弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
弁護士 西村 学
弁護士法人サリュ代表弁護士
大阪弁護士会所属
関西学院大学法学部卒業
同志社大学法科大学院客員教授
弁護士法人サリュは、全国に事務所を設置している法律事務所です。業界でいち早く無料法律相談を開始し、弁護士を身近な存在として感じていただくために様々なサービスを展開してきました。サリュは、遺産相続トラブルの交渉業務、調停・訴訟業務などの民事・家事分野に注力しています。遺産相続トラブルにお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
2024年4月1日に相続登記が義務化されるとともに、新設された制度に「相続人申告登記」があります。
相続人申告登記とは、期限内(3年)に相続登記の申請が難しい場合、簡易に相続登記の申請義務を履行できる仕組みです。
相続人申告登記を申請しておけば、期限内に相続登記ができなかったとしても、罰則の対象外となります。
そのため、相続登記が期限内に行えない可能性がある場合は、相続登記申請を行うことが必要です。
ただし、相続人申告登記を行う場合には、知っておくべき注意事項があります。注意事項を理解しておかないと、後になってから不動産の売却など活用をしたいと思ってもできない可能性があるので、しっかり確認しておきましょう。
そこでこの記事では、相続人申告登記について詳しく解説し、相続人申告登記をする場合の注意点をお伝えします。記事の最後には、相続人申告登記を行う場合に必要な書類と費用についても解説します。
本記事のポイント |
・相続人申告登記とは何かがわかる ・相続人申告登記をすべきか判断ができる ・相続人申告登記を行う場合の注意点がわかる ・相続人申告登記に必要な書類と費用がわかる |
この記事を読めば、相続人申告登記について理解ができ、申告する場合の手続きの準備も漏れなく進めることができます。
相続申告登記について知りたい人は、最後まで読み進めてください。
相続の弁護士費用に、新しい選択肢を。
サリュは、お客様の弁護士費用の負担を軽減するため、
月額料金プランと着手金無料プランを用意しました。
最良の法的サービスを、もっと身近に。
相続の弁護士費用に、
新しい選択肢を。
サリュは、お客様の弁護士費用の負担を軽減するため、
月額料金プランと
着手金無料プラン
を用意しました。
最良の法的サービスを、もっと身近に。
冒頭でお伝えしたとおり、相続人申告登記は2024年4月1日に相続登記の申請義務化が施行されたことに伴い、創設された新しい制度です。
相続人申告登記をすることで、期限内(3年以内)に相続登記の申請をすることが難しい場合に、簡易に相続登記の申請義務を履行することができます。
そのため、下記のような理由により期限内に相続登記の申請が難しい場合は、相続登記の期限である「不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内」に相続人申告登記の申請を行いましょう。
【相続人申告登記すべきケース】
・音信不通の相続人がいて遺産分割協議がまとまらない場合 ・遺産分割で相続人同士が揉めて不動産の所有者がきまらない場合 |
万が一、相続人申告登記を行っておらず、期限内に相続登記を行うことが出来なかった場合は、罰則として10万円以下の過料の対象となります。
また、相続人申告登記は、各相続人が単独で申告を行うことができるため、遺産分割で揉めている場合であっても他の相続人と話し合う必要も承諾や同意を得る必要もありません。
相続登記を申請しようとする場合は、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本などの書類を収集したり、相続人全員で法定相続分の割合を確定させたりなどの手続きが必要となります。
一方、相続人申告登記は、申出人が登記記録上の所有者の相続人であることが分かる戸籍謄本等があれば申請ができます。オンラインでも申請ができるため、煩わしい手続きがなく簡単に申請が可能です。
相続人申告登記に必要な書類と費用については、相続人申告登記に必要な書類と費用で詳しく解説します。
【相続登記の義務化とは?】 令和6年4月1日に相続登記が義務化され、相続(遺言も含む)によって不動産を取得した相続人は、所有権を知った日もしくは、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなりました。 万が一、期限内に相続登記をしなかった場合は、10万円以下の過料が科せられることとなります。 また、施行前に相続をした不動産も義務化の対象となるため、注意が必要です。 相続登記の義務化について詳しくは、下記の記事で解説をしていますので合わせてご覧ください。 |
相続人申告登記は、期限内に相続登記を行うことができる場合、申請は不要です。
相続人申告登記は、あくまでも相続登記ができない人に罰則がいかないようにするための制度となっています。
