弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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「相続税の申告期限が近づいてきたけど、まだ遺留分の額が決まっていない」
「相続税を納めた後に遺留分の話し合いがまとまった。相続税はどう精算すればいい?」
遺留分の請求がある相続の場合、相続税申告はどのように進めればいいのか気になりますよね。
相続税は遺産総額が基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えれば発生し、遺留分も課税対象となります。
遺留分の請求がある相続の場合、すでに相続税申告が済んだ後かどうか、そして申告前なら遺留分の額が確定しているかどうかで申告・対処法が下記の通り異なってきます。
本文ではそれぞれの方法を分かりやすく解説していくので、適切に手続きを進めていくようにしましょう。
もし手続きに不備があった場合、税務署から追徴課税を課される恐れがあります。
例えば相続税申告後に遺留分の話し合いがまとまり、遺留分を支払った人が納め過ぎた税金の還付手続きを行った場合、遺留分を受け取った人は修正申告(期限後申告)を行わないままでいると延滞税が課される恐れがあります。
そのような事態にならないよう、当事者間で相続税の精算方法も話し合うようにしましょう。
本記事では遺留分の相続税について下記のポイントをお伝えしていきます。
本記事で分かること |
・相続税がかかるかどうか ・【3つの状況別】遺留分がある場合の相続税申告・対処方法 ・相続税の目安 ・税理士に依頼した方がいい理由と費用相場 |
本記事を読めば遺留分の請求がある場合の相続税について理解を深められ、損することなく最適な方法で納税・精算できるようになります。
ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
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相続では遺産の総額が基礎控除額を超えたら相続税が発生し(相続税法第11条)、遺留分も相続によって取得する財産であるため相続税の課税対象になります。
相続税 |
遺産総額 > 基礎控除 → 相続税申告が必要 遺産総額 ≦ 基礎控除 → 相続税申告が不要 |
相続税の基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で、法定相続人が多いほど控除額が増えることになります(相続税法第15条)。
【法定相続人別の相続税の基礎控除額】
法定相続人の人数 | 基礎控除額 |
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
例えば遺産の総額が5,000万円で相続人が二人だった場合、5,000万円ー4,200万円で800万円分に対して課税されます。各相続人は取得した遺産の割合に応じた相続税をそれぞれ納めなければいけません(相続税法第17条)。
本記事では具体的にどのように相続税を納めるかを2章以降で、いくら納めないといけないかを6章で紹介していきますね。
遺留分が発生する相続において相続税申告が必要な場合はどのように進めていけばいいのでしょうか。
この場合は遺留分を請求した人と請求された人双方とも、遺留分の確定時期と相続税申告の時期によって取るべき対応が異なります。この2つの時期を組み合わせて下記3つのケースに分類しました。
自分に当てはまるケースを選び、リンクから該当の章に移動して読み進めてくださいね。
【状況別:遺留分がある場合の相続税申告・対処法】
まず、相続税の申告期限は「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と決められて(相続税法第27条)おり、申告前か申告後かで遺留分の取扱いは異なります。
そして申告期限前の場合は遺留分の額が既に確定しているかどうかでも対応が変わってきます。
それぞれの状況に応じて適切に進めないと無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する恐れがあるので、必ず該当の章を読んで実践するようにしましょう。
実際の相続税の申告・対処は手続きが非常に複雑であるケースが多いので、その場合は税理士に依頼することをおすすめします。現に相続税申告が必要な人の約9割が税理士に依頼しています。
とはいえスムーズな手続きのためには自身も基本的な知識を身に付けておく必要があるので、各章の内容をしっかり理解していくようにしましょう。
