相続人と連絡が取れない・音信不通時の実践的な対処法・注意点を解説

相続人と連絡がとれない!
この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「相続人の中に長年音信不通の人がいて連絡先を知らない」

「相続人の一人に相続の発生を知らせているが反応がない」

連絡が取れない相続人がいると相続を勝手に進めていいものかどうか悩みますよね。その場合どのような対処をすべきでしょうか。

連絡が取れないときにすべきことは下記の通りです。

どちらかの手続きを踏むことで、最終的には相続手続きを始めることができるようになります。

これらの手続きは状況によっては労力も時間も多分に要する場合があります。

だからといって上記の手続きを行わず遺産分割を行ったとしても、それは無効となってしまいます。遺産分割協議は全員が参加する必要があるので、誰か一人でも欠けてしまうと成立しません。自分では行うことが難しいと判断した場合は専門家に依頼することも検討しましょう。

本記事では遺産分割を行うためにどうにかして相続人と連絡が取れるよう(取れない場合でも適切な手続きを行えるよう)次の内容をまとめました。

本記事の内容
相続人と連絡が取れないまま相続を進めてはいけない理由
相続人の連絡先が分からないときにすべきこと
連絡が無視されてしまうときにすべきこと

本記事を読み進めると自分の状況に応じてすべきことが分かり、実際に連絡を取るべく動き出すことができるようになります。

是非最後まで読んでいってくださいね。
なお、当法人の弁護士が、相続人と連絡が取れないときの対処法を動画でも解説していますので、こちらも是非ご覧ください。

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目次

相続人と連絡が取れないまま相続を進めてはいけない!

相続人の中に連絡が取れない人がいる場合、適切な手続きを取らないと相続を進めることはできません。

遺産分割協議は必ず相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けているとその遺産分割協議は無効になります。「連絡が取れないから仕方ない」では通用しません。

相続する預貯金を引き出したり相続手続きを行うには遺産分割協議で作成する遺産分割協議書の提出が求められますが、遺産分割協議書には相続人全員の自署と押印が必要です。(参照:遺産分割協議 : 三井住友銀行

その相続人で間違いないことを裏付けるための戸籍と、本人確認を行うための印鑑証明も必要書類となっているため、不備のある遺産分割協議書は絶対に通りません

仮に一人欠けた状態で遺産分割協議を行ったとしても、結局は無効とされてしまうのでもう一度やり直す必要があります。そうなると時間も労力も余分にかかることになるので、やはり全員が揃ってからでないと相続は進めるべきではありません。

とはいえ探している人が行方不明などでどうしても連絡が取れないケースもあるでしょう。その場合でも「不在者財産管理人」申立てを行って代理人を立てる必要があるので、いずれにせよ何らかの手続きは行わなければいけないことになります。

【例外:有効な遺言書が残されているケース】
効力のある遺言書が残されている場合は、相続人として指定されている人のみに連絡が取れれば問題ありません。

【実践的】相続人と連絡が取れないときにすべきこと|2つのケース別

本章では相続人と連絡が取れないときの対処法を2つのケースに分けて紹介していきます。

連絡がとれない状況というのは、主に下記2通りのケースが想定されます。

相続人と連絡が取れないケース
連絡先が分からない(連絡がつかないも含む)
連絡が無視されてしまう

それぞれについてすべきことを順を追って解説していきましょう。

相続人の連絡先が分からないケース

ここでは相続人と疎遠・交流がないなどの理由でそもそも連絡先すら知らない場合の手順を紹介していきます。

下記フローチャートでは状況に応じて取るべき手続きを表しています。自分の状況にあてはまる方を選んで矢印通り進めていくようにしましょう。

まず最初は①戸籍の附票を取得するところから始めます。

そこで現住所が分かった場合は②手紙を送って連絡を取りましょう。

連絡がつかない場合や、そもそも現住所を突き止められなかった場合は③不在者財産管理人申立てか④失踪宣告を行わなければいけません。

このように各状況に応じて適切な対応をとることで、最終的には相続手続きを進行させられるようになります。

それでは①~④それぞれのやり方について見て行きましょう。

①戸籍の附票を取得する

連絡先が分からない相続人がいるときは、その人の「戸籍の附票」を取り寄せましょう。戸籍の附票にはその人の住所履歴が記載されているので、それを見れば最新の住所を知ることができます

