弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
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関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
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「相続で揉めるのは、避けたい」
「揉めそうだが、どうすればいいか」
そのような気持ちをお持ちであれば、まずは揉める相続の特徴を知ることが有益です。
本記事では、専門的資料である最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第5回)」より、相続問題を専門的に取り扱う弁護士に対するインタビュー調査から、揉める相続の特徴12のパターンを抽出しました。
【揉める相続の特徴 12のパターン】
1. 二次相続・三次相続によって関係者が多数存在する
2. 相続人が子2人しかいない
3. 遺産に固定資産はあるが流動資産は少ない
4. 相続人の中に介護を行った人がいる
5. 相続人たちが遠隔地に分散して暮らしている
6. インターネットなどで表面的な知識を身につけた相続人がいる
7. 遺言が自筆証書遺言である
8. 世代間の経済力格差がある
9. 核家族と同居家族の価値観にギャップがある
10. 長子や女性に対する価値観にギャップがある
11. 離婚・再婚・連れ子・養子など家族関係が複雑である
12. 家族の絆が薄れ「自分さえよければいい」という相続人がいる
これらを把握するだけでも、必要な心構えや事前の準備が可能となります。
さらに記事の後半では、具体的なトラブル予防策も掲載しました。相続で揉めないための重要ガイドとして、お役立てください。
さっそくですが、冒頭で触れた12のパターンについて、ひとつずつ見ていきましょう。
1つめは「二次相続・三次相続によって関係者が多数存在する」パターンです。
これは高齢化社会に特有の問題ともいえます。
遺産紛争については、二次相続や三次相続が生じ、関係者が多数になると、遠方にいる関係者も多くなるなどして、連絡も含め、まとめるのが非常に困難となる傾向がある。
どういうことかといえば、相続には「代襲相続権」があり、本来、法定相続人となる人がすでに亡くなっている場合、その子が代襲相続人となるのです。
まず、法定相続人には、以下の人物が該当します。
・配偶者
・直系尊属:父母・祖父母など前の世代で直通する系統の血縁者
・直系卑属:子・孫など後の世代で直通する系統の血縁者
・傍系血族:兄弟姉妹の血族
上図でいうと、被相続人の子が亡くなっている場合は《孫》、弟が亡くなっている場合は《姪》が代襲相続人となります。
孫・甥・姪が複数いれば、その分、人数が増えていくことになります。
また、孫・甥・姪も亡くなっている場合、さらにその子の世代に相続が生じるため、人数が多くなってしまうのです。
相続人の死亡により当事者が多くなる事例も見られる。
こうした事例で、調停等の期日が入りにくくなり、新たな主張が錯そうして紛争が複雑化したことがある。
相続の当事者が増えるほど、全員が納得する話し合いが難しくなることは、想像に難くありません。
2つめは「相続人が子2人しかいない」パターンです。
1つめのパターンとは逆に、「当事者が少なければ揉めないのか?」といえば、そうともいえません。
相続人が子2人(兄と弟、姉と妹など)の場合、仲裁する人がいないため、深刻な紛争になりやすいという意見があります。
相続人が子2人という場合、間に入って仲裁する人がいないこともあって、深刻な紛争になりやすいように思われ、いわば、きょうだいの言い分に聞く耳を持たない一人っ子が2人いるような感じである。
きょうだいが3人以上いれば、その中の誰かが仲裁するということもあるが、2人ではそうもいかないようである。
ご自身や、またはご自身の財産を相続させる予定の子どもたちが2人きょうだいの場合、注意したいポイントです。
3つめは「遺産に固定資産はあるが流動資産は少ない」パターンです。
これは、とくに家業がある場合に多いケースです。
