遺留分のよくあるトラブル5つと争いを回避する予防法を解説

この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「遺留分はトラブルになりやすいと聞くけど、具体的にどんなトラブルが起こる?」

遺留分は、請求する側と請求される側の主張が対立しやすいです。

そのため、下記のようなトラブルに発展するケースがよくあります。

また、遺留分に関してはさまざまな法的な要素が絡み合い、複雑なケースも多くあります。

その場合は、当人同士での解決が難しくなり、そのまま遺留分請求を放置してしまえば、財産を差し押さえられる可能性もあるので注意が必要です。

そこでこの記事では、遺留分に関してよくあるトラブルと、トラブルを事前に回避するための対処法をわかりやすく解説します。

この記事でわかること
・よくある遺留分トラブルを事例付きで解説
・トラブルが大きくならないための対処法を紹介

この記事を最後まで読み進めれば、遺留分に関するトラブル事例と対処法を知り、万が一トラブルに発展した場合には冷静に対処することができるようになります。

また、記事の最後には、すぐにでも弁護士依頼をすべきケースも紹介しますので、トラブルが大きくなる前にしっかり対処ができるようにしっかり確認をしていきましょう。

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目次

トラブル①遺言書による遺産分割配分が偏っている

遺留分に関するトラブルで一番多いのが、遺言書の内容で一部の相続人を優遇するような遺産配分が指定されている場合です。

例えば、極端に「遺産は全て長男に相続させる」といった内容の遺言書が遺されていた場合は、他の相続人の遺留分を侵害しています。

これにより、「遺留分を侵害された相続人」と「遺言書で優遇された相続人」の間でトラブルが発生してしまうのです。

このトラブルについて実際に起きた事例、対処法を見ていきましょう。

実際に起きたトラブル事例

【遺言書による遺産分割配分の偏りにより遺留分トラブル事例】

【事例①】
父は「遺産は妹に全て譲る」と遺言書をのこしていた。母と子2人はこの遺産相続に納得いかず、遺留分を父の妹に請求するが、妹は「遺産は渡さない」と言い張りトラブルとなった。

【事例②】
母が遺言書で「遺産の不動産は全て長男に、預貯金500万円を長女に相続させる」とし、長男は早々と名義変更を済ませていた。長女は遺産分配に納得がいかず遺留分を請求するが、長男は話し合いに応じずトラブルとなった。

遺言書は、被相続人が法定相続分と異なる割合で相続させたい場合や、相続人ではない人に遺産を譲りた

い場合などにより作成されます。

しかし、この事例のような内容の遺言があっても、各相続人は、遺留分を侵害されている場合は、その侵害額について請求ができるのです。

そのため、遺言書の内容が一部の相続人に偏ってしまっている場合、他の相続人が不公平と感じ遺留分を請求するケースが多いです。

しかし、遺留分を侵害され請求をしても、話し合いに応じてもらえず「遺産は渡したくない」「遺留分の支払いを拒否された」などによりトラブルに発展してしまうのです。

トラブル対処法

遺言書の内容により遺留分トラブルが発生しそうな場合は、冷静に下記の対処法を行っていきましょう。

【遺言書の内容による遺留分トラブルの対処法】

①偏った遺産分割配分になっていないか確認する
②偏っていたらそれぞれの相続人の遺留分を計算する
③遺留分を請求されたらトラブルに発展する前に話し合いで解決する

トラブルに発展してしまえば、相続人間では解決ができず裁判所を介して解決をしなければならなくなります。

そうなれば、時間や労力だけではなく、余計な費用もかかってしまう可能性もあるので、できる対処法はしっかり行いましょう。

①偏った遺産分割配分になっていないか確認する

まずは、遺言の内容が偏った遺産分割配分になっていないか確認をしましょう。

主に確認する内容は以下の2つです。

・一部の相続人に優遇される内容になっていないか

・一部の相続人が不公平となる内容になっていないか

このように偏った遺産分割配分になっている場合は、遺留分トラブルの元になります。

②偏っていたらそれぞれの相続人の遺留分を計算する

遺言の内容が偏った内容になっていた場合は、一部の相続人の遺留分を侵害している可能性があります。

そのため、遺留分の侵害をしていないか、下記の遺留分割合をもとに相続人全員の遺留分を計算しましょう。

【遺留分の割合】



遺留分の割合
・配偶者のみの場合 :1/2
・配偶者と子の場合 :1/4ずつ(子が複数の場合は均等割)
・配偶者と父母の場合:配偶者1/3、父母1/12ずつ
・子のみの場合   :1/2(子が複数の場合は均等割)
・父母のみの場合  :1/6ずつ

