弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
弁護士 西村 学
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関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
「遺産分割調停を行うことになるかもしれない。どんな流れになるのだろう?」
そんなふうに、不安に感じているところかもしれません。
遺産分割調停の流れは、大きく3つのパートに分けられます。
調停前(申立て〜調停期日の通知) 調停の当日(裁判所での話し合い) 調停後(調停成立の場合/不成立の場合) |
本記事では、3つそれぞれのパートごとに、実際の流れを解説します。
申立ての方法から、実際の調停がどう行われるのかの当日の流れ、調停後の動きまで、把握できます。
あらかじめ大まかな流れをイメージできていれば、必要なタイミングで準備をして、悔いなく調停を進められるようになります。
さっそく、調停前の流れから、見ていきましょう。
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まずは、遺産分割調停の当日までの流れを見ていきましょう。
遺産分割調停に至る前の流れから確認しておくと、まずは相続人全員の参加で「遺産分割協議」を行い、当事者同士での合意形成を目指します。
▼ 遺産分割協議とは?
相続人全員で、相続遺産をどのように分けるかを話し合うこと。
遺産分割協議で、相続人全員の意見が一致し合意ができれば、その内容を「遺産分割協議書」にまとめて、相続手続きを進めていきます。
一方、遺産分割協議で意見が食い違い、全員が納得する合意ができない場合には、家庭裁判所に申立てをして、遺産分割調停のプロセスへ進みます。
そもそも「調停」とは、さまざまな紛争について、第三者である公平中立の公的機関が当事者間を仲介し、解決を図ることです。
調停手続では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,合意を目指し話合いが進められます。
出典:裁判所「遺産分割調停」
調停には民事調停、家事調停、労働争議の調停などがあります。遺産分割調停は、離婚や相続などを扱う家事調停で、所轄は家庭裁判所です。
遺産分割調停は、家庭裁判所に申立てを行います。
遺産分割調停は、相続人のうち1人もしくは何人かが、他の相続人全員を相手方として、申し立てるものです。
申立て先は、相手方のうちの1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所となります。
管轄の裁判所はこちらのページから調べられます。
調停の当日は、申立てをした家庭裁判所へ、相続人全員が出向く必要があります。東京家庭裁判所なら東京、大阪家庭裁判所なら大阪、という具合です。
一般的に調停は、相手方の住所地に申立てすることが多いのですが、遺産分割調停の場合には、当事者が複数いる場合が多いため、事前に話し合っておいたほうがよいでしょう。
「遠方でどうしても出席できない」という場合には、電話会議システムによる調停も認められるようになっています。
実際に電話会議システムが認められるかどうかは、家庭裁判所の判断となりますので、申立て先に相談しましょう。
申立てに必要な書類は、以下のとおりです(申立書以外の添付書類は、申立て先の家庭裁判所や状況によって異なる場合があります)。
申立書の書式は「遺産分割調停の申立書」からダウンロードできます。
▼ 記入例
出典:記入例(遺産分割)
必要な費用は、以下のとおりです。
家庭裁判所に必要書類を提出し、申立てが受理された後の流れは、以下となります。
まず家庭裁判所が、調停委員会の担当者を決定します。
調停委員会は、「裁判官1名+調停委員2名」から構成されます。調停委員とは、良識のある民間人から選任される、非常勤の国家公務員です。
次に、初回の調停が行われる日時(調停期日)が決定します。調停期日は、申立てをした家庭裁判所へ、相続人が実際に出向く日のことです。
調停期日の目安は、申立ての1〜2ヶ月後となります。
具体的な日取りは、裁判官が調停を取り扱う曜日、調停委員の都合、裁判所の調停室の空き具合などを調整して決定されます。
調停は裁判所の開庁日である、
「月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)の午前10時〜午後5時」
の間に行われることも、押さえておきましょう。
家庭裁判所が調停期日を決定すると、その通知書が、申立人と相手方の相続人全員に、郵送で通知されます。
郵送の通知が届く目安は、申立ての2週間後です。
各相続人は、調停期日通知書を確認して、調停の当日に向けて準備することになります。
申立人となる相続人は、「事情説明書」「進行に関する照会回答書」などを申立て時に作成していますが、相手方となる相続人は、申立てされた後に作成することになります。
裁判所からの案内に従って、必要な書類を準備しましょう。
▼ 相手方用の書類の例
出典:遺産分割調停・審判事件 | 裁判所
▼ 答弁書の例
出典:答弁書(Excel)
その他、遺産分割に関しての自分の意見や主張、その根拠となる書類などがあれば整理して、当日持参できるように準備しておきます。
次に、調停期日当日の流れをご紹介します。
細かな部分は、裁判所によって異なることがあります。一般的な流れとしてご覧ください。
それぞれ見ていきましょう。
当日はあらためて持ち物を確認しましょう。
必要なものは、裁判所からの通知書に書かれていますので、抜け漏れなく準備します。
通常、必要なものは以下のとおりです。
▼ 必要なものリスト
調停期日として指定された時間前に、裁判所に到着したら、裁判所からの通知書に記載された指定の待合室に向かいます。
