遺産分割協議書の作成は誰に頼む?依頼先の選び方と費用を解説

この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。

「遺産分割協議書の作成が必要だけど、自分で作成するのは難しそう。誰かに依頼できないかな?」

「遺産分割協議書の作成は、士業の人に依頼ができそうだけど、誰に頼むのが正解?」

この記事をご覧の方は、このようにお悩みではないでしょうか?

相続手続きを進める中で、「遺産分割協議書」は遺産の分け方を決める重要な書面です。遺産分割協議書は、不動産の名義変更や相続税の控除手続きなどをする場合、必ず必要となります。

遺産分割協議書は、自分で作成することも可能ですが、遺産分割協議書の作成に慣れている専門家に依頼するほうが安心です。

しかし、遺産分割協議書の作成を誰に頼むことができるのか、よく分からない方も多いでしょう。

遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家は、以下のとおりです。

【遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家】

・行政書士
・司法書士
・税理士
・弁護士
・銀行

専門家それぞれの対応業務は、以下の表を参考にご確認ください。

どの専門家に依頼するかは、遺産分割協議書の作成と合わせて、依頼する業務があるかどうかによって変わります。

依頼する専門家によって対応できる業務内容が異なります。そのため、ご自身が遺産分割協議書の作成と合わせて、依頼したい業務を依頼できる専門家を選ぶようにしましょう。

また、遺産分割協議書の作成を依頼する場合、依頼費用も気になるところです。専門家によって依頼費用も大きく異なるため、おおよその費用相場を知った上で依頼すると安心です。

そして、専門家なら誰でも良いという訳ではありません。専門家を選ぶ時のポイントを押さえておかないと、望む結果が得られない可能性もあるので注意しましょう。

そこで今回この記事では、遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家と費用相場を詳しく解説致します。

本記事の内容
・遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家と費用相場
・依頼する専門家の選び方
・各専門家に依頼すべきケース
・専門家を選ぶときのポイント

記事の中には、遺産分割協議書の作成を専門家に依頼すべきケースと、専門家を選ぶ時のポイントについても詳しくお伝えします。

自分で作成するか、依頼すべきか悩んでいる人は最後まで読み進めてください。

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目次

遺産分割協議書は誰に頼む?依頼先一覧と費用相場

冒頭でお伝えしたとおり、遺産分割協議書の作成を依頼する場合、誰に依頼をするべきかわからない人も多いです。

まずは、遺産分割協議書の作成の依頼ができる依頼先を一覧で紹介します。

依頼する場合は、費用も気になるポイントですので、費用相場も合わせてご確認ください。

【遺産分割協議書作成の依頼先の特徴と費用相場】

依頼先

特徴

費用相場

行政書士

 遺産分割協議書の作成の依頼が可能

3万円~8万円

司法書士

 遺産分割協議書の作成と合わせて

不動産の相続登記の依頼が可能

4万円~12万円

税理士

 相続税申告書の作成を依頼した場合のみ

遺産分割協議書の作成が可能

遺産総額の0.5%~1.0

弁護士

 遺産分割で相続人同士が揉めている場合など、

交渉や代理人として解決を依頼できる。

合わせて、遺産分割協議書の作成が可能

依頼者の経済的利益により異なる

例)遺産取得5000万円の場合

着手金:30万円~50万円前後

報酬額:60220万円前後

当事務所の弁護士費用はこちら

銀行

 相続手続きのサポートや相続した財産の運用など、まとめて相談が可能

100万円~

依頼範囲により報酬が異なる

依頼先により、対応できる範囲が異なります。それぞれが対応できる業務については、下記の表を参考にしてください。

遺産分割協議書の作成だけでよい場合は、行政書士に依頼すれば費用が安く済みます。

しかし、行政書士は不動産の相続登記や相続税申告作業などを行うことはできません。遺産分割協議書の作成と合わせて、どの範囲まで依頼をするべきなのかを判断し、依頼先を検討するようにしましょう。

