弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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同志社大学法科大学院客員教授
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「故人の預金って引き出しても良いの?」
「預金の相続はどのように手続きするの?」
「預金の相続に必要な書類は何?」
そう思っていませんか?親族が亡くなった場合、相続人が故人の預金を相続するための手続きを行うことで預金を引き出すことができます。預金の相続に関しては特に法的に期限が設けられているわけではありませんが、できるだけ早く進めることが望ましいです。
なぜなら、銀行口座が凍結されてしまうと現金が引き出せなくなるほか、相続人のうち誰かが亡くなってしまうと、亡くなった人の相続人を含めて新たに遺産分割協議を行うことができなくなってしまうからです。
預金の相続は法的な手続きになりますので、スムーズに行うためには、事前に相続の流れや必要書類を把握しておくことが大切です。おおよその流れを把握しておくことで、揉め事やトラブルに発展しにくくなるでしょう。
預金を相続する主な流れは、次の5ステップです。
預金を相続する流れ【5ステップ】 |
①故人が取引していた銀行に相続発生を連絡する ②故人の預金額を把握する ③遺産分割協議を行う ④預金の相続手続きに必要な書類を準備する ⑤銀行に書類を提出し、払い戻しを受ける |
この5ステップが完了するまでにはおおよそ1ヶ月ほどが目安ですが、遺産分割協議が長引けば相続手続きも必然的に伸びてしまうので注意が必要です。
預金の相続に必要な書類は、基本的に次の通りです。
預金の相続に必要な書類 |
【遺言書がない場合】 ・遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印) ・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の印鑑証明書 【遺言書がある場合】 ・遺言書 ・検認調書または検認済証明書 ・被相続人の戸籍謄本または全部事項照明書(死亡が確認できるもの) ・預金を相続する人の印鑑証明書 ・遺言執行者の選任審判書謄本 |
このように相続人全員の公的書類を揃える必要があるので、相続人が遠方に住んでいる場合や相続人が多い場合は書類を揃えるだけでも時間がかかってしまいます。さらに、遺産分割の協議も行わなければならず、預金の相続は自分たちで行おうとすると多大な時間がかかってしまうリスクがあるのです。
そこで、預金の相続をトラブルなくかつスムーズに行うためにも、預金の相続は法律の専門家に依頼するのがおすすめです。特に遺産分割協議書の作成は素人には難しく、ミスがあれば再度やり直しも発生します。最初からプロに任せた方が、相続人の負担やストレスが減り、安心して預金の相続を進めることができるでしょう。
そこでこの記事では、次のポイントを解説していきます。
この記事のポイント |
◎預金の相続の流れが分かる ◎各ステップごとの詳しい流れが分かる ◎預金の相続に必要な書類は何かが分かる ◎預金の相続を専門家に依頼するべきかを判断できる |
この記事を最後までお読みになれば、預金の相続の全体的な流れと細かい流れを把握することができ、トラブルやストレスなく預金の相続を進めることができます。
この記事があなたの預金相続のお役に立てれば幸いです。
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冒頭でもお話した通り、故人の預金を引き出すには相続人が所定の手続きを行っておくべきです。口座が凍結されていない場合、手続きをせずにATMなどから預金を引き出すことは不可能ではありませんが、故人の預金は相続人の共有財産になるので後々深刻な相続トラブルを引き起こしかねません。
預金を相続する流れは全部で5ステップです。
この流れを全て完了するまでの期限が定められているわけではありませんが、できるだけ早く手続きを終えることが望ましいです。
その理由は2つあります。
・もし相続する遺産が相続税の対象となる場合、10ヶ月以内に申告する必要がある
・相続手続きをしないまま相続人の誰かが亡くなってしまうと、亡くなった相続人の相続分が新たな相続人のものになる。そのため、新たな相続人を含めた遺産分割協議を行わなければならない
また、相続人が多い場合や住んでいる場所がそれぞれ違う場合、ステップの③と④にはかなり時間がかかることが予測されます。そのため、預金を相続する際は、できるだけ早く相続の手続きをスタートし速やかに終わらせることが重要です。
ここまでのお話で、預金を相続する全体の流れと細かい流れがお分かりになったかと思います。そこで次に、預金を相続する際に気をつけておくべき点を説明していきましょう。