10ヶ月の相続税申告期限前に遺留分の額が既に決まっている場合は、通常の相続税申告と同じ方法で進めていきます。
遺留分を請求した人とされた人に分けて見ていきましょう。
◎遺留分を請求した人:遺留分を含む相続した財産に応じて申告する
◎遺留分を請求された人:遺留分を渡した後の財産に応じて申告する
遺留分を請求した人は、遺留分を含む相続した財産に応じて相続税申告をします。
例えば、元々の相続分が1,000万円でさらに遺留分1,000万円を受け取った場合、2,000万円に対して相続税を申告することになります。
ここでは具体的な申告方法と、申告の必要書類である合意書作成について理解していきましょう。
◎相続税申告方法
◎遺留分侵害額請求に基づく合意書作成
申告は下表を参考にしながら進めていくようにしてください。
【遺留分がある場合の相続税申告の方法】
提出先 |
亡くなった人の最後の住所地を所轄する税務署 (税務署検索→税務署の所在地などを知りたい方|国税庁) |
提出方法 |
下記いずれかの方法 ・窓口(平日8:30-17:00) ・郵送 ・e-Tax(相続税の申告書がe-Taxで提出できるようになりました。) |
期限 |
相続の開始を知ってから10ヶ月以内に申告・納付までを済ませる |
手数料 |
なし |
必要書類 |
・相続税申告書(国税庁HPからダウンロード可能:[手続名]相続税の申告手続|国税庁→年度を選択) ・亡くなった人と相続人に関する戸籍 ・遺言書 ・遺留分侵害額請求に基づく合意書←別途解説 ・財産に関する資料 ・本人確認書類 ※個別のケースによって必要書類は異なるため、詳細は国税庁の資料をご確認ください。(参考) 相続税の申告の際に提出していただく主な書類 |
手順 |
① 必要書類を準備 ② 申告書を作成 ③ ①と②を提出 ④ 納付(③と順不同) |
納付方法 |
下記いずれかの方法 ・納付書(任意の税務署に貰いに行く)によって税務署・金融機関・コンビニエンスストアで納付 ・クレジットカードで納付(詳細:国税クレジットカードお支払サイト) |
申告期限が10ヶ月だと時間が十分にあると思われがちですが、実際は準備にかなりの期間を要します(目安:数ヶ月)。早めに必要書類などを揃えていき、余裕を持って取り組むようにしましょう。
遺留分がある相続の場合、遺留分の話し合いがまとまったら「遺留分侵害額請求に基づく合意書」を作成するようにしましょう。
これは遺言書と同様、遺産分割方法の根拠として相続税申告に必要な書類です。遺留分の額が調停で決まった場合は合意書の代わりに調書を提出します。
合意書とは当事者間の話し合いにより取り決めた事項を書き記した書面のことです。決まった書式はありませんが、法的な効力を持たせるためには次の項目を守るようにしましょう。
【合意書で必ず書くべきこと】
・合意した内容(遺留分の額や支払い形式、誰が誰に渡すかを、第三者が見ても分かるように客観的に書く) ・合意書の通数(当事者の人数分であることが一般的) ・合意書の作成日付(令和〇年〇月〇日) ・当事者全員の住所・署名・押印(実印推奨) |
尚、署名押印以外はパソコン作成でも問題ありません。
遺留分を請求された人は、相続する財産から遺留分を引いた額で相続税申告をします。
例えば、元々の相続分が5,000万円で遺留分を1,000万円支払った場合、4,000万円に対して相続税を申告することになります。
申告方法などは前節を参考に進めていくようにしてください。
【注意!遺留分を現物で渡した場合は譲渡所得税が発生】 法改正により遺留分は原則金銭で支払うことになったため、遺留分を現物で渡した場合は譲渡所得税が発生する可能性があるということを知っておきましょう。 例えばAはBから遺留分1,000万円を請求されたとします。遺産のほとんどが不動産であるため、Aは遺留分を現金で支払えず、遺産の一部である駐車場の土地(価額1,000万円)をBに渡しました。 この場合、AはBに「1,000万円で駐車場を譲渡した」と見なされるため、Aに対して譲渡所得税が課される可能性があります。 |
相続税申告期限の10ヶ月が近づいてきているものの遺留分の額がまだ決まっていない場合は、ひとまず遺留分はないものとして相続税申告します。
これは国税庁の通達でも下記の通り解釈されています。
“相続税基本通達11の2-4 相続税の申告書を提出する時又は課税価格及び相続税額を更正し、若しくは決定する時において、まだ法第32条第1項第2号、同項第3号、法施行令第8条第2項第1号又は第2号に掲げる事由が未確定の場合には、当該事由がないものとした場合における各相続人の相続分を基礎として課税価格を計算することに取り扱うものとする。” “相続税法第32条第1項第3号 遺留分侵害額請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したこと。” |
