定したら、同意した内容を遺産分割協議書に記し、相続人全員が書面に署名捺印を行います。
その後、相続登記(資産の名義変更)を行った後、売却を行い、入金された売却代金を遺産分割協議書の内容に従って分割することになります。
「相続登記を行う必要がある」で詳しくお伝えした通り、相続登記では共同登記と単独登記の2つの方法がありますが、換価分割の場合は通常は単独登記にはせず、共同登記にしたうえで、相続人で共同して売却することが多いでしょう。
看過分割は、実際に相続で遭遇する以下のような3つのケースにおいて、大きなメリットがあります。
一つずつ確認しましょう。
相続財産の中に相続人が活用できない遺産がある場合は、換価分割による遺産分割がおすすめです。
・被相続人が亡くなり実家が空き家になってしまった
・被相続人が株を所有していたが相続人に株取引の知識がない
などの場合、そのまま財産を受け取ったとしても、空き家を利用できないまま維持費だけ支払い続けることになったり、株の売却機会を逃して損失が発生するなど、財産が目減りするリスクが増大することになります。
こういった状況が懸念される場合には、財産を換金して相続できる換価分割が、適切な相続方法であると言えるでしょう。
代償分割を行うための現金を用意できないなどの状況がある場合、現金に換金して相続する換価分割は、たいへんリスクの少ない相続の方法であると言えます。
代償分割によって相続人の1人が代表して不動産などを相続する場合、不動産を相続した相続人は、そのほかの相続人に現金を支払うことになるため、多額の現金を用意する必要があります。
どうしても不動産をそのまま所有したい場合は、代償分割に必要な現金を銀行などから借用するなどの対応が必要になりますが、この場合、もちろん借入金返済の義務とリスクが生じることになります。
これらのリスクを避け、安全に相続を進める方法を選びたい場合、換価分割による相続がおすすめです。
所得税を支払う現金が用意できない場合、安全に相続手続きを行うことができる換価分割がおすすめです。
相続財産が土地や建物の場合でも、相続税は現金で納税する必要があります。
もちろん相続財産に十分な現金がある場合は問題ありませんが、不動産の評価額は高額になるケースも多く、被相続人が相続税に必要な現金を用意できないというケースも少なくありません。
代償分割の場合と同様、現金を用意できない場合は、相続した不動産を担保にするなどの方法で銀行などからお金を借りることになります。
このため、相続のために借金をしたくないという場合は、換価分割による相続が最適の方法であると言えます。
結論から言えば、換価分割で相続を行う場合は、専門家である弁護士に対応を依頼することが最適と言えます。
弁護士への依頼は、特に以下の3つのポイントで大きなメリットがあります。
一つずつ確認していきましょう。
弁護士のサポートのもとで適切な相続税対策を取ることによって、支払う税金を節税することが可能になります。
換価分割で利用できる特例については「各種特例を利用すれば譲渡所得税を下げることができる」でも詳しく解説しましたが、自分がどの特例を利用できるのかについて正しく判断できないケースもあります。
また換価分割にかかわらず利用できる相続税の特例や控除も数多くあり、これらをどのように利用すれば効果的に節税ができるのかを適切にアドバイスしてもらうことができます。
弁護士に依頼すれば、換価分割を行うために必要になる相続登記の手続きを適切に完了することができます。
相続登記を行う必要があるでも詳しくお伝えした通り、換価分割で不動産を売却する場合、売却する前に相続登記によって不動産の名義を相続人に変更する必要があります。
これを行うためには
・相続登記の方法(共同登記か単独登記かなど)を遺産分割協議で決定
・相続登記の方法を遺産分割協議書に明記
・遺産分割協議書の内容に従って名義の変更
を速やかに行う必要がありますが、いずれも専門的な知識がない場合は対応が難しく、円滑に手続きを進めることは困難を極めます。
これらのそれぞれに弁護士のサポートや代行が行われることで、起こり得るトラブルを避け、適切に相続登記の手続きを完了することができます。
不動産売買契約などに弁護士が介在することで、売買におけるトラブルを回避し、安全に売買契約を実行することができます。
弁護士は不動産売買契約書の作成や確認だけでなく、不動産鑑定士や土地家屋調査士、行政書士、弁護士などと連携することで不動産売買契約の全体を管理し、安全に契約が履行されるまで責任を持って対応します。
換価分割は資産を最も公平に分割することが可能な相続方法ですが、これを実現するには ・資産売却に手間とお金がかかる ・譲渡所得税が高額になりやすい ・希望価格で資産を売却できるかわからない などの問題が生じることも事実です。 このため適切な節税対策を行いつつ、慎重に手続きを進める必要があります。 弁護士法人サリュでは、相続問題に精通する弁護士が、換価分割を含むあらゆる相続の問題に対応し、依頼者の意向に沿えるよう全力を尽くします。 弁護士法人サリュ:無料相談のお申し込み 弁護士法人サリュについて、さらに詳しい情報を知りたい方は以下のページをご確認ください 弁護士法人サリュ公式ページ |
今回は換価分割について詳しく解説しました。
換価分割とは、遺産として残された不動産や株式を、相続人が売却し現金に換えた上で分割して相続することを言います。
換価分割は、遺産を現金で受け取るために、相続人の間で公平に遺産分割が出来、相続で親族間のトラブルが起こりにくいというメリットがありますが、売却時に手数料や譲渡所得税がかかるなどのデメリットもあります。
本文では以下のメリット・デメリットについて一つずつ詳しく解説しました。
換価分割のメリット | 換価分割のデメリット |
・遺産を公平に分割相続できる ・手元に現金が残るため相続税の支払いに困らない | ・不動産や株式を手放さなければいけない ・売却手続きに手数料がかかる ・希望価格で売却できない場合がある ・譲渡所得税が高額になる |
また換価分割を行う場合に知っておくべき注意点として、以下の3つについても解説しました。
・相続登記を行う必要がある
・売却が遅れると贈与税が発生する可能性がある
・各種特例を利用すれば譲渡所得税を下げることができる
これらについてあらかじめ知識を持つことで、トラブルを避け、より低い税額で換価分割による相続を軸減することができます。
換価分割による相続を検討している場合は、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士のサポートを受けることで、特に以下の点で大きなメリットを享受できます。
・相続税や譲渡所得税の節税ができる ・相続登記の手続きを円滑に進めることができる ・不動産や株を損のない方法で売却できる |
換価分割による相続を検討されている場合、換価分割を含めた相続問題に精通する弁護士を揃える弁護士法人サリュの無料相談を利用ください。