固定資産とは、土地・建物(自宅や店舗等)・機械設備など、長期間にわたって保有する資産を指します。一方、流動資産は、現金・預金や短期間で現金化できる資産(株式や売掛金など)です。
子が農業等の家業を継がない場合が増えており、きょうだい間で均等相続をすることが多いが、その場合、親は土地を持っているが流動資産は少ないというパターンがよく見られる。
このような場合、土地の現物分割と売却のいずれについても相続人の意見がまとまらず、遺産分割が進まなくなる。
たとえば、相続遺産が現金のみならば、均等相続するのは容易です。相続人の数で等分すればよいので、揉める要素がありません。
しかし、土地や建物などの実物資産の場合、誰にどう分割するのか、あるいは売却するのか、意見が割れて揉めやすいといえます。
4つめは「相続人の中に介護を行った人がいる」パターンです。
高齢化に伴って介護を必要とする高齢者が増え、その介護に当たった相続人が寄与分等を主張して法定相続分以上の相続を主張する一方、他の相続人が介護相続人による財産の不正取得を主張する例が増えたように思われる。
上記のコメント内に「寄与分」という言葉が出てきました。
寄与分とは、被相続人の財産を維持したり増やしたりするために、特別に寄与した相続人の取り分のことです。
亡くなった人の介護に努めてきた人は、その介護に捧げた時間や労力を通じて、財産の支出を少なくしたと解釈できます。
寄与分は、相続人間の協議によって決めるものです。協議で合意できない場合は、家庭裁判所が判断することとなっています。
上記の弁護士コメントにあるように、介護を行った相続人は寄与分を主張し、ほかの相続人は不正取得を主張して対抗する──、というように、寄与分及びそこから派生する問題が争点になるケースが増えています。
寄与分に関して詳しくは「寄与分とは?わかりやすく解説|認められる例・認められない例」もあわせてご覧ください。
5つめは「相続人たちが遠隔地に分散して暮らしている」パターンです。
遠隔地に相続人が分散して暮らしているため、集まって話合いができない場合が少なくないと聞いている。
被相続人と縁の薄い相続人に相続放棄をお願いしたくても、うまく承諾が取れないという事案がよくある。
先ほど代襲相続人の話がありましたが、二次相続・三次相続……と相続人が増えている場合、被相続人と相続人の面識がないケースもあります。
さらに、遠隔地(ときには海外)に当事者が分散していれば、直接会って協議するのも難しいでしょう。
書面などのやり取りによって承諾を取ろうとしても、合意が取りづらく、解決まで長期化することがあります。
6つめは「インターネットなどで表面的な知識を身につけた相続人がいる」パターンです。
これは、専門的な法律情報に、誰もがネット経由でアクセスできるようになった“現代ならではの課題”といえます。
相続開始後しばらくは遺産分割が表立って問題になっていなかったのに、被相続人と縁の薄かった相続人がインターネットを通じて相続権があることを知り、突如として遺産分割を申し立ててくるという例が散見される。
インターネットがない時代は、相続の権利が誰にあり、どういった請求ができるのか、一般の人たちにとっては情報入手しにくい状況でした。
今では、能動的に自分で検索した場合はもちろん、Yahoo!ニュースやYouTubeなどで、たまたま目にした情報から、自分に相続権があることを知るケースもあります。
インターネットを通じて基本的な知識を得ている当事者の調停は、やりやすい面とやりにくい面が併存する。
基本的な知識があるため、無理な主張をせず、穏当な調停案に応じてくれる半面、自分に有利な情報に固執している場合には、解きほぐすのが難しいこともある。
特に、インターネットで寄与分や特別受益について表面的な知識を得て、法的にはこれらに当たり得ない事情を頑なに主張する当事者がいる場合には、調停はまとまりにくい。
10年ほど前から、インターネットなどで法定相続分や遺留分についての情報を得てから相談に訪れる事例が増えた。また、自分に有利と考えられる情報だけを見て相談に訪れる例が増えた。
上記2つのコメントでは、“ネットで情報を得た相続人” 対応の難しさが、リアリティを持って語られています。
