【遺産相続】いつもらえる?早くとも相続開始後2週間┃長引けば5年以上

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この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「夫が亡くなってしまって、遺産をいつもらえるのか知りたい。すぐに受け取れないと生活が困ってしまう。」

「相続した遺産を手っ取り早くもらうためにはどうすればいい?」

相続した遺産はいつ自分の手元に入るのか気になりますよね。葬儀代や医療費、生活費の支払いがせまって不安になる人も多いかと思います。
相続が発生した場合、遺産を受け取るまでは早くとも相続開始から2週間~3ヶ月ほどかかります

具体的な目安時期を、4つの相続のケース別に分けて下表にまとめました。

これらの目安時期と所要期間について、相続全体の流れの中で見ると下表の通りになります。

※相続開始日とは厳密には「死亡日」を指しますが、本記事では「相続手続きを始める日」とし、上表では初七日頃を設定しています。

なぜこれほど時間がかかるかというと、遺産を受け取るためには所定の手続きを済ませ、必要書類を揃えてからでないと申請できないためです。

申請先の機関側からすれば、「本当にこの人に財産を渡していいのか」ということを厳重に確認しなければいけません。

「自分は遺産の正当な受け取り人です」ということを証明するために、各種手続きを踏んだ上で書類が必要になるのです。

例えば《遺言書がない×相続人が複数人》の場合なら、遺産の受け取りには遺産分割協議書が必要になるので、相続人全員で集まって遺産分割協議を行わなければいけません。

ただし、上表で示した遺産の受け取り時期はあくまでも目安です。実際に受け取れる時期は個別のケースによって大きく前後します。

特に相続人同士で揉めた場合は長引く傾向があり、中には遺産受け取りまで5年以上かかるケースも珍しくありません

そこで本記事では、遺産をもらえる時期について下記のポイントをお伝えしていきます。

本記事で分かること
・【4つのケース別】相続した遺産がもらえるおおよその時期と手続きの流れ
・遺産の受け取りが遅くなるケースとその対処法
・現金の遺産を早く受け取りたい場合の2つの方法

本記事を読めば相続した遺産を受け取るまでの流れと所要期間について理解を深められ、遺産をいつ頃もらえるのか見通しを立てられるようになるでしょう。

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

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目次

遺産を受け取るには早くとも相続開始から約2週間~3ヶ月かかる

相続が発生した場合、相続人が遺産を受け取るには相続開始から約2週間~3ヶ月ぐらいかかります。

遺産を受け取るためには必ず所定の手続きを済ませ、必要書類を揃えてからでないと受け取れません。

その手続きと書類準備には手間がかかる上に、世帯主変更など様々な死亡後の手続きにも時間をとられてしまうので、遺産受け取りまでに約2週間~3ヶ月かかるのです。

この2週間~3ヶ月という期間はあくまでも順調に相続手続きが進んだ場合の目安です。相続は個別のケースにより状況がかなり異なるので、それに応じて遺産の受け取り時期も大きく前後するでしょう。

例えば相続開始から1週間ぐらいで遺産を受け取れるケースもあれば、反対に数年あるいはそれ以上かかるケースもあります。

個別のケースとその手続きについては次章以降で詳しく解説しますが、いずれにせよ遺産をスムーズに受け取るためには、手続きの流れをを正しく理解し、早めに取り掛かることが大切なのです。

遺産を受け取れる時期は相続の状況によって大きく異なる

遺産を受け取れる時期は個別のケースによって大きく異なるものの、相続の条件により大きく下記4つのケースに分類することができます。

【ケース別:遺産を受け取れる目安時期】

①遺言書がある×検認が不要相続開始から約2週間~
②遺言書がある×検認が必要相続開始から約3ヶ月~
③遺言書がない×相続人が一人相続開始から約2ヶ月~
④遺言書がない×相続人が複数人相続開始から約3ヶ月~

まずは遺言書があるかないかで相続の進め方が全く異なってきます。そして遺言書がある場合は遺言書の検認が必要か不要か、遺言書がない場合は相続人が一人か複数人かで分かれます。