預金を相続する際の注意点は3つあります。
預金を相続する際の注意点3つ |
①遺産分割協議が終わるまで預金を引き出してはいけない ②相続はマイナスの財産も含まれる ③現金も預金と同じ「遺産分割」の対象になるため、預金と総合して考える必要がある |
事前に注意点を知っておくことで、預金の相続に失敗するリスクを最小限に抑えることができるでしょう。では、それぞれのポイントについてさらに詳しく説明していきます。
預金の相続の注意点として一番大事なことは、勝手に被相続人の預金を引き出してはいけないということです。遺産分割協議が終わるまでは、被相続人の遺産には手をつけないようにしましょう。
もし勝手に預金を引き出してしまうと引き出した分は相続したものとみなされ、後になってから相続放棄ができなくなります。さらには、相続人同士の揉め事に発展する可能性もありますので、預金は慎重に扱うことが重要です。
ただ、被相続人が亡くなった後、葬儀の準備やそのほかの支払いで費用が必要になる場合もあるでしょう。その際は、「遺産分割前の預金の仮払い」という制度がありますので、ぜひ活用してください。
遺産分割前の預金の仮払い制度とは2019年7月1日に施行された制度で、遺産分割前でも相続預金のうちの一定額であれば払い戻しを受けられるというものです。
ただし、遺産分割前の預金の払い戻しが受けられるのは、同一金融機関で、150万円か死亡時の預貯金残高の3分の1×法定相続分のどちらか低い方の金額が上限となっています。また、払い戻しを受けるためには、
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預金の払い戻しを希望する人の印鑑証明書
これらの書類が必要になります。
相続するというとプラスのイメージが先行してしまいますが、前にもお話している通り、相続にはマイナスの財産も含まれます。
預金を相続する際に気をつけなければならないのが、被相続人に車や住宅、そのほかのローンが残っているとそれらも全て相続の対象になるということです。
どうしてもマイナスの財産を相続したくない場合は、最初から相続放棄をすることで相続人の対象から外れることができます。
相続放棄は相続が発生した日から3ヶ月以内に申告しなければなりません。そのため、相続放棄を考えている人は最初に気持ちを固めておくことが重要です。
ここまで預金の相続についてお話をしてきましたが、遺された現金についても預金と同様に相続の対象として考える必要があります。
詳しく言うと、「預金=現金を引き出せる権利」「現金=現物」という認識になるため、預金も現金も同じ財産なのです。
現金が遺されている場合を例にあげると、
・故人の部屋を片付けていたら、引き出しから10万円が入った封筒が出てきた
・故人の通帳に、5万円が挟まっていた
といったケースです。
見つけた金額が少額だとうっかり使ってしまうそうですが、「現金も遺産で相続対象」であることをしっかり頭に入れて、預金額と合計して遺産分割協議をしましょう。
預金を相続する全体の流れがお分かりになったかと思うので、次に各ステップごとの詳しい手順を説明していきます。
それぞれのステップについて、手順や注意点を踏まえて解説していきますのでぜひ参考にしてください。
預金を相続しなければならなくなった場合、つまり被相続人が亡くなった場合、まずは故人が取引していた銀行に相続が発生した旨を伝える必要があります。
銀行に連絡する手段としては、電話やweb専用フォーム、銀行窓口に行くという方法があります。電話の場合、相続専用ダイヤルを設置している銀行も多いのでHPなので確認しておくとよいでしょう。
相続の発生を伝える際は、併せて今後の手続きの流れや必要書類を確認しておきます。相続の発生を伝えると、銀行側で口座を凍結します。口座が凍結されると預金は引き出せなくなることを覚えておきましょう。
注意点としては、故人の取引先の銀行が分からない場合です。
生前整理などで、故人の通帳や預金額がきちんとまとめられていればスムーズに進みますが、突然亡くなってしまった場合や一人暮らしで銀行の取引などプライベートなことは予測がつかない場合は、相続人が故人が生前取引していた銀行を推測することから始めなければなりません。
故人が取引していた銀行を推測するコツは、次の2つのポイントです。
・通帳やキャッシュカード
・銀行からの郵便物やメール
この2つから、故人が生前取引していた銀行を探すことができます。貴重品を保管しているようなタンスの引き出しや郵便物などは、注意深く見ておくことが重要です。
預金を相続する手続きを進めるためには、まず最初に故人の預金がどのくらいあるのかを把握しておかなければなりません。
複数の銀行と取引があるのであれば取引があった全部の銀行の預金額を合算し、預金の他にタンス貯金や現金があるのであればそれらも合計しておきましょう。