今、この記事を読んでくださっている読者の方も、ネットで情報を得ているかと思います。もし相続で揉めた場合、相手方も知識を身につけている可能性を念頭に置きたいところです。
弁護士コメントで、
〈自分に有利な情報に固執している場合には、解きほぐすのが難しい〉
〈自分に有利と考えられる情報だけを見て相談に訪れる例が増えた〉
と指摘されているとおり、相手方の柔軟性がなく、断固として譲らないことも考えられます。
なお、文中に出てきた「寄与分」「特別受益」「法定相続分」「遺留分」については、以下に関連記事をリストアップしておきます。詳しく知りたい方は、チェックしておきましょう。
・寄与分とは?わかりやすく解説|認められる例・認められない例
・特別受益とは?該当するケース10例と主張する流れ、計算方法を解説
・法定相続分・遺留分の違いとは?権利者や割合をわかりやすく図解
7つめは「遺言が自筆証書遺言である」パターンです。
自筆証書遺言では、有効性が争われて遺産分割が必要になることも少なくない。
他方、遺言公正証書について有効性が争われることもないわけではないが、非常に少ない。
一部の相続人に全財産を相続させる旨の遺言公正証書の存在により、遺留分減殺請求が誘発されるという面はあるが、誰がどの財産を相続するかという最も深刻な紛争は解決済みとなるので、紛争全体の規模は小さくなり、長期化もしにくいということはいえる。
ここで文中に「自筆証書遺言」と「遺言公正証書」という2つの言葉が出てきました。詳しくは「自筆遺言と公正証書遺言の違いは?メリットとデメリットを解説」にて解説しています。
簡単にいえば、自筆証書遺言は自分で書く方式の遺言で、公正証書遺言は公証人が文書にまとめる方式の遺言です。
以下は、違いをまとめた表です。
出典:人事院「遺産相続と遺言」をもとに作成
自筆証書遺言も、公正証書遺言も、法的な効力を持つ正式な「遺言」として成立するため、その点では優劣はありません。
しかしながら、自筆証書遺言では、形式の不備や証人の不在から、相続人によって無効の主張をされやすい傾向があります。
「遺言」という前提が揺らいでしまうと、争いの範囲が広範となり、長期的に揉めやすいといえます。
8つめは「世代間の経済力格差がある」パターンです。
たとえば、親から子への遺産相続の場合、親の経済力が高く、子の経済力が低いと、紛争に発展しやすくなります。
世代間の経済力格差の拡大により、被相続人となる親世代が、子・孫世代に比べて経済力があるという事態が生じている。
親の経済力は援助資源として期待されるようになっている。
このことが、相続に対する期待の高まりを招き、遺産紛争の発生の一要因となっている可能性がある。
被相続人が資産家・富裕層の場合、その事実が相続に対する期待感を強め、相続人同士が揉めるリスクを高めているといえるでしょう。
さらに、相続人が経済的に恵まれていない状況にある場合、遺産の取り分に対する思いが過熱しやすくなります。
9つめは「核家族と同居家族の価値観にギャップがある」パターンです。
日本でも、核家族化が実態の面でも意識の面でも進んできたが、地域によっては親が子夫婦と同居する直系家族的世帯も少なくなく、核家族的規範と直系家族的規範とが併存している状況もある。
直系家族的規範によれば、法制度にとらわれず、親は同居する子に財産を多く相続させようとし、同居する子もそれを期待すると考えられるが、他方で、親と別居して家庭を築いている他の子は、核家族的規範により、法制度に基づく均等な相続を期待するという場合も考えられる。
このような規範意識のギャップが、遺産紛争を生んでいる面があり得るであろう。
たとえば、過疎が進む地方で、《親と同居しながら生活を営んできた兄夫婦》と、《ほとんど実家に帰省せず東京で自由を謳歌してきた弟》がいたとしましょう。
親や兄の価値観では、「兄が多めに相続して当然」と感じるかもしれません。
一方、弟は「法律に則って平等に分けるのが当然」と感じるかもしれません。
このように、前提となる価値観にギャップがある場合、双方の主張がかみ合わず、揉めやすいといえます。
10番めは「長子や女性に対する価値観にギャップがある」パターンです。
