放置は危険!売れない土地を相続したら起きる問題4つと対処法を解説

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この記事の監修者
弁護士西村学

弁護士 西村 学

弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授

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「父の遺産で土地を相続したけど、売れなくて困っている」

「売れない土地を相続したけど、正直いらない。どうしたらいいの?」

このように売れない土地を相続したけど、どうしたら良いのか分からないという人は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、売れない土地を相続した場合は速やかに手放す方法を考えるべきです。相続した土地がすぐ売れる場合は良いですが、売れない土地を相続した場合は、持っているだけで不利益を被る恐れがあります

売れない土地を持ち続けることで被る具体的な不利益は、以下の4つです。

このように、売れないからと言って持ち続けることで良いことは無く、むしろ余計な手間と費用がかかってしまいます。

それだけではなく、何も対処せずに持ち続けた結果、自分が他界した場合は次の世代が同じ問題を抱えて悩むこととなるのです。

そこでこの記事では、売れない土地の特徴と売却以外で土地を手放す方法について、詳しく解説します。

本記事の内容
・売れない土地を相続することで起きる問題
・相続しても売れない土地5つの特徴とその理由
・売れない土地を速やかに手放すための対処法
・【フローチャート】売れない土地を手放す方法の選び方

この記事を読めば、売れない土地を相続した場合、自分がどうしたらよいのかの対処法が分かるでしょう。

売れない土地を相続して困っている人は、ぜひ、最後まで読み進めてください。

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目次

売れない土地を相続することで起きる4つの問題

売れない土地の相続を検討している方にまずお伝えすることは、不動産会社に売却しても売れなかった場合、その財産は「資産」どころか「負債」となる可能性が高いということです。

売れない土地を相続することでトラブルが発生するリスクがあります。

売れない土地を相続することで起きる問題は次の4つです。

売れない土地を相続することで起きる4つの問題
・固定資産税を払い続けなければならない
・土地の管理責任は避けられない
・損害賠償責任が発生する可能性がある
・次の世代まで問題が続く

万が一、売れない土地を相続した場合、どのような問題が発生するのか確認していきましょう。ひとつずつ詳しく解説します。

固定資産税を払い続けなければならない

土地は持っているだけで毎年固定資産税を払い続けなければいけません。

固定資産税とは、毎年1月1日に土地や家屋の所有者に対して、土地が所在する市町村から課税される税金のことです。

土地の固定資産税評価額をもとに金額は算定され、毎年5月~6月ごろに納税通知書が届きます。

土地を使ってないからと言って、固定資産税の支払いをしなければ延滞金などのペナルティを受けることもあるので注意が必要です。

土地の固定資産税額は、「土地の課税標準額×税率(1.4%)」で計算されます。例えば、課税標準額が1,000万円の土地を所有している場合は、14万円の納税が課されます。

また、土地の上にある建物が老朽化するなどして保安上の危険が伴うと、「特定空き家」に指定されて、税制上の優遇措置が適用されなくなり、固定資産税が6倍に跳ね上がることもあるのです。

このように、土地を持っているだけでも毎年税金を納める必要があるので、不要な土地はなるべく早く手放すようにしましょう。

【例外】一定の土地の評価額以下(免税点以下)の土地は固定資産税がかからない

 

土地が一定の評価額以下になることを「免税点以下」と言います。

免税点よりも評価が低い土地の場合は、固定資産税の支払は必要ありません。

 

固定資産税の免税点・土地の場合・・・30万円

 

ただし、同一市区町村の区域内に同じ1人の方が不動産を複数所有しており、合計の課税標準額が免税点(30万円)超える場合はその全てに対して課税されます。

土地の管理責任は避けられない

いらない土地だからといって、放置をしておけばいいものではなく、土地の管理責任が発生します。

土地を相続した場合は、民法第918条で定められているとおり所有者として管理責任が生じます。そのため、年に1、2度は土地を見に行って手入れをする必要があるのです。

(相続財産の管理)   第九百十八条 
相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。
ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
出典:民法 第九百十八条