戸籍の附票とは…
戸籍が作られてから(または入籍してから)現在までの住所の移り変わりが記録されている。本籍地の市町村で保管。

戸籍の附票を取得するには自分で手続きをする方法と専門家に依頼する方法があります。

どちらの方法で進めるかは次の判断ポイントを基準にして考えてみてください。

【探したい相手の戸籍の附票を取得する方法】

自分で行う方がいいケース・亡くなった人の出生から死亡までの戸籍の数が少ない
・費用を抑えたい
専門家に依頼した方がいいケース・亡くなった人の出生から死亡までの戸籍の数が多い
・手続きの時間を確保できない
・戸籍の附票を早く取得したい

自分で戸籍の附票を取得する方法

自分で戸籍の附票を取得する場合は次の手順で進めていきましょう。

戸籍の附票はその人の本籍地で保管されているため、戸籍の附票を申請するためには探したい相手の本籍を調べなければいけません

相手の本籍は法定相続人なら亡くなった人の戸籍に記載されているので、まずは亡くなった人の戸籍を取り寄せるところから始める必要があります。

STEP
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍入手

まずは亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を全て集めます。そのどこかに探したい相手とその本籍地が記載されているのでひとつひとつ調べましょう。

出生から死亡までの連続した戸籍とは…
戸籍は転籍や結婚・離婚、改製のたびに新しい戸籍が作られるが、新しい戸籍には除籍した人など一部の項目が引き継がれない。そのため相続手続きでは相続関係を証明するために亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になる。

亡くなった人の戸籍を取得するには、次の必要書類を用意して亡くなった人の本籍地の市町村役場に請求します。

詳細は各市町村役場によって異なるので、事前にホームページを確認するか電話で問い合わせてみてくださいね。

【亡くなった人の戸籍取得方法】

請求できる人

亡くなった人の配偶者・直系血族(原則)

手数料の目安

1通450

必要書類

窓口

・戸籍交付申請書(窓口で入手)

・申請する人の戸籍謄本(相続関係を証明するため)

・印鑑

・本人確認書類

・委任状(申請する人が亡くなった人の配偶者・直系血族以外の場合)

郵送

・戸籍交付申請書(役場からダウンロードして記入)

・定額小為替(手数料分を郵便局で入手)

・申請する人の戸籍謄本のコピー(相続関係を証明するため)

・本人確認書類のコピー

・委任状(申請する人が亡くなった人の配偶者・直系血族以外の場合)

・返信用封筒(切手貼付)

入手までの

期間

窓口

即日

郵送

1週間

STEP2:本籍地の役場に戸籍の附票を請求
STEP
本籍地の役場に戸籍の附票を請求

亡くなった人の戸籍から探したい相手と本籍を見つけ出せたら、その本籍地の市町村役場に戸籍の附票を請求しましょう。

請求方法は下記の通りですが、各市町村役場によって異なる場合もあるので、事前にホームページで確認または電話で問い合わせてみてください。

【探したい相手の戸籍の附票取得方法】

請求できる人

本人・配偶者・直系血族(原則)

手数料の目安

1通450

必要書類

窓口

・戸籍の附票交付申請書(窓口で入手)

・申請する人の戸籍謄本(相続関係を証明するため)

・印鑑

・本人確認書類

郵送

・戸籍の附票交付申請書(役場からダウンロードして記入)

・定額小為替(手数料分を郵便局で入手)

・申請する人の戸籍謄本のコピー(相続関係を証明するため)

・本人確認書類のコピー

・返信用封筒(切手貼付)

入手までの

期間

窓口

即日

郵送

1週間

戸籍の附票は原則本人・配偶者・直系血族しか申請できません。

それ以外の人が申請する場合は相応な理由が必要です。この場合、各市町村の窓口によって細かな手続きについては取り扱いが異なりますが、遺産分割の共同相続人であり、自ら遺産分割事件を申し立てるという正当な権利行使のために相手方の戸籍の附票が必要であることを明白にして請求すると良いでしょう(戸籍法10条の2第1項など参照)