それぞれの特徴と費用相場を詳しく解説します。

行政書士の特徴と費用相場

行政書士は、遺産分割協議書の作成のみ依頼したい場合に適任です。相続人調査や遺産分割協議書の作成だけであれば、比較的安価で依頼できます。

ただし、遺産に不動産が含まれている場合、不動産登記の手続きが出来ないため注意しましょう。

行政書士に依頼できる業務

行政書士に依頼できる業務は以下のとおりです。

・遺産分割協議書の作成

・相続人調査

・相続財産調査

・銀行預金の相続手続き

・株式や自動車などの名義変更手続き

以上の手続きを行政書士に依頼することが可能です。

遺産分割協議書の作成をするために必要な、相続人調査や財産調査を依頼できるので、記載漏れや申告漏れの心配もなく安心して依頼できます。

さらに、遺産分割協議書を作成した後、銀行預金や自動車などの名義変更手続きも依頼が可能です。

金融機関や行政機関の手続きは、平日のみの取扱いとなります。お仕事などで平日の手続きが難しい場合や忙しくて対応が億劫な場合は、依頼するとスムーズに相続手続きが進みます。

【行政書士に依頼できないこと】
行政書士に依頼できないことは以下のとおりです。  
・相続税の申告
・遺産分割協議のアドバイスや代理人としての交渉
・遺産分割調停への代理人としての出席
・不動産の相続登記  
以上の手続きは、行政書士に依頼することはできません。  

行政書士へ依頼できる手続きは、遺産分割協議が整った後の遺産分割協議書の作成等の限られた相続手続きのみです。

行政書士に依頼する場合の費用相場

行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用相場は、3万円~8万円です。

その他、相続人や相続財産の調査を依頼する場合は、別途3万円~7万円が必要となります。

日本行政書士連合会の統計調査では、令和2年度の報酬調査について以下の情報を公開しています。

【行政書士の費用相場】

報酬額の平均報酬額の平均
遺産分割協議書の作成68,325円
相続人・相続財産の調査63,747円

出典:日本行政書士連合会「報酬額の統計」

依頼費用については、依頼する行政書士によって異なります。

実際に依頼を検討する場合は、費用の問合せをすると安心です。以上の費用相場を参考にして、検討すると良いでしょう。

司法書士の特徴と費用相場

司法書士は、登記を得意とする専門家です。相続手続きで登記が必要となるのは、不動産の所有権移転登記(名義変更)です。

そのため、遺産に不動産が含まれている場合は、不動産登記を依頼できる司法書士に依頼することがおすすめです。

ただし、司法書士は相続人同士の揉め事の解決をすることはできません。

遺産分割協議が整った後の遺産分割協議書の作成と不動産登記手続きのみ依頼が可能です。

司法書士に依頼できる業務

司法書士に依頼できる業務は、以下のとおりです。

・遺産分割協議書の作成

・相続人調査

・相続財産調査

・不動産の登記手続き

・銀行預金の相続手続き

・株式の名義変更手続き

以上の手続きを司法書士に依頼することができます。

行政書士と同様、遺産分割協議書の作成をするために必要となる、相続人調査や財産調査を依頼できるので、記載漏れや申告漏れの心配もなく安心して依頼できます。

行政書士とは違い、不動産の登記手続きを行うことは可能なので、遺産に不動産が含まれている場合は、司法書士に依頼がおすすめです。

【司法書士に依頼できないこと】
司法書士に依頼できないことは以下のとおりです。
 
・相続税の申告
・遺産分割協議のアドバイスや代理人としての交渉
・遺産分割調停への代理人としての出席
・車の名義変更手続き  

以上の業務は、司法書士が対応することはできません。  
また、司法書士は行政書士と異なり、官公庁に提出する書類の作成や手続きを行うことができません。
そのため、車の名義変更手続きの依頼はできませんので注意しましょう。

