弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
「財産調査を弁護士に依頼したい」と考えているものの、「どのような内容で調査してくれるか」までを深く理解している方は少ないのではないでしょうか。
また、弁護士に依頼したい気持ちはありつつも、「依頼しなくても自力で調査できるのではないか」と依頼をためらっている方もいるかもしれません。
相続財産調査を弁護士に依頼した場合と自力で調査した場合を比較してみると、調査の確実性、情報照会の権限、調査の手間の面で、弁護士に依頼した方がメリットが大きくなります。
一方で、弁護士に依頼する場合のデメリットは費用になるでしょう。
相続財産調査だけを弁護士に依頼した場合の費用相場は11万円〜33万円程度です。この費用を払っても「弁護士に依頼するメリットが大きい」と納得できる場合には、弁護士への依頼がおすすめです。
この記事では、弁護士に相続財産調査を依頼すると具体的にどのようなことをしてくれるのかを詳しく解説していきます。
※①と⑥については、弁護士による「全店照会」に対応しない金融機関もあります。実務では本人でできる金融機関の手続きを弁護士が代理で行うことが多いです。
※また、⑥特別受益の調査といっても、例えば、被相続人から特定の相続人に送金があった事実の調査については、送金先となっている被相続人名義以外の口座の照会は、弁護士法23条の照会によってもできないことが多いです。
※弁護士法23条の照会は、調停、訴訟等のために調査が必要であることが前提となっており、弁護士が財産調査のご依頼をお受けする場合も、そのような必要性があることが前提となります。
詳しい内容を解説するとともに、「弁護士だからできること」も併せてお伝えしていきます。また、自力で財産調査する時の大変なポイントがどこかも分かるようになっています。
この記事を読めば、弁護士に相続財産調査を依頼すると具体的にどのようなことをしてもらえるのかはもちろん、自分は依頼がおすすめなのかどうかも分かります。
「依頼するか判断したい」という方はぜひこの記事を最後まで読んで、参考にしてみてください。
相続の弁護士費用に、新しい選択肢を。
サリュは、お客様の弁護士費用の負担を軽減するため、
月額料金プランと着手金無料プランを用意しました。
最良の法的サービスを、もっと身近に。
相続の弁護士費用に、
新しい選択肢を。
サリュは、お客様の弁護士費用の負担を軽減するため、
月額料金プランと
着手金無料プラン
を用意しました。
最良の法的サービスを、もっと身近に。
最初に、相続財産調査を「弁護士に依頼する場合」と「自分で調査する場合」の違いをまとめたので、まずはイメージしてみてください。
【弁護士の調査と自分で調査の違い】
弁護士に依頼した場合 | 自分で調査した場合 | |
調査の確実性 | 〇 慣れているので漏れがない | △ 慣れていないため不確実 |
情報照会の権限 | 〇 「弁護士法23条照会」権限あり | ✖ 権限なし |
調査の手間 | 〇 委任するためかからない | ✖ かなり手間がかかる |
費用 | ✖ 依頼費用が11万円~33万円程度かかる | 〇 書類の取得費などしかかからない |
調査の確実性や手間の面以外にも、弁護士には「弁護士法23条照会」という権限があり、個人では調べられないことを調査できるという大きな強みがあります。
こうした前提を踏まえた上で、2章からは具体的に、弁護士による相続財産調査について詳しく解説していきます。
ここからは具体的に、弁護士に依頼した場合の相続財産調査の内容について解説していきます。
弁護士に依頼した場合の相続財産調査の内容
(1)預貯金:弁護士の権限で「全店照会」ができる場合がある
(2)不動産:名寄帳で不動産を特定して金額の評価まで行う
(3)有価証券(株・投資信託など):証券保管振替機構を活用して証券会社に開示してもらう
(4)借金の調査:自宅調査+信用情報機関に開示請求を行う
(5)その他(車や貴金属、貸金庫など):査定して財産的価値を出す
(6)特別受益の調査:弁護士権限「全店照会」などで効率的に調査が可能
(7)財産目録の作成:難しい評価額の算定も可能
(8)場合によっては交渉や調停・訴訟、相続放棄などのお手伝いも可能
※(1)と(6)については、弁護士による「全店照会」に対応しない金融機関もあります。実務では本人でできる金融機関の手続きを弁護士が代理で行うことが多いです。
※また、(6)特別受益の調査といっても、例えば、被相続人から特定の相続人に送金があった事実の調査については、送金先となっている被相続人名義以外の口座の照会は、弁護士法23条の照会によってもできないことが多いです。
