実践的!遺産分割協議に応じない相続人への対処法3つ

遺産分割協議 応じない人の画像
この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「兄に何度も連絡しているが、遺産分割協議に全く応じてくれない。どうしたら応じてもらえるのだろう?」

遺産分割協議に応じてもらえない相続人がいると、相続が進まなくて困りますよね。

特定の相続人が遺産分割協議に応じないのは、なんらかの理由があります。

よくある理由が次の5つです。

応じてもらえない相続人には、次のいずれかの方法で対処するようにしましょう。

まずは連絡が取れる状態なら説得を試みましょう。

弁護士に依頼すれば数十万円~数百万円の費用が発生し、調停を起こすとなると申立て手続きが煩雑な上に、解決まで早くとも数ヶ月~半年はかかります。

説得に応じてもらえるなら、これらの費用や手間、時間をかけずにすみます。

すでに何度も説得してきた方も多いと思いますが、「相続を放置するリスク」や「弁護士を立てた場合や調停を起こした場合のデメリット」などをしっかり説明して、相手に遺産分割協議に応じた方が得をするということを分かってもらいましょう。

それでもダメだった場合に、弁護士に依頼するか、調停を起こすようにしてください。

本文では遺産分割協議に応じない相続人について次の内容をお伝えしていきます。

本記事で分かること
・相続人が遺産分割協議に応じない理由
・遺産分割協議に応じない相続人への対処法《説得・弁護士に依頼・遺産分割調停》
・遺産分割協議をせず相続を放置すると生じるリスク

本記事を読めば遺産分割協議に応じない相続人に対する対処法を知り、実践することができるようになります。

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

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目次

相続人が遺産分割協議に応じない理由5つ

相続人の一人が遺産分割協議に応じない理由はいくつか考えられます。

ここではなぜ遺産分割協議に応じないのか、よくある理由を5つ挙げています。

【なぜ遺産分割協議に応じないのか:よくある理由5つ】

・他の相続人と確執があるから
・相続に関わりたくないから
・遺産分割せず全て自分のものにしたいから
・遺産分割すると生活が困窮するから
・財産を隠している・使い込んでしまったから

共通点として、「遺産分割すると自分に都合が悪い」または「感情的に遺産分割協議をしたくない」という場合に、遺産分割協議に応じない傾向があります。

それではひとつずつ見ていきましょう。

他の相続人と確執があるから

最も多いのが、他の相続人と確執があるために、遺産分割協議に応じようとしないケースです。

具体的な事例を挙げてみましょう。

【他の相続人と確執があるケース】
・他の相続人と絶縁しているため、一切連絡を取りたくない
・仲が悪い相続人がいるので、遺産分割協議に応じないことで、他の相続人が遺産を受け取れないように嫌がらせしたい

このような事情で遺産分割協議に応じないことが考えられます。

下記に該当する人ならば、この理由である可能性が高いです。

【該当する人】

・連絡すら拒否している
・過去に他の相続人とトラブルがあった

相続人の間で感情的に深い対立がある場合、当人たちだけで遺産分割協議をスムーズに進めていくことは難しいでしょう。

対処法については2章以降で解説していくので、参考にしながら進めていくようにしてください。

相続に関わりたくないから

次に多い理由として、「相続に関わりたくない」という気持ちから遺産分割協議に応じようとしないケースが挙げられます。

具体的には次のような事例があてはまるでしょう。

【相続に関わりたくないケース】
亡くなった人と仲が悪い、または絶縁しているので、遺産であっても受け取りたくない
・亡くなった人と疎遠である
・相続手続きが面倒である
・亡くなった人に借金があるので巻き込まれたくない

下記に該当する人ならば、この理由である可能性が高いです。

【該当する人】

・連絡すら拒否している
・親戚関係が遠い
・過去に被相続人とトラブルがあった

遺産分割協議に応じない理由が「相続に関わりたくないから」であれば、遺産分割協議の重要性や相続放棄の選択肢を伝えれば対応してもらえる可能性が十分にあります。

遺産分割せず全て自分のものにしたいから

「遺産を全て自分が相続したい」と考えているため、遺産分割協議に応じないというケースもあります。

具体的には下記のような理不尽な主張をしてくる事例があてはまります。

【全て自分が相続したいと主張するケース】
・自分は長男だから、長男の自分が財産を全て継ぐべきと主張している
・亡くなった母と同居してきたのだから、自分が母の財産を全て継ぐべきと主張している

