代襲相続のトラブルは多い!事例と回避する方法・相談先を解説

代襲相続のトラブル
この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

代襲相続とは、被相続人が亡くなった際に、すでに亡くなっている相続人(相続財産を承継する側)の代わりに、相続人の子が相続財産を承継することを言います。

例えば、上の図にあるように、90代の男性Aがいるとします。男性の妻と長男Bはすでに他界しており、次男Cと長女Dがいます。この男性が亡くなってしまった場合、男性の財産は、相続人である次男C・長女Dが受け継ぐだけでなく、長男Bの子であるE(一人っ子)も受け継ぐ権利をもつのです。このことを代襲相続といいます。

このような代襲相続について、

「トラブルになりやすいの?」

「どういうトラブルが多いの?」

「トラブルを避けるためにはどうしたらいいの?」

といった疑問をお持ちではないでしょうか?

被相続人の子供同士で相続財産を分割する場合でも、トラブルになるケースが多いですが、代襲相続の場合、親世代と子世代という異なる世代間で相続財産を分割するため、さらに争いや揉め事に発展しやすいです。

「代襲相続で、親族同士で怒号が飛び交うようなトラブルに発展し、悲しい」

「代襲相続で、一方的に遺産分割協議書へのサインを求められ、相続財産を全て持って行かれてしまった」

このような相続による不幸な事態を避けるためにも、代襲相続のトラブルについて知識をもち、トラブルを防ぐための対処法を理解していくことが重要です。

そこで今回の記事は、

◎代襲相続はトラブルになりやすいのか?
◎代襲相続のトラブル事例
◎代襲相続のトラブル回避法
◎代襲相続のトラブルになった場合の対処法
◎代襲相続のトラブルを避けたい・トラブルになった場合の相談先

を一挙解説していきます。

相続においては、感情的にならず、冷静になることが重要です。

本記事を参考にしながら、ご自身をとりまく相続問題に冷静に対応していきましょう。

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目次

代襲相続はトラブルに発展することが多い 

冒頭でも触れましたが、代襲相続は、通常の相続と比べても、トラブルに発展することが多いです。

代襲相続では、亡くなった被相続人の子の間で相続するという一般的なケースと異なり、被相続人の子世代と孫世代など、異なる世代の間で相続財産を分割することになります。

そのような場合、

■そもそも叔父・叔母あるいは甥・姪の間ではほとんど連絡を取っておらず、疎遠であり、円滑なコミュニケーションが難しい

■代襲相続人より相続人のほうが世代が上であるため、強い立場にあり、代襲相続人に対して強気に出る

■相続人のほうが、孫世代である代襲相続人よりも、被相続人との関係が深いため(介護をしていたり、生前に贈与を受けていたりするなど)、法定割合で相続財産を分割することが必ずしも公平ではなく、相続割合で揉める

という事情を抱えることが多いため、トラブルに発展しやすいのです。

特に、相続人と代襲相続人の間で円滑なコミュニケーションが取れないことは、トラブルの大きな原因となります。

相続人・代襲相続人の間で相続財産の分割について合意するためには、それぞれが自身の事情や利益だけを考えて権利を主張するばかりでは、合意に至ることができません。

・介護や世話など、被相続人に対して今までどのように貢献してきたのか

・被相続人の墓や財産などを維持するために、今後どのような費用の負担が発生するのか

以上のような、お互いの負担をそれぞれ踏まえた上で、全員が納得する落とし所を探っていく必要がありますが、コミュニケーションが十分に取れないと、お互いの事情を理解したり、思いやることが非常に難しくなってきます。

このように、代襲相続はトラブルに発展しやすい事情があるため、トラブルになる前提で、トラブルを防ぐための方法や、トラブル発生時に抑えておきたいポイントを理解しておくことが重要になってきます。

代襲相続で起こるトラブル5つ

代襲相続がトラブルになりやすい事情はわかったところで、具体的にはどのようなトラブルが起きるのでしょうか?

