弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
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「遺産分割で揉めて話し合いがまとまらない…。遺産分割調停を起こしたいけど、調停にはどのくらい費用がかかるのだろう。」
「遺産分割調停で弁護士を依頼するとすごく高額になるイメージだけど、費用をできるだけ安くおさえたい。」
遺産分割調停を起こそうかと考え始めたときに、まず気になるのが費用ですよね。
遺産分割調停そのものは1万円前後で申し立てることができます。
しかし、弁護士などの専門家に依頼する場合は数十万円以上の費用が発生します。中には数百万円を超える場合もあります。
「専門家の費用が高額ならば、専門家には依頼せず自分だけで調停を行おう」と考えるかもしれませんが、ご自身だけで調停を進めていくのはハードルが高くなります。
スムーズに遺産分割調停を進めていくためには、やはり専門家のサポートを受けた方が安心でしょう。
現に2020年度の司法統計によると約8割の遺産分割調停で弁護士が関与しています。(出典:司法統計情報 | 裁判所 – Courts in Japan)
弁護士に依頼する場合、その費用は相続の状況によって数十万円から一千万円前後と大きな幅があります。想定外の出費にならないためにも、ご自身のケースでの費用相場をあらかじめ把握しておくようにしましょう。
そこで本記事では遺産分割調停の費用について下記のポイントをお伝えしていきます。
本記事で分かること |
・遺産分割調停の費用|必須とオプション ・専門家には依頼すべきかどうか ・弁護士費用を抑えるポイント&払えない場合の対処法 ・遺産分割調停の費用は誰が負担するのか&複数人の場合はどうなるのか |
本記事を読めば遺産分割調停を起こした場合にかかる費用の見通しを立てられるようになります。
ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
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遺産分割調停自体は1万円前後で申し立てることが可能です。
ただし専門家に依頼する場合は数十万円以上の費用がかかります。
各費用の内訳は後で詳しく解説しますが、まずはどのような費用がかかるのか一覧で見てみましょう。
【遺産分割調停にかかる費用一覧】
対象 | 費用項目 | 金額 | 費用を負担する人 | |
共通 | 調停申立費用 | 1,200円 | 調停を申し立てた人 | |
郵便切手代 | 数千円 | |||
必要書類取得費用 | 数千円~数万円 | |||
裁判所までの交通費 | 実費 | 相続人全員 | ||
専門家に依頼する場合 | 不動産鑑定士 | 約20万円~60万円 | 依頼人 | |
弁護士 | 数十万円~数百万円 | |||
司法書士 | 約10~20万円 |
まず調停そのものにかかる費用について、調停申立費用・郵便切手代・必要書類取得費用の3つは必ずかかる費用です。これは調停を申し立てた人が負担します。
調停が遠方の裁判所で行われるなら、交通費もかさむことを考慮に入れるべきでしょう。
その他の費用は必要に応じて専門家に依頼した場合に発生します。高額になるケースが多いので、依頼は慎重に検討する必要があります。
ではこれから各項目についてひとつずつ見ていきましょう。
遺産分割調停を起こすための申立費用は1,200円です。
調停1件あたりの料金で、申立人が申立時に納付します。
納付方法は、1,200円分の収入印紙を購入して調停申立書の印紙貼付欄に貼り付けます。
収入印紙は法務局や市町村役場、郵便局、コンビニでご購入ください。(コンビニでの取扱いは200円のみ)
調停を申し立てるときは連絡用の郵便切手も一緒に納めます。
これは裁判所から当事者(申立人と相手方)に郵便物を送付するために使用される切手で、予納郵券とも呼びます。
必要な郵便切手の種類や金額は裁判所によって異なりますが、数千円程度であることがほとんどです。必ず事前に裁判所に問い合わせてから準備するようにしてください。