下記に該当する人ならば、この理由である可能性が高いでしょう。

【該当する人】

・お金にがめつい性格である
・親族の関係性の中で力が強い

相続人が複数いて遺言がない場合、各相続人には法定相続分という財産を取得できる割合が定められています。例えば相続人が子供二人のみである場合 、それぞれ1/2ずつ相続できる権利があります。

しかし、このような身勝手な主張をする人は話しが通じない相手であることが多く、法定相続の話をしても聞き入れてくれない可能性が高いでしょう。

対処法についてはこのあと解説していきます。

遺産分割すると生活が困窮するから

遺産を複数の相続人で分けると生活に困ってしまう場合も、遺産分割協議に応じないことがあります。

典型的な事例として次のケースがあてはまるでしょう。

【遺産分割すると生活が困窮するケース】
・亡くなった人:母(父はすでに他界)
・相続人:長男・次男
・遺産:自宅のみ(母は長男一家と同居していた)  

母の死後、長男としてはこのまま自宅に住み続けたい。
しかし遺産分割協議をすると「自宅を売って売却金を次男と分け合う」か、「自分が自宅を相続する代わりに自宅の価格の半分の金額を次男に渡す」という話に進んでしまう。
そのため次男からの遺産分割協議の呼びかけに応じられずにいる。

遺産が自宅しかない場合は、遺産分割協議をすることで自宅を失う可能性があるため、相続を進めたくない気持ちが働きます。

下記に該当する人ならば、この理由である可能性が高いです。

【該当する人】

・遺産分割が実現すると困る状況にいる

遺産分割することが自分に都合が悪い場合は、なかなか遺産分割協議に応じようとしてくれないでしょう。

財産を隠している・使い込んでしまったから

亡くなった人の財産を隠している、または使い込んでいた場合、バレたくないために遺産分割協議を避けようとすることがあります。

高齢の親の財産を子どもの一人が管理することはよくあることです。それをいいことに、財産を隠してしまったり、使い込んでしまうという事例があります。

【財産を隠しているケース】
・亡くなった人:母(父はすでに他界)
・相続人:長男・次男
・遺産:?  

母は亡くなる2年前から足が不自由になり、通帳を長男に預けて財産管理を任せていた。
長男は財産を母のためだけでなく、自分のために勝手に使い込んでいた。  
母の死後、次男が長男に遺産分割をしようと呼びかけるものの、長男は「預貯金は残っていない。全て母のために使い切った。」と言い、遺産分割協議をする必要はないと主張してきた。

下記に該当する人ならば、この理由である可能性があります。

【該当する人】

・親の財産を管理していた

この場合、他の相続人に通帳などを見せると、財産隠しや使い込みがバレるおそれがあるため、かたくなに遺産分割協議を避けようとします。

対処法についてはこのあと紹介していくので、このまま読み進めてください。

【遺産分割協議に応じてもらえないなら放置してもいい?】
応じてもらえない理由が推測できたものの、「応じてもらえないなら仕方ない」と、相続をそのままにしておくのは危険です。相続を放置していると、思わぬリスクが生じます
早めに対処すべき理由は後で解説しているので、先に知りたい場合はこちらから移動して読み進めてください。

遺産分割協議に応じない相続人への対処法①まず説得する

遺産分割協議に応じてもらえない理由が理解できたところで、ではどうしたら応じてもらえるのか、対処法について見ていきましょう。

ここからは遺産分割協議に応じない相続人への対処法を3つ紹介していきます。

遺産分割協議に応じない相続人がいる場合、まずは説得を試みましょう。

ここでは「①まず説得する」について次の内容をお伝えしていきます。

【遺産分割協議に応じない相続人への対処法①まず説得する】

・説得して遺産分割協議に応じてもらうことが最善策
・説得するときのポイント

「相続人に連絡を拒否されている」「対立が激化している」など、説得できる状況ではない場合は対処法②急いでいるなら弁護士に依頼する対処法③急いでない&費用抑えたいなら遺産分割調停を起こすにお進みください。