故人の預金と現金の合計額に加え、そのほかの遺産を合わせて3,000万円以上あれば相続税がかかる可能性があります。ただし、相続人の人数によって控除額が異なるので、詳しくは法務局か相続の専門家に相談することがおすすめです。相続税が発生する場合は相続が発生した日から10ヶ月以内に申告する必要がありますので注意しましょう。
残高証明書の発行がおすすめ |
預金を相続する際、手続きの円滑化やトラブルを避けるために、「残高証明書」を発行してもらうことがおすすめです。 残高証明書があれば故人の預金額がいくらかを正確に証明できますので、通帳で正確な残高が把握できる場合を除き、できるだけ残高証明書を発行してもらう方が安心です。 残高証明書は、口座がある支店以外でも発行可能です。必要な書類は基本的には次の通りです。 ・被相続人の戸籍謄本など、死亡を証明する書類 ・申請者の実印と印鑑証明書 ・残高証明書を取りたい口座の預金通帳、預金証書、キャッシュカード ・申請者が相続人、遺言執行者、相続財産管理人のいずれかであることを示す、戸籍謄本、遺言書など 取引先の銀行によって必要書類が異なりますので、詳しくは銀行に問い合わせてみてください。 |
故人の預金額がどのくらいあるのかを把握したら、次は遺産分割協議を進めていきます。今回は預金の相続のお話をしていますが、遺産分割協議は預金だけでなくその他の遺産も合わせて分割する必要がありますので注意しましょう。
そして、相続にはプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。マイナスの財産とは、例えば借金(ローン)、未払金、保証債務金などです。預金の相続を行う際に故人の銀行取引をすべて調査することになるため、知らなかったマイナスの財産が明るみになることもあるでしょう。マイナスの財産が多いと相続を放棄したい相続人もいますので、遺産分割協議はよく話し合って決めることが重要です。
遺産分割協議で決めることは、主に次の2点です。
・誰が何を相続するか
・相続を放棄する人はいるか
誰が何を相続するかということについては遺言書で決められていない限り基本的には法定相続分を参考にしますが、相続人同士の合意があれば法定相続分の範囲外でも相続が可能です。
ここで法定相続分について説明していきましょう。相続する優先順位は法律によって決められています。
被相続人との関係 | 優先順位 | 法定相続分(代表的な例) |
配偶者 | 常に相続人 | ◎配偶者のみの場合は全てを相続 ◎相続人が配偶者と子どもの場合、配偶者の法定相続分は1/2 ◎相続人が配偶者と親の場合、配偶者の法定相続分は2/3 ◎相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者の法定相続分は3/4 |
子ども | 1 | ◎遺産の1/2を子どもの数で均等に分ける ◎相続人が子どものみの場合は遺産の全てを子どもの数で均等に分ける |
父母や祖父母 | 2 | ◎父母、祖父母どちらもいる場合は被相続人との関係が近い世代である方が優先される |
兄弟姉妹 | 3 | ◎被相続人の配偶者、子ども、父母・祖父母がいない場合に相続人になる ◎兄弟姉妹が死亡している場合はその子どもが相続人になる |
この表からも分かるように、配偶者は常に相続人となります。ただし、内縁関係の人は相続人になりません。法定相続分はあくまでも参考で、必ずこの通りに執り行わなければならないわけではありませんが、協議がまとまらない場合は最終的に法定相続分に従って決めることになります。
遺産分割協議は相続人同士で行うものなので、特に決まったやり方があるわけではありません。ですが気をつけなければならない点が2つあります。それは、
・相続人全員で協議すること
・協議の結果を書面に残し、実印を押印すること
という2点です。遺産分割協議は相続人全員で協議することが相続人に未成年がいる場合はその代理人の参加も必要です。
また、後になって「言った、言わない」のトラブルが発生するのを避けるため、協議した内容は書面に残すことが重要になります。この書面のことを遺産分割協議書と言い、法務局などのHPにフォーマットが掲載されているので参考にするとよいでしょう。
関連記事:遺産分割協議書の押印は拒否できる?立場別に知っておきたい対応策
関連記事:同居していたら相続は有利になる?より多くの遺産を獲得する方法
遺産分割協議で誰がどのくらい遺産を相続するかを決めたら、預金の相続手続きを実際に進めていきましょう。まずは、預金の相続に必要な書類を揃えていきます。
預金の相続に必要な書類は、次の通りです。遺言書がある場合とない場合、遺産分割協議書がある場合とない場合で必要な書類が異なりますので、それぞれ説明していきましょう。
【遺言書がない場合】
・遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印) ・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の印鑑証明書 |
【遺言書がある場合】
・遺言書 ・検認調書または検認済証明書 ・被相続人の戸籍謄本または全部事項照明書(死亡が確認できるもの) ・預金を相続する人の印鑑証明書 ・遺言執行者の選任審判書謄本 |
【遺産分割協議書がある場合】
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本(妙本) ・相続人全員の印鑑登録証明書 ・手続き者の実印 ・遺産分割協議書 ・被相続人の通帳、キャッシュカード、証書など |
【遺産分割協議書がない場合】
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本(妙本) ・相続人全員の印鑑登録証明書 ・手続き者の実印 ・相続依頼書 ・被相続人の通帳、キャッシュカード、証書など |
このように、預金の相続には必要な書類が多いので、相続人が多かったり遠方に住んでいたりするとそれぞれの書類を取り寄せるだけでも多大な時間がかかってしまいます。できるだけ早く相続の手続きを完了させるためにも、早めのスタートが肝心になります。
必要な書類が揃ったら、銀行に書類を提出して払い戻しの手続きを行いましょう。銀行側での書類の確認作業は平均で1〜2週間程度です。ただ、銀行の規模や相続人の数、繁忙期などが関係してくると一概には言えませんので、詳しくは取引する銀行に確認しておきましょう。
銀行口座を解約するのであれば払い戻しを受け、名義変更をするのであればそのまま手続きが完了するのを待ちましょう。
この記事をお読みになっている人の多くは、実際に預金を相続しなければならない状況にいるのではないでしょうか。
預金の相続は人それぞれなので、基本的な流れを押さえていたとしても相続する人の状況や環境によって細かく変わってきます。
そのため、預金を相続する流れの中で、「こういう場合はどうしたらいいの?」と疑問を感じ不安になってしまうこともあると思います。
そこで、預金を相続する際によく寄せられる質問について、Q&A方式で解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
【A】可能です。遺産分割は基本的には法定相続分を参考にしますが、相続人の合意があれば必ずしも法定相続にこだわる必要はありません。
例えば一人にだけ預金を全て譲り、不動産はほかの人が受け取る、などという遺産分割方法も可能です。ただ、後になってトラブルにならないように、間違いなく相続人を割り出し、全員からの承諾をとっておきましょう。
【A】前にもお話した通り、遺産分割前でも一部の預金は「遺産分割前の払い戻し制度」を利用して預金を引き出すことができます。
口座名義人が亡くなった場合はすぐに口座が凍結されることがほとんどですが、稀に申告をせずに銀行側が気づかなければ凍結されない場合もあります。そのようなケースは引き出そうと思えば預金を引き出せてしまいますが、名義人が亡くなった時点で故人の遺産であり、もし葬儀のために費用が必要だとしても勝手に引き出さないようにしましょう。
【A】預金の相続手続きを先延ばしにすることにメリットはありません。なぜなら、相続を先延ばしにしているうちに相続人が亡くなってしまうリスクがあるからです。相続人が亡くなってしまうと新たな相続人が発生してしまい、話がややこしくなってしまいます。
そして、もし相続税が発生する場合は相続が発生した日から10ヶ月以内に申告しなければならず、先延ばしにしていると税制上のペナルティを受けることになります。
【A】可能です。払い戻しを受ける際に、銀行に依頼すればよいでしょう。新たに提出する書類が必要になる場合もありますので、詳しくは取引する銀行に確認してくださいね。
ここまでのお話でお分かりのように、預金の相続は、相続人の割り出しや遺産分割協議、書類の準備など、専門的な知識が多く必要になります。
もちろん自分でできないこともありませんが、預金の相続金額が大きい場合や相続人が多く遺産分割協議が難航しそうな場合は、迷わず専門家に依頼した方が良いでしょう。
相続する金額が多額でない場合でも、相続自体に不安がある人は専門家に依頼しましょう。手続きで何か分からない状況になった時に相談できる人がいないとかなり不安な気持ちになってしまいます。さらに手続きにも時間がかかり、精神的な負担も計り知れません。
そして、もし間違った手続きを進めてしまえば再度やり直しが必要になる場合もあります。親族が亡くなってしまったという大きな悲しみを受けている上に、さらに精神的負担を負うことはできれば避けたいところですよね。