例えば東京家庭裁判所における遺産分割調停の予納郵券は3,310円分で、相手方が10名増えるごとにさらに3,310円分必要になります。
調停終了後に余った切手は返還されますが、逆に調停中に足りなくなれば追加の納付を求められます。
遺産分割調停を申し立てるためには必要書類を揃えて提出しなければいけません。その書類を取得する費用として数千円~数万円ほどかかると見込んでおきましょう。
調停申し立ての基本的な必要書類とその取得費用を一覧にまとめました。
【遺産分割調停申立ての必要書類とその取得費用】
書類の種類 | 対象 | 取得費用 | |
亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本 | 共通 | 戸籍謄本:450円/通 除籍・改製原戸籍謄本:750円/通 | |
相続人全員の戸籍謄本 | |||
相続人全員の住民票(戸籍附票) | 200~400円/通 | ||
残高証明書 | 遺産に預貯金が含まれる場合 | 300~1,000円/通 | |
不動産登記事項証明書 | 遺産に不動産が含まれる場合 | 480~600円/通 | |
固定資産税評価証明書 | 200~400円/通 |
※必要な書類は個別のケースによって異なるため、別途追加の書類提出を求められることがあります。詳細は裁判所のホームページ(遺産分割調停 | 裁判所)でご確認ください。
上記の書類は申請先の窓口で取得する場合の料金なので、郵送の場合は別途往復の送料等が発生します。
必要書類は遺産の内容や相続人の人数などによって大きく変動します。多くは1万円以内に収まりますが、亡くなった人の転籍回数が多かったり、相続人が多かったりすると数万円になることもあるでしょう。
当然ながら調停に出席するためには裁判所までの交通費が発生します。
ここでは交通費が高額になりやすいケースと交通費を抑える方法について見ていきましょう。
遺産分割調停は基本的に相手方である相続人の住所地の家庭裁判所に申し立てます。そのため、相手方が遠方に住んでいる場合は交通費の負担が大きくなります。
通常、遺産分割調停は複数回にわたって話し合いを進めていきます。2020年の司法統計情報によると、遺産分割調停の実施期日回数は約半数が3回以下ですが、その一方で、6回以上のケースも3割を占めます。
調停の都度交通費が発生するので、積み重なると結構な金額になってしまいますよね。
裁判所が遠方の場合、交通費を抑えるためには下記2つの方法が有効です。
◎近くの裁判所にしてもらう
調停の申立先は原則相手方の住所地の裁判所ですが、双方が合意すれば自分たちでどこの家庭裁判所で行うか選ぶことができます。可能ならば相手方に相談して双方の中間地点でできないか交渉してみましょう。
◎オンラインで対応してもらう
近年は裁判所でもWEB会議システムが導入されてきています。オンラインで行えないかどうか裁判所に相談してみるといいでしょう。
遺産に不動産がある場合、遺産分割調停では不動産鑑定士に鑑定を依頼することがあります。
ここでは不動産鑑定について下記の項目を順に見ていきましょう。
【不動産鑑定費用について】
・不動産鑑定費用がかかるケース ・不動産鑑定の費用相場 ・不動産鑑定費用の負担者 |
遺産である不動産の評価額で揉めている場合は、不動産鑑定士に鑑定を依頼することがあります。
不動産には評価方法がいくつかあり、どの評価方法を使うかで評価額は変わってきます。当事者間で合意すればどの評価額を採用してもOKですが、評価額を上げたい相続人と下げたい相続人とで争いが起こることが少なくありません。
いつまでも評価額が決まらない場合の解決方法として、不動産鑑定士に鑑定を依頼することがあります。
当事者側が全員または単独で依頼することもあれば、裁判所の方から鑑定を勧められて裁判所を通して依頼することもあります。
不動産鑑定の費用は概ね20万円~60万円です。
鑑定する不動産によって変動し、予想される鑑定評価額が高額なほど鑑定費用も高額になります。
また、当事者が直接不動産鑑定士に依頼するよりも、裁判所を通して依頼する方が高額になる傾向があります。
よって、自分たちで民間の不動産鑑定士に依頼した方が費用は抑えられますが、その場合は信用できる不動産鑑定士を探さなければいけません。