土地は定期的に管理をしなければ雑草が生え、荒地となってしまいます。

そのまま放置すると伸び続けた雑草が周辺の土地に侵入してしまう可能性や、土地にゴミが投棄されたり、放火される危険性も考えられます。

このようなことが起こらないためにも、土地の管理責任として、条例で雑草の除去が義務付けられている市区町村もあるほどです。

損害賠償責任が発生する可能性がある

土地の管理責任が生じるということは、その土地で起きるトラブルに対しても責任をとらなくてはなりません。

民法第717条では、所有する土地が原因で他人に損害が生じた場合は、損害賠償責任を負う場合があるとしています。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)  
第七百十七条
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。  

出典:民法 七百十七条

例えば、崖地の土地の場合は崖崩れで通行人が怪我をしたり、家を倒壊してしまう可能性があります。また、建物が老朽化していると、小さな災害で倒壊し、隣家を損傷してしまうこともあります。

このように被害が生じれば損害賠償責任が発生する可能性があるのです。

次の世代まで問題が続く

自分の代で解決できないと次は子供へ引き継がれ、同じように土地が売れず問題が続いていきます。

所有権を持つ土地は、必要ないからといって所有権を放棄することはできません。そのため、土地を手放さない限り死ぬまで持ち続けることとなります。

売れない土地を持ち続けた結果、自分の死後は子どもが相続することとなるでしょう。

今、売れない土地はこれから先の未来で人気が出るとは考えにくいです。結果、相続した子どもたちは自分と同じように土地が売れずに悩むこととなります。それだけは、避けるべきです。

このように、売れない土地の問題は自分の代で解決できなければ次の世代へと先送りになります。売れない土地を放置することは、子どもに迷惑をかけるだけで良いことは何もありません。

相続しても売れない土地5つの特徴

売れない土地を相続することによってさまざまなリスクが発生します。そのため、とにかく早く土地を手放したいところです。

では、実際に売れない土地とはどのような土地なのでしょうか。特徴は以下の5つです。

売れない土地の特徴5つ
①土地の大きさや形が悪い土地
②再建築不可の土地
③環境が悪い土地
④境界未確定の土地
⑤不動産会社の売却優先順位が低い土地

あなたが相続する土地が本当に売れない土地なのかを、しっかり確認をしていきましょう。売れない理由が分かることで、対処法も選びやすくなります。

特徴①土地の大きさや形が悪い土地

土地の面積が大きすぎたり狭すぎたりする場合や、細長い土地や三角形など形の悪い土地は、建物が建てにくいため需要がありません。

特に、土地が狭く形が悪い土地は最も需要が低く、売れにくくなります。

また、土地は大きければ良いというものではありません。家を建てる場合に需要がある土地は40~70坪程度です。そのため、100坪ほどある大きな土地は敬遠される傾向にあります。

特徴②再建築不可の土地

再建築不可の土地は、新しく建物を建てることができないため売れにくい傾向にあります。

再建築不可の土地とは、現在建てられている建物を解体しても、新たに建物が建てられない土地のことです。再建築不可の土地は、現在の建物を解体すると再建築できないだけではなく、火災などの災害で建て替えが必要となった場合でも再建築できません。