※弁護士法23条の照会は、調停、訴訟等のために調査が必要であることが前提となっており、弁護士が財産調査のご依頼をお受けする場合も、そのような必要性があることが前提となります。
一つひとつの内容を解説する中で、「弁護士だからできること」も併せてお伝えしていきます。
なお実際には、依頼する弁護士や法律事務所によって財産調査の内容は変わりますので、依頼前にしっかりと擦り合わせをしておきましょう。
銀行や信用金庫などの預貯金の口座の有無、特定、口座ごとの金額を調査します。
まず、自宅を調査して通帳や口座開設の控えなどを見つけて、口座がある場所を特定します。
弁護士が財産調査するメリット
亡くなった方がどこに口座を開設していたか分からなくても、弁護士に与えられている「全店照会」の権限を使って、どの口座にいくらあるかを調べることが可能です。これにより、効率的に預貯金の調査を行うことが可能です。
※弁護士による「全店照会」に対応していない金融機関もあります。
※銀行名などの金融機関名は全店照会ではなく、自身で特定する必要があります。
※弁護士法23条の照会は、調停、訴訟等のために調査が必要であることが前提となっており、弁護士が財産調査のご依頼をお受けする場合も、そのような必要性があることが前提となります。
自力で財産調査する時の大変なポイント
亡くなった方が保有していた口座が特定できている場合には、個別に問い合わせて残高証明書を取得することが可能です。
しかしながら、口座の場所が不明な場合には、手あたり次第で複数の銀行に対して、預金調査に必要な書類(戸籍謄本や印鑑証明書などを用意して問い合わせなければなりません。調査にかなりの手間がかかるといえます。
亡くなった方が保有していた不動産についての調査と金額の評価を行います。
亡くなった方の自宅を調査して、遺産となる不動産の資料(登記簿や固定資産税納税通知書)が揃っていれば、そこから不動産の特定ができます。
疎遠になっている場合や資料が残されていない場合、判明している不動産以外にも保有している不動産がないか調査する場合に、市区町村役場から「名寄帳」を取得して調査します。名寄帳を取得することで、発行する役所の管轄内の不動産をまとめて調べることが可能です。
弁護士が財産調査するメリット
弁護士は相続財産調査に慣れているため、何を調査すればいいかスピーディーに判断でき、手続きをスムーズに進めることが可能です。
特定できた不動産については、不動産の種類によって、実勢価格や固定資産税評価額、路線価など適切な金額で評価を行って依頼人にお伝えします。
自力で財産調査する時の大変なポイント
「名寄帳」の取得は個人でも可能ですが、申請のための書類を集めた上で市区町村役場に申請する手間がかかります。
また、特定できた不動産について評価額をいくらにするかは、個人ではなかなか判断が難しいケースがあります。(相続税申告が目的なのか、遺産分割が目的なのかによっても、使うべき評価指標が変わることがあります)
不動産の評価額については、以下の記事もぜひ参考になさってください。
有価証券(債券や株券、投資信託など財産的価値のある権利を表す証券や証書のこと)の財産調査を行う場合には、「証券保管振替機構(ほふり)」に郵送で開示請求手続きを行います。
開示請求をすると「登録済加入者情報通知書」が送られてきて、そこには「どこの証券会社に口座があるか」だけが記載されています。あとは特定できた証券会社に連絡をして、亡くなった方が保有していた株式や投資信託の名称や数量、残高を開示してもらう手続きを行います。
また、上場していない株式については、自宅や貸金庫などに保管されている株券や株主名簿記載事項証明書を探して特定します。上場していない株式については「その評価額をいくらとするか」で相続人間で争われる可能性がある点に注意が必要です。
弁護士が財産調査するメリット
弁護士は相続財産調査に慣れているため、手続きや財産評価額の算定をスムーズに進めることが可能です。
また、非上場株式の評価額の算定方法に詳しいため、適切に評価することができます。
自力で財産調査する時の大変なポイント
「証券保管振替機構(ほふり)」や各証券会社への開示請求は個人でも可能ですが、証券会社がいくつもある場合などは手間がかかります。また、株式の相続税評価額を決める場合には、4つのタイミングの中から最も低い金額を選ぶことができますが、遺産分割の場面では異なる評価方法が適切な場合もあり、慣れていないと評価額の判断に時間がかかるケースもあるでしょう。
また、非上場株式の評価額をいくらにするか判断が難しい点に注意が必要です。