同居家族・核家族という価値観以外にも、さまざまな価値観が、相続の紛争に影響を与えています。
代表的なものが「長子」に対する相続の価値観です。
旧民法では「家督相続」という、1人の相続人が全財産を相続する制度がありました。家督相続ですべてを相続するのは、原則として長男です。
この価値観の名残は根強く、現在でも「長男に継がせたい」と考える親世代は、少なくありません。
相続に関し、旧来からの長子相続を是とする感覚は今も依然として根強く、均分相続を是とする感覚と拮抗しているような感じを受ける(その中間にあらゆる段階の意向が位置している)。
家を嗣がせる(家名を残す)、嫁に出た者には少し分け与えれば十分であるという遺言者は決して少なくない。
また、男女の性別による差を指摘する声もあります。
我が国の法制度上は男女平等とされているが、実態は必ずしもそうなっていない(例えば、家族の介護に当たる者については、近時は男性の割合も増えているが、依然として女性の割合の方がかなり高い。)。
このような制度と実態の食い違いが、家族間での葛藤・紛争を生む一要因となり得る(例えば、家族の介護に当たった者は、通常、女性の場合が多いのであるが、寄与分の申立てをしない限り、相続の場面では介護に当たらなかった者と同等に扱われる。)。
このような当事者同士の価値観のギャップや、法制度と実態とのギャップは、不平等感や葛藤を引き起こす原因となります。
11番めは「離婚・再婚・連れ子・養子など家族関係が複雑である」パターンです。
家族観の多様化により、家族の在り方と制度の間に食い違いが生じている状況下で、家族の構成員の中には家制度、法律婚制度、嫡出子・非嫡出子制度といった制度に依存する者とそうでない者とがおり、両者の間で葛藤や紛争を生じさせることになっているのではないか。
たとえば、普通養子縁組の場合、《養親・養子・その兄弟姉妹との相続関係》と《実親・実子・その兄弟姉妹との相続関係》が、二重に生じます。
子連れ再婚の場合は、養子縁組をするか・しないかによって、親子の相続だけでなく、兄弟姉妹との関係にも影響があります。
参考:養子縁組の相続トラブル|起こりえる5つのトラブルと3つの対処法
あるいは、非嫡出子(未婚の男女の間に生まれた子)の場合、認知されていれば相続権がありますが、認知されていないと相続権がありません。
こういった複雑な事情を抱えている場合、感情的な葛藤も含めて、相続は揉めやすいといえます。
参考:非嫡出子の相続では認知がキーポイント!よく起こる4つのトラブルとは
12番めは「家族の絆が薄れ『自分さえよければいい』という相続人がいる」パターンです。
家族の共同体意識(家族としてのまとまり、親子、きょうだい等の絆)が薄れている。家族間の扶養が以前より弱まっている。
遺産紛争においても個人の権利主張が強くなっている。自分さえよければよいという事例もある。
戦前は「家制度」に規定された直系制家族(親が跡取りの子供夫婦と同居する家族形態)の価値観によって、家族間の扶養の意識が強くありました。
戦後、家族のあり方は夫婦制家族へと変わり、核家族が一般的となって、扶養の意識は弱まっているといえます。
家族で助け合いながら、財産を分け合う意識ではなく、個人の権利主張のぶつけ合いとなれば、相続が揉めやすいのも当然といえるでしょう。
相続で揉めるパターンを把握すると、事前の打ち手として、押さえるべきポイントが見えてきます。
以下の予防策について、見ていきましょう。
1. 公正証書遺言を作成する
2. 遺留分の侵害を起こさない
3. 専門家に相談して根拠ある分割をする
1つめの予防策は「公正証書遺言を作成する」です。
遺言がない場合や、自筆証書遺言の有効性が争われる場合、紛争で争われる範囲が広範になり、相続問題が長期化します。
公正証書遺言があれば、たとえ揉める部分があったとしても、その範囲を大幅に縮小できます。
出典:法務省「自筆証書遺言書と公正証書遺言書の比較」を参考に作成
公正証書遺言の重要性を改めて認識し、被相続人の生前に、かならず作成しておくようにしましょう。
ご自身が被相続人の立場である方はもちろん、将来、相続する立場になる方にとっても、相続人同士の争いに巻き込まれないために大切なことです。