説得して遺産分割協議に応じてもらうことが最善策

対処法の中では「説得して遺産分割協議に応じてもらうこと」が、当事者全員にとってベストな方法です。

話し合いによって決めることが、あらゆる面で最も負担がかかりません。

例えば、弁護士に依頼すれば数十万円~数百万円ほどの費用がかかってきます。自分で説得できれば費用は一切かかりません。

また、遺産分割調停を申し立てるとなると、調停は月1回程度しか行われないため、解決までに早くとも数ヶ月、場合によっては半年以上かかります。申立て手続きも煩雑で、準備だけで約1~2ヶ月かかります。必要書類を揃えるには、複数の市役所や関係機関に申請する必要も出てきます。

「すでに何度も説得した」という人も多いと思いますが、次に紹介するポイントをふまえながらもう一度説得を試みましょう。

説得するときのポイント4つ

遺産分割協議に応じるよう説得するときのポイントをいくつか紹介していきます。

「再三説得してみたけどダメだった」という人も、まだ試していないものがあれば実践してみてください。

【説得するときのポイント】

①相続を放置するリスクを伝える《おすすめ》
②調停や弁護士ではなく協議で解決するのがベストだと伝える《おすすめ》
③遺産分割協議は書面などのやりとりでも可能だと伝える
④相続に参加したくない場合は相続放棄などの選択肢も提案する

と②については、どのケースでも共通して試していただきたい方法です。

③と④については、応じない理由が「他の相続人と確執があるから」「相続に関わりたくないから」であるときに有効な方法です。

■相続を放置するリスクを伝える

まずは相続を放置するリスクを伝えて、「遺産分割協議をしないといけない」という危機感を持ってもらうことが大切です。

遺産分割協議をしないことには相続手続きは進みません。相続を放置していると次のようなリスクが発生します。

【相続を放置するリスク】

・いつまでも財産を相続できない

・相続税申告期限に間に合わずペナルティが課される

・相続人の一人が亡くなると相続関係が複雑になる

(※詳細はあとで解説)

上記のリスクを伝えれば、相手に遺産分割協議の重要性を分かってもらえるかもしれません。

■調停や弁護士ではなく協議で解決するのがベストだと伝える

遺産分割方法は遺産分割協議で決めることが、相手にとってもベストな方法であることを伝えましょう。

遺産分割協議に応じてもらえなければ、他の方法を採らざるを得ないことと、その場合には下記デメリットがあることを説明します。

・弁護士を立てれば相手側が不利に進む可能性が高い

・調停が始まると毎月1回、平日の日中に裁判所で話し合うことになる

・調停の場では身勝手な主張は通らない

これらを伝えることで、「遺産分割協議に応じないと損してしまう」と考え直してくれる可能性があります。

■遺産分割協議は書面などのやりとりでも可能だと伝える

遺産分割協議は、書面などのやりとりでも可能であることを伝えましょう。

遺産分割協議は「対面じゃないとできない」「相続人全員が集まらないといけない」と思い込んでいる人も少なくありません。

その場合、「出席するのが億劫だ」「会いたくない人がいる」という理由で、遺産分割協議に応じてくれないケースがあります。

遺産分割協議は、全員の意思が確認できれば直接顔を合わせて行う必要はありません郵便やテレビ通話でも問題ないので、相手が希望する開催方法を聞いてみましょう。

■相続に参加したくない場合は相続放棄などの選択肢も提案する

遺産分割協議に応じない理由が「相続に関わりたくない」という場合は、相続放棄などの選択肢があることを伝えましょう。

相続放棄とは、遺産に対する一切の相続の権利を放棄することです。他の相続人の許可は不要で、裁判所での手続きによってすることができます。

ただし、相続放棄の期限は「相続開始を知った時から3ヶ月以内」と定められているので注意しましょう。

相続人の一人が相続放棄した場合、それ以外の相続人らで遺産分割協議を進めていきます(故人の子ども全員が相続放棄した場合は故人の親に、故人の親全員が相続放棄した場合は故人の兄弟姉妹に相続権が移ります)。