専門家に戸籍の附票取得を依頼する方法

前述の手続きを自分で行うのが難しい人は専門家に依頼しましょう。

戸籍取得代行を依頼できる専門家は弁護士・司法書士・行政書士です。戸籍の取得のみを依頼するならどの専門家を頼っても大差ありませんが、戸籍の取得以外の相続手続きも併せて依頼するのであれば、その内容に応じた専門家を選ぶ必要があります。

なぜなら各専門家には対応できる業務範囲が限られているため、正しく選ばないと適切なサポートを受けられません。

各専門家が対応できる内容を下表にまとめましたので、選ぶときの判断材料にしてください。

 弁護士税理士司法書士行政書士自治体
相続相談(※)
相続人・相続財産の調査
交渉・調停・訴訟代理
遺留分侵害額請求・減殺請求
相続放棄
遺言書の検認手続き
遺言書作成
相続税の試算・節税対策
相続税の申告
不動産の名義変更
車や株式の名義変更
金融機関の相続手続き

※相続相談…相続の流れや費用、必要書類などの一般的な質問や、どの専門家に頼ればいいのかを相談できる

◎…もっとも得意とする領域

〇…対応可能

△…場合によっては対応可能

✕…対応不可

次に戸籍取得代行の費用相場をお伝えします。

戸籍取得代行 費用の目安
約 3万円~5万円

費用は各専門家でそれほど違いはなく、事務所によって大きく異なります。また、取得する戸籍の数によっても変動します。

基本料金には何通分までと上限があり、それを超える場合は1通2,000円+実費というように追加料金が発生するという料金システムのところが多いです。

予算以上の請求額にならないよう、あらかじめホームページの料金表をよく確認しておきましょう。

弁護士・司法書士・行政書士の違いについてはこちらの記事で詳しく説明しています。選び方や依頼方法についても紹介しているので併せてご一読ください。

弁護士についてはまた後ほど(【対立関係の場合】弁護士を代理人に立てる)で解説します。

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【現住所が分かった場合】②手紙を送る

戸籍の附票を取得して現住所が分かったら、早速連絡を取ってみましょう。

連絡方法としてはまずは手紙を送る方法がおすすめです。

面識がない場合や長い間会えていない場合、いきなり訪問したり電話したりすると相手も警戒してしまいますが、手紙だと波風も立たず相手も受け入れやすくなります

手紙はなるべく丁寧に書いて連絡が欲しいことを伝えましょう。具体的には次のポイントをおさえて書くようにしてくださいね。

【手紙に書くべき内容と順番】

①自己紹介と亡くなった人との関係
②亡くなった人が亡くなったこと
③相続が発生し、手紙の送付相手が相続人になったこと
④相続財産目録(別紙で添付でも可)
⑤相続手続きに協力してほしいこと
⑥自分に連絡を取ってほしいこと
⑦自分の連絡先

手紙を数回送っても返事がない場合は本当にその住所に居住しているか確認する必要があるので、電話をかけてみるか実際に足を運んで訪ねてみるかしましょう。

(電話番号検索方法→番号案内サービス|電話料金について※電話帳に登録している場合に限る)

もしその住所に住んでいないことが判明したら次の節2-1-3.に進んでください。居住しているのに連絡が無視されていた場合は連絡が無視されてしまうケースを参考にして連絡を取るようにしましょう。

【連絡がつかない場合】③不在者財産管理人を申立てる

探したい相手が戸籍に記載されている現住所に住んでおらず、居所の手がかりがつかめない場合は不在者財産管理人の申立てを行う必要があります。

探したい相手が既に住民票から抹消されている場合もこの方法が有効です。

相続人の一人が行方不明だからといって、存在を無視して相続を進めることはできません。行方がつかめないなら代理人を立てて遺産分割を進めることになります。

不在者財産管理人とは…不在者に代わって財産を管理する人。家庭裁判所が選任する。

不在者財産管理人の申立ては下記の方法で進めていきます。

【不在者財産管理人の申立て方法】

申立てできる人配偶者、共同相続人、債権者、検察官など
申立先不在者の最後の住所を管轄する家庭裁判所
裁判所を探す場合はこちら→各地の裁判所
費用収入印紙800円分
郵便切手2,850円分
(切手の種類は各裁判所に要確認)
必要書類・申立書・不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
・不在者の戸籍の附票
・財産管理人候補者の住民票または戸籍の附票(推薦の場合)
・不在を証明する資料
・不在者の財産に関する資料
・申立人と不在者の利害関係を証明する資料
・不在者財産管理人の権限外行為許可の申立書(※)
選任までの期間数ヶ月~半年