司法書士に依頼した場合の費用相場

司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用相場は、4万円~12万円です。司法書士に依頼する場合は、不動産調査や相続登記と一緒に依頼するケースが一般的です。

以下は、日本司法書士会連合会が2018年に行ったアンケートによる相続登記の報酬額の相場です。

【司法書士の費用相場】

地域

低額者10%の平均

全体の平均値

高額者10%の平均

北海道地区

28,320円

60,983円

97,843円

東北地区

35,457円

60,667円

99,733円

関東地区

39,212円

65,800円

103,350円

中部地区

37,949円

63,470円

116,580円

近畿地区

45,842円

78,326円

118,734円

中国地区

37,037円

65,578円

111,096円

四国地区

40,683円

65,578円

99,947円

九州地区

38,021円

62,281円

96,892円

出典:日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」

上記の表を踏まえると、司法書士へ遺産分割協議書の作成を依頼した場合の相場は、上限12万円程度と考えると良いでしょう。

ただし、報酬額は不動産の数や相続人の人数によって変動があるので注意が必要です。

また、上記の費用以外に、登録免許税や登録謄本等の取得実費が発生します。

【司法書士へ依頼する際の必要費用】
 
・登録免許税:固定資産税評価額×0.4%
・登録謄本等の取得実費:4,000円~5,000円/1件あたり

必要費用はあくまでも相場です。依頼する事務所によって費用は異なりますので、依頼を検討する際は、事前に問合せをするようにしましょう。

税理士の特徴と費用相場

税理士は、税金に関するプロです。

そのため、相続税の計算と相続税申告書の作成、申告業務を依頼した場合のみ、遺産分割協議書の作成を依頼することが可能です。

遺産相続をする場合、遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると、原則相続税の課税対象となり、相続税の申告と納付が必要です。

相続税の申告と納付が必要となり、遺産分割協議書の作成と合わせて依頼したい場合は、税理士に相談しましょう。

税理士に依頼できる業務

税理士に依頼できる業務は、以下のとおりです。

・遺産分割協議書の作成

・相続人調査

・相続財産調査

・相続税の申告

以上が、税理士が対応できる業務です。

遺産分割協議書の作成を税理士に依頼できるのは、相続税の申告を一緒に依頼する場合のみです。

相続税の申告を自分で行うことが難しい場合は、遺産分割協議書の作成と合わせて税理士に相談するのがおすすめです。

【税理士に依頼できないこと】
税理士に依頼できないことは、以下のとおりです。  

・遺産分割協議のアドバイスや代理人としての交渉
・遺産分割調停への代理人としての出席
・不動産の相続登記
・車の名義変更手続き  
以上の業務は、税理士が対応することはできません。  
税理士は、相続税に関する相談ができる人と理解しておくと良いでしょう。

税理士に依頼した場合の費用相場

税理士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合は、相続税の計算、相続税申告書の作成、申告業務の依頼とセット費用となることが一般的です。

税理士費用の相場は、遺産総額の0.5%〜1.0%が相場です。

例えば、相続財産総額が1億円だったとすると、50万円~100万円が報酬となります。

また、依頼費用は事務所によって大きく変わります。税理士に依頼する場合は、費用相場を参考に検討するようにしましょう。

弁護士の特徴と費用相場

弁護士は、遺産分割協議書の作成を全面的に依頼できるだけでなく、遺産分割に関する紛争解決の取扱いが認められています。

そのため、遺産分割協議の内容に関するアドバイスから、遺産分割協議書の作成までを一括で依頼することが可能です。

遺産分割協議の内容についてアドバイスが欲しい場合や、相続人の間で揉めている場合は、弁護士に依頼することがおすすめです。

弁護士に依頼できる業務

弁護士に依頼できる業務は、以下のとおりです。

・遺産分割協議書の作成

・相続人調査

・相続財産調査

・遺産分割協議のアドバイスや代理人としての交渉

・遺産分割調停への代理人としての出席

・銀行預金の相続手続き

・株式などの名義変更手続き

・相続税の申告※国税局長に通知した弁護士に限る

弁護士は、相続手続き全般を依頼することができます。

特に、遺産分割協議の代理人になれるのは、専門家の中で弁護士のみです。そのため、相続人の間で揉めている場合や遺産分割方法のアドバイスが欲しい場合は、弁護士に依頼しましょう。