相続した株式の相続税評価額の決め方や具体的な調査の進め方などを知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
被相続人にマイナスの財産(借金)がないか調査するために、自宅の保管書類の調査と並行して、信用情報機関に開示請求を行います。
被相続人の保管していた書類や郵便物などを調べて、借入れの契約書類や督促状、利用明細などを確認します。また、クレジットカードのキャッシングやショッピング、カードローンの支払いは預金口座から引き落としされていることが多いので、口座の履歴も確認します。
並行して、以下3つの信用情報機関に開示請求を行い、借金の有無を調べます。
【借入状況が分かる信用情報機関】
信用情報機関 | 確認できる借入状況 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融系の契約内容 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジット系の契約内容 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行系のローン(住宅ローン等)やキャッシング |
弁護士が財産調査するメリット
信用情報機関への個人信用情報の開示請求のお手伝いを含めて、借金がありそうな場所の調査を進めます。弁護士は相続財産調査に慣れているため、スムーズに進めることが可能です。
また、続けて、その後の相続放棄の手続きをご相談いただくこともできます。
自力で財産調査する時の大変なポイント
信用情報機関への個人信用情報の開示請求は個人でも可能ですが、手間がかかります。
また、口座の履歴の見方など、慣れていないと借金の特定が難しいケースがあるかもしれません。
その他、車や貴金属、貸金庫などの相続財産調査を行うことも可能です。
現物が保管されている場合は、査定業者に依頼して財産的価値を見積もります。なお、タンス預金や貸金庫にある現金については、調査時点で残っている金額を把握することしかできない点に注意が必要です。
例えば、同居していた相続人による使い込みの疑いがあった場合でも、増減が記録に残るものではないので、死亡時に残っていた現金がいくらだったのかはその現金を管理している人以外は知り得ません。貴金属についても同様です。
亡くなった方の口座から直接受贈者(生前贈与を受けた人)宛へ振り込んでいる旨の記載が残っている場合には、弁護士に相続財産調査を依頼することで、「特別受益」(一部の相続人だけが特別に得ていた利益)の有無を効率的に調査することが可能です。
特別受益とは、例えば、一部の相続人だけが「生前に住宅購入資金の援助を受けていた」などの利益を指します。特別受益があった場合には、相続財産の前渡しがあったと見なし、その金額も含めて遺産分割をすることで相続人間の不公平感を解消することができます。
しかしながら、特別受益を受けていた相続人からすると、自分が受け取れる遺産が少なくなる事態は避けたいので、特別受益を認めようとしないケースがあります。このようなケースで特別受益があったことを証明するためには、以下のような証拠を探す必要があります。
【特別受益の証拠となる資料】
贈与の合意に 関する資料 | ・契約書や誓約書 ・被相続人のメモ、日記、メール履歴 ・被相続人と受贈者(贈与を受けた人)のメールなどのやり取り履歴 ・預金口座の取引明細、通帳、振込用紙の控え |
生計の資本としての 贈与に関する資料 | ・受贈者の収入証明など、資力を証明するもの ・預金口座の取引明細、振込用紙の控え |
特別受益の価格を 証明する資料 | ・不動産の固定資産評価証明書や査定書 ・売買契約書や領収書、振込依頼書控え、預金通帳など |
弁護士が財産調査するメリット
弁護士は「どんな証拠を集めるべきか」「どこに請求すればよいのか」を熟知しているため、スピーディかつスムーズに特別受益の形跡となる証拠を見つけることができます。また、個人では取得できない資料も、弁護士であれば、弁護士会照会という手続きを通して手に入れられる場合があります。
さらに、一般人では分からない有力な証拠がどれか理解できるため、調停・審判に進んだ際にも裁判官を認めさせられる可能性が高まります。調停・審判に進むことを見越した上で、トラブルになりそうな可能性を察知し、事前に対策が打てるのもメリットです。
※弁護士による「全店照会」に対応しない金融機関もあります。実務では本人でできる金融機関の手続きを弁護士が代理で行うことが多いです。
※特別受益の調査は、例えば、被相続人から特定の相続人に送金があった事実の調査については、送金先となっている被相続人名義以外の口座の照会は、弁護士法23条の照会によってもできないことが多いです。