※不在者財産管理人に遺産分割協議に加わってもらう場合は別途申立て書が必要

申立て方法についてさらに詳しく知りたい場合は裁判所のホームページをご確認ください。

不在者財産管理人選任 | 裁判所

財産管理人は申立人が候補者を推薦することができます。不在者の親族か弁護士、司法書士が選任されることが一般的です。

【海外にいる相続人と連絡がとれないケース】
最後の住所が海外で連絡がつかない場合は、まず外務省に「所在調査申込」を行います。
(詳細:所在調査(三親等内の親族からの依頼)|外務省
外務省から所在が判明しない旨の回答が返ってきたら、家庭裁判所に不在者財産管理人の申立てを行います。

【7年以上行方不明の場合】④失踪宣告を申し立てる

探したい相手が7年以上行方不明の場合は不在者財産管理人ではなく、失踪宣告を申し立てるという選択肢もあります。

失踪宣告とは…行方が分からず一定の要件を満たした者を法律上死亡したものとみなす制度。

失踪宣告が認められるとその失踪者は死亡扱いになるため、その人抜きで相続手続きを進めていくことができるようになります。

失踪宣告は失踪者を死亡扱いすることで自分が取得できる遺産の割合が増える場合に有効な方法です。具体的には次のようなケースが該当するでしょう。

【失踪宣告をした方がいいケース例】

今回亡くなった人:父
失踪者:母(法定相続分2分の1)
自分:息子(法定相続分2分の1)

母に対する失踪宣告が認められると、母の法定相続分も承継できるようになる。さらに母の財産も相続することができる。

このように失踪宣告を申し立てることによって実益があるなら失踪宣告を、そうでないなら不在者財産管理人申立てで進めていく方がスムーズです。

なぜなら、失踪宣告は不在者財産管理人の申立てよりもハードルが上がるからです。手続きが煩雑で必要書類の準備も難しく、申立てが認められるまで一般的に半年以上の期間を要します。

失踪宣告が自分にとってメリットが小さい場合は不在者財産管理人申立てで進めていきましょう。

失踪宣告の申立ては下記の内容に従って進めてください。

【失踪宣告の申立て方法】

申立てできる人利害関係人
申立先不在者の最後の住所を管轄する家庭裁判所裁判所を探す場合はこちら→各地の裁判所
費用・収入印紙800円分
・連絡用郵便切手(切手の種類は各裁判所に要確認)
・官報公告料4816円
必要書類・申立書
・不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
・不在者の戸籍の附票
・失踪を証明する資料
・申立人と不在者の利害関係を証明する資料
審判までの期間半年~1年

申立て方法についてさらに詳しく知りたい場合は裁判所のホームページをご確認ください。

失踪宣告 | 裁判所

注意【代襲相続が発生】
失踪宣告が認められても失踪者に子孫がいる場合はその者が代襲相続するので注意しましょう。

相続人に連絡が無視されてしまうケース

連絡先を知っていてそこに居住しているのも分かっているのに対応してもらえない場合は次の手順で進めていきましょう。

そもそもなぜ相手は連絡を無視するのでしょうか。考えられる原因は主に下記が挙げられます。

【なぜ無視をする?】

気づいていない
詐欺だと思っている
相続放棄のつもりでいる
面倒
険悪であるため連絡をとりたくない

このように必ずしも相手側に悪意があるとは限らないので、あくまでも友好的な姿勢で対応するようにしましょう。

あらゆる手段で連絡を試みる

まずは手紙→電話→訪問の順にコンタクトを試みましょう。やり方については【現住所が分かった場合】手紙を送るを参考にしてください。

反応がない場合や協力的ではない対応をされた場合は、次の内容を伝えて説得に臨みましょう。

【相手が非協力的な場合:説得するために伝えること】

◎相続手続きに協力しないことで生じるデメリット
 ・いつまでも相続財産を使用できない
 ・不動産は固定資産税がかかる
 ・不動産は評価額が下がるリスクがある
 ・マイナス財産がある場合、相続放棄できなくなるリスクがある
 ・相続税申告がある場合、滞納などでペナルティが課せられるリスクがある