トラブルの内容は、それぞれのケースで千差万別ですが、代表的なのは以下の5つのトラブルです。

①相続人が代襲相続人と話し合うことなく、手続きを進め、一方的に遺産分割協議書への署名を求めてくるケース
②相続人が代襲相続人に対して、相続財産を開示しないまま、相続放棄を求めてくるケース
③介護などの寄与分や生前贈与などの特別受益を踏まえる必要があり、相続割合の合意が難しいケース
④遠方に住んでいる代襲相続人が遺産分割に協力せず、手続きが進まないケース
⑤被相続人が借金を抱えているケース

それぞれについて具体的に解説していきます。

代襲相続に限らず、相続全般で生じるトラブルについては、以下の記事も併せてご確認ください。

相続人が代襲相続人と話し合うことなく、手続きを進め、一方的に遺産分割協議書への署名を求めてくるケース

代襲相続人は、一定の割合で相続を受ける権利があるにも関わらず、相続人が代襲相続人と話し合うことなく、勝手に手続きを進め、自身に有利な遺産分割協議書への署名を求めてくるケースがあります。

冒頭の事例を再び例にとると、代襲相続人であるEは、C・Dと同じ法定相続割合で、相続財産を承継することができます。例えば、相続財産が合計3000万円を法定相続割合で分割する場合、C・D・Eはそれぞれ1000万円を手にすることになります。

ここで、代襲相続人が2人であった場合は、C・Dは1000万円、代襲相続人は1000万円を分割してそれぞれ500万円を手にすることになります。

しかしながら、法定相続割合というのは、必ずしもその割合で相続財産を分割しないといけないという位置付けではなく、当事者の合意があれば、任意の割合で分割することが可能になる場合があります。

そのため、被相続人と近い立場にあった相続人が、「疎遠である甥・姪に親の財産を相続させたくない」という思いから、一方的に権利を主張し、遺産分割協議書への署名を求めてくるケースが後を絶ちません。

相続人が代襲相続人に対して、相続財産を開示しないまま、相続放棄を求めてくるケース

上記2-1.と似たような事例ですが、代襲相続人が相続人に対して相続財産を開示してほしいと依頼しても、開示を拒否したり、相続放棄を求めてくるケースも存在します。

被相続人が所有していた不動産があるのか、財産はどの程度残っているのか、孫世代である代襲相続人が把握していることは少ないでしょう。

そうした相続財産の全貌を把握できないまま、遺産分割の交渉が不利に進められてしまうケースが存在します。

介護や生前贈与などの個別の事情を踏まえる必要があり、合意が難しいケース

相続財産を分割する上では、被相続人に対して介護などで寄与していたことや、生前に贈与を受けていた場合はその金額などを踏まえる必要があります。

「私は、被相続人の世話や介護を長年一人で行ってきた。当然、私が他の人よりも多く受け取る権利がある。」

「次男は、相続人の生前に、贈与を受けているにも関わらず、同じ割合の相続を承継するのはおかしい」

このように、法定相続割合に則って相続財産を分割するのが公平でないケースも出てきます。

しかしながら、全員が納得する分割する分割割合を定めることは容易ではなく、相続人・代襲相続人それぞれに一方的に権利を主張するばかりで、なかなか合意に至らないケースも出てきます。中には、怒号が飛び交うほどの言い争い・トラブルに発展してしまうケースもあるのです。

遠方に住んでいる代襲相続人が遺産分割に協力せず、手続きが進まないケース

遺産分割をする上では、相続人・代襲相続人の合意と、必要書類を集めた上での手続きが必要です。代襲相続人が遠方に住んでいたり、ほとんど連絡がつかないなどの理由で、手続きが進まず、相続財産が承継できないトラブルもあります。

核家族化が進んでいる現代において、甥・姪やおじ・おばとの間で顔を合わせたり、頻繁に連絡をとる仲でないことがほとんどでしょう。そうした中、トラブルになる以前で連絡やコミュニケーションが取れない状態になっていることが少なくありません。

被相続人が借金を抱えているケース

被相続人が借金を抱えており、借金の押し付け合いや、相続放棄の手続きを取らずに借金の返済を背負ってしまうことになるトラブルも生じ得ます。

特に、代襲相続人は相続人と違って、被相続人の財産や負債の状況を知らないことがほとんどです。相続放棄の手続きを行えば、被相続人の借金を背負うことはなくなります。

しかしながら、代襲相続人がそもそも被相続人が負債を抱えていることや、自分が代襲相続の対象になることを知らず、相続放棄の手続きを行わない場合、意図せず借金を抱えることになってしまうトラブルになってしまうのです。