対処法②急いでいるなら弁護士に依頼する

「①まず説得する」の方法でもダメだった場合、「②弁護士に依頼する」を検討しましょう。

遺産分割調停を起こす方法もありますが、急いでいる場合は弁護士に依頼する方がおすすめです。

ここでは「②弁護士に依頼する」について次の内容をお伝えしていきます。

【対処法②急いでいるなら弁護士に依頼する】

・弁護士に依頼したら早期解決が期待できる理由
・弁護士に依頼するメリット・デメリット
・弁護士費用の相場
・弁護士は必ず《相続に強い弁護士》を選ぶべき

弁護士に依頼したら早期解決が期待できる理由

弁護士に依頼したら早期解決が期待できる理由をまとめました。

【弁護士に依頼したら早期解決が期待できる理由】

・弁護士が登場すると相手が耳を傾けてくれる可能性が高まるから
・早期に相手と交渉してくれるから

弁護士が登場すると相手が耳を傾けてくれる可能性が高まるから

弁護士が登場すると、相手もきちんと話を聞いてくれる可能性が高まります。

身内の言うことには聞く耳を持たなくても、専門家である弁護士の言うことならば素直に従おうという人も多くいます。

「弁護士ならきちんと対応しないとまずそうだ」という気持ちが働き、態度を和らげてくれることも期待できるでしょう。

また、身内だけのやりとりだと、お互い遠慮がなくなり、争いが激化しがちです。弁護士という第三者が間に入ることで、冷静さを取り戻し、落ち着いて話ができるようになります。

早期に相手と交渉してくれるから

弁護士に依頼すれば、早期に相手と交渉してくれることが期待できます。

遺産分割調停を起こす場合だと、調停申立ての準備から調停実施まで約1~2ヶ月かかります。さらに調停は月1回程度しか開催されないため、解決まで早くとも数ヶ月、場合によっては半年以上かかるでしょう。

弁護士による交渉ならばそれほどの時間はかかりません。弁護士に依頼したうえで調停を起こした場合でも、次の調停までの間に交渉を進められることがあります。

弁護士に依頼するメリット・デメリット

弁護士に依頼すると、早期解決できる以外にも下記のような様々なメリットを得ることができます。

【弁護士に依頼することで得られるメリット】

・会いたくない相続人と顔を合わせずにすむ
・言いたいことを論理的に代弁してくれる
・有利な条件で遺産分割できるよう相手と交渉してくれる
・相続財産調査を任せられる
・遺産分割協議書の作成を依頼できる
・調停に進んだ場合は調停のサポートも依頼できる

このように時間・労力・精神面などで包括的なサポートを受けられるでしょう。

一方で、弁護士に依頼するデメリットは費用がかかることです。一般的な費用相場は次節で見ていきましょう。

弁護士費用の相場

弁護士に遺産分割協議を依頼した場合、数十万円~数百万円の費用がかかります。

取得する遺産額に応じて変動するため、費用相場の幅が広がります。取得する遺産額が何億円という場合には、弁護士費用が一千万円を超えることもあります。

弁護士費用の一般的な計算方法は下記のとおりです。弁護士事務所によって料金は大きく異なるので、あくまでも一つの目安としてお考えください。

遺産分割協議の弁護士費用
着手金(20~40万円) + 報酬金(取得した遺産の4%~16%)+ その他費用(数万円~)

※着手金…依頼時に支払う前払金。

※報酬金…解決時に支払う後払金。取得できた遺産の額に応じて金額が設定される(遺産額が上がるにつれて報酬割合は下がることが一般的)