また、弁護士の中でも国税局長に税理士業務を行う旨の通知をした弁護士は、相続税の申告業務も可能です。

弁護士に依頼した場合の費用相場

弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用は、依頼する弁護士によって異なります。

2004年3月まで、弁護士費用は日本弁護士連合会が作成した報酬規定により一律に定められていました。しかし、同年4月以降は弁護士費用が自由化され、弁護士それぞれが自由に費用を設定できるようになったのです。

ここでは、日本弁護士連合会が2008年に全国1026名の弁護士に行ったアンケート結果をご紹介します。弁護士に依頼を検討する際の参考にご確認ください。

【遺産分割調停弁護士報酬の参考】

事例)
被相続人は、自宅不動産、山林、株券、預金など総額1億円の遺産を遺した。
遺言書はなく、相続人は妻と子ども2人の合計3人である。
遺産の範囲に争いはないが、遺産分割協議がまとまらなかったので、妻の依頼を受けて遺産分割の調停申立をした。
その結果、妻は5000万円相当の法定相続分に従った遺産を取得し、妻の納得する分割となった。

アンケート結果

【着手金】

30万円前後307人31.1%
50万円前後409人41.4%
70万円前後70人7.1%
90万円前後83人8.4%
110万円前後63人6.4%
130万円前後8人0.8%
150万円前後24人2.4%
その他23人2.3%

【報酬金】

60万円前後115人11.7%
100万円前後301人30.7%
140万円前後118人12.0%
180万円前後146人14.9%
220万円前後113人11.5%
260万円前後44人4.5%
300万円前後90人9.2%
その他55人5.6%

出典:日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬の目安:2008年アンケート結果版」

アンケート結果によると、依頼人の経済的利益「5000万円(遺産相続分)」に対し、着手金は30万前後から50万前後が4分の3を占めています。

報酬金は、100万円前後を中心に60万円前後から220万円前後がほとんどです。

ただし、遺産分割協議書作成の依頼をする場合の報酬は、遺産分割協議の状況によって大きく変わるため、注意が必要です。

弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合は、遺産分割協議の助言や代理人などの業務もセットで依頼することが一般的です。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要であり、何らかの事情により全員の合意がとれず、調停や審判などに進み遺産分割を成立させなければならない可能性もあります。

このような場合は、各相続人が納得できるような資料作成や、法的な意見書面を提出したり等さまざまな活動が必要です。

そのため、相続の状況によって弁護士の業務範囲が大きく変わるため、弁護士費用の幅も出てきます。

弁護士に依頼するか検討をする場合は、まずは相談をしましょう。無料相談や、30分5,000円程度の相談料で揉め事の相談や依頼した場合の費用について確認することが可能です。