代襲相続のトラブルを回避する方法

代襲相続でトラブルが起きてしまうと、

・今まで交流があった親族との間で仲が悪くなる

・自身の尊厳を否定されるような怒号を浴びせられる

・相続財産をほとんど持って行かれてしまい、人間の醜い部分をみせつけられる

など、悲しい気持ちになってしまうため、トラブルが起きるような事態は避けたいですよね。

本章では、トラブルを回避するために、被相続人が亡くなる前にできること3つをご紹介します。

生前に、財産目録を作成する手筈を整える

被相続人にどれくらいの相続財産があるのか、全貌がわからないまま遺産分割協議が始まってしまうと、相続財産の調査に大きな負担がかかってしまったり、結果的に不公平な分割割合になってしまうなど、相続人との間でトラブルに発展しやすいです。

そのため、被相続人の生前から、相続財産を一覧にした、財産目録を作成しておくのが良いでしょう。

【財産目録とは】
財産目録とは、相続財産(負債も含む)を一覧でわかるように示したものを言います。
例えば、預貯金や不動産、自動車、有価証券などのプラスの財産や、住宅ローン、借金などのマイナスの財産を漏れなく記載していきます。
記載する上では、預貯金であれば銀行名・口座番号、不動産であれば住所など、財産が特定できるように詳細まで記載します。


相続において、財産目録の作成は義務ではないですが、作成することで相続財産の全貌が明らかになり、関係者の間でのコミュニケーションが円滑になります。

被相続人の生前の段階で、被相続人本人に財産目録を作成するように、あるいは弁護士などの専門家に作成を依頼するように働きかけてみるのが良いでしょう。

被相続人に遺言書を作成するよう促す

遺言書を作成することは、代襲相続のトラブルを回避する上で非常に効果的です。

遺留分について注意する必要がありますが、遺言書があれば、基本的には遺言書の内容に従って相続することになるため、相続人・代襲相続人が、「自分たちは〇〇を相続する権利がある」と口を挟む余地が少なくなるからです。

残された相続人の間でのトラブルを防ぐためにも、被相続人が健在であるうちに遺言書を作成してもらうように相談してみるのが良いでしょう。

もっとも、遺言書を作成する上では、遺留分に配慮されていないとトラブルを招いてしまう可能性があるため、注意が必要です。

遺留分とは?
遺留分とは、遺言の内容にかかわらず、相続人が受け取る権利をもつ相続割合のことを言います。
遺言書では、被相続人は、誰にどの程度の割合の財産を相続させるか、あらかじめ決めておくことができます。そして、遺言書が作成されている場合、基本的には遺言書の内容に従いますが、遺言書において遺留分よりも少ない割合を受け取ることになっている場合、遺留分の財産を取得するべく他の相続人に請求することができる場合があります。

具体的な遺留分の割合などはケースによっても異なるため、ご自身のケースで遺留分はそれぞれどの程度になるかを把握した上で、遺言書を作成することが重要です。 

詳しくはこちらの記事からご確認ください。

生前から被相続人・関係者と円滑なコミュニケーションをとっておく

被相続人の生前から、被相続人・相続人・代襲相続人の間で、事前に相続についてコミュニケーションをとっておくことが重要です。

いざ、被相続人が亡くなり、財産を相続することが現実となった段階においては、感情的になり、冷静さを失うことが多いためです。

また、事前にコミュニケーションをとっておくことで、関係者に対して自分勝手な要求をしづらい状況になります。

被相続人が生きている段階で相続の話をするのは気まずいのも事実ですが、相続人の間でのトラブルが生じた場合の深刻さを伝えた上で、相続についてコミュニケーションをとっておくようにしましょう。

代襲相続のトラブルになった時に抑えておくべきポイント5つ

3章のような予防策を取っていたとしても、トラブルに発展してしまうケースは十分にあります。

関係者と円滑にコミュニケーションを取っていたとしても、いざ相続の段階になった時には態度が豹変したり、遺言書を作成していても異議を唱えられてしまうことがあるからです。

トラブルになった場合には、以下の5つのポイントを抑えておくことが重要です。

①闇雲に遺産分割協議書にサインしない
②相続財産の全体を正しく理解する
③法定割合や寄与分、特別受益などを踏まえると、自身はどの程度の相続割合を主張できるか整理する
④長期的な視点でベストな主張を、関係者に受け入れられやすい形で伝える
⑤被相続人が借金を抱えている場合は相続放棄を検討する

