遺産分割調停が不成立になる状況とは?不成立後の流れと対策を解説

遺産分割調停不成立
この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「遺産分割調停をしても簡単に成立しないって本当?」

「遺産分割調停が不成立になったら遺産分割はその後どうなる?」

遺産分割について相続人間で解決できない場合、遺産分割調停での解決を目指すことになります。

しかし、遺産分割調停をしたからといって必ずしも解決できるわけではありません。残念ながら調停が不成立になる場合もあるのです。

遺産分割調停が不成立になると、自動的に審判に移行します。遺産分割審判は調停と異なる流れで手続が進んでいきます。

そのため、自身に有利に遺産分割を進めたい場合は、審判の特徴を踏まえて事前に対策をしておくことが重要です。

そこでこの記事では、遺産分割調停が不成立になるパターンと遺産分割調停が不成立になった後の流れを詳しく解説します。

本記事の内容
・遺産分割調停が不成立になるパターン
・遺産分割調停が不成立になった後の流れ
・遺産分割調停が不成立になりそうな時にとるべき対応策

この記事を読むと、遺産分割調停が不成立になるパターンがわかり、不成立になった後の流れを理解することができます。

記事の最後には、遺産分割調停が不成立になりそうな時にとるべき対応策をお伝えします。

遺産分割調停が不成立になりそうで悩んでいる方は、不成立になっても慌てないように、最後まで読み進めて、しっかり対策をとっていきましょう。

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目次

遺産分割調停が不成立になる3つのパターン

遺産分割調停が不成立になる状況は、次の3つのパターンです。

①遺産分割調停案に納得しない相続人がいる
②無謀な分割方法を固持する相続人がいる
③遺産分割調停に全く参加しない相続人がいる

ひとつずつ詳しく解説します。

遺産分割調停案に納得しない相続人がいる

遺産分割調停案に、納得しない相続人が1人でもいる場合は、遺産分割調停が不成立となります。

遺産分割調停では、調停委員会が中立公平な立場で当事者の言い分を聞きます。一部の相続人から極端に偏った意見が出ても、それでは他の相続人が賛同してくれませんから、調停委員会が意見を調整し、全員の賛同が得られそうな解決案を導き出してくれます。

しかし、一見誰もが賛同できそうな解決案であっても、ちょっとした違いで相続人の同意が得られない場合もあります。

一人でも反対する相続人がいる場合、遺産分割調停は不成立となってしまいます。

無謀な分割方法を固持する相続人がいる

遺産分割調停で、無謀な分割方法を固持する相続人がいる場合も、遺産分割調停は不成立となります。

遺産分割調停を成立させるためには、相続人全員の同意が必要です。

もし相続人の一部が他の相続人の権利を無視して、自身に都合の良い分割方法を主張して譲らない場合は、相続人全員の同意が得られず、調停は不成立となってしまいます。

遺産分割調停に全く参加しない相続人がいる

遺産分割調停に全く参加しない相続人が1人でもいる場合も、遺産分割調停が不成立となります。

遺産分割調停は裁判のように勝ち負けを決める訳ではなく、あくまでも話し合いです。そのため、当事者に出席を強制させることはできません。

当事者の中で調停期日に欠席し続け、裁判所が話し合いで解決する見込みがないと判断した場合は、調停は不成立となってしまいます。

遺産分割調停が不成立になると遺産分割審判に移行する

遺産分割調停が不成立になると、手続は自動的に遺産分割審判へ移行します。

(調停の不成立の場合の事件の終了)

第272条4項

第1項の規定により別表第2に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。

家事事件手続法 第272条4項

遺産分割調停と遺産分割審判は、全く異なる手続きです。

遺産分割調停は、家事審判官(裁判官)と調停委員で組織される「調停委員会」を介して、相続人同士で話し合いをする手続です。あくまでも話し合いのため、調停委員会は結論を強制することはできません。