以下、預金の相続を自分で行っても良いケースと専門家に依頼すべきケースをまとめました。
預金の相続を自分で行っても良いケース | 預金の相続を専門家に依頼すべきケース |
・故人の預金が数十万円程度と少ない ・相続人が兄弟姉妹数人など、ごく近い親族しかいない | ・故人の預金が数百万円〜数千万円と多額 ・普段関わりのない人も相続人である ・揉め事に発展しそうな予感がする ・相続の手続き自体が不安 ・故人を亡くしたことで精神状態が落ち込んでいて冷静な判断ができそうにない |
この表のように、少しでも預金の相続に不安があるのなら専門家に相談することをおすすめします。
ここで、「専門家と言っても、誰に頼めばいいの?」と感じている人もいるでしょう。
預金の相続を依頼できる専門家は次の4つです。
士業の種類 | 得意とする対応範囲 | 費用相場 |
弁護士 | 相続トラブルの解決 | ・遺言執行/30万円 ・遺産分割の調停/30万円〜 ・相続放棄/20万円 ※依頼内容により幅があります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。 相続にかかる弁護士費用の相場が分かる!費用を抑えるコツも紹介 |
司法書士 | 不動産移転登記 | ・相続人調査/1万5,000円〜3万円 ・遺産分割協議書の作成/3万円〜5万円 ・不動産の移転登記/10万円 |
税理士 | 相続税 | ・相続税の申告手続き/20〜30万円(遺産総額により変動あり) |
行政書士 | 各種書類の提出 | ・遺産分割協議書の作成/3万円 ・預貯金の解約/3万円 ・車の名義変更/2万5,000円〜3万円 |
4つの専門家の中でも、トラブルに発展しそうな場合や、相続人が多く話し合いが難航しそうな場合は、相続問題を全般的に対応できる弁護士に依頼することがおすすめです。
関連記事:遺産相続は弁護士に依頼すべき?メリット・デメリットと判断ポイント
当事務所は、相続に強いリーガルスタッフや弁護士が多数在籍しています。これまでも、たくさんの依頼者と出会い、さまざまな問題を解決してきました。 当事務所の特徴 ◎リーガルスタッフと弁護士の連携による、手続きの早期進行 ◎全国10事務所の連携により、遠い相続人とも交渉が可能 ◎税理士や司法書士との連携ができる 遺産分割協議書に実印を押すというのは、人生でそう何度もあることではありません。例え親族間であっても、勇気のいることですよね。 当事務所では遺産の公平な分割を提案し、円満な相続手続きを進めていきます。相続人が多い場合や相続人を割り出せない場合、相続する預金が高額で揉め事になりそうな場合などでも、皆さんにとって良い方向を見出していくことができます。 相談は無料です。ぜひお気軽に相談からお申し込みください。 |
いかがでしたか?預金の相続について、全体的な流れと細かい流れ、必要書類、注意点などを解説してきました。
最後にこの記事をまとめると、
◎預金を相続する流れは全5ステップ
①故人が取引していた銀行に相続発生の旨を連絡する
②故人の預金がどのくらいあるのかを把握する
③遺産分割協議で分割内容を決める
④預金の相続手続きに必要な書類を準備する
⑤銀行に書類を提出し、払い戻しの手続きを行う
◎預金の相続に必要な書類は
【遺言書がない場合】
・遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印) ・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の印鑑証明書 |
【遺言書がある場合】
・遺言書 ・検認調書または検認済証明書 ・被相続人の戸籍謄本または全部事項照明書(死亡が確認できるもの) ・預金を相続する人の印鑑証明書 ・遺言執行者の選任審判書謄本 |
【遺産分割協議書がある場合】
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本(妙本) ・相続人全員の印鑑登録証明書 ・手続き者の実印 ・遺産分割協議書 ・被相続人の通帳、キャッシュカード、証書など |
【遺産分割協議書がない場合】
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの) ・相続人全員の戸籍謄本(妙本) ・相続人全員の印鑑登録証明書 ・手続き者の実印 ・相続依頼書 ・被相続人の通帳、キャッシュカード、証書など |
◎預金を相続する注意点は3つ
①遺産分割協議が終わるまで預金を引き出してはいけない
②相続はマイナスの財産も含まれる
③現金も預金と同じ「遺産分割」の対象になるため、預金と総合して考える必要がある
となります。
預金の相続は、基本の流れを押さえながら相続人全員で遺産分割を協議し、円満に進めていくことが大切です。自分で行うことに少しでも不安がある場合は、法律の専門家の力を借りると負担なく進めていけるでしょう。