それぞれについて、具体的に解説していきます。

闇雲に遺産分割協議書にサインしない

遺産分割協議書の内容を確認せず、他の相続人に言われるがまま闇雲にサインしないようにしましょう。

遺産分割協議書にサインをしてしまうと、遺産分割内容に合意したものとみなされ、基本的に合意内容を覆すことは難しくなります。

協議書にサインした後に、多額の相続財産が判明するなど、トラブルが生じる可能性もあるため、遺産分割協議書にサインをするのは慎重になりましょう。

相続財産の全体を正しく理解する


遺産分割内容の協議に入る前に、相続財産の全貌を把握することが重要です。相続財産の全貌を把握しないと、公平な分割内容が整理できないからです。

被相続人が生前に財産目録を作成している場合は、財産目録を管理している相続人に対して、開示を求めましょう。

作成されていない場合で、当事者での調査が難しい場合は、弁護士などに相続財産の調査を依頼することも可能です。

法定相続分や寄与分、特別受益などを踏まえると、自身はどの程度の相続割合を主張できるか整理する

相続全般・代襲相続について正しい知識を収集した上で、法定相続分や、寄与分・特別受益などを踏まえると、自身はどの程度の相続割合を主張できるか整理しましょう。

繰り返しにはなりますが、代襲相続の場合、法定相続分は、以下のようになっています。

法定相続分で遺産を分割することが必ずしも公平なわけではなく、

・被相続人の介護を行い、介護サービスを利用していれば一定割合失うはずであった被相続人の財産の維持あるいは増加に貢献した(寄与分)

・生前に、被相続人から現金を受け取っていた(特別受益)

などといった、寄与分や特別受益を考慮することが重要です。

その上で、「自身が承継したい相続財産の割合」ではなく、「自身が主張できる相続割合はどの程度なのか」を冷静に整理するようにしましょう。

寄与分・特別受益とは?
寄与分とは、相続人が被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合、その点も踏まえた相続割合を決定することを言います。  

例えば相続人の1人が、被相続人の介護を行っていた場合、それによって被相続人が本来介護サービスを利用していれば一定割合失うはずであった財産を維持できていることになります。そのため、介護をしていた相続人が、被相続人に対して寄与した分を上乗せした上で、相続財産を分割することが公平になります。

特別受益とは、相続人が生前贈与や遺贈、死因贈与などを通じて被相続人から受け取った利益のことをいいます。

相続人が複数いる場合で、そのうちの1人が生前贈与を受け取っているにも関わらず、法定相続分で相続財産を分割するのは公平ではないため、それを踏まえて遺産分割の割合を決定することが認められています。   遺言書がある場合、寄与分・特別受益については遺言書の内容が優先されるため、注意が必要です。

特別受益については、以下の記事もあわせてご確認ください。  

長期的な視点でベストな主張を、関係者に受け入れられやすい形で伝える

相続によって、他の相続人の事情を鑑みずに多くの財産を承継した場合、金銭的に豊かになるかもしれませんが、人間関係や大切な思い出など、それ以上に多くのものを失うことがあります。

他の相続人の事情などを踏まえた上で、長期的な視点で、自身がどのような割合を主張するのがベストかを検討しましょう。

その上で、他の相続人に自身の主張を理解してもらえるよう、受け入れられやすい言葉遣いで伝えるようにしましょう。


被相続人が借金を抱えている場合は相続放棄を検討する

被相続人が借金を抱えていた場合は、相続放棄を検討しましょう。

相続放棄とは、裁判所に申述書を提出することで、被相続人が抱えるプラスの財産や負債等を含め、一切の相続財産の承継を放棄する制度です。

相続放棄をしないと、被相続人が抱えていた借金を返済する義務を負うことになってしまいます。

不動産などを含めた財産総額が、借金総額よりも下回る場合は、相続放棄の手続きを進めましょう。

代襲相続でトラブルを避けたい・対処に困っている場合に相談すべき専門家



代襲相続のトラブルを、ご自身で対応することには限界があります。

なぜなら、相続は専門的な法律知識を要するものであり、特に家族・親戚における利害関係が複雑である場合には、ご自身の力でトラブルを防いだり、対応することは非常に難しく、精神的負担も大きくなるからです。

そのため、一人で、あるいはご家族だけで抱え込まず、専門家に相談することが有効です。

相談できる専門家は以下のとおりです。

・弁護士

・司法書士

・行政書士

・税理士

それぞれについて、具体的にどのようなことが相談でき、どういう人におすすめかを解説していきます。

弁護士

代襲相続を阻止する相続人が現れたり、遺産分割の方法で揉め事が起こるなど、当事者同士で解決が難しいトラブルが発生している場合や、そのようなトラブルが想定される場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士であれば、以下のことができます。