 ◎相続手続きに協力しないとどうなるか
 ・遺産分割調停に移行することを検討している
 ・弁護士を立てることを検討している

 ◎相続手続きへのハードルを下げる
 ・直接会わなくても郵送のやりとりで遺産分割協議は可能であること

遺産分割調停を申し立てる

相手が直接の説得にも応じてくれないなら遺産分割調停に向けて動き出しましょう。

遺産分割調停とは…
遺産分割協議が成り立たないときに行う法的解決法。中立な立場の調停委員に間に入ってもらい、当事者の意見を聞き入れて妥協点を見出すことで解決を目指す。相続人同士は必ずしも顔を合わせる必要はない

遺産分割調停を申し立てが受理されれば、相手方には裁判所から呼び出し状が届きます。ここで大半の人は呼び出し状に応じて裁判所に出向くので、ようやく話し合いを行うことができます。

仮に呼び出し状も無視し続けると調停は不成立になり審判に移行しますが、審判では裁判官が遺産分割方法を決めるので、最終的には遺産分割を終わらせることができます。

申立て方法については下記に従って進めてください。

【遺産分割調停の申立て方法】

申立て先相手方のうち一人の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所
各地の裁判所
必要書類・申立書
・亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票または戸籍の附票
・遺産に関する証明書他、相続のケースに応じて追加書類が求められる
申立てに必要な費用・収入印紙1200円分/人・連絡用の郵便切手
期間の目安数ヶ月~数年

詳細は裁判所のホームページで確認できます。

遺産分割調停 | 裁判所

遺産分割調停の詳しい進め方についてはこちらの記事でも紹介しています。調停のメリットや有利に進めるポイントについても解説しているので、併せてご一読ください。

弁護士を代理人に立てて遺産分割協議をする

絶縁しているなど相手との関係性が悪くて連絡が取れない場合は弁護士に依頼するという方法もあります。

弁護士は交渉のプロであるため、依頼者と他の相続人の間に入って遺産分割協議を進めてくれます。

また、弁護士は依頼者の利益を最大化することが仕事であるため、自分が望んでいる遺産分割方法を実現できる可能性が高まるでしょう。

■弁護士費用の目安

弁護士費用は事務所によって大きく異なりますが、目安は下記の通りです。

多くの事務所では着手金+成功報酬金という料金体系を採用しています。この計算式に実際の金額をあてはめてみると次のように算出できます。

【弁護士費用例】

①依頼者が取得した遺産額300万円
着手金:33万円
報酬金:16%
報酬金計算式:300万円 × 16% = 48万円
費用総額:着手金33万円 + 報酬金48万円 =81万円 

②依頼者が取得した遺産額1000万円
着手金:22万円
報酬金:10%+18万円
報酬金計算式:1000万円 × 10% + 18万円 = 118万円
費用総額:着手金22万円 + 報酬金118万円 =140万円

■弁護士の依頼方法と相続に強い弁護士の選び方

弁護士に依頼する主な方法としては、インターネットで検索して数か所候補を選び、ホームページの案内通り初回相談を予約するのが一般的です。

インターネットで探す際はキーワード「地域名 + 弁護士 + 相続」で検索しましょう。ここで「相続」と入れるのがポイントです。なぜなら弁護士全員が相続に詳しいとは限らず、相続が専門分野ではない弁護士も多いからです。

相続に詳しくないと適切なサポートを受けられず、遺産分割で自分が望んだ結果を得られない可能性が高まります。必ず相続に強い弁護士を選ぶようにしましょう。

まとめ

本記事を読んで他の相続人と連絡を取る方法を理解できましたか。

あらためて本文の内容を振り返っていきましょう。

まずは連絡が取れない相続人がいてもどうにかして連絡を取らなければいけない理由をお伝えしました。

続いて相続人と連絡をとる方法を2つのケースに分けて紹介しました。

相続人と連絡が取れないときにすべきこと
連絡先が分からないケース→戸籍の附票を取得(それでも連絡がつかないなら→不在者財産管理人・失踪宣告申立て)連絡が無視されてしまうケース→遺産分割調停・弁護士代理

本記事を元に相続人となんとか連絡が取れて、無事スムーズに相続を進められることを願っております。

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