不動産鑑定を依頼した場合、費用は原則依頼した人が支払います。
裁判所を通して依頼した場合は当事者双方で折半することになります。遺産に預貯金がある場合はそこから支払うことも可能なので、当事者間でよく話し合って支払い方法を決めるようにしましょう。
遺産分割調停では弁護士にサポートを依頼することができます。
ここでは弁護士とその費用について下記内容を順に見ていきましょう。
【遺産分割調停における弁護士への依頼について】
・弁護士に依頼できること ・弁護士費用の目安 ・弁護士費用を抑えるための2つのポイント ・弁護士費用が払えないときの2つの対処法 |
遺産分割調停はご自身で行うことも可能ですが、弁護士に依頼することも可能です。
弁護士に依頼すれば調停申立てから調停の出席、主張の代弁まで包括的にサポートしてもらうことができます。
そしてただサポートするだけでなく、法的知識やノウハウを駆使して依頼者の利益を最大化することが弁護士の仕事でもあります。
遺産分割調停を弁護士に依頼した場合、費用相場は下表のとおりです。
遺産分割調停の弁護士費用相場 |
着手金(20~60万円) + 報酬金(取得した遺産の4%~16%)+ その他費用(数十万円) |
遺産分割調停における弁護士費用は大きく着手金・報酬金・その他費用に分けられます。各内訳について下表にまとめました。
いずれも依頼内容や弁護士事務所によって大きく異なるので、詳細は必ず見積もりを出してもらって確認するようにしてくださいね。
【弁護士費用の内訳】
費用項目 | 報酬目安 | 内 容 | 支払時期 | ||
着手金 | 20~60万円 | ・希望する遺産の額に応じて金額設定される (固定制の事務所も多い) | 契約時 | ||
報酬金 | 取得した遺産の4%~16% | ・後払いの成功報酬 ・弁護士費用の大部分を占める ・取得した遺産の額に応じて金額設定される (遺産額が上がるほど%は下がることが一般的) | 終結時 | ||
その他費用 | 相談料 | 約1万円/時 | ・弁護士に話を聞いてもらう相談料 ・初回は無料のところも多い ・正式な依頼後は発生しない | 相談時 | |
日当 | 約5万円/日 | ・遠方に出張する場合の手当 | 事務所による | ||
実費 | 合計約5万円 | 下記にかかる実費 ・申立てに必要な収入印紙 ・郵便切手代金 ・必要書類取得費 ・移動に伴う交通費 ・出張に伴う宿泊費用 | 事務所による |
上表をもとにシミュレーションをしてみましょう。
例①)取得希望の遺産額が1,000万円で、調停で希望どおり取得できた場合の弁護士費用 《料金体系》 着手金:33万円 報酬金:10%+18万円(旧報酬規程) 相談料:なし 日当:5万円 実費:5万円 ◎報酬金計算式:1,000万円 × 10% + 18万円 = 118万円 費用総額:着手金33万円 + 報酬金118万円 + 日当5万円 + 実費5万円 = 161万円 |
例②)取得希望の遺産額が5,000万円で、調停で希望どおり取得できた場合の弁護士費用 《料金体系》 着手金:60万円 報酬金:6%+138万円(旧報酬規程) 相談料:なし 日当:なし 実費:10万円 ◎報酬金計算式:5,000万円 × 6% + 138万円 = 438万円 費用総額:着手金60万円 + 報酬金438万円 + 実費10万円 = 508万円 |
2つの例を比べて分かるように、一般的には取得する遺産額が高くなるほど弁護士費用も高くなる設定になっています。
遺産分割調停のおける弁護士費用は下記の記事でも解説しています。さらに詳しく知りたい場合はあわせてご一読ください。
弁護士費用の目安を見て「予想以上に高い」と驚いた人も多いと思います。
そこで、弁護士費用を少しでも抑えるためのポイントを2つ紹介します。
【弁護士費用を抑えるための2つのポイント】
・複数の事務所に見積りをとるべき ・見積りをはっきりと出してくれる事務所を選ぶべき |
弁護士を選ぶときは複数の事務所に見積りをとるようにしましょう。
弁護士費用は事務所によって大きく異なるため、複数から見積りを取ることで、ご自身のケースでの費用相場が分かってきます。もっとも、安ければ良いというわけでもないので注意しましょう。
弁護士を選ぶときは見積りを明確に提示してくれる事務所を選ぶようにしましょう。