このように、再建築不可の土地を購入しても建物を建てることができないため需要がなく、売ることが困難となるのです。

特徴③環境が悪いの土地

「田舎で人気がない土地」「近隣住民とトラブルがある」「騒音や土壌汚染などの問題がある」など、土地の環境が悪い場合はなかなか買い手がつきません。

土地の大きさや形に問題が無く、法律による規制が無かったとしても、周りの環境を変えることは困難です。

そのため、環境が悪い土地の場合は売れにくくなります。

特徴④境界未確定の土地

隣地との境界未確定の土地はなかなか売れません。

境界未確定の土地とは、何らかの事情によって境界が未定になっている土地のことを言います。

土地の境界には「隣地所有者との境界」と「公道との境界」の2種類があり、境界が確定している状態とは、両方の境界が確定していることを指します。

特に隣地との境界未確定の土地の場合、建物を建てる際に隣地所有者とトラブルになったり、裁判に巻き込まれるリスクがあります。

そのため、境界未確定の土地は売れにくく、不動産会社が売れる状態にないと判断し積極的に売り出しをしないケースも多くあります。

特徴⑤不動産会社の売却優先順位が低い土地

土地の売却を依頼している不動産会社の中で、売却する優先順位が低い土地はなかなか売れないケースが多くあります。

不動産会社では、常に多数の不動産を抱えています。その中で、利益を上げなければいけないため、「売れやすい土地」「利益が多い土地」を優先して販売活動を行います。

そのため、売却優先順位が低いと判断された場合は、積極的に販売活動がされない可能性があります。そういった場合は、なかなか売れません。

売れない土地を相続した場合は速やかに手放そう

相続した土地が売れない土地だった場合、使い道がなければ速やかに手放す方法を考えましょう。

ここまで解説したとおり、土地は持っているだけで税金が発生します。

使い道が無いからといって、何もしないで放置することで雑草が伸びて土地が荒れるだけではなく、火災や災害などの危険が及ぶ可能性があります。

このように不要な土地は手放さない限りリスクがついて回ります。

そして、売れない土地を相続した場合、手間や費用が発生するだけではなく、手放さない限り自分の子供や孫の世代、さらに下の世代へと問題が先送りになってしまいます。

問題を先送りにして自分の子供たちに迷惑をかけることを喜ぶ人は誰もいません。

そのため、売れない土地を相続した場合は速やかに手放すように対策を考えていきましょう。

相続した売れない土地を手放すための6つの対処方法

相続した売れない土地を速やかに手放したいけど、どしたらよいのか分からないと悩んでいる人が多いでしょう。

その場合は、次の6つの対処法を検討しましょう。

売れない土地を手放すための6つの対処法
①土地を売れやすい状態にする
②買取で売却する
③不動産会社を変える
④空き家バンクに登録する
⑤土地を寄付する
⑥土地を引き取ってもらう

売れない土地でも、売り方を変えれば売却できる可能性がありますし、売却以外にも手放す方法が存在します。

まずはどのような方法があるのか、ひとつずつ詳しく解説します。

対処法①土地を売れやすい状態にする

売れない土地を手放したい場合にまず検討すべきは、土地を売れやすい状態にできないかということです。

売れない理由が土地の状態が不確定であることである場合、その状態を改善できれば売れる可能性が出てきます

売れない理由とそれに対する改善策は次を参考にご覧ください。

売れない理由

改善策

隣地との境界未確定である

境界確定を行いましょう。土地家屋調査士の立会いのもと、土地の所有者同士が現場で確認して確定を行います。

 

境界確定までは34ヶ月程度かかります。

土壌汚染の可能性がある

地歴調査を実施し、これまでどのように土地が使われていたのか明らかにしましょう。

 

地歴調査では、現地調査や登記簿謄本などの利用履歴から土壌汚染のリスクを判定します。

土地の状態が不明確である

地質調査を実施し、土地の状態を明確にしましょう。

 

地質調査では、地質、土質、地下水などその形状、質、量を明らかにし、建物を支えるだけの強度があるのか等を調査します。

このように土地の状態が不確定である土地の場合、買い手も不安に思いなかなか売れないという結果になってしまいます。

土地の状態が問題ないことが提示できれば、買い手も安心できるので売れる可能性がでてきます。

対処法②買取で売却する

土地がなかなか売れない場合には、不動産会社にある「買取」というシステムを利用し売却する事も検討しましょう。

通常の不動産売却は、「仲介」という売却方法です。仲介の場合は、不動産会社が宣伝活動を行い購入希望者を見つけて売却を行います。

それとは違い、「買取」の場合は、不動産会社に売却を行います。仲介のように購入希望者を探す必要がありませんので短い期間で売却が可能です。

売却価格は仲介よりも低く、地域相場の6~7割程度と安くなります。売却価格が安くても、売れにくい土地を手放す方法としては有効です。

 仲介買取
買主個人不動産会社
売却手続期間買主を探す時間がかかる手続きのみで完了
売却価格地域相場価格で売却できる可能性が高い地域相場価格の6~7割安い

ただし、すべての土地に対して買取が成立する訳ではないので注意しましょう。不動産会社が買取をしても需要がないと判断された場合は、買取を断られる場合もあります。

対処法③不動産会社を変える

売却を依頼している不動産会社でなかなか買い手がつかない場合や、買取を断られた場合は、不動産会社を変えてみるのも良い方法です。

土地の売却に関しては、不動産会社によって宣伝方法も違いますし、買取の需要も違います。そのため、不動産会社を変えることで売れなかった土地がすんなり売れるという可能性もあります。