この4つの中から自分に当てはまるケースを選び、リンクから移動して該当の章を読み進めていくようにしてください。

必要な手続きの所要期間や流れを把握することができ、自分の場合ならいつ遺産を受け取れそうか見通しを立てることができます。

実際には遺産の受け取り時期は手続き内容だけでなく遺産の内容や相続人の人数、関係性にも大きく左右されます。

表で示している時期より大きく前後する可能性が高いことも心得ておきましょう。

《遺言書がある場合にチェック!検認が必要か不要かの判断方法》  
検認とは、家庭裁判所で遺言書を開封し、遺言書の状態や内容を確認する手続きのことを指します。遺言書の偽造や変造などを防止するために行われます。  

遺言書の検認が必要か不要かは遺言書の種類によって決まるので、遺言書を見つけたらまずはその種類を確認しましょう。  
遺言書の種類と特徴は下記の通りです。  

【遺言書の種類】
・公正証書遺言:本人が遺言内容を口述し公証人が遺言書を作成。証人がいる。
・自筆証書遺言:本人が遺言書を作成。証人はいない。
・自筆証書遺言(保管制度利用):自筆証書遺言を法務局で保管。
・秘密証書遺言:本人が遺言書を作成し公証役場が遺言書の存在を保証。証人がいる。  

それぞれの遺言書の見分け方は下表の通りです。封印がある場合は開封せずに必ず封筒のまま確認します

 

【遺言書の見分け方】

検認の要否

遺言書の種類

封筒の特徴

検認が不要

公正証書遺言

・表題が「遺言公正証書」

・公正役場の名前が記載されている

自筆証書遺言

(保管制度利用)

・法務局に保管されている

検認が必要

自筆証書遺言

秘密証書遺言

上記以外

検認が不要な遺言書だと確認できた場合は、封を開けて問題ありません。

①遺言書がある×検認が不要:相続開始から約2週間~でもらえる

検認が不要な遺言書が残されていた場合は、スムーズに進めば相続開始から約2週間ぐらいで遺産を受け取ることができるでしょう。

相続の中でも早い段階で遺産を受け取れることが多いケースです。

【遺言書がある×検認が不要な場合】

遺産を受け取れる目安時期相続開始から約2週間~
遺産を受け取るまでの流れ遺言書をもって遺産の受け取り・名義変更の申請を行う

遺言がある場合は原則遺言の内容に従って相続手続きを進めていきます。

検認が不要ならば特段行うべき手続きはないため、遺言書をそのまま持っていけば遺産の受け取り・名義変更の申請ができます

ただ、その際戸籍などの提出書類をいちから集めていくことになるため、収集に数日~数週間ほどかかるでしょう。

そして申請先の機関側でも手続きに約1~3週間かかるので、トータルで遺産の受け取りまで早くとも約2週間かかる計算になります。

必要書類の取得方法や各機関への申請方法を確認する場合は手続き後の遺産受け取り&名義変更には申請から1〜3週間かかるへお進みください。

《遺言書があっても遺産の受け取りが遅れるおそれのあるケース》  
下記の2つのケースは遺産の受け取り時期が遅くなるおそれがあるので注意しましょう。
 
遺言書に書かれていない財産がある場合  
→書かれていない財産分については、誰が相続するか相続人同士で話し合う必要がある(6章で手続きを紹介)ため、受け取りが遅くなる可能性がある。
 
遺言執行者が指定されている場合  
→遺言執行者が遺産の受け取り・名義変更手続きを行うため、その者のペースに左右される。

②遺言書がある×検認が必要:相続開始から約3ヶ月~でもらえる

残された遺言書が検認が必要である場合、遺産を受け取るには相続開始から3ヶ月以上はかかるでしょう。

これは検認の手続きに2~3ヶ月程時間を要するためです。

【遺言書がある×検認が必要な場合】

遺産を受け取れる目安時期

相続開始から約3ヶ月~

遺産を受け取るまでの流れ

①遺言書の検認を申し立てる(約1ヶ月)

②検認を行い、検認済証明書を発行してもらう(約12ヶ月)

③遺言書と検認済証明書をもって遺産の受け取り・名義変更の申請を行う(13週間)