良心的な事務所であれば、費用の内訳を依頼者に分かりやすく丁寧に教えてくれるはずです。未定の部分に関しても、「こういう理由でこれぐらいかかるかもしれない」ということを伝えてくれるでしょう。
見積りが不明瞭な事務所だと後から想定外の高額な追加料金を請求されてしまう可能性があるので注意が必要です。
「弁護士に依頼したいけど弁護士費用が払えない」という場合は、次の2つの方法を試してみてください。
【弁護士費用が払えないときの2つの対処法】
・分割払いができないか相談してみる ・法テラスの民事法律扶助制度を利用する |
弁護士事務所によっては分割払いでの支払いが可能なところもあります。
初回相談時に一括の支払いが難しいことを相談してみましょう。
遺産分割調停は報酬が高額になりやすいことから、支払いに関して柔軟に対応してくれる弁護士事務所も多くあります。
民事法律扶助制度とは日本司法支援センター(通称:法テラス)が設けている弁護士費用の立替制度です。
法テラスが依頼者に代わって弁護士費用を支払い、依頼者は分割で法テラスに費用を返済する仕組みです。返済は毎月1万円からの分割払いが可能です。
ただし法テラスを利用する場合はご自身で弁護士を選ぶことはできません。
詳細については民事法律扶助|法テラスでご確認ください。
遺産分割調停では司法書士にもサポートを依頼することができます。
ここでは司法書士とその費用について下記内容を順に見ていきましょう。
【遺産分割調停における司法書士への依頼について】
・司法書士に依頼できること ・司法書士への費用の目安 |
遺産分割調停において司法書士に依頼できることは、調停申し立てのサポートです。具体的には調停申立書の作成と申立てに必要な書類の収集を依頼することができます。
弁護士と違って相続人の代理人として調停に関わることはできない点に注意しましょう。
司法書士への費用相場を下表にまとめました。
依頼内容や司法書士事務所によって大きく異なるので、必ず見積もりを出してもらうようにしましょう。
【司法書士への報酬の目安】
依頼内容 | 費用相場 | |
遺産分割調停申立書作成 | 約10万円 | |
戸籍謄本・住民票取得 | 約3,000~5,000円/通 | |
残高証明書等の取得 | 約1万円/通 | |
登記事項証明書等の取得 | 約1,000~2,000円/通 |
※実費は除く
料金は個別設定以外にパッケージプランを用意している事務所もあります。
前述したとおり、遺産分割調停では司法書士と弁護士にサポートを依頼できることができますが、その費用の高さにためらってしまう人も多いと思います。
そこでここでは高額な費用を払ってでも専門家に依頼すべきかどうか、そのメリットについて説明していきます。
弁護士と司法書士それぞれ分けて見ていきましょう。
弁護士については費用がかかっても依頼することをおすすめします。
その理由が下記4つのメリットを得られることです。
【弁護士に依頼するメリット4つ】
①申立て手続きを代行してもらえる ②主張を代弁してもらえる ③調停を早期に進められる ④ストレスが軽減される |
実際に約8割の遺産分割調停では弁護士が関与していることが2020年度の司法統計によって明らかになっています。
多くの人が弁護士を立てることによって得られるメリットが大きいと考えていることが分かりますね。
申立て準備は予想以上に煩雑で手間も時間もかかります。一般の方が必要書類を不備なく集めるのはかなり大変な作業でしょう。
弁護士に依頼すれば申立て準備から代行してもらえるので、時間と労力を節約することができます。
調停でご自身の主張に根拠を持たせて論理的に話すことは簡単ではありません。
その点、弁護士は豊富な知識と経験から法的根拠をもとに論理的に話をすることを得意としています。
正しい主張で相手方や調停委員を説得することに期待できるでしょう。
遺産分割調停は早くとも数ヶ月、長ければ数年かかります。調停が長引くほどに気力・体力も消耗していきます。
弁護士なら無駄な話し合いを避けて効率よく協議を進められるので、調停の進行を早められる可能性が高まります。
遺産分割調停中は心身に多大なる負担がかかり、不安を抱えながら過ごすことになります。