一方、遺産分割審判は、裁判官が法律に基づいて分割方法を決定する手続です。裁判官は、当事者の主張と提出された資料から、法律に基づいて遺産分割方法を決定します。

調停と異なり、反対する当事者がいても審判には従わなくてはなりません。

遺産分割審判に移行すると全員の主張を認めることはできないため、一部の相続人にとっては納得できない結論になる可能性があります。

遺産分割調停が不成立となった後の流れ

遺産分割調停が不成立になった後、手続は次の流れで進みます。

遺産分割調停が不成立となり、審判に移行し、審判が下るまでの流れを確認していきましょう。

①自動的に審判に移行

遺産分割調停が不成立になると、自動的に審判へ移行します。

自動的に審判に移行するため、別途あらためて遺産分割審判を申し立てる必要はありません。

調停が不成立となった際には、調停が不成立になったこととあわせて、審判手続に移行することが確認され、案件によってはこの日に第1回審判期日を調整します。

②書類を準備する

第1回審判期日が決定したら、期日までに自身の主張をまとめた書面や資料を裁判所へ提出します。

また、ここまでの調停の記録も、遺産分割審判における審理の対象となります。

③審判開始

第1回審判期日に家庭裁判所に行き、審判に出席します。

審判には基本的に全ての当事者が参加します。

ただし、この場では提出された書面を確認したり裁判官が当事者に対して疑問点を質問するだけで、話し合いは基本的には行いません。

何度か期日を重ねてるなかで、当事者は主張書面や証拠の提出を繰り返し、裁判所は審判に必要な資料を選択し事実の調査を行っていきます。

このなかで話し合いによる解決ができそうであれば、裁判官が和解案を提示したり、裁判官が仲介して調停の席を設ける場合もあります。

審判に至った場合でも、当事者間で合意が得られれば、審判の途中でも調停が成立し、手続が終了します。

④審判が下される

何回か審判が行われ、そのなかでも合意に至らなかった場合は、裁判官が審判を下します。

通常、審理が終わってから1~2ヶ月後が審判日として指定されます。審判日の数日後に、裁判所から「審判書」が郵送されてきます。

審判書には、裁判官が指定する遺産分割方法や、なぜその分割方法とされたのか理由が書いてあります。

なお、審判の内容に不服があれば、2週間以内であれば「即時抗告」を申し立てることができます。

即時抗告がなければ、審判の内容が確定し、当該内容に従って遺産分割が進められます。

遺産分割調停の不成立を回避することは難しい

ここまで、遺産分割調停が不成立になった後の流れについて解説してきました。

遺産分割調停が不成立になると、自動的に審判に移行しますが、希望どおりの遺産分割が実現できるとは限りません。「遺産分割調停が不成立にならないようにしたい」と考える人も多いでしょう。

しかし、遺産分割調停の不成立を回避することは難しいケースも多いです。

遺産分割調停が不成立となる理由は、「話し合いをしても全員が納得する分割方法が決まらない」ことにあります。

遺産分割調停を成立させるためには、相続人全員が納得できる分割方法を見つけなくてはなりません。

しかし、どんなに時間をかけて話し合いを進めても、見つからないことも多いのです。

また、遺産分割調停に欠席し続ける相続人がいた場合、強制的に出席を促すことはできません。

このような状況では、遺産分割調停を成立させることは困難です。

そのため、遺産分割調停の雲行きが怪しくなってきた場合は、不成立になることを見越して対策を進めることが賢明です。

遺産分割調停が不成立になりそうな時にすべきこと

遺産分割調停がまとまりそうになかったり、欠席し続ける相続人がいる場合は、不成立になることを見越して事前に対策を打っていきましょう。

事前に対策するべきことは、次の3つです。

調停が不成立になりそうな時にすべき対策
・【必須】弁護士に相談する
・自身の主張を整理する
・主張を裏付ける証拠を揃える

遺産分割調停が不成立になり、遺産分割審判に移行することを見越して準備を進めましょう。

すべき対策を一つずつ解説します。

【必須】弁護士に相談する

遺産分割審判に移行する場合には、弁護士への相談が有効です。

遺産分割調停は「話し合い」なので法的な根拠がなくても問題ありません。

他方、遺産分割審判の場合は、法律に基づいて分割方法が決められるため、法的な根拠に基づいた主張と証拠の提出が必要です。

もちろん、弁護士に依頼しなくても主張や証拠の提出はできます。しかし、専門知識がなければその主張や証拠が適切なものか判断できず、不利な状況になるリスクも高くなります。

特に、相手方に弁護士がついている場合は、法的な知識や経験に大きな差があり、思いもよらない状況になりかねません。

遺産分割審判に移行してからの相談でも間に合わないわけではありませんが、調停で話し合われた内容も審判に影響する可能性がありますし、そもそも、審判期日までに時間的猶予がないと弁護士に依頼を断られてしまうケースもあります。

そのため、遺産分割調停が不成立になりそうな場合は、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

自身の主張を整理する

遺産分割調停が不成立になりそうな場合は、改めて自身の主張を整理しておきましょう。

調停が不成立となって審判に移行すると、法定相続分が重視されます。

法定相続分とは異なる主張がある場合、法的な根拠をもとに整理して主張しなくては裁判官を説得できません。

主張を裏付ける証拠を揃える

自身の主張を整理したら、その主張を裏付ける証拠を揃えましょう。

遺産分割審判は、「書面審判」です。

法的に正しい主張と適切な証拠を提出しないと認めてもらえません。

そのため、主張を裏付ける証拠に漏れが無いように準備を進めて行きましょう。

まとめ

この記事では、遺産分割調停の不成立について詳しく解説してきました。

遺産分割調停が不成立になるパターンは、次の3つです。

①遺産分割調停案に納得しない相続人がいる
②無謀な分割方法を固持する相続人がいる
③遺産分割調停に全く参加しない相続人がいる

遺産分割調停が不成立となると、手続は遺産分割審判に移行します。

遺産分割調停は、あくまでも話し合いですが、遺産分割審判は、法的な根拠に基づいて審判が下ります。

遺産分割審判に移行すると、全員の主張を認めることはできないため、一部の相続人にとっては納得できない結論になる可能性があります。

遺産分割調停が不成立になった後の流れは、次のとおりです。

【遺産分割調停が不成立になった後の流れ】
①自動的に審判に移行
②書類を準備する
③審判開始
④審判が下る

遺産分割調停が不成立となり審判に移行しても、希望どおりの分割方法になるとは限りません。

それであれば、「遺産分割調停が不成立にならないようにしたい」と考えますが、現実には遺産分割調停の不成立を回避することは難しいケースも多くあります

そのため、調停の雲行きが怪しくなってきたら、不成立になることを見越して早めに対策を打つことが大切です。

【遺産分割調停が不成立になりそうな場合にすべきこと】
・【必須】弁護士に相談する
・自身の主張を整理する
・主張を裏付ける証拠を揃える

遺産分割調停が不成立となっても、有利に遺産分割を進められるようにしっかり対策をしましょう。

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