検認が必要な遺言書の場合は、検認済証明書がないと遺産の受け取り・名義変更手続きが行えないので、必ず検認を行うようにしてください。

ここでは遺産を受け取るまでの流れ①②についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。③については手続き後の遺産受け取り&名義変更には申請から1〜3週間かかるで解説していきます。

遺産を受け取るまでの流れ①遺言書の検認を申し立てる(約1ヶ月)

検認が必要な遺言書の場合、まずは家庭裁判所に対して検認の申立てを行います。

しかし検認の申立ては下記必要書類を揃えるのに時間がかかるため、申立てまでに1ヶ月ほど準備時間がかかると見込んでおきましょう。

【検認申立てに必要な書類(基本)】

・申立書(裁判所HPからダウンロード可:遺言書の検認の申立書 | 裁判所
・亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本  
※相続の状況によって他にも必要な書類を求められる場合があります。

亡くなった人や相続人全員の戸籍を集めるのは想像以上に手間と時間がかかるものです。ケースによっては何十通と戸籍を取り寄せないといけないため、他の相続人とも協力しながら進めていくようにしましょう。

戸籍の取得方法については下記の記事で解説しているので、参考にしながら進めていくようにしてください。

検認の詳しい申立て方法は、裁判所のホームページ(遺言書の検認 | 裁判所)でご確認いただけます。

遺産を受け取るまでの流れ②検認を行い、検認済証明書を発行してもらう(約1~2ヶ月)

検認を申立てたら、裁判所から検認を行う日の通知が相続人全員に届きます。そして当日無事検認が終わると、検認済証明書発行の申請をして検認済証明書を受け取ります。

申立てから検認済証明書を受け取るまでは約1~2ヶ月かかると見込んでおきましょう。

検認が終わったら、検認済証明書と遺言書をもって各遺産の受け取り・名義変更の申請を行えるようになります。

③遺言書がない×相続人が一人:相続開始から約2ヶ月~でもらえる

遺言書がなく相続人が一人しかいない場合は、相続開始から約2ヶ月ぐらいで遺産を受け取ることができます。

このケースも比較的早い段階で遺産を受け取れることが多いでしょう。

【遺言書がない×相続人が一人の場合】

遺産を受け取れる目安時期

相続開始から約2ヶ月~

遺産を受け取るまでの流れ

①相続財産調査を行う(約1ヶ月)

②相続人調査を行う(約1ヶ月)

③取得した戸籍をもって遺産の受け取り・名義変更の申請を行う(13週間)

※①とは並行して進めるべき

遺言書がない場合は相続人調査と相続財産調査を行う必要があります。それぞれ約1ヶ月ほど時間がかかるため、スムーズに進めるためには並行して行うことをおすすめします。

ではひとつずつ見ていきましょう。③については手続き後の遺産受け取り&名義変更には申請から1〜3週間かかるで解説していきます。

遺産を受け取るまでの流れ①相続財産調査を行う(約1ヶ月)

相続財産調査とはその名の通りどのような遺産がどれだけあるかを調べることです。個人差はありますが、預けている銀行や借金の相手が特定できている場合で大体1ヶ月ほどかかると想定しておきましょう。銀行も借金の相手も分からないというケースでは、さらに時間が必要となります。

相続財産調査をしっかり行わずに相続手続きを進めた場合、もし後から借金などの負債があったことが発覚しても、相続放棄ができなくなるおそれがあります

相続放棄をするかどうか判断するためにも相続財産調査は早めに行うようにしましょう。なお、相続放棄の期限は「相続開始を知ってから3ヶ月」です。

財産調査の方法に関しては下記の記事で紹介しているのでご参照ください。

遺産を受け取るまでの流れ②相続人調査を行う(約1ヶ月)

相続人調査とは相続人が誰であるかを確定させるための調査です。個人差は大きいですが、約1ヶ月ほどかかると見込んでおきましょう。

調査などせずとも誰が相続人であるかは分かっている場合がほとんどだと思いますが、相続ではそれを客観的に証明しないと遺産受け取りの手続きができません。

客観的に相続人が誰であるかを証明するためには、「亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍」を揃える必要があります。つまり相続人調査とは亡くなった人と相続人の戸籍を集めていく作業でもあると言えるでしょう。