ただし、不動産会社を変更する際には媒介契約の内容に注意しましょう。媒介契約の内容によって3ヶ月間は選任契約となっている場合もあります。その場合、期間内は他社へ変更することはできません。

対処法④空き家バンクに登録する

なかなか土地が売れなくて困っている場合は、自治体が運営する「空き家バンク」に登録する方法もあります。

空き家バンクとは、所有している空き家や土地を貸したい人や売りたい人が登録し、自治体が情報を提供するサービスです。

空き家を借りたい人や買いたい人は、この情報を元に希望の物件を見つけて購入や賃貸ができます。

不動産仲介とは違い、交渉や契約を自分で行う必要があります。契約手続きを自分で行うことに不安がある人は、契約手続きは専門家に依頼すると安心です。

また、空き家バンクを利用する人は移住希望者などが多く、不動産仲介の客層と違うため買い手が見つかる可能性があります。

空き家バンクの登録・閲覧は下記URLより、所有する土地の地域の自治体サイトを利用下さい。

全国地方公共団体空き家・空地集情報サイトリンク集

対処法⑤土地を寄付する

買い手がつかず、早急に土地を手放したい場合は寄付すること方法もあります。寄付は、無償で譲渡となりますが、売れずに持ち続けて手間や費用が発生することを考えれば有効です。

土地の寄付先は、次の3つです。

①自治体
②個人(隣地の所有者など)
③法人

寄付先それぞれの寄付方法や条件についてひとつずつ見ていきましょう。

自治体への寄付

寄付先として最初に上がるのが、市町村等の自治体です。しかし自治体は使用する目的がなければ寄付を受け付けてくれません。

というのも、使用する目的がない土地を引き取っても、管理するのに手間や費用がかかります。無条件に引き取っていたら財政は破綻してしまいます。

もちろん、寄付の受付は自治体ごとに条件が設けられているので、条件を満たせば無償で引き取ってもらえます

まずは、自治体の担当窓口へ寄付の受付が可能か相談してみると良いでしょう。

個人への寄付

個人への寄付は、土地を欲しい人がいるのであれば誰でも寄付が可能です。しかし、使い道がなくて困っている土地を欲しがる人を見つけるのは難しいでしょう。

有効な方法としては、隣地の所有者に寄付をすることです。隣地の所有者であれば、今の土地が広くなると考えれば有効活用できます。

ただし、個人への寄付には、相手方に贈与税がかかることを知っておきましょう。

法人への寄付

法人へ土地を寄付する方法もあります。

個人では使い道がない土地でも、法人であれば事業や保養目的などの利用目的で欲しがる企業がある可能性も考えられます。

個人の場合は、寄付をする側に税金は発生しませんが、法人の場合は、寄付先が一般企業なのか公益法人(社団法人や学校、NPO法人など)なのかによって変わります。

寄付先が一般企業の場合は、譲渡所得税が課せられる場合があります。

通常、譲渡所得は不動産を売却して得られた利益に対して課せられる税金です。営利法人への寄付は、不動産を売却して得られた売却金額の金額を寄付したものとして扱われるため、譲渡所得税が課せられる可能性があるのです。

一方、公益法人への寄付については社会貢献と見なされます。そのため、譲渡所得税の免除手続きを行えば譲渡所得税は免除となりえます。

 一般企業公益法人
譲渡所得税課税される非課税

対処法⑥土地を引き取ってもらう

土地の売却も寄付も難しい場合は、最終的にはお金を払って土地を引き取ってもらう方法があります。

引き取ってもらう方法としては、次の2つです。

①引取り業者に引き取ってもらう
②国に引き取ってもらう

それぞれの引取り先についてどのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

①引取り業者に引き取ってもらう

引取り業者によって条件は異なりますが、農地(田や畑)等の一部の土地を除いて引き取ってもらえる可能性が高いです。

近年、山林・原野や別荘地等を中心に不要な土地を有料で引き取る業者が増えてきています。

引取サービスは、引取り業者が段取りを整えて手続きを進めてくれるケースが多いため、手間をかけずに不要な土地を手放すことができることがメリットです。

ただし、引き取ってもらうためには引取料や処分料がかかります。土地の状況によっては引取料が100万円以上かかる場合もあります。

【引取り業者の中には詐欺業者もあるので要注意!】

 