※遺留分の考え方としては、まずは遺産全体に占める遺留分率を考えます。これが、直系尊属のみが相続人である場合は3分の1であり、それ以外の場合は2分の1になります(民法1042条)
そこに、さらに各相続人の法定相続分割合を乗じて、具体的な遺留分率が算定されます。

例えば、遺言に「長男に全て相続させる」とあり、相続財産総額が不動産と預貯金を合わせて6,000万円、相続人は長男・次男・長女の3人であった場合で計算をすると以下のとおりです。

遺留分=(相続財産総額6,000万円×遺留分割合1/2)÷子ども3人=1,000万円

上記のとおり、長男は、次男・長女の遺留分を1,000万円ずつ侵害していることになります。

遺留分の計算方法については、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

③遺留分を請求されたらトラブルに発展する前に話し合いで解決する

一部の相続人の遺留分が侵害されている場合は、遺留分を請求される可能性があります。

その場合は、遺留分侵害額を補填するように遺産の配分を話し合いましょう。遺留分を侵害していることを踏まえた上で、相続人全員が納得する内容であれば後々トラブルに発展することは避けられます。

また、自分の遺留分が侵害されている場合は、遺留分を請求することを考えていかなくてはなりません。

そのため、遺留分を侵害している相続人に対して、遺留分を補填するように伝えましょう。

相続人の中には、遺留分という言葉を知らない人も多いので、下記のような記事を見せながら、遺留分という制度について分かりやすく説明することが大切です。

遺留分を説明する時は、以下のポイントを押さえると伝わりやすくなります。

【遺留分を説明する時のポイント】

・遺留分は一定の相続人が最低限受け取れる遺産のこと
・遺言書があっても遺留分が優先される
・遺留分を侵害していて請求をされれば無視はできない
・話し合いが決裂すれば、裁判所を介しての手続きになる

話し合いがまとまれば、後々裁判などのトラブルに発展することはなくなります。

トラブル②一部の相続人へ生前贈与・特別受益が行われていた

遺留分に関するトラブルは、被相続人が生前に一部の相続人へ贈与・特別受益を行い優遇していた場合にも起こります。

上記のとおり、相続人に対する生前贈与は、相続開始前10年間、相続人以外に対する生前贈与は相続開始前1年間に行われたものが、遺留分侵害額請求の対象です。

例えば、被相続人の生前に長男だけ家を建てる資金1,000万円を援助してもらっていた場合、遺産相続が始まった時に他の相続人が不公平を感じることもあるでしょう。

遺言書の内容で不公平さが無かったとしても、生前贈与や特別受益を含めると遺留分を侵害している場合もあり、これによりトラブルに発展してしまうのです。

このトラブルについて実際に起きた事例、トラブルが起きた場合の解決策を見ていきましょう。

実際に起きたトラブル事例

【生前贈与・特別受益があり遺留分トラブルとなった事例】

【事例①】
母が亡くなる前に、実家の名義が母から長男に変更されていることが発覚した。実家以外の財産は預貯金500万円で、全て渡すと長男から言われた。しかし、実家を勝手に名義変更し相続していることに納得できず、遺留分侵害額請求を行った。

【事例②】
父が亡くなり遺言書に「財産は長女に不動産、次女に預貯金2,000万円を相続させる」とあった。しかし、父の通帳を確認すると、5年前から毎年100万ずつ長女に贈与をしていたことが発覚した。多額の生前贈与を受けていることに不公平を感じ、遺留分を請求したが「支払えない」と言われトラブルとなった。