そのため、期限内に相続登記が行えるのであれば、相続人申告登記を行う必要はありません。
また、相続人申告登記は、該当の不動産について自らが相続人であることを登記し、将来不動産の所有者になる可能性があることを公示する制度です。
登記されるのは、申出をした相続人の住所や氏名などに限られ、相続分の権利についての登記は行われません。
そのため、遺産分割協議がまとまり次第、3年以内に相続登記を行う必要があり、期限内に相続登記ができる人は2度手間となってしまうため、相続人申告登記の申請は必要ありません。
相続人申告登記を行う場合には、以下のとおり注意すべき事項があります。
【相続人申告登記を行う場合の注意点】
・被相続人の不動産を売却する場合は相続登記が必要である
・相続登記の申請義務を履行したとみなされるのは申出人のみ
・申告者に固定資産税の請求が届く可能性がある
注意点をしっかり理解した上で、相続人申告登記を行うようにしましょう。
ひとつずつ詳しく解説します。
被相続人の不動産を売却したい場合は、相続登記を行う必要があります。
大前提として、不動産の売却や贈与など活用をしたい場合は、不動産の名義人ではないとできません。
相続人申告登記は、該当の不動産について自らが相続人であることを登記し、将来不動産の所有者になる可能性があることを公示する制度です。
そのため、相続人申告登記を行っただけでは、不動産の名義人となることはできないため、不動産の売却などを行うことはできないのです。
相続登記の申請義務期間内に相続人申告登記を行えば、相続登記の申請義務を履行したものと見なされます。そのため、相続登記の罰則(過料)が科せられることはありません。
ただし、申出をした相続人のみが義務を履行したことになるため、注意しましょう。
例えば、相続人3人のうち2人が相続人申告登記の申出をした場合、申出をした2人は相続登記の義務を履行したことになりますが、申出をしていない1人は義務履行をしたことになりません。
そのため、申出をしていない人が不動産を相続した場合は、過料の対象となります。
不動産を所有している人には、市区町村役場より固定資産納税通知書が毎年送られます。
不動産の所有者が亡くなり相続登記が完了していない場合には、配偶者や長男などの相続人代表と思われる人の自宅に固定資産納税通知書が送られることが一般的です。
しかし、相続人申告登記制度がスタートしことにより、固定資産納税通知書の送付先が不明確であった場合には、申告登記のなされている相続人へ送付される可能性があります。
支払いについては、遺産分割協議が終わるまでは相続人全員の不動産となるため、相続人同士で相談して支払いを行うようにしましょう。
相続人申告登記に必要な書類と費用については、以下のとおりです。
【相続人申告登記|必要書類・費用・申請方法】
必要書類 | ①被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) | 市区町村役場で取得可能 |
②申出人が登記記録上の所有者の相続人であることが分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等) | ||
③申出書 | ||
WEBにて取得 | ||
費用 | 非課税(申請費用は不要) | |
申請方法 | ・必要書類を揃えて法務局へ提出 ・オンラインで簡単申請 上記どちらかの方法で申請 |
相続人申告登記は、各相続人が単独で申請できる制度です。
相続登記に比べると、必要書類も少なく、押印や電子署名も必要ありません。そのため、煩わしい手間もなく簡単に申請ができます。
申請が漏れなく行えるようにしっかり確認していきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
相続人申告登記に必要な書類は、以下のとおりです。
【相続人申告登記に必要な書類】
必要書類 | ①被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) | 市区町村役場で取得可能 |
②申出人が登記記録上の所有者の相続人であることが分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等) | ||
③申出書 | ||
WEBにて取得 |
それぞれの書類の詳細と入手方法について詳しくお伝えします。
相続人申告登記でまず必ず必要となるのが、戸籍謄本です。例えば、以下のような戸籍謄本が必要になります。
・被相続人の「死亡の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)」
・申出をする相続人の「現在の戸籍謄本」
被相続人の戸籍謄本は、不動産の名義人が死亡したことを明らかにする必要があるため、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本を準備しましょう。
戸籍謄本と除籍謄本のどちらを取得するかは、被相続人の戸籍の内容によって異なります。