そして遺留分の額が確定した後で納め過ぎた税金と不足した税金を調整します。その方法については次章で紹介しますね。
遺留分の額が決まっていないからといって、絶対に申告を先延ばしにしてはいけません。申告しないでいると無申告加算税や延滞税が発生するので必ず申告は行いましょう。
では遺留分を請求した人・された人に分けて解説していきます。
◎遺留分を請求した人:遺留分については申告不要
◎遺留分を請求された人:遺留分がないものとして申告する
※相続税申告の具体的な方法は相続税申告方法を参考にしてください。
遺留分を請求した人は遺留分を含まずに相続税額を算出します。
元々遺言などにより相続分がゼロである場合は相続税を申告する必要がありません。
遺留分を請求された人はひとまず遺留分を抜きにして当初の相続予定分に対して納税します。
例えば「全財産を譲る」という遺言があった場合は全財産分の相続税を申告します。
その後遺留分の額が確定次第、納め過ぎた税金を戻してもらう手続きをとります(次章で解説)。そのため、遺留分の話し合いの時にどのように税金を調整するかも取り決めて合意書に記載しておくと後々トラブルが起こりにくいでしょう。
【注意!未分割申告はしない】
未分割申告とは10ヶ月の相続税申告期限までに遺産分割が決まらなかった場合に行う申告方法で、主に遺産分割協議がまとまらなかった時などに利用します。
未分割申告は小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減が適用されません。相続税の負担が大幅に増加することになるので、未分割申告は行わず、遺言通りに相続税申告するようにしましょう。
相続税申告期限後に遺留分の額が確定した場合、相続税額を調整する方法は2種類あります。
【相続税申告期限後に遺留分の額が確定した場合の対処法】
①修正申告(期限後申告)と更生の請求を行う ②当事者間で精算する |
①の方法は遺留分を請求した人・された人それぞれが税務署に対して手続きを行います。しかし税務署にとっては遺産総額が変わるわけではないので、必ずしもこの手続きを行わなければいけないわけではありません。
そこで②の方法のように当事者間で直接やりとりすることも可能です。
下表を参考にして、どちらの方法を行うか当事者間で話し合って決めるようにしましょう。
【2つの対処法比較】
|
①修正申告(期限後申告)・更生の請求 |
②当事者間の精算 |
メリット |
・当事者間でトラブルが起こるリスクが低い |
・手軽 ・費用がかからない |
デメリット |
・手間や時間がかかる ・税理士に依頼する場合は費用がかかる ・遺留分を請求した人に追徴課税がかかる場合がある |
・当事者間の取り決めのためトラブルになるリスクがある |
おすすめなケース |
・当事者間の関係が良好ではない ・納め過ぎた税金を確実に取り戻したい |
・当事者間の関係が良好である ・費用を抑えたい |
①の方法で行う場合はそのまま読み進めてください。②の方法の場合は相続税申告期限後|遺留分の相続税対処方法②当事者間で精算するへリンクから移動していただけます。
遺留分の額が確定したら、遺留分を請求した人は修正申告(期限後申告)、請求された人は更生の請求を税務署に対して行います。
◎遺留分を請求した人:修正申告(期限後申告)する
◎遺留分を請求された人:更生の請求をする
修正申告とは、先に行った相続税申告の税額が少なかった場合に税金を追加で納めるための手続きです。一方遺留分取得によって初めて納税者となる場合は期限後申告と呼びます。
申告は下表を参考にしながら進めていきましょう。
【遺留分の額が決まった後の修正申告(期限後申告)方法】
提出先 |
亡くなった人の最後の住所地を所轄する税務署 (税務署検索→税務署の所在地などを知りたい方|国税庁) |
提出方法 |
下記いずれかの方法 ・窓口(平日8:30-17:00) ・郵送 ・e-Tax(相続税の申告書がe-Taxで提出できるようになりました。) |
期限 |
申告期限:原則定めはなし 納付期限:原則申告日同日まで ※注意点② |
手数料 |
なし |
必要書類 |
・修正申告書(第1表・第15表とその他必要な表)(国税庁HPからダウンロード可能:[手続名]相続税の申告手続|国税庁→年度を選択) ・遺留分侵害額請求に基づく合意書(遺留分侵害額請求に基づく合意書作成を参照) ・本人確認書類 ※個別のケースによって必要書類は異なるため、詳細は税務署にお尋ねください。 |
手順 |
① 必要書類を準備 ② 修正申告書を作成 ③ 納付 ④ ①と②を提出 |
納付方法 |