待合室は、申立人待合室と相手方待合室の2つが用意されており、他の申立人(または相手方)がいる場合には、同室となります。
※裁判所によっては、待合室に直接入室するのではなく、先に受付が必要な場合もあります。詳細は通知書を確認しましょう。
第1回調停期日の開始時は、多くの場合、調停に入る前に、遺産分割調停の手続きと内容について、説明が行われます。
この説明は、原則として当事者全員に同時に行われます。
※事情により、他の当事者と同席することが難しい場合には、事前に裁判所に提出する「進行に関する照会回答書」で配慮を求めることが可能です。
出典:進行に関する照会回答書
その後、調停が始まります。
調停は「調停室」で行われ、申立人・相手方の相続人がそれぞれ、個別に呼ばれて、調停委員と話をします。
自分の番が来ると、待合室へ担当の調停委員が呼びにきます。調停委員の案内に従って、待合室から調停室へと移動します。
調停室に入ると、まず本人確認をされます。持参した身分証明書(運転免許証など)を提示しましょう。
その後、調停委員と話をします。基本的には、事前に提出した事情説明書や答弁書をベースとして、事情を聞かれることになります。
手元に、提出した書類の控え(コピー)を持っておくと、スムーズに受け答えできます。
申立人・相手方が、1回30分程度で交代し、それぞれ2回ずつ(合計2時間ほど)のやり取りを行うのが、一般的な流れです。
調停では、調停委員を介してやり取りをするので、申立人・相手方が同席して調停することは基本的にありません。
しかし、相続人が多い場合などは時間の都合上で、複数の相続人が同席して調停が進められることもあります。
2時間ほど経過すると時間となり、その日の調停は終了となります。
調停委員が、以下を取りまとめます。
続きの話し合いをいつするか、次回の期日を決め、それまでに各相続人が準備すべき点を確認したら、その日の調停は終了です。
調停が第1回目で終わることはほとんどなく、一般的には4〜8回程度の回数を要します。
スムーズに解決するケースでも、3回程度は必要です。調停になったら、何度か裁判所に通うことになります。
期日の設定は当事者だけでなく、裁判官や調停委員の都合があるので、1〜2ヶ月に1回のペースとなります。
期間にすると、「半年〜1年程度かかる」とイメージしておきましょう。
続いて、遺産分割調停後の流れを見ていきましょう。
調停での話し合いで合意に至り調整成立となった場合と、合意に至らずに不成立となった場合で、2つの道に分かれます。
遺産分割調停での話し合いを経て、合意に至った場合には、裁判所が合意内容を「調停調書」という書面にまとめます。
調停調書は、遺産分割協議書を同じ効力を持ちます。あらためて遺産分割協議書を作成する必要はありません。
調停調書に従って、相続人の名義変更や預金の払い戻しなどの手続きを進めることができます。
遺産分割調停で話し合いがまとまらない場合、調停が不成立となります。
「調停を不成立により終了とする」と判断するのは調停委員会です。「調停手続」が終了すると、自動的に「審判手続」が開始します。
調停は当事者間の話し合いによって解決を目指す手続きですが、審判は、裁判官が当事者から提出された書類や種々の資料に基づいて判断し、決定する手続きです。
審判になると、調停のような柔軟性はなくなると考えてください。
話し合いである調停手続は柔軟性があり、厳密には遺産分割手続で扱えない事情も含めた全体的な解決が可能ですが、審判では、そのような付随問題は取り扱えないためです。
※審判についてはこちらの記事も、参考にご覧ください。
最後に、遺産分割調停をスムーズに進めるためのポイントを2つ、お伝えします。
1つめは「調停の申立てをせずに解決できるならそれがベスト」です。
本記事をご覧いただくとわかるとおり、遺産分割調停は、けして簡単な手続きではありません。
平日の指定された日に、申立て先の家庭裁判所まで行く必要があります。それも、1回だけでなく、合意に至るまで、何度も通わなければなりません。
1回の調停には、2時間程度の時間がかかります。
遺産分割調停をせずに、当事者だけで行う遺産分割協議にて解決できれば、それがベストといえます。
時間や労力のかかる遺産分割調停に持ち込むのか、あるいは、ある程度は妥協して、遺産分割協議で合意するのか。大局的な視点で見たときに、どちらがよいかは、慎重に検討する必要があります。
2つめは「出席が難しい場合は代理人の選任や電話会議の選択肢もある」です。
遺産分割調停は、当事者が出席できないとプロセスが進みません。
「遠方で裁判所までいけない」
「どうしても仕事を休めない」
など、事情がある場合には、代理人の選任や電話会議といった選択肢もあります。
遺産分割調停の代理人は、原則、弁護士に依頼する必要があります。まずは弁護士に相談しましょう。
電話会議システムが利用可能かは、裁判所の判断となります。申立て先の家庭裁判所へ、確認してみてください。
本記事では「遺産分割調停の流れ」をテーマに解説しました。
調停前 |
● 家庭裁判所に申立てをする ● 調停委員会・調停期日が決まると通知書が郵送される ● 裁判所への提出書類や主張内容の整理などの準備をする |
調停の当日 |
● 必要な持ち物を確認する ● 裁判所に行き待合室に入室する ● 手続きと内容の説明を聞く ● 自分の番が来たら調停室に入室する ● 調停委員に話をする(30分程度) ● 申立人/相手方が交互に2回程度のやりとりを行う ● 次回の期日とそれまでに準備すべき点を調停委員がまとめる ● 一般的には4〜8回(半年〜1年)程度の調停を行う |
調停後 |
● 合意に至った場合:調停調書を使って相続手続きを進める ● 合意に至らない場合:審判に移行する |
遺産分割調停をスムーズに進めるためには、事前に流れを知って、必要な準備をしておくことが役立ちます。
本記事を参考にしながら、円滑な調停の成立を目指していただければと思います。