※弁護士法23条の照会は、調停、訴訟等のために調査が必要であることが前提となっており、弁護士が財産調査のご依頼をお受けする場合も、そのような必要性があることが前提となります。
自力で財産調査する時の大変なポイント
特別受益の証拠となる資料を自分で探そうとすると、かなりの労力がかかります。そもそも「どんな証拠を探せばいいのか」判断が難しいという点もあります。
さらに、特別受益者が財産を開示してくれず、どこに被相続人の口座があるか分からない場合などは、自力での調査ができません。特別受益者の協力が得られない場合などは、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相続財産調査を依頼した場合、相続財産の特定だけでなく、財産価値の評価まで終わらせて、全てを一覧にした財産目録を作成してもらうことが可能です。
【財産目録のイメージ(簡易的なもの)】
財産の種類 | 所在地・金融機関名など | 数量・面積・持分 | 相続開始時の評価額 |
不動産(宅地) | 東京都〇〇X丁目X番XX | 200㎡ | 42,000,000円 |
不動産(建物) | 東京都〇〇X丁目X番XX | 1 | 17,500,000円 |
預貯金 | 〇〇銀行〇〇支店普通預金 XXXXXX | 1 | 9,123,123円 |
自動車 | 練馬XXX そ 12-34車体番号XX-XXXXX | 1 | 1,231,231円 |
弁護士が財産調査するメリット
弁護士は相続財産調査に慣れているため、スムーズかつ正確に財産調査を行うことができます。また、特定した財産について「いくらで評価するのが妥当か」を適切に判断できます。
自力で財産調査する時の大変なポイント
相続財産の内容がシンプルな場合は良いですが、財産の種類や数が多い場合には、それぞれの開示請求や査定などを行うだけでも大変な作業となります。また、相続財産調査に慣れない人がおこなうと、漏れなく把握することは難しいでしょう。
財産を特定できたとしても、その財産の価値を適切に評価するのが素人には難しいという点も注意すべきです。
弁護士に相続財産調査を依頼することで、場合によっては調査以外の内容も弁護士に依頼できるメリットがあります。例えば、他の相続人との交渉、調停・訴訟、相続放棄の手続きなどもお手伝いすることが可能です。
例えば、被相続人の財産を生前から管理していた相続人がいる場合などに、財産の情報を開示したがらないケースがあります。この場合、相続財産調査を自分で進めたくてもなかなか難しいでしょう。
こうした場合に弁護士に交渉を依頼することで相手に本気度が伝わり、説得できる可能性があります。
また、遺産分割協議がまとまらない場合や不動産の評価額で折り合いがつかない場合、遺産の使い込みが疑われる場合など、調停・訴訟の対応も引き続き任せることが可能です。
相続財産調査の結果、多額の借金が見つかった場合には相続放棄の手続きを依頼することもできます。
あらためて、弁護士に相続財産調査を依頼するメリットをまとめると以下のようになります。
弁護士に相続財産調査を依頼するメリット
(1)弁護士会照会(23条照会)があるため普通はできない調査が可能
(2)相続財産調査の経験が豊富なので確実性が高い
(3)財産調査の大部分を代わりにやってもらえるため手間がかからない
(4)相続財産調査以外の交渉や手続きなども依頼できる
弁護士に相続財産調査を依頼する大きなメリットとして、「弁護士会照会(23条照会)」という制度によって普通はできない調査が可能という点があります。
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について証拠や資料を収集するために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。これにより、預貯金口座の全店照会(どの支店に預金があるか調査できる)や貸金庫契約の有無の調査などをすることができます。
弁護士ではない一般の方が自分で相続財産調査を行っても、調べられるのは限定的な内容のみとなります。
例えば、預貯金残高を調べようとしても、どこの銀行に口座があるか特定していないと調べることができません。(特定できずに調べる場合、複数の銀行に手当たり次第開示請求をかけることになります。)
しかし、弁護士に依頼すれば「全店照会」が可能なので、どこの支店に預金があるか効率的に調べることができるのです。
※弁護士による「全店照会」に対応していない金融機関もあります。
※銀行名などの金融機関名は全店照会ではなく、自身で特定する必要があります。