下記いずれかの方法 ・納付書(任意の税務署に貰いに行く)によって税務署・金融機関・コンビニエンスストアで納付 ・クレジットカードで納付(詳細:国税クレジットカードお支払サイト) |
遺留分の修正申告(期限後申告)は原則無申告加算税や過少申告加算税、延滞税は課されません。しかし、申告や納付の時期に注意しないと延滞税が課されてしまうので、下記内容に気を付けながら進めるようにしましょう。
遺留分の修正申告(期限後申告)の場合、申告書を提出した日付が納付期限になります。そのため申告日より後に納付すると延滞税が課せられてしまいます。
納付は必ず申告と同時または事前に済ませておくようにしましょう。
遺留分を請求した相手が更生の請求(税金の還付)を行った場合、当然遺留分を受け取った人がその分の修正申告(期限後申告)を行わないと整合性が取れませんよね。
もし申告しないままでいると、税務署の方から相続税額の決定が行われます。決定処分が下された場合、「決定通知書を発送した日」または「遺留分額が確定した日から4ヶ月経過する日」のいずれか早い方の日付を起点として延滞税が課されてしまいます。
余計な税金が発生しないよう、相手が更生の請求をするかどうか必ず確認を取り、更生の請求がある場合は遅滞なく申告するようにしましょう。
更生の請求とは納め過ぎた税金を戻してもらうための手続きです。
申告は下表を参考にしながら進めていきましょう。
【遺留分の額が決まった後の更生の請求方法】
提出先 |
亡くなった人の最後の住所地を所轄する税務署 (税務署検索→税務署の所在地などを知りたい方|国税庁) |
提出方法 |
下記いずれかの方法 ・窓口(平日8:30-17:00) ・郵送 ・e-Tax(相続税の申告書がe-Taxで提出できるようになりました。) |
期限 |
遺留分の額が確定した日の翌日から4ヶ月以内 |
手数料 |
なし |
必要書類 |
・更生の請求書(国税庁HPからダウンロード可能:[手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続|国税庁) ・遺留分侵害額請求に基づく合意書(3-1-2.を参照) ・マイナンバーカードのコピー ※個別のケースによって必要書類は異なるため、詳細は税務署にお尋ねください。 |
手順 |
① 必要書類を準備 ② 更生の請求書を作成 ③ ①と②を提出 ④ 国税還付振込通知書が届いた後還付金が振り込まれる(約2~3ヶ月後) |
相続における一般的な更生の請求は相続税申告期限から5年ですが、遺留分に関しては遺留分の額が確定した日の翌日から4ヶ月以内であるので注意しましょう。
遺留分を請求した人とされた人の間で精算する場合、当事者同士で話し合ってどのように精算するか決めましょう。
遺留分を支払った人が相手から税額の金銭を受け取る、あるいは遺留分から税額分を差し引いて渡すなど、自由に決めて問題ありません。
ただ、後々のトラブルを防ぐため「遺留分侵害額請求に基づく合意書」(3-1-2.で解説)に相続税の精算方法も記載し、口座振り込みで支払うようにしましょう。
手渡しの場合は領収書を作成するなど、何かしら書面などを残しておくことをおすすめします。
相続税の申告・対処方法が分かったところで、では実際にいくら納めないといけないのでしょうか。
本章では相続税の概算と知っておくべき制度・注意点について紹介していきます。
【遺留分の相続税:目安と注意点】
・ひと目で分かる相続税の目安 ・1億6,000万円までなら無税!知っておくべき配偶者控除 ・法定相続人以外が遺産を取得する場合の注意点 |
冒頭で相続税は遺産総額が基礎控除額(3,000万円+法定相続人数×600万円)を超えたら発生すると述べましたが、その税額は相続人の人数や関係性によって決まっていきます。
遺産総額に対する相続税の目安を下記早見表にまとめました。
【相続税の総額早見表(配偶者控除適用前)】
遺産総額 |
相続人 |
|||||
配偶者と 子1人 |
配偶者と 子2人 |
配偶者と 子3人 |
子1人 |
子2人 |
子3人 |
|
4,000万円 |
0 |
0 |
0 |
40万円 |
0 |
0 |
5,000万円 |
80万円 |
20万円 |
0 |
160万円 |
80万円 |
20万円 |
6,000万円 |
180万円 |
120万円 |
60万円 |
310万円 |
180万円 |
120万円 |
7,000万円 |
320万円 |
225万円 |
160万円 |
480万円 |
320万円 |
220万円 |
8,000万円 |
470万円 |
350万円 |
275万円 |
680万円 |
470万円 |
330万円 |
9,000万円 |
620万円 |