被相続人が生前に一部の相続人を優遇し、贈与を行っていた場合は遺留分の基礎となる相続財産に含むことができます。

これにより、他の相続人の遺留分を侵害し、トラブルとなるケースもあります。

生前に利益を得ている相続人がいることを不公平と感じ、遺留分を請求するケースが多くあります。

しかし、請求された側は何年も前に受け取っているため、相続とは関係ないと思っている場合もあります。

そのため、遺留分の請求をしても応じてもらえなかったり、支払いを拒否されたりすることもありトラブルに発展してしまうのです。

トラブル対処法

生前贈与・特別受益がありトラブルに発展しそうな場合は、下記の対処法を行いましょう。

【生前贈与・特別受益によるトラブルの対処法】

①生前贈与・特別受益を行っていた事実を確認し証拠を集める※期限があるので注意
②遺留分侵害額を請求し、訴訟・調停になる前に証拠をもとに話し合う

トラブルになる前に対処できるよう、しっかり確認していきましょう。

①生前贈与・特別受益を行っていた事実を確認し証拠を集める※期限があるので注意

生前贈与・特別受益があったことを相手方に伝えても、「そんな事実はない」と言われてしまえばトラブルのもとになります。

そのため、生前贈与・特別受益を行っていた事実を確認し、証拠を集めましょう。生前贈与・特別受益の証拠となるものは、以下を参考にしてください。

【生前贈与・特別受益の証拠一覧】

贈与の合意に
関する資料
・契約書や誓約書・被相続人のメモ、日記、メール履歴
・被相続人と遺贈者のメールなどのやり取り履歴
・預金口座の取引明細、通帳、振込用紙の控え
生計の資本としての
贈与に関する資料
・被相続人の収入証明や財産証明など、資力を証明するもの
・預金口座の取引明細、振込用紙の控え
特別受益の価格を
証明する資料
・不動産の固定資産評価証明書や査定書
・売買契約書や領収書

ただし、生前贈与・特別受益には贈与が行われた日がいつかによって、遺留分計算に含めることができない場合があります。

相続人に対する生前贈与は、相続開始前10年間、相続人以外に対する生前贈与は相続開始前1年間に行われたものが、遺留分侵害額請求の対象です。

期限が過ぎている場合は、遺留分請求ができない場合もあるので注意しましょう。

特別受益の証拠の集め方については、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。

②遺留分侵害額を請求し、訴訟・調停をする前に証拠をもとに話し合う

生前贈与・特別受益の証拠が揃ったら、証拠をもとに遺留分を侵害していることを説明し、遺留分侵害分を支払ってもらえるように話し合いをしましょう。

相続人の中には、遺留分について理解していない人も多いので、わかりやすく説明することが大切です。

突然、多額の遺留分を支払って欲しいと言われて驚かない人はいません。

まずは、遺留分は一部の相続人が受け取れる権利であり、遺留分を侵害し請求された人は支払わなくてはいけないことを伝えましょう。

特別受益と遺留分の関係や具体的な遺留分額の計算方法については、下記の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧下さい。

トラブル③相続財産や贈与財産の評価額に違いがある

遺留分に関するトラブルは、相続財産や贈与財産の評価の仕方も重要です。

特に財産に不動産が含まれている場合は、価格の評価方法が複数あり、評価方法によって価格が変わります。

この評価価格により、遺留分侵害の有無が左右されたり、遺留分侵害額が変わったりするためトラブルに発展しやすくなるのです。

例えば、相続財産が不動産しかなくそれを全て長男が相続した場合、不動産の評価額により遺留分額が大きく変わります。

遺留分を請求する側は「できるだけ高い評価方法」が良いですし、遺留分を請求される側は「できるだけ低い評価方法」が良いでしょう。

これにより、請求側と請求される側で対立し、トラブルになるケースがあるのです。

このトラブルについて実際に起きた事例、トラブルが起きた場合の解決策を見ていきましょう。

実際に起きたトラブル事例

【相続財産や贈与財産の評価額により遺留分トラブル事例】

【事例①】
母が亡くなり、遺言に「財産は全て長女に相続させる」とあった。長男は遺言の内容に納得できず、不動産鑑定評価額を用いて遺留分を算出し長女に支払うように話をしたが、長女は固定資産税評価額を提示し遺留分金額が正確ではないと支払いを行ってくれず、トラブルに発展した。