※弁護士法23条の照会は、調停、訴訟等のために調査が必要であることが前提となっており、弁護士が財産調査のご依頼をお受けする場合も、そのような必要性があることが前提となります。
相続分野の経験・知識が豊富な弁護士に調査を依頼することで、自分で財産調査を行うよりも確実性が上がるメリットもあります。
自分で相続財産調査を行う場合、「どこに何があるか」「どこを確認すればいいか」ノウハウが全くないため、財産を漏れなく特定するのはかなり時間と手間がかかるでしょう。
一方、弁護士は今までの経験から、どこを調査すればいいかを熟知しており、効率的に確実に相続財産調査を進めることが可能です。
弁護士に相続財産調査を依頼すれば、基本的には「後は待つだけ」です。弁護士がさまざまな方法で財産を調べて価値の評価も行い、財産目録をまとめて報告してくれます。
自分で相続財産調査を行う場合には、時間も手間も膨大にかかります。
全ての財産の所在をしらみつぶしに特定するだけでも大変ですし、特定した後には個別に金融機関や証券会社、市区町村役場、査定業者などさまざまな相手とやり取りをして、その内容や詳しい評価額まで出さなければなりません。
例えば、故人がお金を預けていた銀行口座が分からなければ、可能性のある銀行全てに1つずつ残高照会依頼をする必要があります。問い合わせには故人および本人の戸籍謄本や印鑑証明書などさまざまな書類が必要となり、書類を全ての銀行に対して用意するだけでもかなりの手間が発生します。
弁護士に依頼すればそうした時間や手間をかけずに、報告を待つだけなのは大きなメリットといえるでしょう。
「平日役所に行く時間がない」という方は特に、弁護士に依頼するのがおすすめです。
※ただし、弁護士に財産調査を依頼した場合でも、調査の内容や量によって、一定の時間はかかりますので、依頼の際には時間的な余裕をもって依頼することをおすすめいたします。
相続財産調査以外の交渉や調停・訴訟の対応、相続放棄、その他の相続に関する手続きなども依頼できるのも弁護士に依頼するメリットです。
相続に関して弁護士に依頼できることは多岐にわたります。
相続に関して弁護士に依頼できる内容
・相続人同士のトラブルを解決するための交渉・裁判など
・遺言書検認の申し立て
・法定相続人の調査
・相続財産の調査
・財産目録の作成
・遺産分割協議書の作成
・相続放棄の申し立て
・遺留分侵害額請求の協議・調停・訴訟
・不動産の名義変更(司法書士に連携するケースが多い)
・預貯金の解約、払い戻し
・有価証券などの名義変更
・相続税の申告(税理士に連携するケースが多い)
相続財産の調査に付随して、相続人間での争いがあり、交渉窓口になってもらいたい場合にも、弁護士に依頼することが可能です。
弁護士に相続財産調査を依頼する場合の費用体系としては、「(1)相続財産調査だけを依頼する場合」と、「(2)相続全般を依頼する場合」の2つのパターンに分けられます。
どちらのパターンで依頼するかによって、以下のように費用に差が生まれます。
【弁護士に相続財産調査を依頼する場合の費用目安】
相続財産調査だけを依頼する場合 | 11万円~33万円程度が相場 |
相続全般について依頼する場合 | 経済的利益(獲得した金額)の4%~16%程度が相場 ※別途、実費や相談料、日当、着手金が発生することがあります |
相続財産調査だけを依頼する場合には「固定報酬」となることが多いです。一方、相続財産調査以外も含めて相続全般について依頼する場合には、獲得した経済的利益(獲得した金額)に応じて費用が変わるのが一般的です。
相続財産調査だけを依頼した方が費用を抑えられる可能性はありますが、他の相続人とトラブルになりそうな場合などは相続全般について依頼して、交渉なども含めて弁護士に一任する方が良いケースも多くあります。
どちらで依頼するか迷った場合には、まずは無料相談などを活用して弁護士に聞いてみることをおすすめします。
なお、当事務所サリュの場合は、財産調査のみをお受けすることも可能ですし、遺産分割の交渉など全般について依頼していただく場合、着手金が無料になるプランや、月額料金プランもご用意しております。
ここまでお読みいただき、弁護士に相続財産調査を依頼した場合の内容や費用などがだいぶイメージできたのではないでしょうか。
ここからは、特に、弁護士に相続財産調査を依頼したほうが良いケースについて解説していきます。
弁護士に特に依頼したほうがよいケースの代表例は、遺産の独り占めや遺産隠しが疑われる場合です。
既に使い込みが始まっている可能性がある場合には、口座の凍結手続きなどを進めつつ、できるだけ早めに弁護士に調査を依頼しましょう。