弁護士は必ず《相続に強い弁護士》を選ぶべき

弁護士に依頼すると決めた場合、必ず相続に強い弁護士を選ぶようにしましょう。

弁護士にはそれぞれ得意分野があり、男女問題に詳しい弁護士もいれば、労働問題に詳しい弁護士もいます。

もし、相続にあまり詳しくない弁護士に依頼してしまうと、経験や知識不足により十分なサポートが受けられないおそれがあります。

ホームページや初回相談などを活用して、相続に強い弁護士に探しましょう。

対処法③急いでいない&費用を抑えたいなら遺産分割調停を起こす

「①まず説得する」の方法がダメだった場合、「③遺産分割調停を起こす」という方法もあります。

時間がかかっても費用を抑えたいという場合は、調停に進めることをおすすめします。

「③遺産分割調停を起こす」について下記内容を見ていきましょう。

【対処法③急いでいない&費用を抑えたいなら遺産分割調停を起こす】

・遺産分割調停とは
・遺産分割調停の流れ
・遺産分割調停の申立て方法
・相手が遺産分割調停も欠席した場合どうなる?

遺産分割調停とは

遺産分割調停とは、調停委員に間を取りもってもらい、話し合いにより遺産分割方法を決める手続きです。

中立な立場である調停委員が双方の意見を聞いてアドバイスや解決案を提案してくれます。

遺産分割調停にかかる費用は1〜2万円程度で、弁護士に依頼するよりも金銭的な負担がかかりません。

その反面、申立ての手続きが煩雑であり、時間もかかるというデメリットがあります。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停は次の流れで進んでいきます。

【遺産分割調停の流れ】

流れ所要期間
STEP1遺産分割調停を申し立てる約1ヶ月
STEP2裁判所から相続人全員に調停を行う日の通知が届く約1ヶ月
STEP3第一回調停期日約1ヶ月
STEP4話し合いが成立するまで月1回ペースで調停が行われる約1ヶ月/回
STEP5調停が成立したら調停調書が交付される約1週間
調停が不成立なら審判に進む

遺産分割調停が成立しなかった場合は審判に進みます。

話し合いで解決を目指す調停とは異なり、審判では裁判官が遺産分割方法を定めます。相続人全員がその内容に従わなければいけません。これにより最終的には遺産分割方法が確定します。

遺産分割調停の申立て方法

遺産分割調停の申立ては下表を参考にして進めてください。

【遺産分割調停の申立て方法】


申立先
下記いずれか
・相手方相続人のうち一人の住所地の家庭裁判所
・当事者が合意で決めた家庭裁判所
裁判所を探す場合はこちら→各地の裁判所


必要書類
・申立書(裁判所HPからダウンロード可→遺産分割調停の申立書 | 裁判所
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票または戸籍の附票
・相続財産を証明する書面(残高証明書や固定資産評価証明書など)
※個別のケースによって追加で必要な書類の提出が求められます
受付時間平日8:30~17:00(昼休憩有り)
費用収入印紙1200円分
・連絡用の郵便切手代

表のとおり申立ては必要書類の準備に時間と手間がかかります。

必要書類の取得だけを弁護士に依頼することも可能なので、自分で揃えるのが難しいと感じた場合は依頼を検討してみましょう。

申立て方法や必要書類の詳細については裁判所のHPでご確認いただけます。

遺産分割調停 | 裁判所

相手が遺産分割調停も欠席した場合どうなる?

相手が遺産分割調停にも応じなかった場合、最終的には調停不成立となって審判に進みます。

一度の欠席なら調停は継続しますが、欠席が続くと調停は不成立になります。

審判に進めば、裁判官は法定相続分に従って遺産分割方法を決定します。

遺産分割協議は早めに進めよう|遺産分割協議の重要性

ここまで遺産分割協議に応じない相続人への対処法を説明してきました。

どの方法にせよ実行に移すには負担がかかります。

協議に応じてくれない人に説得を試みるのは気が重く、弁護士への依頼や調停の申立てはハードルが高いと感じられるでしょう。

しかし、協議に応じてくれないからといって、その人抜きで遺産分割を行うことはできません。

そして、協に応じてくれないからといって、そのまま遺産を放置しておくわけにもいきません。

ここでは遺産分割協議の重要性をお伝えしていきます。

【遺産分割協議の重要性】

・遺産分割協議は全員参加が必須!
・遺産分割協議をせず遺産を放置すると生じる3つのリスク

遺産分割協議は全員参加が必須!