480万円 |
400万円 |
920万円 |
620万円 |
480万円 |
1億円 |
770万円 |
630万円 |
525万円 |
1220万円 |
770万円 |
630万円 |
1億5,000万円 |
1840万円 |
1495万円 |
1330万円 |
2860万円 |
1840万円 |
1440万円 |
2億円 |
3340万円 |
2700万円 |
2435万円 |
4860万円 |
3340万円 |
2460万円 |
2億5,000万円 |
4920万円 |
3970万円 |
3600万円 |
6930万円 |
4920万円 |
3960万円 |
3億円 |
6920万円 |
5720万円 |
5080万円 |
9180万円 |
6920万円 |
5460万円 |
4億円 |
1億920万円 |
9220万円 |
8310万円 |
1億4,000万円 |
1億920万円 |
8980万円 |
5億円 |
1億5210万円 |
1億3110万円 |
1億1925万円 |
1億9,000万円 |
1億5210万円 |
1億2980万円 |
6億円 |
1億9710万円 |
1億7360万円 |
1億5675万円 |
2億4,000万円 |
1億9710万円 |
1億6980万円 |
7億円 |
2億4500万円 |
2億1740万円 |
1億9770万円 |
2億9320万円 |
2億4500万円 |
2億1240万円 |
8億円 |
2億9500万円 |
2億6240万円 |
2億4270万円 |
3億4820万円 |
2億9500万円 |
2億5740万円 |
9億円 |
3億4500万円 |
3億870万円 |
2億8770万円 |
4億320万円 |
3億4500万円 |
3億240万円 |
10億円 |
3億9500万円 |
3億5620万円 |
3億3270万円 |
4億5820万円 |
3億9500万円 |
3億5,000万円 |
上表は遺産総額に対する全体の相続税なので、この税額を各相続人が取得する相続割合に応じてあん分するようにしてください。
例えば遺産総額が現金1億円で法定相続人は長男・次男・三男だったとします。 「長男に8,000万円、次男に1,000万円、三男に1,000万円を譲る」という遺言が残されていた場合、各相続税額は下記計算式で算出できます。 遺産総額1億円に課税される相続税は630万円 630万円を長男・次男・三男とそれぞれの相続割合であん分する 長男の相続税額:8,000万円÷1億円×630万円=504万円 次男の相続税額:1,000万円÷1億円×630万円=63万円 三男の相続税額:1,000万円÷1億円×630万円=63万円 |
正確な相続税額を算出したい場合は国税庁等のサイトに詳しい計算方法が記載されているのでそちらでご確認ください。
ただ、相続税額を正しく算出するのは素人ではどうしても難しい部分があります。
課税対象になる財産の種類や評価方法、適用できる控除など、専門的な知識が要求される場面が多いので、実際に申告する際は税理士に依頼することをおすすめします。
配偶者控除とは、配偶者が相続した財産のうち1億6,000万円までなら相続税が課されないという制度です。1億6,000万円を超えた場合でも法定相続分までなら無税になります。
【配偶者の法定相続分】
法定相続人 |
配偶者の法定相続分 |
配偶者のみ |
1 |
配偶者と子ども |
1/2 |
配偶者と父母 |
2/3 |
配偶者と兄弟姉妹 |
3/4 |
前節の早見表は配偶者控除を適用していませんので、配偶者の相続税額は相続割合であん分した後に控除を適用して計算するようにしてください。
例えば遺産総額が現金3億円で法定相続人は妻と長男だったとします。 「妻に1億円を、長男に2億円を譲る」という遺言が残されていた場合、各相続税額は下記計算式で算出できます。 遺産総額3億円に課税される相続税は6920万円 6920万円を妻と長男それぞれの相続割合であん分する 妻の相続税額 :1億円÷3億円×6920万円=2307万円 →課税額が1億6,000万円以下のため0円になる 長男の相続税額:2億円÷3億円×6920万円=4613万円 |
遺留分請求では、「法定相続人以外の者に財産を渡す」という遺言があったケースも少なくないでしょう。
この場合の相続税については、法定相続人ではない者は基礎控除の人数に含まれないので注意が必要です。
例えば法定相続人は長男・次男の2人であるものの、「愛人に全財産を渡す」という遺言が残されており、愛人に遺留分を請求したとします。
この場合、相続税の基礎控除額は「3,000万円+法定相続人数(2人)×600万円=4,200万円」であり、愛人は基礎控除の人数に含まれません。