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銀行の特徴と費用相場

銀行は、相続手続きにおけるすべての手続きの代行が可能です。

銀行では、ここまで紹介した司法書士や弁護士などと連携して、仲介業を行っています。

そのため、遺産分割協議書の作成に限らず、相続手続きについて進め方が分からない場合や、揉め事が起こっている場合など銀行に相談すると便利です。

銀行が窓口となり、適任の専門士業を紹介してもらうことができます。

銀行に依頼できる業務

銀行に依頼できる業務は、以下のとおりです。

・遺産分割協議書の作成

・相続人調査

・相続財産調査

・遺産分割協議のアドバイスや代理人としての交渉

・銀行預金の相続手続き

・株式などの名義変更手続き

・車の名義変更手続き

・相続税の申告

銀行では、相続に関する全ての手続きの相談窓口となり、適切な専門士業の紹介をしてもらえます。

銀行に依頼した場合の費用相場

銀行に依頼した場合の費用相場は、専門士業の仲介手数料として100万円~が相場です。

銀行の場合は、専門士業への仲介となるため、費用が割高になる傾向にあります。

基本的に銀行で相続相談ができるのは、遺産相続の対象となる預貯金や投資信託などがある場合です。

その財産額によって、手数料が定められています。下記の表は、手数料率の相場です。

【相続手続き業務手数料率】

 財産額手数料率
銀行に預けている資産 一律0.33%
銀行に預けている以外の財産1億円以下の部分に対して1.3%~2%
1億円から3億円以下の部分に対して0.5%~1.2%
3億円以上の部分に対して0.3%~0.5%
最低手数料額100万円~

上記の費用以外に、戸籍謄本等の取得費用や手数料など必要となる場合があります。

銀行への依頼を検討する場合は、費用の問合せをして事前に確認するようにしましょう。

【ケース別】遺産分割協議書作成の依頼先

実際に遺産分割協議書の作成を依頼する場合、的確に依頼先を選ぶ方法をご紹介します。

下記を参考に遺産分割協議書の作成以外に必要となる業務を選択し、依頼すべき専門家を確認してください。

ここではさらに詳しく、ケース別で依頼すべき専門家について解説致します。

選んだ専門家で間違いがないか、しっかり確認していきましょう。

遺産の中に不動産がない+なるべく安価で依頼したいなら「行政書士」

遺産の中に不動産が含まれていない場合や、なるべく安価で依頼したい場合は、行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼しましょう。

行政書士は、不動産の相続手続きを行うことができませんが、遺産分割協議書の作成に必要な相続人調査や相続財産調査など依頼する事が可能です。

その他、金融機関等の相続手続きの代行や、株式や自動車の名義変更を依頼することもできます。

また、費用面については、他の専門家に比べると安価で依頼できる傾向があります。

相続トラブルや相続税申告などがなく、遺産の中に不動産がない場合は、行政書士への依頼がおすすめです。

遺産の中に不動産が含まれている場合は「司法書士」

遺産の中に不動産関係の財産がある場合は、司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼しましょう。

相続で不動産を取得した場合は、不動産の名義を被相続人から相続人へと変更をします。

この名義変更手続きを「相続登記」と呼びます。相続登記申請について現在は義務ではありませんが、2024年4月から義務化されます。

不動産の相続登記は、相続した本人もしくは、司法書士、弁護士が代理で手続きすることが可能です。

ただし、弁護士は登記業務を専門で行っている弁護士は少なく、弁護士報酬も高額となるため、司法書士へ手続きを依頼することがおすすめです。

相続税対策や相続税申告も任せたい場合は「税理士」

遺産分割協議書の作成と合わせて、相続税対策や相続税申告も任せたい場合は税理士に依頼をしましょう。

税理士の業務は、税金の計算や申告業務です。そのため、遺産分割協議書の作成ができるのは、相続税申告がある場合に限ります。

相続税申告に関しては、自分で行うことも可能です。

しかし、相続税申告は申告ミスや申告漏れがあった場合、追徴課税などの制裁又は不利益を受けることもあるため、細心の注意を払って申告をしなくてはなりません。

特に、遺産総額が大きい場合は、さまざまな特例を活用し、節税できる可能性があります。

【相続税で使える特例・控除の例】

◆配偶者の減税軽減
被相続人の配偶者の相続財産は、1億6000万円もしくは、法定相続分の範囲内までは非課税となる。

◆小規模宅地等の特例
被相続人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地について、一定の要件を満たす人が相続した時に土地の評価額を最大80%減額できる仕組み。