遺産分割協議は必ず相続人全員で行わなければいけません。

一人でも欠けているとその遺産分割協議は無効です。「応じてくれないから」では通用しません。

通常、遺産分割協議が成立すると、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は、亡くなった人の預貯金の払い戻しや名義変更、相続税申告で提出が求められる書類です。

遺産分割協議書には相続人全員の自署と押印が必要であり、自署と押印に間違いがないことを証明するため、戸籍や印鑑証明も添付します。

銀行などの各機関からすると、本当にその人物が財産を相続することに間違いはないかということを、厳密に確認しなければいけません。

そのため、全員分の自署と押印がない遺産分割協議書だと受け付けてもらえないのです。

遺産分割協議をせず遺産を放置すると生じる3つのリスク

遺産分割協議をしないままで遺産を放置していると、下記3つのリスクが生じます。

【相続を放置すると生じる3つのリスク】

・いつまでも財産を相続できない
・相続税申告期限に間に合わずペナルティが課される
・相続人の一人が亡くなると相続関係が複雑になる

ひとつずつ見ていきましょう。

いつまでも財産を相続できない

遺産分割協議で誰がどの財産を相続するか決めない限り、いつまでたっても財産を相続できません。

預貯金の場合、いつまでも払戻しができないと、葬儀代や生活費の支払いに困ることも考えられます。

不動産なら売却や賃貸の活用が難しくなります。また、空き家の場合、放置しておくと劣化が急速に進むため、特定空き家に指定されて固定資産税が増えるおそれがあります。

相続税申告期限に間に合わずペナルティが課される

相続税は申告期限が被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められており、期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税のペナルティが課せられます。

遺産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると相続税が発生します。

しかし、遺産分割協議で誰がどの財産を相続するか決めないと、正確な相続税額が算出できません。

もし申告期限までに遺産分割協議ができない場合は、分割見込書を添付して仮申告を行い、遺産分割協議を行った後に再度手続きをしましょう。

相続人の一人が亡くなると相続関係が複雑になる

遺産分割協議をしない間に、相続人の誰かが亡くなってしまうと、相続関係はさらに複雑になります。

相続人が亡くなるとその人の相続人が最初の相続の相続人に加わります。

例えば、Aが亡くなり、子どもB・C・Dの3人が相続人になったとします。遺産分割協議をしないままBが亡くなってしまうと、Bの子どもであるEとFが新たにAの相続人に加わります。これでAの相続人はC・D・E・Fの4人に増えてしまいました。

このように、相続人の一人が亡くなると相続人の数が増えて、遺産分割はさらに難しくなります

最終的には相続人の数がねずみ算式に増えていき、収拾がつかない事態になるおそれがあります。

まとめ

本記事を読んで、遺産分割協議に応じない相続人について理解を深められたことと思います。

最後にもう一度、要点を確認しましょう。

まず、なぜ遺産分割協議に応じないのか、よくある理由を5つ挙げました。

遺産分割協議に応じない理由5つ
・他の相続人と確執があるから
・相続に関わりたくないから
・遺産分割せず全て自分のものにしたいから
・遺産分割すると生活が困窮するから
・財産を隠している・使い込んでしまったから

理由が推測できたところで、遺産分割協議に応じない相続人にはどう対処すべきかをお伝えしました。

遺産分割協議に応じない相続人への対処法3つ
①まず説得する
②急いでいるなら弁護士に依頼する
③急いでいない&費用を抑えたいなら遺産分割調停を起こす

最後に、遺産分割協議の重要性を紹介し、遺産分割協議は早めに進めなければいけないことを解説しました。

遺産分割協議の重要性
・遺産分割協議は全員参加が必須!
・遺産分割協議をせず相続を放置すると生じる3つのリスク
 ①いつまでも財産を相続できない
 ②相続税申告期限に間に合わずペナルティが課される
 ③相続人の一人が亡くなると相続関係が複雑になる

以上、本記事が遺産分割協議を進めることに役に立ち、スムーズな相続が実現できれば幸いです。

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