しかしこの出生から死亡までの連続した戸籍を集めるのは、意外に骨の折れる作業で時間もかかります

最新のものから順に戸籍を取得し、読み解き、ひとつ前の戸籍を取得していくのですが、戸籍は結婚や離婚だけでなく改製などでも新しく変わるので、その度に管轄の役場に申請しなければいけません。

相続人調査のやり方に関しては下記の記事で紹介しているのでご参照ください。

④遺言書がない×相続人が複数人:相続開始から約3ヶ月~でもらえる

遺言書がなく相続人が複数人いる場合、遺産を受け取るには順調に進んでも相続開始から3ヶ月はかかるでしょう。

このケースは遺産を受け取るまでに行うべき工程が多く、さらに下表の「③遺産分割協議」で相続人同士が揉めやすいため長期化しやすい傾向があります。

中には相続開始から数年経っても話し合いがまとまらず、「いつまで経っても遺産を受け取れない」という事例も少なくありません。

【遺言書がない×相続人が複数人の場合】

遺産を受け取れる目安時期

相続開始から約3ヶ月~

遺産を受け取るまでの流れ

①相続財産調査を行う(約1ヶ月)

②相続人調査を行う(約1ヶ月)

③遺産分割協議を行う(即時~5年以上

④遺産分割協議書を作成する(即時~数週間)

⑤遺産分割協議書をもって遺産の受け取り・名義変更の申請を行う(13週間)

※①とは並行して進めるべき

遺産を受け取るまでの流れについて、①と②に関しては前章の解説をご確認ください。⑤は次章で解説します。

ここでは「③遺産分割協議を行う」と「④遺産分割協議書を作成する」について見ていきましょう。

遺産を受け取るまでの流れ③遺産分割協議を行う(即時~5年以上)

相続人調査と相続財産調査を終えたら相続人全員に呼びかけ遺産分割協議を行いましょう。

遺産分割協議とは誰がどの遺産を相続するか相続人全員で決めていくことを指します。

話し合いができればどんな形式でも問題ありませんが、相続人全員が合意する必要があり、一人でも反対すると成立しません

遺産分割協議成立までの所要期間はばらつきがあり、早ければ即時に決まりますが、遅ければ5年以上かかることもあります

一概に目安期間は言えませんが、長期化しやすいケースについてはのちほど詳しく解説していきますね。

遺産を受け取るまでの流れ④遺産分割協議書を作成する(即時~数週間)

遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書とは遺産分割協議で取り決めた内容をまとめた文書のことで、遺産の受け取り・名義変更の申請に必要な書類となります。

文書の作成自体に時間はそれほどかかりませんが、相続人全員に署名押印してもらう必要があるため、郵送などでやりとりをするなら数週間ほどかかることもあるでしょう。

遺産分割協議書の作成方法については下記のサイトを参考にしてください。文書として有効に作成するためのポイントを紹介しています。

遺産分割協議書とは?具体的な書き方や作成時のポイント|りそなグループ

手続き後の遺産受け取り&名義変更には申請から1〜3週間かかる

ここからは3章~6章までの手続きを終えた後、実際に遺産の受け取り&名義変更にかかる日数や流れについて紹介していきます。

遺産の受け取りや名義変更は財産ごとに申請先や所要日数が異なります。主な財産である預貯金・不動産・有価証券についてそれぞれ見ていきましょう。

【財産別:遺産受け取り&名義変更】

・【預貯金】払い出しまでの流れと所要期間(申請から約1~2週間)
・【不動産】相続登記の流れと所要期間(申請から約1~2週間)
・【有価証券】口座移管の流れと所要期間(申請から約2~3週間)

【預貯金】払い出しまでの流れと所要期間(申請から約1~2週間)

金融機関に預けてある預貯金は申請から払い出し(または名義変更)まで約1~2週間かかります。申請までの準備も加えるとプラス数日~数週間かかるでしょう。

なお、ゆうちょ銀行などの特定の金融機関においては、審査が厳重で数カ月かかることもあります。また、預貯金の他に出資金などの資産も含まれている場合にも、解約手続きのために数カ月かかることもあります。