・代理人として、他の相続人との間に立って遺産分割の交渉をすることができる
・話し合いで解決しない場合には、代理人として遺産分割調停や審判の申立て、裁判の手続きができる
・トラブルを防ぐために遺言書の案を作成し、有効な遺言書を作成することができる。
・相続放棄の手続きもできる。

このように、代襲相続のトラブルにまつわる、あらゆることを任せられるのが弁護士の特徴です。

弁護士報酬は、他と比べて高額であることが多いため、相続財産の金額がある程度大きく、かつ、トラブルが既に生じている場合やこれから生じることが想定される場合に、弁護士に依頼するのがおすすめです。

司法書士

代襲相続財産に不動産が含まれる場合で、不動産相続登記の具体的な手続きを知りたい場合などは、司法書士に相談することがおすすめです。

司法書士は、代襲相続のトラブルを解決することはできませんが、不動産登記を含む代襲相続の手続きを代行依頼することができます。また、相続人・相続財産の調査や遺言書の作成、金融機関での相続手続も可能です。

代襲相続のトラブルを抱える中で、主に不動産の相続登記について手続きを知っておきたい場合に司法書士に相談してみましょう。

行政書士

代襲相続にあたり、そもそもの相続財産がどれくらいか調査したい場合や、手続きについて知りたい場合などは、行政書士に相談することがおすすめです。

行政書士は、相続人同士のトラブルを解決したり、不動産登記の手続きを行うことはできませんが、相続人や相続財産の調査を行ったり、車や株式の名義変更などを行うことができます。

代襲相続のトラブルを防ぐ上では、まず相続財産の全貌や手続きの流れを捉えることが重要になってくるため、代襲相続が想定される、なるべく早い段階で相談してみるのが良いでしょう。

税理士

代襲相続の相続割合を話し合うにあたり、相続税について相談したい場合は、税理士がおすすめです。

そもそもですが、相続税は全ての相続で徴収されるわけではありません。

相続税が課せられるのは、相続財産が基礎控除額を超える場合に限られます。

2020年においては死亡者数に対する相続税の課税件数の割合が8.8%程度であり、相続税が課せられるのは例外的であるといえます。

2015年1月以降に相続があった場合の基礎控除額は、以下の計算式で算出できます(2022年9月現在)。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)

つまり、相続財産が3000万円以上ある場合は、相続税がかかるかどうか検討する必要があります。

税理士は具体的なトラブルを解決したり、相続にまつわる手続きを行うことはできませんが、複雑なケースの場合で相続税の計算が難しいような場合には、税理士に相談するのが良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、代襲相続のトラブル事例から、トラブルを防ぐために事前に把握しておきたいことについてお伝えしていきました。

代襲相続でトラブルになったらどうしよう?という漠然とした不安について、具体的にやるべきことが明らかになったのではないでしょうか?

本記事をまとめると、以下になります。

代襲相続の代表的なトラブル事例5つ

①相続人が代襲相続人と話し合うことなく、手続きを進め、一方的に遺産分割協議書への署名を求めてくるケース
②相続人が代襲相続人に対して、相続財産を開示しないまま、相続放棄を求めてくるケース
③介護や生前贈与などの個別の事情を踏まえる必要があり、合意が難しいケース
④遠方に住んでいる代襲相続人が遺産分割に協力せず、手続きが進まないケース
⑤被相続人が借金を抱えているケース

代襲相続のトラブルを避けるための事前に抑えておきたいポイント

①闇雲に遺産分割協議書にサインしない
②まずは、相続財産の目録の開示を求め、相続財産の全体を正しく理解する
③相続についての前提知識を収集した上で、法定相続分や寄与分、特別受益などを踏まえると、自身はどの程度の相続割合を主張できるか整理する
④その上で、長期的な視点でベストな主張を、関係者に受け入れられやすい形で伝える
⑤被相続人が借金を抱えている場合は相続放棄を検討する

◎代襲相続でトラブルを避けたい・対処に困っている場合に相談すべき専門家

・弁護士

・司法書士

・行政書士

・税理士

本記事の内容を参考に、代襲相続のトラブルを防ぐために、事前の対策を進めていきましょう。


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