弁護士は依頼者の最大の味方となって全面的にサポートしてくれます。親身に相談にのってもらえるので、調停中のストレスが軽減されるでしょう。
前述のとおり司法書士のサポート範囲は調停の申立て準備です。
そのため司法書士に依頼すれば調停の申し立て準備にかかる手間や時間を省くことができます。
繰り返しになりますが調停の申立て準備は手続きが煩雑で、予想以上に手間と時間がかかるものです。
司法書士なら不備なくスムーズに調の停準備を進められるので、下記にあてはまる場合は依頼を検討してみてください。
【司法書士への依頼がおすすめなケース】
・忙しくて申立て準備をする時間が全くない ・ミスなく申立て準備をする自信がない |
なお、弁護士に依頼するなら調停の申立て準備は弁護士に任せられます。
ここでは遺産分割調停の費用についてよくある疑問にお答えしていきます。
遺産分割調停の費用についてここまで読み進めてきて、下記2点が気になるのではないでしょうか。
【遺産分割調停の費用Q&A】
・調停費用は相手に負担してもらえる? ・複数人で申し立て・依頼をした場合、費用は折半できる? |
ひとつずつ見ていきましょう。
各項目でも説明してきましたが、調停に関する費用は原則申し立てた人・依頼した人が負担します。
「裁判で負けた方が訴訟費用を負担するらしい」と耳にしたことがあるかもしれませんが、遺産分割調停は民事調停なのでそのような仕組みはなく、勝ち負けもありません。
どのような調停結果になろうと、調停申立て費用に関しては申立人が支払い、弁護士や司法書士への費用は依頼者が支払います。
遺産分割調停は相続人全員で行わなければいけないので、申立人も相手方も複数人になることはよくあります。
その場合の費用負担について説明していきましょう。
まず調停申立て費用は亡くなった人1人あたりの金額なので、申立人が複数人でも金額は変わりません。申立人全員で割るか、誰か一人が代表して支払うようにしましょう。
では複数人で弁護士に依頼する場合の弁護士費用はどうなるのでしょうか。
弁護士費用は依頼者ごとにかかる項目と案件ごとにかかる項目があるため、複数人で依頼すれば多少安くなることもあります。
しかし、そもそも複数人での弁護士依頼はトラブルが生じるリスクがあるため、依頼を断られてしまうこともあります。
例えば相続人ABCがいて、AとBが申立人で相手方のCと対立しているとします。その場合ABが共同で弁護士を雇ったとしても、調停が進むにつれAとBが対立するようになることがあります。そうすると弁護士費用の分担についてAとBで揉める可能性もあります。
このように、共同で弁護士に依頼することはトラブルになる可能性があるため、よく話し合ってから決めるようにしましょう。
本記事では遺産分割調停の費用について解説してきました。
あらためてポイントを振り返りましょう。
まず調停を起こすには下表の費用がかかります。《共通》の項目は必須で、《専門家に依頼する場合》は追加的なものとなります。
【遺産分割調停にかかる費用一覧】
対 象 | 費用項目 | 金 額 | 費用を負担する人 | |
共通 | 調停申立費用 | 1,200円 | 調停を申し立てた人 | |
郵便切手代 | 数千円 | |||
必要書類取得費用 | 数千円~数万円 | |||
裁判所までの交通費 | 実費 | 相続人全員 | ||
専門家に依頼する場合 | 不動産鑑定 | 約20万円~60万円 | 依頼人 | |
弁護士 | 数十万円~数百万円 | |||
司法書士 | 約10~20万円 |
必須の費用以外である専門家への依頼に関しては次のようにまとめられます。
専門家への依頼について |
・【不動産鑑定】不動産評価額でもめている場合に依頼することがある ・【弁護士】費用は高額だが全面的なサポートを受けられるので依頼をおすすめ ・【司法書士】手続きの自信・時間がない場合に依頼をおすすめ |
調停の費用負担に関しては下記のとおりです。
【遺産分割調停の費用Q&A】 |
・調停費用は相手に負担してもらえる?ーー費用は申立人・依頼者が負担 ・複数人で申し立て・依頼した場合、費用は折半できる?ーーできるケースもある |
以上、本記事を読むことで遺産分割調停にかかる費用の見通しを立て、十分な準備を整えて遺産分割調停に臨んでいただければ幸いです。