ここでは預貯金を受け取るまでの流れと必要書類について紹介していきます。

預貯金払い出しまでの流れ

預貯金払い出し(名義変更)までは次の流れで進めていきます。

【預貯金払い出し(名義変更)の流れ】

① 金融機関で申請書(相続関係届書)を入手(窓口、ホームページまたは郵送)
② 必要書類準備 ③ ①と②を提出
④ 払い出し(名義変更)完了

金融機関によって書類提出から払い出しまでの期間は異なります。

各金融機関のホームページに相続手続きの案内が掲載されているので、必ずそちらを確認して進めるようにしてくださいね。

預貯金払い出しの必要書類

預貯金払い出し(名義変更)には一般的に下記の書類が必要になります。金融機関によって詳細が異なるので、必ず事前に確認するようにしましょう。

【主な必要書類】

遺言書がある×検認が不要

・遺言書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が分かるもの)

・相続する人の印鑑証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本と印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)

遺言書がある×検認が必要

・遺言書

・検認済証明書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が分かるもの)

・相続する人の印鑑証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本と印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)

遺言書がない×相続人が一人

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)

・相続する人の戸籍謄本または全部事項証明書

・相続する人の印鑑証明書

遺言書がない×相続人が複数人

・遺産分割協議書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)

・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

・相続人全員の印鑑証明書

※相続の状況に応じて別途追加書類の提出が求められることがあります。

これらの必要書類を一から揃えていくには数日~1ヶ月ほどかかりますが、戸籍をすでに前段階で取得できていれば(②のケースでは検認の申立て用に、③・④のケースでは相続人調査で取得)、集めるのは印鑑証明書だけで済むのでそれほど日数はかからないでしょう。

【不動産】相続登記の流れと所要期間(申請から約1~2週間)

不動産の名義変更は法務局に相続登記の申請をします。申請の準備に数週間、申請してから登記完了までには約1~2週間ほどかかるでしょう。

相続登記についても流れと必要書類に分けて紹介していきます。

不動産の相続登記の流れ

相続登記は次の流れで進めていきます。

【相続登記の流れ】

① 法務局で申請書を入手、作成(窓口、ホームページで入手可能)
② 必要書類準備
③ 登録免許税の算定
④ 収入印紙の購入・貼付け
⑤ ①と②を提出  ⑥ 登記完了

相続登記をするためには登録免許税を納めなければいけませんそのため手続きが少々煩雑になります。

自分で行うのは手間と時間がかかるため、難しい場合は司法書士に依頼することも検討しましょう。

自分で行う場合は下記法務局の案内を見ながら進めていくようにしてください。

相続登記の申請をされる方へ (相続登記申請手続のご案内)

不動産の相続登記の必要書類

相続登記には下記の書類が必要になります。

【主な必要書類】

遺言書がある×検認が不要

・遺言書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が分かるもの)

・亡くなった人の住民票の除票

・相続する人の印鑑証明書

・相続する人の住民票

・固定資産評価証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本と印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)

遺言書がある×検認が必要

・遺言書

・検認済証明書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が分かるもの)

・亡くなった人の住民票の除票

・相続する人の印鑑証明書

・相続する人の住民票

・固定資産評価証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本と印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)

遺言書がない×相続人が一人

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)

・亡くなった人の住民票の除票

・相続する人の戸籍謄本または全部事項証明書

・相続する人の住民票

・固定資産評価証明書

遺言書がない×相続人が複数人

・遺産分割協議書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)

・亡くなった人の住民票の除票

・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

・相続する人の住民票

・相続人全員の印鑑証明書

・固定資産評価証明書

※相続の状況に応じて別途追加書類の提出が求められることがあります。

預貯金と同様、これらの必要書類を一から揃えていくには約1ヶ月ほどかかります。

戸籍をすでに前段階で取得できていれば(②のケースでは検認の申立て用に、③・④のケースでは相続人調査で取得)、準備期間は短縮できるでしょう。

【有価証券】口座移管の流れと所要期間(申請から約2~3週間)