「あなたの持っている原野を高値で買い取ります」などといった勧誘をきっかけに、巧妙な手口で売却額より高い新たな山林や原野を購入させられる二次被害が広がっています。

 

国民生活センターへの相談事例

子に迷惑をかけたくなく原野を売却したが、新たな土地の契約をさせられていたケース

原野を所有しているが、子に相続すると迷惑をかけるので手放したいと思っていた。

先日 不動産業者から電話があり、自宅を訪問され「約 800 万円で買い取りたい」と勧誘された。 その際「移転登記をするまで時間がかかる、それまで仮のしるし」と言われ、遠方の原野の売買契約書に署名した。意味がわからなかったが業者が「気にしないで」と言うので信用した。

手続き費用として約400万円を支払い、住民票と印鑑証明書、土地の権利書を業者に渡した。しかし実際は、遠方の原野と自分の売却額の差額分と別の原野の購入費用となっていた。

出典:国民生活センターより深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル

 

このように悪質な詐欺業者もあるため、引取りサービスを利用する際は信用できる会社かどうか慎重に検討しましょう。

②国に引き取ってもらう

相続した不要な土地を手放して、国に帰属させる新制度「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月からスタートします。

この制度を利用すれば、売れない土地を速やかに手放すことが可能です。

ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではなく、国が定める条件をクリアする必要があります。

また、引き取ってもらうためには10年間の土地の管理費として、原則20万円(森林を除く)の負担金を国に納めなくてはなりません。

とはいえ、売却も寄付もできず、持っているだけで不利益にしかならない土地を国が引き取ってもらえるなら喜ばしいことです。

相続土地国庫帰属制度の詳細は次のとおりです。

相続土地国庫帰属制度

申請ができる人

●      相続又は相続人に対する遺贈によって土地を取得した人

●      相続等により土地の共有持分を取得した共有者

※施工前に相続した土地も対象

申請先

(予定)帰属させる土地を管轄する法務局・地方法務局

帰属の承認ができない土地

①建物が存在する土地

②担保権等負担のある土地

③通路層の他の他人による使用が予定される土地

④土壌汚染されている土地

⑤境界が明らかでない土地

⑥崖がある土地

⑦工作物・車両樹木が地上にある土地

⑧地下に除去すべき有体物がある土地

⑨隣人とのトラブルを抱えている土地

⑩その他、通常の管理又は処分の費用または労力を要する土地

負担金

原則20万円

※土地の種類、区域、面積に応じて算定が必要

負担金の算定についての詳細はこちらのページへ

しかし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではなく、引き取ってもらえる条件にクリアする必要があります。