被相続人の口座からお金が移されているような場合は履歴が残りますが、例えばタンス預金や貸金庫の中の現金が使い込まれてしまうと、調査のしようが無くなってしまう場合があります。できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
遺産隠しなどがなくても、被相続人と疎遠になっていて財産の種類や所在の情報が全くない場合には、弁護士に相談がおすすめです。
無くなる前に密にやりとりができていれば、だいたい「この銀行にいくらぐらいありそう」「株式を結構所有していたな」「アパートを一棟所有していた」など、何かしら相続財産の手がかりとなる情報を把握しているはずです。
しかしながら、長く連絡を取っておらず疎遠になっていた場合などは、どんな相続財産があるか見当も付かない状況ではないでしょうか。
手がかりがない中、自力で相続財産調査を行うのはかなり大変なので、弁護士に相続財産調査を依頼することをおすすめします。
相続財産調査が終わった後にも遺産の分け方で揉めそう、という場合は、弁護士に相談がおすすめです。
例えば、特定の相続人にとって不利な遺言書があり納得しない人がいるケースや、特別受益や寄与分の考え方の違いでまとまらないケースなどは、早めに弁護士に介入してもらうことで冷静な話し合いができる可能性があります。
また、遺産分割協議がまとまらなかった場合の調停・審判の対応もそのまま弁護士に依頼することが可能です。
ここからは逆に、弁護士に相続財産調査を依頼しなくても自分でできるようなケースについて解説していきます。
遺産隠しや使い込みなどがなく、ある程度の相続財産の種類や場所が分かる場合には、少し手間はかかりますが自分で調査することができるかも知れません。
例えば、被相続人(亡くなった方)が遺言書を作成して財産目録を用意してくれているケースや、生前にエンディングノートなどで財産の所在をまとめてくれていた場合、銀行の通帳や不動産の情報がまとまったファイルがある場合などは、自分で財産調査がしやすいでしょう。
自分で財産調査をするのはかなり骨が折れる作業ですが、その時間と手間をかけられる場合は、自分で調査することも可能でしょう。
金融機関や市区町村役場とやり取りをすることもあるため、平日の日中に時間が取れるのが理想です。郵送での手続きも可能ですが、何か問い合わせをしたい場合などは窓口が空いていない可能性があるからです。
2章で解説した通り、財産の種類によって調査方法や問い合わせ先が異なるため、自分で最適な方法や窓口を調べながら進めていく必要があります。その時間や手間が取れる場合には、自分で財産調査を進めていきましょう。
自力で相続財産調査を行いたい場合は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
本記事では弁護士の相続財産調査について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
▼「弁護士による相続財産調査」と「自分での調査」の違い
・調査の確実性:弁護士に依頼した方が慣れているので漏れがない ・情報照会の権限:弁護士には「弁護士法23条照会」権限あり ・調査の手間:弁護士に委任するため、手間がかからない ・費用:弁護士に依頼すると費用が11万円~33万円程度かかる |
▼弁護士に依頼した場合の相続財産調査の内容
(1)預貯金:弁護士の権限で「全店照会」が可能 (2)不動産:名寄帳で不動産を特定して金額の評価まで行う (3)有価証券(株・投資信託など):証券保管振替機構を活用して証券会社に開示してもらう (4)借金の調査:自宅調査+信用情報機関に開示請求を行う (5)その他(車や貴金属、貸金庫など):査定して財産的価値を出す (6)特別受益の調査:弁護士権限「全店照会」などで効率的に調査が可能 (7)財産目録の作成:難しい評価額の算定も可能 (8)場合によっては交渉や調停・訴訟、相続放棄などのお手伝いも可能 |
▼弁護士に相続財産調査を依頼するのがおすすめのケース
・遺産の独り占めや遺産隠しが疑われる場合 ・疎遠になっていたなど財産の情報が分からない場合 ・遺産の分け方で揉めそうな場合 |
もしも、「自力で調査を始めてみたもののやっぱり大変だった」「財産の全容を把握するのが難しそうだ」という場合には、当事務所サリュにご相談ください。
前述した通り、当事務所サリュでは財産調査のみをお受けすることも可能ですし、遺産分割の交渉など全般について依頼していただく場合は着手金無料プランや月額料金プランもございます。
財産調査は自力でやろうとすると想像以上に大変な作業となります。特に、財産調査に非協力な相続人がいる場合などはぜひお気軽にご相談ください。