また、遺産分割の内容によっては、相続税額に影響が出る場合もあるので、相続税申告が必要な場合は、遺産分割協議書の作成も合わせて税理士に依頼することがおすすめです。

遺産分割協議で揉めそうな場合は「弁護士」

遺産分割書作成の前に、遺産分割協議で揉めそうな場合は、弁護士に相談をしましょう。

遺産分割協議では、相続人間で話し合いがまとまらずトラブルが生じるケースが多々あります。このような場合は、遺産分割協議書の作成をする前に、遺産分割を成立させることが必要です。

遺産分割協議のアドバイスや仲裁はもちろん、調停や審判に進んだ際の代理人を引き受けることができるのは、弁護士だけです。

弁護士であれば、遺産分割協議から遺産分割協議書の作成まで一括で依頼することができます。

遺産分割協議で揉めそうな場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。

資産管理も含め相続手続き全般を丸投げしたい場合は「銀行」

相続した財産の資産管理や運用や、相続手続き全般の手続きを依頼したい場合は、銀行に相談しましょう。

銀行は、資産管理のプロです。相続した財産をどのように管理すべきか、的確なアドバイスを受けることが可能です。

合わせて、銀行では全ての専門士業と提携をしているため、相続に関する相談をすることで適任の専門士業を紹介してもらうことができ、スムーズに手続きをすすめられます。

相続に関することは、一括でまとめて相談ができるので、手間なく安心して任せることが可能です。

ただし、その代わり費用が割高となることは理解しておきましょう。

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼すべきケース

ここまで遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家についてお伝えしましたが、遺産分割協議書は自分で作成することも可能です。

ただし、遺産分割協議書は、預金の解約や不動産の登記手続き、相続税申告等で必要となり、手続きを進める際は、金融機関や法務局、税務局で提出書類にミスがないか厳しくチェックされます。

万が一、遺産分割協議書に記載ミスや漏れがあれば、手続きが中断され作り直しが求められます。

そのため、遺産分割協議書はミスなく作ることが大切です。

また、遺産分割協議書が元で相続人の間でトラブルが発生する恐れもあるため、トラブル防止をするためにもその状況に適した専門家に依頼をするとよいでしょう。

特に、次の4つのケースでは、専門家に依頼すべきです。

【遺産分割協議書の作成を専門家に依頼すべきケース】

・相続財産が多額で財産種類が多い場合
・遺産分割協議でもめそうな場合
・被相続人に複雑な親族関係があった場合
・遺産相続の手続きに不安がある場合

ご自身の状況で専門家に依頼すべきかしっかり判断しましょう。

ひとつずつ詳しく解説します。

相続財産が多額で財産種類が多い場合

相続財産の総額が多額で、財産種類が多い場合は、遺産分割協議書の作成にミスが起こりやすいため、専門家に相談をすべきです。

大前提として、遺産分割協議を始める際には、相続財産調査を行い相続財産の価格を確定しなければなりません。

相続財産が預貯金や現金だけであればわかりやすいですが、不動産や株式、ゴルフ会員権や貴金属などの資産がある場合はそれぞれ評価額の算定が必要です。

これらの資産を正しい価格で評価するためには、専門知識が必要となります。

もちろん、自分で調べて算定することも可能です。

しかし、算定した価格に誤りがあると相続税申告の際に過大納税をしてしまったり、納税額が少ないことを指摘されて追徴課税を課せられるリスクもあります。

このようなことが起こらないためにも、相続財産が多額で財産種類が多い場合は、専門家である税理士に依頼すべきでしょう。

遺産分割協議でもめそうな場合

遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の意見や希望を調整した上で、全員がその内容に合意をしなければなりません。