国が引き取ってもらえる土地の条件は、「抵当権の設定やトラブルがなく、建物が建っていない更地」に限ります。

国としても、管理や維持をするのに必要以上の手間や費用がかかるものは引き取れないというわけです。

万が一、所有している土地が条件をクリアしていない場合は国に申請できる土地にするための整備が必要となります。

具体的には次の5つの整備を実施することとなります。

・建物や構築物の解体
・土地の境界確定測量
・収益を目的とした使用をやめる
・土壌汚染や地中埋設物の有無を調査する
・隣地との揉め事を解決する

土地の境界確定測定や土壌汚染等の調査に関しては、売却をするために不確定要素を取り除くためにも必要な条件です。

しかし、建物がある場合は解体するのに多額な費用がかかりますし、隣地との揉め事を解決するのは簡単なことではありません。

このように、相続土地国庫帰属法は簡単には利用ができず、労力と費用がかかる可能性が高いのです。

新しくできた法律となるため、利用するかどうかは専門家に相談しながら慎重に判断していくことがおすすめです。

詳しい制度の詳細については法務省のHPをご確認ください。

法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

【フローチャートで解説】売れない土地を手放す方法の選び方

相続した売れない土地を手放すための、具体的な対処法を選んで行きましょう。

対処法は、所有している土地の状況によって変わります。どの対処法が適切なのか次のフローチャートに沿って、適切な対処法を確認してみてください。

どんな土地であっても手放す場合、できる限り売却できることが望ましいです。

まずは、所有している土地に不確定要素がないか確認していきましょう。

境界未確定である場合や土壌汚染などの状況が明確でない場合は、改善をして売れやすい状態にして売却を進めます。

売れやすい状態にする方法は、対処法①土地を売れやすい状態にするで確認下さい。

売却できる方法を探ったうえで、売却が難しいと判断したら無償で寄付を検討してください。

無償であっても土地が欲しい人を見つけられない場合、最終的にお金を払ってでも引き取ってもらう選択をしましょう。

どうにか売却して利益を得たいと思っていても、固定資産税は毎年払わなくてはなりません。そうなってしまえば、費用がかさんでしまい、本末転倒となります。

そのため、粘っても3ヶ月~半年程度の期間で対処法を検討し直してください。

売れない土地の相続で困った場合は弁護士への相談がおすすめ

ここまで売れない土地を相続した場合の問題点と対処法について詳しく解説をしてきましたが、売れない土地を相続で困った場合は、専門家である弁護士に相談することがおすすめです。

相続した土地が売れなかった場合、まずは「なぜ売れないのか?」「どうしたら手放すことができるのか?」検討して素早く対処していくことが望ましいです。

しかし、実際には売れない理由は、境界未確定であったり、地質の調査が必要だったり、隣地所有者とのトラブル解決が困難だったりと、改善するためには手間と労力がかかります。

そして、土地の状態を改善していくためには、測量士や地質調査技士などの専門家に依頼をしなくてはなりません。

専門的な知識も必要となるため、素人では対応が難しいことも多くあるでしょう。

そんな時、弁護士に相談をすれば難しい手続きについてアドバイスをすることが可能です。また、過去の解決事例から相続の状況や土地の状態を見たうえで、最善の対処法を提案してくれるので安心です。

その他にも、売れない土地を相続する場合に弁護士へ相談することのメリットがあります。

売れない土地を相続する場合に弁護士へ相談するメリット
・隣地所有者とのトラブルの相談ができる
・他の相続財産と調整するなどして、売れない土地の遺産分割方法をアドバイスできる
・土地の名義変更や相続税の手続きの代行を依頼できる

売れない土地の相続をどうしたらよいか悩んだら、弁護士に相談することで安心して対策をとることができます。

まとめ

この記事では、売れない土地を相続した場合の問題点と対処法について詳しく解説をしました。

最後にまとめると、売れない土地を相続した場合、使い道が無いのであれば速やかに手放すための対策をうつべきです。

なぜなら何も対策を打たず、売れない土地を持ち続けることは不利益を被る恐れがあるからです。

売れない土地を相続することで起こる問題点は次の4つです。

売れない土地を相続することで起きる4つの問題
・固定資産税を払い続けなければならない
・土地の管理責任は避けられない
・損害賠償責任が発生する可能性がある
・次の世代まで問題が続く

実際に売れない土地とはどんな特徴があるかというと、

売れない土地の特徴
①土地の大きさや形が悪い土地
②再建築不可の土地
③環境が悪い土地
④境界未確定の土地
⑤不動産会社の売却優先順位が低い土地

以上のような特徴があります。所有している土地が売れない土地の特徴に当てはまる場合は、持ち続けてることで良い事は何もありません。

今、対策を打たずに売れない土地を持ち続けることで土地の管理や税金などの手間や費用がかかるだけではなく、あなたが亡くなった後に子ども達が同じ悩みを抱える事となります。そのため、速やかに手放す方法を考えていきましょう。

実際に売れない土地を手放すには、次の6つの対処法があります。

売れない土地を手放すための6つの対処法
①土地を売れやすい状態にする
②買取で売却する
③不動産会社を変える
④空き家バンクに登録する
⑤土地を寄付する
⑥土地を引き取ってもらう

土地を手放す方法は、相続の状況や土地の状態によって違います。どの対処法が適切かどうか慎重に判断していきましょう。

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