有価証券の相続手続きは申請から完了まで約2~3週間かかります。申請までの準備も加えるとプラス数日~数週間かかるでしょう。

申請から完了までの流れと必要書類について解説していきます。

有価証券の口座移管の流れ

有価証券の相続手続きは次の流れで進めていきます。

【有価証券の口座移管の流れ】

① 証券会社等で申請書(相続関係届書)を入手(窓口、ホームページまたは郵送)
② 必要書類準備
③ 相続する人の口座開設
④ ①と②を提出
⑤ 相続する人の口座に移管完了

有価証券の相続手続きは亡くなった人の口座から相続する人の口座に移すという方法で行われます。有価証券を売却したい場合でも口座に移してからでないと売却はできません

そのため、口座を保有していない場合は口座を開設するところから始める必要があります。口座開設は証券会社によって異なりますが、即日~1週間ほどかかるでしょう。

詳細は各証券会社のホームページでご確認ください。

有価証券の相続手続きの必要書類

有価証券の相続手続きには一般的に下記の書類が必要になります。証券会社によって詳細が異なるので、必ず事前に確認するようにしましょう。

【主な必要書類】

遺言書がある×検認が不要

・遺言書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が分かるもの)

・相続する人の印鑑証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本と印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)

遺言書がある×検認が必要

・遺言書

・検認済証明書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が分かるもの)

・相続する人の印鑑証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本と印鑑証明書(遺言執行者がいる場合)

遺言書がない×相続人が一人

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)

・相続する人の戸籍謄本または全部事項証明書

・相続する人の印鑑証明書

遺言書がない×相続人が複数人

・遺産分割協議書

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)

・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

・相続人全員の印鑑証明書

※相続の状況に応じて別途追加書類の提出が求められることがあります。

預貯金と同じく必要書類を一から揃えていくには数日~1ヶ月ほどかかります。

戸籍をすでに前段階で取得できていれば(②のケースでは検認の申立て用に、③・④のケースでは相続人調査で取得)、集めるのは印鑑証明書だけで済むのでそれほど日数はかからないでしょう。

【遺産分割協議をする場合】協議が長引くと遺産を受け取るまで5年以上かかることもある

6章で遺産分割協議が長引くとそれだけ遺産の受け取り時期が遅くなることをお伝えしました。

遺産分割協議が終わらないことにはいつまで経っても遺産を受け取れません。中には遺産を巡って5年以上も争い続けているケースもあります。

特に下記に該当する場合は相続人同士で揉めて長期化する可能性が高いので注意しましょう。

【遺産分割協議が長期化しやすいケース例】

◎遺産に不動産がある(分けづらいため揉めやすい)
◎相続人同士の仲が悪い
◎連絡の取れない相続人がいる
◎亡くなった人を世話、介護していた相続人が遺産を多めに相続したいと主張している
◎亡くなった人から生前贈与を受けていた相続人に対し、他の相続人がその者の相続分を減らすよう主張している
◎特定の相続人による遺産隠しや使い込みの疑いがある

もし揉めてしまって半年以上経っても話しがまとまらない場合は、裁判所に遺産分割調停を申し立てたり弁護士に相談したりして早期の解決を目指すようにしましょう

なお、遺産分割協議が終わっていないものの遺産の受け取りを急いでいる場合は、次章で紹介する方法をご検討ください。

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現金の遺産を早く受け取りたい場合の2つの方法

ここまでお伝えしてきた通り、遺産は亡くなってすぐ受け取れるものではありません。

そうなると葬儀代や医療費、生活費などの支払いに困ることもあるでしょう。

そこで、相続が発生した際に現金を早く受け取る方法が下記2通りあるので、遺産の受け取りを急ぐ場合は利用をご検討ください。

【現金の遺産を早く受け取る方法】

◎死亡保険金を請求する(申請から約1週間)
◎仮払い制度を利用する(遺産分割協議が長引く場合)