被相続人が死亡しても戸籍内に配偶者や子供などが残っている場合は戸籍謄本を、被相続人が死亡したことで戸籍内に誰もいなくなった場合は除籍謄本を取得します。
一方、申出をする人が相続人であることを明らかにするための書類として、申出をする相続人の戸籍謄本を準備します。
申出をする人が被相続人の子どもであれば、自分の戸籍謄本だけで相続人であることを証明することができます。
しかし、被相続人の兄弟姉妹である場合には、被相続人に子どもがいないこと、両親などの直系尊属が亡くなっていることを証明しなければなりません。
その場合は、自分の戸籍謄本だけでなく被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本が必要になるので注意しましょう。
【戸籍謄本の取得方法】
戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場にて取得をします。
本籍地が分かっていれば、本籍地の役所へ出向くか、郵送で戸籍謄本を取得することができます。
万が一、被相続人の本籍地が分からない場合は、本籍地が記載されている住民票の除票を請求することで確認ができます。
役所の窓口で戸籍謄本を取得する場合は、以下の書類と料金の準備が必要です。
※役所によって、異なる扱いのところもある可能性があるので、詳細は、申請する役所のホームページ等をご確認ください。
▼用意するもの
・印鑑(認印でも可)
・本人確認書類(運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど)
・料金:450円/1通(除籍謄本は750円/1通)
(郵送の場合)
・戸籍謄本の請求書(市区町村役場のホームページよりダウンロードして使用)
・本人確認書類の写し
・手数料(上記料金を「定額小為替」で準備)
・返信用封筒(自分の住所と名前を記入し84円切手を貼り付け)
相続人申告登記の申出書は、法務省のHPから入手することが可能です。法務局へ提出する場合は、申出書をプリントアウトし記入してください。
また、Web上で申請を完結できるかんたん登記申請を利用する場合は、かんたん登記申請ページにて申出書を作成し、送信する事もできます。
申出書には、住民票の写しなどの住所証明情報を添付することが求められますが、申出書に住民票上の申出人の氏名のふりがな及び生年月日を記載した場合は、この住民票の写しの提出を省略することができます。
相続人申告登記の申請費用はかかりません。
【相続人申告登記の申請費用】
費用 | 非課税(申請費用は不要) |
ただし、相続人申告登記に必要な書類でお伝えしたとおり、戸籍謄本等を取得する際には費用が必要となります。
相続人申告登記を申請する方法は、法務局へ直接提出するか、オンラインで申請するかのどちらかで進めます。
【相続人申告登記の申請方法】
申請方法 | ・必要書類を揃えて法務局へ提出 ・オンラインで簡単申請上記どちらかの方法で申請 |
法務局へ提出する場合は、不動産を管轄する法務局に書類を提出します。
管轄の法務局は、法務局のHPで確認しましょう。
法務局が遠方の場合は、郵送による申請も可能です。郵送の場合は、必要書類を入れた封筒の表面に「相続人申告登記申出書在中」と記載し、書留郵便で送付してください。
また、オンラインで申請が完結できるかんたん登記申請を利用することもできます。
この記事では、相続人申告登記について詳しく解説してきました。
【相続人申告登記とは】
・2024年4月1日に新設された制度
・期限内に相続登記申請が難しい場合に申請義務を履行できる
相続人申告登記をすることで、相続登記申請が期限内に出来なかったとしても、罰則(過料)を科せられることはありません。
ただし、あくまでも相続登記ができない人に罰則がいかないようにするための制度となっています。
そのため、期限内に相続登記が行えるのであれば、相続人申告登記を行う必要はありません。
また、相続人申告登記を行う場合には、以下のとおり注意すべき事項があります。
【相続人申告登記を行う場合の注意点】
・被相続人の不動産を売却する場合は相続登記が必要である
・相続登記の申請義務を履行したとみなされるのは申出人のみ
・申告者に固定資産税の請求が届く可能性がある
相続人申告登記に必要な書類と費用については、以下のとおりです。
【相続人申告登記|必要書類・費用・申請方法】
必要書類 | ①被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) | 市区町村役場で取得可能 |
②申出人が登記記録上の所有者の相続人であることが分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等) | ||
③申請書 | ||
WEBにて取得 | ||
費用 | 非課税(申請費用は不要) | |
申請方法 | ・必要書類を揃えて法務局へ提出 ・オンラインで簡単申請上記どちらかの方法で申請 |
相続人申告登記を行う場合は、上記を確認し漏れなく申告をしましょう。
この記事が、相続人申告登記について詳しく知りたい人のお力になれることを願っています。