【事例②】
父が亡くなり同居をしていた実家を相続した。しかし、父と不仲で相続がもらえなかった弟が遺留分として、弟の知り合いの不動産業者が見積もった地価で遺留分を要求してきた。遺留分の支払いを拒否するつもりはないが、弟の提示した額と固定資産税評価額があまりにも違いすぎるため、固定資産税評価額で遺留分計算を行いと伝えても、弟は納得せずトラブルに発展した。

相続財産に不動産が含まれている場合は、評価方法により不動産の評価額が大きく変わります。

これにより、トラブルに発展しやすくなります。

このように、不動産の評価方法により評価額が大きく異なり、遺留分を請求する側と請求される側の意見が対立してしまうケースが多くあります。

請求する側はより多い遺留分が欲しいですし、請求される側はより少ない遺留分を支払いたいという心理が働くため、トラブルに発展しやすくなるのです。

トラブル対処法

相続財産や贈与財産の評価額により遺留分トラブルに発展しそうな場合は、中間額で折り合いをつけるように話し合いをしましょう。

実際に、調停員を挟んだ調停での話し合いでは、両者が主張する不動産評価額の「中間値」が使用されることが多いです。

例えば、請求する側の評価額が5,000万円で、請求された側の評価額が3,000万円なら、中間である4,000万円が採用されるということがありえます。

トラブルに発展し調停で話し合いとなれば、中間額で折り合いをつけなくてはいけなくなるのであれば、トラブルになる前に中間額でお互い納得する方が時間も労力もかからず建設的です。

不動産評価方法や不動産を含む遺留分の計算方法については、下記の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

トラブル④請求された遺留分を支払う現金がない

遺留分トラブルは、支払いに関しても発生します。

遺留分侵害額請求されたら、現金で支払うのが原則であると下記のとおり民法で定められています。

(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

出典:e-Gov「民法 第千四十六条」

そのため、相続した財産が現金ではなく不動産だけであっても、支払いは現金で行うことが原則です。

これにより、遺留分侵害額請求をされたが支払う現金がなくトラブルとなるケースもあります。

このトラブルについて実際に起きた事例、トラブルが起きた場合の解決策を見ていきましょう。

実際に起きたトラブル事例

【遺留分の支払いができず遺留分トラブルとなった事例】

【事例①】
母の遺言により、財産の大半を占める実家を相続した。他の兄弟にはほとんど相続がなく、不服に思い遺留分侵害額請求をされた。しかし、現金がなく支払いが出来ない。相続した実家は現在も住んでいるため売却ができずトラブルとなった。

【事例②】
父の遺言により父の経営する会社の株式、不動産を相続したが、他の兄弟2人より相続が不公平であると遺留分の請求をされた。しかし、相続した財産に金銭がほとんどなく遺留分の支払いができずにいると、他の相続人が調停の申立てをしたらしく家庭裁判所より呼び出し通知が届いた。

相続した財産が現金以外であった場合、遺留分を請求されても現金がなく支払いができないというケースも少なくありません。

このように、相続した財産が不動産・株式ばかりで現金がなく、遺留分請求をされても支払いができずトラブルとなってしまうケースがあります。

また、遺留分請求をされた場合、現金がなかったとしても無視をすることだけはやめましょう。

遺留分請求を無視し続けた結果、所有している不動産や預貯金と言った財産を差し押さえられてしまう可能性があります。

遺留分請求をされたらまずは、話し合いで減額や請求取り下げができないか、相手方に打診をしましょう。

遺留分を請求されて現金がない場合の対処法や、やるべきことについては下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