ひとつずつ見ていきましょう。

死亡保険金を請求する

死亡保険金は被保険者が亡くなってから比較的早くに支払われます。

申請までに約1週間、申請から支払いまで約1週間と、スムーズに進めばトータル約2週間で支払ってもらうことができるでしょう。

ここでは死亡保険金の支払いまでの流れと必要書類について紹介していきます。

死亡保険金支払いまでの流れ

死亡保険金の支払い手続きは次の流れで進めていきます。

【死亡保険金支払いまでの流れ】

① 生命保険会社に連絡して請求書を送ってもらう
② 必要書類準備
③ ①と②を提出
④ 保険金支払い完了

生命保険会社に連絡してから請求書を送ってもらうまで日数がかかるため、その間に必要書類を集めておくとスムーズでしょう。

なお、死亡保険金は受取人の固有財産になり、遺産には含まれないため、遺産分割協議を行う必要はありません

死亡保険金請求の必要書類

死亡保険金請求には一般的に下記の書類が必要になります。

生命保険会社によって異なるので、詳しくは会社のホームページでご確認ください。

【主な必要書類】

・亡くなった人の住民票 ・除籍謄本
・受取人の戸籍謄本
・受取人の印鑑証明
・医師の死亡診断書または死体検案書
・保険証券

※相続の状況に応じて別途追加書類の提出が求められることがあります。

死亡保険は受取人が指定されているため、他の遺産の受け取り手続きに比べて集める書類もそれほど多くありません。早ければ1日で揃えることも可能でしょう。

仮払い制度を利用する(遺産分割協議が長引く場合)

仮払い制度とは、遺産分割協議が終わっていなくても預貯金を一部払い出してもらうことができる制度です。

繰り返しますが、遺言書がなく相続人が複数人いる場合は遺産分割協議を行う必要があり、協議の内容を取りまとめた遺産分割協議書がないと預貯金の払い出しは受けられません。

しかしこの制度を利用すれば遺産分割協議書がなくても先に一定額の現金を手にすることができるのです。

制度利用において下記内容を見ていきましょう。

【仮払い制度の利用】

・仮払い制度の利用方法と所要期間
・払い戻せる額の上限
・仮払い制度利用の必要書類

ここでは仮払い制度の基本的な内容をお伝えしてくので、詳細を知りたい場合は全国銀行協会の案内をご確認ください。

遺産分割前の 相続預金の 払戻し制度

仮払い制度の利用方法と所要期間

仮払い制度は金融機関に制度利用を申し出て必要書類を提出します。その後金融機関側で内容を確認してから払い出しが行われます。

所要期間についてですが、仮払い制度は2019年7月に施行されたばかりのため、まだ目安期間などの情報が揃っていません。

いつ受け取れるか知りたい場合は金融機関に直接尋ねてみましょう。

払い戻せる額の上限

仮払い制度では払い戻せる額の上限が定められています。

払い戻しできる額 = 相続開始時の預金額 × 3分の1 × 法定相続分 上限150万円

例えば口座の預金額が300万円で、法定相続人が2人だとします。この場合、1人が引き出せる上限は計算式が《300万円×1/3×1/2=50万円》で50万円となります。

仮払い制度利用の必要書類

仮払い制度利用には下記書類の提出が求められます。金融機関によって異なる場合があるので、詳しくは取引先の金融機関にお尋ねください。

【主な必要書類】

・亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明(出生から死亡までの連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・申請者の印鑑証明書

まとめ

ここまで相続した遺産をもらえる時期について解説してきました。

あらためて本文の内容を振り返りましょう。

まず、相続が発生した場合、遺産を受け取れるのは早くとも相続開始から約2週間~3ヶ月後になります。

相続の状況により目安が異なるのでケース別に下表にまとめました。

【ケース別:遺産を受け取れる目安時期】

①遺言書がある×検認が不要相続開始から約2週間~
②遺言書がある×検認が必要相続開始から約3ヶ月~
③遺言書がない×相続人が一人相続開始から約2ヶ月~
④遺言書がない×相続人が複数人相続開始から約3ヶ月~

目安とはいえ個人差が大きく、相続開始から1週間で受け取れる場合もあれば、5年以上かかる場合もあります。特に遺産分割協議を行う場合はもめてしまうと長引く可能性が高いでしょう。

遺産の受け取りを急ぐ場合は下記方法で早めに受け取ることができます。

現金の遺産を早く受け取る方法
・死亡保険金を請求する(申請から約1週間)
・仮払い制度を利用する(遺産分割協議が長引く場合)

以上、本記事を元に遺産がいつもらえるのか予測でき、生活費や各種支払いの見通しを立てられるようになることを願っております。


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