公正証書遺言は、証人2人以上とともに公証人役場に出かけ、公証人に遺言内容を話すことで作成できます。実際に文書にまとめるのは公証人のため、遺言が無効になることは基本的にありません。
公正証書遺言の詳細は、「効力のある「公正証書遺言」の書き方(チェックリスト付き)」にて解説しています。
なお、ご不明な点があれば、当事務所で無料相談を受け付けています。こちらのお問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
2つめの予防策は「遺留分の侵害を起こさない」です。
公正証書遺言があったとしても、遺留分の侵害があると、揉める原因となります。
遺留分は、法律によって取得が保障された相続財産の取り分で、遺言よりも効力が強いためです。
遺留分の割合は、どのような相続人が何人いるかによって変動します。
遺留分が侵害された相続人は、その遺留分を相続した人に対して、遺留分侵害額請求を行う権利を持っています。
事情があって遺留分を侵害する相続を行う場合には、被相続人の生前のうちに、遺留分放棄の手続きを進めることをご検討ください。
詳しくは「遺留分放棄とは?遺留分放棄をするか悩んだ時の判断基準を詳しく解説」をご覧ください。
3つめの予防策は「専門家に相談して根拠ある分割をする」です。
「近年、インターネットから情報を得て、権利を主張される方が増えている」という話がありました。とくに注意したいのが、次の4つの要素です。
・法定相続分:遺言で相続分が指定されていない場合に適用される、法律の規定によって定められた、法定相続人が相続できる割合。
・遺留分:どんな遺言があったとしても、一定の相続人にかならず残しておかなければならないとされる、一定の割合。
・寄与分:相続人が、被相続人の財産の維持または増加に対して特別の寄与をした場合に、相続分に加えられる取り分(家業の手伝いや介護など)。
・特別受益:相続人が、被相続人から生前に受けていた贈与などの利益。相続財産の先渡しとして扱い、相続時に差し引く。
上記の4要素の観点から見て、できる限りすべての相続人にとって納得感のある分割にすることが、揉める要因を消していくことにつながります。
被相続人・相続人のどちらの立場のケースでも、専門家(遺産相続に強い弁護士など)に相談しながら、妥当なバランスを心掛けることが役立ちます。
「揉める相続の12のパターンを読んだら、うちの親族は多く当てはまっている」
という場合、紛争が深刻化する前に、弁護士に相談することをおすすめします。
「話し合って、コミュニケーションを取れば、わかり合えるはず」
と信じて、当事者のみでやり取りを続ける方もいます。
しかしながら、揉める相続のパターンでも既出のとおり、価値観が違えば、理解し合うのは難しいのが現実です。
協議の過程で感情的な問題がもつれて、より深刻な紛争に発展することもあります。
相続が揉めそうな場合、あるいは揉めだした場合は、できる限り早い段階から “第三者の専門家” である弁護士を介し、客観的で建設的なやり取りをできる体制を整えましょう。
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本記事では「相続で揉める12のパターン」をテーマに解説しました。
1. 二次相続・三次相続によって関係者が多数存在する
2. 相続人が子2人しかいない
3. 遺産に固定資産はあるが流動資産は少ない
4. 相続人の中に介護を行った人がいる
5. 相続人たちが遠隔地に分散して暮らしている
6. インターネットなどで表面的な知識を身につけた相続人がいる
7. 遺言が自筆証書遺言である
8. 世代間の経済力格差がある
9. 核家族と同居家族の価値観にギャップがある
10. 長子や女性に対する価値観にギャップがある
11. 離婚・再婚・連れ子・養子など家族関係が複雑である
12. 家族の絆が薄れ「自分さえよければいい」という相続人がいる
相続で揉めないための予防策としては、以下が挙げられます。
1. 公正証書遺言を作成する
2. 遺留分の侵害を起こさない
3. 専門家に相談して根拠ある分割をする
本記事を通じて、相続で揉めるリスクについて心構えをしていただき、事前の対処につなげていただければ幸いです。