トラブル対処法

遺留分を支払う現金がなくトラブルが起きそうな場合は、下記の対処法を行いましょう。

【遺留分を支払う現金がない場合の対処法】

①請求された遺留分が正当な金額か確認をする
②請求者に減額もしくは取り下げできないか話し合う

請求をされたらまずは慌てず対応することが大切です。

トラブルに発展しないようにしっかり確認をしていきましょう。

①請求された遺留分が正当な金額か確認をする

まずは、請求された遺留分が正当な金額か確認をしましょう。

場合によっては、遺留分とは思えない法外な金額の請求をされることもあるので注意が必要です。

遺留分侵害額の正当な金額は、以下の計算式で求められます。

遺留分=【遺留分の基礎となる財産】×【個別の遺留分の割合】

例えば、遺留分に基礎額が1億5,000万円で相続人は被相続人の子ども3人であった場合で計算してみましょう。

①遺留分の基礎となる財産額
例:相続財産(1億3,700万円)+生前贈与(2,000万円)-負債(700万円)=1億5,000万円

②個別の遺留分の割合
③計算式にあてはめて計算する
例:(1億5,000万円×1/2)÷3人=2,500万円

遺留分の正当額は、このように計算ができます。

遺留分計算をしてみて、あまりにも金額が多く請求されている場合は、その旨を相手に通知し話し合いが必要となります。

また、例のように簡単に遺留分が算定できるケースばかりではなく、不動産や株式などが含まれている場合や生前贈与・特別受益がある場合は、算定が複雑となるケースもあります。

その場合は、専門家である弁護士に相談し、正確な遺留分侵害額であるか確認をしてもらうことがおすすめです。

まずは自分で遺留分を計算して確認したいという場合は、下記の記事で計算方法を詳しく解説していますので、確認しながら進めて見てください。

②請求者に減額もしくは取り下げできないか話し合う

請求された遺留分侵害額が正当な金額であれば、支払いを拒否することはできません。

まずは、相手と話し合いで減額もしくは、取り下げをしてもらえないか、交渉を行います。

遺留分侵害額請求は、調停や訴訟に発展するケースも少なくありませんが、法定での争いは双方に金銭・時間・心理的な負担がかかるため、話し合いでの和解を目指すことが大切です。

遺留分は民法によって定められ、保障されている権利ですが、話し合いにより双方の合意があった場合は、下記の例外が認められています。

【双方の合意により認められる例外】

・遺留分権利者に支払う金額を減らす
・遺留分侵害額請求と取り下げてもらう(遺留分の放棄)
・現金ではなく不動産を返還する

まずは、「現金での支払いが難しい」という事情を相手に伝え、お互いにとってベストな方法がないか話し合いにより交渉をしましょう。

トラブル⑤遺留分の時効が過ぎていると主張される

遺留分を侵害され請求をしたが、相手方から「時効が過ぎている」と主張をされ、トラブルに発展するケースもあります。

遺留分侵害額請求権には「1年の消滅時効」と「10年の除斥期間」があります。

遺留分侵害額請求権の消滅時効・相続が開始したこと
・遺留分が侵害されていることの両方を知ってから1年
遺留分侵害額請求権の除斥機関相続が開始してから(被相続人が亡くなってから)10年

これらの期限を過ぎてしまうと遺留分侵害額請求権が消滅してしまい、遺留分を受け取ることが難しくなります。

また、遺留分侵害額請求を行った後にも、金銭債権(侵害された遺留分に相当する金銭を請求できる権利)としての時効があるため注意が必要です。

金銭債権の消滅時効(5年)遺留分侵害額請求を行使してから5年

せっかく遺留分侵害額請求をしたにも関わらず、具体的な金銭請求をしないでいると、時効を指摘され遺留分を受け取ることができずトラブルとなるケースもあります。

このトラブルについて実際に起きた事例、トラブルが起きた場合の解決策を見ていきましょう。

遺留分侵害額請求の時効についてや、期限内にやるべきことについては、下記の記事で詳しく解説しています。

実際に起きたトラブル事例

【遺留分の時効に関するトラブル事例】

【事例】
母が亡くなり遺言書により全財産(家・土地・預貯金)を妹が相続し終わっている。相続について不公平さは感じていたが何も手続きは行わず、親が亡くなり1年経った頃に遺留分という言葉を知り、請求をしたいと伝えたが、既に時効が過ぎているので支払わないと言われた。時効の1年まで数日あるはずだが取り合ってもらえずトラブルとなった。