相続人の中に、遺産分割を有利に進めようとする人や、一人だけ遺産分割協議に納得をしない人がいる場合は、円滑な遺産分割協議を進めることは困難となります。

このような場合は、相続に関する経験が豊富な専門家に相談し、遺産分割協議を成立させることが有効です。

特に、法律的なトラブルに発展しそうな場合は、弁護士に相談した上で遺産分割協議書の作成をしましょう。

そうすることで、後のトラブルも事前に察知し、未然に防ぐことができます。

被相続人に複雑な親族関係があった場合

相続人の範囲は法律で定められており、これに従って相続人を確定することになります。

例えば、相続の第1順位となる「子」には、「実子」のほかに「養子」「認知している婚外子」「養子縁組をしている、再婚した配偶者の連れ子」が対象となります。

被相続人が離婚した配偶者との間にいる「子」の存在や、「認知している婚外子」を家族が誰も知らず、相続人調査を経て明らかになることも少なくありません。

こういった複雑な人間関係があると、連絡が取れず遺産分割協議の合意が取れなかったり、後々「遺産分割協議書に不服がある」などと、トラブルが発生する可能性もあります。

そのため、トラブルを防ぐためにこのような状況では専門家である弁護士に、遺産分割協議から遺産分割協議書の作成まで依頼するようにしましょう。

遺産相続の手続きに不安がある場合

遺産分割協議書の作成だけではなく、相続人調査や相続財産調査、各種名義変更手続きなど遺産分割の手続きなどに不安なある場合は、専門家への依頼がおすすめです。

遺産相続の手続きは、あらゆる公的機関とやり取りを進める必要があります。公的な書面は、専門的な知識が必要となる場面も多く、慣れていない人が取り組むのは一苦労です。

遺産分割協議書にミスがあると、相続手続きを進めることができなくなり、遺産分割協議書の作り直しも必要となり手間も時間もかかってしまいます。

そのため、遺産相続の手続きに不安がある場合は、専門家に相談をするようにしましょう。

遺産分割協議書作成の専門家を選ぶポイント

遺産分割協議書を専門家に依頼する場合、依頼先を選ぶ時のポイントは以下の3つです。

【遺産分割協議書作成の専門家を選ぶポイント】

・相続手続きの実績が豊富にある
・料金が相場である
・相談時の対応に安心感がある

依頼をした後に、「こんなはずじゃなかった」とならないように、参考にしてください。

相続手続きの実績が豊富である

遺産分割協議書作成の依頼先を選ぶ時に最も大切なのは、相続手続きの実績が豊富であるということです。

例えば、遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼する場合、近所にあるからと言って会社設立に特化している行政書士に依頼しても、断られる可能性が高くなります。

また、遺産分割協議で揉めていて弁護士に依頼をする場合、刑事事件や離婚調停をメインにしている弁護士では、スムーズに問題解決に至らない可能性があります。

そのため、まずはホームページや口コミなどで相続手続き実績が豊富な依頼先を探しましょう。

相続手続きの実績が豊富な専門家であれば、いち早くあなたが置かれた状況を察知して、適切なアドバイスをくれるだけでなく、スピーディーかつ正確に手続きを進めてくれます。

料金が相場である

遺産分割協議書作成の依頼先を選ぶ時は、料金が相場どおりであるか確認をしましょう。

1.遺産分割協議書の作成の依頼先一覧と費用相場でお伝えした費用相場と比較して、あまりにも費用が違いすぎる場合は、検討から外すことが賢明です。

ホームページに費用が掲載されていることも多くありますが、費用については電話で確認すると安心です。依頼内容によっては、無料相談をした上で見積書の提示が必要となることもあります。

費用詳細に不明点がある場合は質問をして、納得がいく回答をもらえる依頼先であれば、依頼者に寄り添った料金設定となっている可能性が高いです。

相談時の対応に安心感がある

遺産分割協議書作成に依頼をする場合、依頼先と何度か連絡を取り合う必要があります。

そのため、初回相談時の対応に安心感がある依頼先を選びましょう。

専門家の中には、専門用語を多用して、話が難しい先生も多くいます。

悩みや不安を気軽に相談できる雰囲気の先生なら、安心して任せることができます。

遺産分割協議書の作成で困ったら当事務所へご相談ください

遺産分割協議書の作成は、弁護士以外の選択肢も多くありますが、相続手続き全般の代行ができる弁護士に任せたいと思った方は、ぜひ相続に強い「弁護士法人サリュ」にお任せください。