また、本来法定相続人ではない者が遺産を取得する場合は相続税は2割加算になることも理解しておきましょう。
これは、遺産とは本来配偶者や子どもなどごく近しい親族が相続するものであり、それ以外の人が遺産を受け取ることは偶然性によるところが大きいと考えられるためです。
これまで相続税の申告方法や相続税額算出方法について解説してきましたが、これらを正確に行うには膨大な知識が必要となるため、自分で全て行うのは少々難易度が高いでしょう。
相続税の申告は相続税に強い税理士に依頼することをおすすめします。実際に相続税申告件数の約9割が税理士に依頼しています。
本章では税理士に依頼すべき理由と費用相場を見ていきましょう。
税理士に依頼した方がいい理由はいくつかありますが、大きく下記3つに分類できます。
【税理士に依頼すべき理由】
◎正確で適切な申告ができる ◎税務調査の確率を下げられる&対応を任せられる ◎時間・手間がかからない |
◎正確で適切な申告ができる
自分で行うとミスが発生するリスクが大きく、過少申告で追徴課税が課される恐れがあります。
逆に税金を納め過ぎてしまったり、使える控除や特例を知らずに損してしまうこともあるでしょう。
税理士なら適切な財産評価ができ、正確な相続税額を算出できます。さらに受けられる控除や特例なども提案してくれます。
◎税務調査の確率を下げられる&対応を任せられる
申告書に税理士の署名がないケースは税務調査が入る可能性が高くなります。そして税務調査で調査官に追及されれば素人では適切な対応が難しく、不利に動いてしまう恐れがあります。
税理士が行うと税務調査の確率を下げられる上、もし税務調査が入っても間に入って適切にフォローしてもらえるでしょう。
◎時間・手間がかからない
相続税申告は必要書類の収集や書類作成などに膨大な時間と手間がかかります。家族が亡くなった後は他の相続手続きも重なって忙しくなるので、相続税のことは税理士に任せた方が心身の負担を減らせるでしょう。
【遺留分の話し合いで揉めている場合は弁護士にご相談ください】
相続税のことは税金のスペシャリストである税理士に依頼することをおすすめしますが、遺留分のことで揉めている場合は法律と交渉のプロである弁護士にご相談ください。当事務所は、相続税に注力している税理士と連携して、遺留分のトラブル解決から相続税の申告までトータルサポートいたします。
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税理士に依頼を検討する上で気になるのが費用相場だと思います。
相続税の申告依頼は遺産額が多いほど高くなるのが一般的です。
その他の条件や税理士事務所によっても大きく異なりますが、費用のおおよその目安を下表にまとめました。
【税理士の費用相場】
遺産総額 | 費用相場 |
~5,000万円 | 15万~25万円 |
5,000万円~1億円 | 25~50万円 |
1億~2億円 | 50~80万円 |
2億円~5億円 | 80~100万円 |
決して低くはない金額ですが、税理士に依頼することにより正確に申告ができて追加徴税を避けられることと、減税の控除や特例を提案してもらえることを考えると、税理士費用を負担してでも依頼した方が安心でしょう。
本記事を読んで遺留分に関する相続税について理解を深められたことと思います。
あらためて本文のポイントを振り返りましょう。
相続税は遺産総額が基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えれば発生し、遺留分も課税対象となります。
相続税の申告・対処方法は状況によって異なるので、下表の中から自分に当てはまるものを選んで進めていくようにしてください。
【遺留分の相続税申告】
状況 |
遺留分を請求した人 |
遺留分を請求された人 |
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相続税申告 期限前 |
遺留分の額が 確定済 |
遺留分を含む相続した財産に 応じて申告する |
遺留分を引いた後の財産に 応じて申告する |
遺留分の額が 未確定 |
遺留分については申告不要 |
遺留分がないものとして申告する |
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相続税申告 期限後 |
方法① |
修正申告(期限後申告)をする |
更生の請求をする |
方法② |
当事者間で精算する |
実際の相続税の計算や申告は税理士のサポートのもと行うことをおすすめします。
以上、本記事を読むことで遺留分の相続税についての理解が深まり、損することなく最適な方法で納税できるようになれれば幸いです。