遺留分の時効に関するトラブルは、時効の起算点がいつなのかが争点となります。

起算点の主張がお互いに異なると、「時効が過ぎている」「過ぎていない」といったトラブルになってしまうのです。

このように、遺留分の請求をしても時効が過ぎていると言われ、支払いを拒否されトラブルとなるケースもあります。

トラブル対処法

遺留分の時効に関してトラブルとなりそうな場合は、時効の起算点がいつなのか明確にして相手方と話し合いを行うようにしましょう。

遺留侵害額請求権の請求時効は、「相続を知ったこと」と「遺留分の侵害を知ったこと」の両方を知った日から1年です。

例えば、相続を知った日は被相続人が亡くなった日であり、遺留分の侵害を知った日は遺言書が開封された日であれば、時効は遺言書が開封された日から1年となります。

相続人の中には、時効の起算点を理解しないケースもありますので、冷静に分かりやすく説明し交渉するようにしましょう。

ただし、遺言書がない場合は「いつ遺留分を侵害されていることを知ったのか」を証明することが非常に難しくなります。

証明することが難しい場合は、実際に遺留分を受け取ることができるのか、弁護士に相談するようにしましょう。

すぐにでも遺留分を弁護士に依頼すべきケース

ここまで遺留分に関するよくあるトラブルと、トラブルを回避するための対処法について詳しく解説をしてきました。

紹介した対処法を行うことで、トラブルを回避することができる場合もあります。

しかし、遺留分の問題は時効や解釈が難しいケースも多く、問題が複雑になり相続人間では解決できない場合も少なくありません。

そのため、トラブルに発展する可能性が高い場合は、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

特に、以下のようなケースでは、相手方との交渉が複雑化・長期化する可能性が高いため、早期に弁護士へ依頼するようにしましょう。

【遺留分を弁護士に依頼すべきケース】

①相手方が支払いを拒否しており、問題が長期化しそうな場合
②相続財産や生前贈与などの全体像が掴めない場合
③忙しくて遺留分の請求や調停などの準備ができない場合
④遺留分の割合や計算方法が分からない場合
⑤相手方との関係が悪く、交渉が面倒な場合
⑥遺留分の時効の完成が心配な場合

トラブルが大きくなり、相手方が調停や訴訟を起こせば、遺留分の証拠集めや準備に多くの労力がかかります。

また、調停や訴訟では法的な根拠をもとに調停員や審判員に事実を伝えなければなりません。どのような準備をすべきか、どのような主張をすべきか、素人ではわかりませんので、弁護士に依頼し任せると安心です。

弁護士に依頼をすれば、依頼者の最大の利益を得るために考え、代理人として対応をしてもらえるので望む結果を得やすくなります。

遺留分を弁護士に依頼すべき理由や弁護士費用については、下記の記事で解説しています。さらに詳しく知りたい場合は、合わせてご覧ください。

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まとめ

この記事では、遺留分に関するよくあるトラブルについて詳しく解説をしてきました。

遺留分に関してよくあるトラブルについては、下記の5つです。

遺留分に関してよくあるトラブル
①遺言書による遺産分割配分が偏っている
②一部の相続人へ生前贈与・特別受益が行われていた
③相続財産や贈与財産の評価額に違いがある
④請求された遺留分を支払う現金がない
⑤遺留分の時効が過ぎていると主張される

遺留分に関するトラブルは、冷静に対処を行えばトラブル回避ができる可能性もあります。

しかし、以下のケースでは相手方との交渉が複雑化・長期化する可能性が高いため、早期に弁護士へ依頼するようにしましょう。

【遺留分を弁護士に依頼すべきケース】

①相手方が支払いを拒否しており、問題が長期化しそうな場合
②相続財産や生前贈与などの全体像が掴めない場合
③忙しくて遺留分の請求や調停などの準備ができない場合
④遺留分の割合や計算方法が分からない場合
⑤相手方との関係が悪く、交渉が面倒な場合
⑥遺留分の時効の完成が心配な場合

トラブルが大きくなり、相手方が調停や訴訟を起こせば、個人で戦うことはとても難しくなります。トラブルに発展する前に弁護士へ相談し、確実にトラブル回避できるようにすると良いでしょう。

この記事が、遺留分トラブルに関して悩む方のお役に立てることを願っています。

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