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また、当事務所では着手金などの初期費用を無料にして、リーズナブルな金額で気軽に弁護士に依頼できる仕組みが整っています。

ご依頼者様に対して弁護士だけでなく、相続知識のあるリーガルスタッフも担当となったダブル体制でご依頼者様を徹底サポート致します。

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弁護士と話すのは緊張してしまうという方や、時間をたっぷり使って丁寧に説明してほしいという方にも、担当が二人いる状態はご好評を頂き、ご依頼者様が納得のいく相続手続きを進めるサポートを行っています。

まずは、無料で相談を受け付けておりますのでお気軽にお問合せ下さい。

まとめ

この記事では、遺産分割協議の作成を誰に頼むと良いのかについて、詳しく解説をしてきました。

最後にまとめると、遺産分割協議書の作成は以下の専門家に依頼することができます。

【遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家】

・行政書士
・司法書士
・税理士
・弁護士
・銀行

どの専門家に依頼するかは、遺産分割協議書の作成と合わせて、依頼したい業務を依頼できる専門家を選ぶようにしましょう。

それぞれの専門家の特徴と費用相場を参考にご確認ください。

【遺産分割協議書作成の依頼先の特徴と費用相場】

依頼先

特徴

費用相場

行政書士

遺産分割協議書の作成の依頼が可能

3万円~8万円

司法書士

遺産分割協議書の作成と合わせて

不動産の相続登記の依頼が可能

4万円~12万円

税理士

相続税申告書の作成を依頼した場合のみ

遺産分割協議書の作成が可能

遺産総額の0.5%~1.0

弁護士

遺産分割で相続人同士が揉めている場合など、

交渉や代理人として解決を依頼できる。

合わせて、遺産分割協議書の作成が可能

依頼者の経済的利益により異なる

例)遺産取得5000万円の場合

着手金:30万円~50万円前後

報酬額:60220万円前後

銀行

相続手続きのサポートや相続した財産の運用など、まとめて相談が可能 

100万円~

依頼範囲により報酬が異なる

遺産分割協議書の作成を依頼する専門家の選び方は、下記のケース別を参考にして下さい。

【ケース別|遺産分割協議書の作成を依頼する専門家の選び方】

・遺産の中に不動産がない場合は「行政書士」に依頼すべき
・遺産の中に不動産が含まれている場合は「司法書士」に依頼すべき
・相続税対策や相続税申告も任せたい場合は「税理士」に依頼すべき
・遺産分割協議でもめそうな場合は「弁護士」に依頼すべき
・資産管理も含め相続手続き全般を依頼したい場合は「銀行」に依頼すべき

遺産分割協議書の作成は自分で行うことも出来ますが、以下のケースでは専門家に依頼すべきです。

【専門家に依頼すべきケース】

・相続財産が多額で財産種類が多い場合
・遺産分割協議でもめそうな場合
・被相続人に複雑な親族関係があった場合
・遺産相続の手続きに不安がある場合

遺産分割協議書を専門家に依頼する場合、依頼先を選ぶ時のポイントは以下の3つです。

【遺産分割協議書作成の専門家を選ぶポイント】

・相続手続きの実績が豊富にある
・料金が相場である
・相談時の対応に安心感がある

遺産分割協議書の作成は、弁護士以外の選択肢も多くありますが、相続手続き全般の代行ができる弁護士に任せたいと思った方は、ぜひ相続に強い「弁護士法人サリュ」にお任せください。

当事務所は全国10ヵ所の事務所のネットワークがあり、税理士や司法書士、行政書士と連携を取りながら相続手続きを一括サポートさせて頂きます。


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